NHKビデオカメラマン全国交流会
「列島ビデオネットワーク 連載@」
いまムービーマニアの間で静かなブームを呼んでいる番組があります。
それはNHK総合テレビで放送されている『日本列島ピックアップ』の
なかに設けられた『ビデオランド』というコーナーです。
マニアの間で評判を呼んでいるのは、ここで取り上げる映像はプロが
撮影したものではなく、アマチュアの映像を使っているというのが、そ
の理由です(アマチュアの作品をレギュラー枠でオンエアーしている
NHKでは唯一の番組)。
アマチュアカメラマンの夢は、なんといっても自分で撮った映像がテ
レビで放送されることに尽きるのではないでしょうか。たくさんの人に
見てもらいたいという欲求を充たすことができます。
この番組は毎週土曜日の早朝、身近にあるイベントや話題、季節の風
物詩などを3分ほどの長さに編集して放送しています。視聴者の間では、
プロカメラマンとは一味違う新鮮な映像という評判が高いようです。た
だアマチュアの作品とはいっても、プロが舌を巻く高度なテクニックに
裏打ちされた映像も数多く見受けられます。
この番組、4月からの改編で『列島ネットワーク』、『けさのアング
ル』と名を改めましたが、引き続き同様の趣旨で放送が続けられていま
す。まだご存じない読者の方は、ぜひご覧になってください。
ところで番組に応募してくるカメラマンは、各地のビデオサークルに
所属している人たちが大半のようです。お互いによい刺激となっている
とか。ただ顔触れがいつも同じなので、どうしてもマンネリ気味になっ
てしまうそうです。創造欲をかきたてる新しい刺激が必要なのかも知れ
ません。
その趣旨もあって、今回番組の担当ディレクターである松本豊美さん
(NHK生活情報番組センター)が、全国の投稿頻度の高いカメラマン
に交流を呼びかけたところ、なんと80名近い応募がありました。10数名
ぐらいと考えていた読みが見事にはずれて、うれしい悲鳴です。
交流会開催
交流会は3月31日、4月1日の2日間にわたって開催されました。ほ
とんどの参加者が初顔合わせだったのですが、作品と名前が発表された
とたん、会場となった放送センターオーディションルームは和やかな空
気に包まれました。放送された作品を見て以前から気になっている人に
は、活発な質問が飛んでいました。質問内容は、おもに素材テープは何
分まわしたかというようなものです。それに対して1時間ぐらいと答え
た人が多かったようです。
この席で今年度オンエアーされた作品のなかから、ビデオランド年間
賞が発表されました。以下の通りです。(別紙参照)
交流会のプログラムには、質問と意見交換のほかに、セミナーの時間
も設けられました。
内容は、この番組を編集しているプロの映像編集マンが、素材テープ
について語る「こんな映像が欲しい」。
NHKチーフカメラマンが撮影テクニックについて語る「よい映像を
撮るヒント」。
「AV最新情報〜これからのカメラとビデオ」というテーマでは、本
誌企画担当者が講師席に着きました。
編集の講座では、鈴木信夫さん(セオン所属)が、参加者の質問に答
えながら、映像編集の作法について解説をしていました。編集の醍醐味
とは、ひとつの素材から幾通りもの違う意図を持った映像をつくること
ができること。最近の編集は”音”の要素が大きく、音をきっかけにつ
なぐことが多いので、音を意識して撮影してもらいたいというような内
容が話されました。
カメラの講座では、横川清司チーフカメラマンが、今朝くるときに撮
影した参加者の素材テープを見ながら、映像の切り口迫り方など、実例
をまじえて講演しました。ここで参加者から、被写体を撮影するときの
注意点について質問が出ました。これに対して横川カメラマンは、撮影
するときは迷惑がかからないように、ちゃんと断ってからにしたほうが
よいし、共同取材の時は、ルールに従って撮影するべきだ。ただ最近の
プロの現場では、マナーが悪くなっていて困っているという話がありま
した。参加者の一部からは、アマチュアはアマチュアの節度を守って撮
影しなけばいけないという意見が出て、その言葉がたいへん印象に残り
ました。
AV最新情報のコーナーでは、ビデオコムで集めた情報を中心に、オ
ンエアーされるビデオフォーマットはなにがよいのかという話になりま
した。質問内容を見ても、この講座での関心は、これから購入するビデ
オはなにがよいのかということのようです。
いずれの講座も活発に質疑応答が交わされ時間のたつのを忘れるほど
でした。女性からもかなり専門的な質問が出されていました。
懇談会
夜の懇親会はあいにくの冷雨でしたが、取材にきた西村アナウンサー
を8ミリムービーで逆取材するなど、熱気で会場はむせかえるようでし
た。見回すとあちこちで名刺交換する姿が目立ちます。ビデオサークル
同志の交流が、この番組がきっかけになって始まったのです。
この場所を借りて、番組をささえているNHK生活番組情報センター
のスタッフが紹介されました(写真参照(ママ))。
普段放送では顔を出していない、縁のしたの力持ちたちです。
懇親会は乾杯で始まりましたが、その時もカメラを放さない人が大勢
いました。コップ片手に乾杯しながらの撮影です。いずれ番組に応募す
るつもりなのでしょう。もしかしたら放送されるかも知れません。楽し
みです。その内の何人かに聞いてみたところ、サークルを代表して参加
しているので、帰ったら仲間にみせてやるんだと答えた人もいました。
静岡県からきたグループは、待ちきれないのか懇親会が終わったあとロ
ビーのテレビにつないで再生して見ていました。
NHK生活情報番組センターでは視聴者の作品を募集しています。
『列島ネットワーク』では地域の情報、『けさのアングル』では産業経
済・生活経済などの都市の情報を発見提起する内容にしたいそうです。
編集までしてなくても、素材のままでもよいということです。テープに
は内容を書き添えたメモを添付して、NHK放送センター(〒150東
京都渋谷区神南2−2)生活情報番組センター『列島ネットワーク』ビ
デオ係まで送ってください。素材テープは原則として返却されるそうで
す。フォーマットはVHS(S−VHS)、8ミリ(Hi8)、ベータ
(EDベータ)、Uマチックとなんでもいいそうです。
ビデオコムでも、この番組を定期的に取材し、読者の方々に情報を提
供していく予定です。もしかしたら、あなたの作品が取り上げられるか
もしれません。まだ番組を見ていない方は一度チェックしてみてくださ
い。放送時間は「列島ネットワーク」が6:18AM〜6:28AM、「けさの
アングル(1部分視聴者ビデオが登場)」が6:39AM〜6:51AMとなっ
ています。朝がつらいという向きには、留守録というワザもあります。
別紙
■年間最優秀層 大橋 陽(京都府)
[大 賞] 「華麗、田山花踊り」
松本順一(新潟県) [民俗芸能部門賞]
「能合宿、世阿弥の島に舞う」 秋野博治(静岡県)
[最多放送賞] [ユーモア映像賞]
太田光男(茨城県) 松久保恒子(徳島県)
「喝采、豚ロデオ」 「ニワトリとおじさん」
[優 秀 賞] [地域振興部門賞]
山口 隆(北海道) 柳沢 忠(長野県)
「能面を打つ」 城月華江(島根県)
岡田 昇(青森県) 「檄闘、水中カッパ駅伝」
「岩木山お山参詣」 [ドキュメント賞]
小菅和男(群馬県) 足立範夫(長野県)
「レトロバイク」 「田舎饅頭、VSAをゆく」
町田 宏(埼玉県) [女性VC特別賞]
「農民ロケット」 城月華江(島根県)
柳沢 忠(長野県) 野村ふさ(埼玉県)
「お船神事」 「赤ちゃん、ハイハイレース」
秋野博治(静岡県) [特別奨励賞]
「西浦の田楽」 谷口健次(静岡県)
岡崎美晴(山口県) 「シルバー劇団のビデオドラマ」
「里おこしフェスティバル」
■ビデオランド特別賞
[特 賞]
渡辺幸和(北海道)
「道産馬と馬追い」
笹岡 恵(長野県)
「”傷害”をこえて〜ふうちゃんと仲間たち〜」
[映像技術特別賞]
渡辺 照(大阪府)
「豪快、沢登り」
山口 隆(北海道)
「能面を打つ」
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