■月刊ビデオコムの記事(91年12月号)
北海道から本州、四国、九州までビデオ大好き人間が大集合して親睦を深めるという自主運営の催し物が長野県の坂北村で開かれた。では、素朴ながら温かい村を舞台に繰り広げられた集いの模様を密着レポートしよう。

2日間の交流会
去る10月19日、20日の2日間にわたって開かれたサミットは、主に業務用のビデオカメラとデッキを駆使して作品制作をしているヘビーユーザーが中心だ。みんな自分の撮影技術には自信を持ちながらも、ちょっとまわりが気になるという熱心な人達ばかり。この集まりの模様も延々と2時間テープで何本も回して全収録、あとで編集するゾ〜という意欲を見せていた。スゴイ、スゴイ。
ビデオの投稿者が中心
そもそもこの集まりがどういったいきさつで実現したかということを説明しよう。 NHKの土曜日朝に全国ネット『日本列島ぴっくあっぷ』という番組をご存知だろうか。アマチュアビデオカメラマンが撮影した地域情報を照会しているもので、各地の土地柄がエピソードとして伝わってきて、なかなか楽しめる内容になっている。そのビデオを投稿している常連の人たちを中心として、今年の8月に日本映像ネットワークを結成、そのなかのメンバーのひとりである坂北村の柳沢忠さんが発起人となって第1回の交流会開催の運びに相成ったわけである。
加えて、柳沢さんは地元の自然や風土記をNHK VOOK地域作家シリーズの第2弾として『曼荼羅の里 信州坂北の四季』という地元紹介ビデオを10年の歳月を費やして完成させた。その記念のお披露目パーティーという大きなふたつの目的があったのである。
講演でスタート
さて、参加者のファインダーマンは三々五々集合してきた。第一日目は『楽しむビデオ』を中心にして、会員のビデオ作品の上映と自作についての活動報告があった。試行錯誤のなかで生み出される自作のいわば生みの苦しみと、独自のテクニックなども初公開された。これが講演者自慢の作品と同時に見ることができるので、講演後には具体的な質問が矢継ぎ早に飛び出して、深まりゆく外の寒々しさとは裏腹に、会場となった社会福祉っセンターは熱気であふれかえっていた。
松茸のフルコースだ
講演も終って第2部。今日の宿泊先の村営坂北荘へ移動。ここで盛り上がりは頂点に達する。村長さん以下、村の名士の方々も集まって、参加者期待の大交流会が始まった。目玉はもちろん当地の名産である松茸のフルコース。食い放題と勘違いした人もいたようだが、一生分の松茸をこの一日で食ってしまった、というのが偽りのない感想である。
思い思いに鉱泉につかって、仕上げは自作の持ちよった作品を大画面の液晶プロジェクターで見る上映会となった。同じ長野県のよしみということで諏訪から駆けつけてくれたエプソンさん、お疲れ様でした。そのあとはめいめいでビデオ談義に花を咲かせて『朝までビデオ』!?の一日はいつの間にか丑満時になっていた。
熱心さに脱帽
さてさて、次の日は6時起床でバスに飛び乗る。北アルプスの山並みを見に行こう、いや、ビデオに収めようというわけである。もう熱心さとタフネスぶりには脱帽である。早朝ゆえに、行く先々は霧がもやっている。山道をのぼる急勾配の坂の1メートル先が見えない。がしかし、ある高さまで行くと、その霧はマジックのショーを見ているようにスッと消えて、司会が広がってきた。彼方には土地のひともなかなか見ることができないという雲海が広がり、山並みにソッとよりそうような形でたなびいている。絶景である。思い思いの位置取りをして、ビデオの収録が続けられた。ついでに高原野菜の出荷の模様を取材したり、村のひととの交流も深めたようだ。
いったん、宿泊先に戻ってきて、差切温泉渓谷、りんご狩りと、交流会のメニューは消化されていく。撮りも撮ったり、食いも食ったり、飲みも飲んだり、みんなビデオをやっている人って外見とは裏腹に、何故こんなにも明るいのだろうか。この疑問は来年解明することにしよう。
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