第1話 幼き日の思い出
 
 

うすぼんやりした幼児期の記憶の中に大きな汽車があった。
誰に手を引かれていたかも良く覚えていないが、
大きな汽車だけが記憶の奥にわずかに残っている。

汽車を見にきた男の子。
父親の手をずっと握っていた。この子も今ではお父さんなんだろうか?
故郷の汽車はこの子の思い出の中で、どんな情景として残っているのだろうか?


亡き母の実家が西若松駅の近く材木町にありました。

ホームで遊ぶ子供達。
私も従兄弟達と、この駅のホームで駈け回って遊んでいたのを思い出しました。
昔と同じ情景が目の前にありました。


5歳の頃です。駅前から七日町駅の裏手に引っ越しました。
家の裏にお稲荷さんがあり、その向こうが線路端、子供達の遊び場でした。

線路端で遊ぶ子供達。
今だから言えるが、大変危険な遊び場だったと思う。


私の小学校には汽車が走っていました。
校庭の向こうがすぐ線路でした。 

校庭で遊ぶ子供達。
私のような、鉄道少年が出来やすい学校でした。


写生会は決まって機関区にいきました。
大きなデゴイチが私のお気に入りでした。

蒸気機関車の絵を描く子供達。
汽車たちは昔から絶好の被写体でした。


拓本取りという遊びがありました。
C571の拓本は私の宝物でした。

拓本を取る子供達。
ちょっと前まで私も良く登っていました。
次は父のカメラを持ち出すのが、当時の鉄道少年の行動パターンだったようです。
この子供達は、私のように今も線路端に立っているだろうか?


はじめに
「会津のけむり」は、故郷会津を走った蒸気機関車たちを当時の写真とエピソードをまじえて紹介する写真集です。
機関車の動力近代化という時代の流れの中に、消えていった蒸気機関車達。その写真をテーマごとに15話に分けて紹介いたします。
今回登場する汽車たちの雄姿は、1973年春から1974年秋に会津地区から蒸気機関車の煙が消える日までの20ヶ月間の写真で紹介致します。まだまだ未熟な頃の作品ばかりですが、画質優先に制作した関係で大変重たいページが続きます。
ごゆっくりお楽しみ下さい。


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