プリンスホテルの片岡宏之さん(営業課長)に挨拶
当日組の中沢裕さん(長野)、林富士夫さん(長野)、滝本顕さん&幸子さん(東京)、丸田福治さん(長野)らが加わってセッティングに入る。すでに舞台には高橋房江さん、菜穂さんの生けた花が飾られている。
10時
プレイベント<A>のエディロールインターナショナル社(ローランド系/尾本順一さん、瀬雅之さん)の「ノンリニア実演講座」が「楡の木の間」で始まる。人はまだ少ないようだ。すまないと思う。早朝からきた実行委員はそれぞれの任務でかけまわり、プレイベントの部屋をのぞくどころではない。
10時30分
プレイベント<B>の「持参作品上映会」が丸田さんのリードで始まる。どれだけ集まるか気になるが、実行委員には余裕はない。ここは丸田さんにお願いするしかない。それでも人が集まっている事に安心する。自分のビデオを見てもらいたい、仲間のビデオも見たい。その気持ちはよくわかる。
主会場「長野の間」前
「全国班」と「地元班」に分かれて受付卓を用意。手渡す資料や土産を紙袋(ソニー系代理店提供)に詰め込む。プログラム(中沢さん制作)、宿泊部屋割表、玄光社の映像コンテスト募集要項、ビデオジャケットコンテスト投票用紙、生花入り栞(後で紹介)、軽井沢町からの贈り物、そして名物の旭川ラーメン……等など。青柳完治さん(群馬)、町田好一郎さん(埼玉)、熊谷秀子さん(埼玉)、千葉キヨ子さん(軽井沢)、千谷栄美子さん(軽井沢)、土屋ふみ子さん(軽井沢)らの顔も生き生きとしている。迎えの体制は整った。受付で提出されたビデオケースジャケットの展示も手際よく進む。かなりの数になりそうだ。この企画は当ったかな、と思う。
10時50分
演出班と技術班とでドライのリハーサルに入る。
「オープニングのセレモニーはここです。証明はスポットをください。カメラさんもよろしく……」と、ワイヤレスマイクを持つ松本さんの声が次第に大きくなる。生カメラ担当の森浩一さんと松田幸司さん(共に軽井沢VC会員、協和ビジョン社員)はお互いの役割を確かめ合い、サインを送る。オープニングの細川ふさえさん(東京)も、スポットライトを浴びて発生テスト。VTR送出のタイミングも確かめる。記録カメラ担当の杉浦スイ子さん(千葉)の動きも激しくなる。司会者3人も、それぞれ舞台の動きを見ながらリハーサル。舞台監督と技術席の無線通話もOK。
ひととおりテストを終了
出演者を待つ……。しかし、予定の正午になるが「追分馬子唄」保存会の姿が見えない。時間は過ぎていく。演出陣にあせりが出てきた。どうしよう。
12時35分
これ以上は開場(客入れ)を延ばせない。懐古園草笛会のリハーサルだけでもやろう。舞台に並んで吹いてもらう。よし、草笛はいける。
参加者が続々と入ってきた。広いホールを見る目が驚いている。
開演10分前、森菜穂さん(軽井沢)のカガアナが始まった時、やっと追分馬子唄グループ入室。
「あれ? 人数が聞いていたよりも多い。どうしたの?」
実は、追分節には唄のグループと踊りのグループがあって、その両方が集まったとのこと。すかさず、立ち位置、使用マイクなどを確認。オープニングの構成を急遽変更、唄のあとに予定外の踊りを入れる。「13時ジャスト開演」の方針は曲げたくない。もうリハーサルはできない。ぶっつけ本番だ。こうして欲しいと出演者に伝えただけで、不安が走る……。
午後1時
「JVA10周年・軽井沢の集い」が始まる。暗転した舞台に馬の蹄の音が響く。そして次第に大きくなる。大型スクリーンにVTR(碓氷峠から見る山々)が映り、ナレーションが入る。
『遠くに関東平野を、そして手前に妙義などの山々を見る碓氷峠、そして軽井沢です……』となる予定だった。それが外れた。冒頭で紹介した通りである。
今にして良かったと思うのは、それでも進行を続けたこと。唄を止めて始めからやり直しをしたら、もっとバラバラになり、客(入場者)の前で醜態を演じていたであろう。
「追分馬子唄」に続けて、「追分節」保存会の踊りを挟み、草笛演奏へとつないで、映像とナレーションを重ねることで、辛うじてオープニング構成は形を立て直した。
『小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ …中略…
暮れ行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の口笛
千曲川いざよふ波の 岸近き宿にのぼりつ
濁り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む』
島崎藤村の歌が夕日に映える千曲川の映像をバックに、草笛の演奏が乗る。
『信州の山に源を発し、佐久の野を横切って、やがて新潟県に入り、「信濃川」と名を変えて、日本海に注ぐ千曲川。信州の母なる川「千曲」は、今日もゆったりと流れます』のナレーションが重なり、テロップ「ようこそ“軽井沢の集い”へ」でオープニング瀬手もニーは終わった。
構成者・松本さんの反省
オープニングは、地元民謡「追分馬子唄」と「佐久の草笛」の生演奏を柱に、生の語り(ナレーター)を2台の生カメラ映像にし、これとVTRをSWしながら大型スクリーンで見てもらうこととしていた。考えてみれば、これはプロ業者でも神経を使う演出である。事前の準備、打ち合わせが不十分であった。リハーサルなしにできるようなものではなかった。構成演出者としての反省は大きい。