T さんを迎えにスタンステッド

 スイスのジュネーヴから、日本の友人の T さんが遊びに来ることになった。 到着地は、ケンブリッジに程近い、 スタンステッド空港である。 せっかくなので、空港まで迎えに行ってみることにした。Cambridge 駅から、 列車で 30 分ほどの距離である。

 12 月 29 日。前日にけっこうな雪が降ったので、列車ダイヤは乱れているのでは ないかと考え、早目に Cambridge 駅に到着。案の定、けっこう遅れが出ている。 おかげで、乗る予定より 1 本早い、約 30 分遅れの列車をつかまえられそうである。 しばらく到着予定のホームで待つ。設置されているテレビモニタには、列車の 運行状況が表示されている。

 実際の到着予定時刻の 10 分前くらいであろうか。突然、モニタの表示が 変わった。「Cancelled(運休)」である。おいおい、なんで到着予定 10 分前になって、いきなり「遅れ」が「運休」に変わるのだ。途中駅の Ely あたりで、 力尽きたのだろうか。思わず日本語で「あーあ」と言うと、隣りに立って、やはり モニタを見ていた紳士が「Great confusion」と言って、肩をすくめてみせた。次の、 本来乗る予定だった列車は、あと 30 分は来ないようだ。しかも、これも運休に ならないとも限らない。僕は人を迎えに行くだけだし、時間に余裕を持ってきて いるのでいいが、空港に行って飛行機に乗る人は、気が気ではないのでは ないだろうか。実際、何人かはタクシーに流れたようである。しんぼう強く 待っている人は、きっとかなり時間に余裕を見てきたのだろう。

 駅の案内放送が流れた。「Stansted Airport に行く人は、London Liverpool Street 行きの列車に乗り、●●で乗り換えるように」と言っている。しかし、 この「●●」が聴き取れない。案内窓口に聞きに行くと、地図を見せて、ていねいに 説明してくれた。なるほどそういうことか。一度空港の南の方の駅、Bishops Stortford まで行って、ロンドンから空港に行く列車 (Stansted Express) をつかまえろ、というわけである(下図参照)。

route to stansted airport
列車の運行経路図。青色が Cambridge 以遠 - Stansted Airport の路線、 緑色が Cambridge - London Liverpool Street の路線、紫色が London Liverpool Street - Stansted Airport の路線(Stansted Express)。Stansted Airport への接続部分は、いわゆる「デルタ線」と呼ばれる線型で、London 方、Cambridge 方、両方向から進入が可能である。図の左が北である。

 London Liverpool Street 行きの列車のいるホームに移動しようとすると、これも 遅れていたのだが、ちょうど列車が出ていくところである。しまった。もはや、 次の Stansted Airport 行きを待つしかない。この列車の到着予定時刻を 見ていると、刻々と変化する。ということは、まだ運休にはなっていない、 ということだろう。しかし、いきなり運休になった先刻の列車の例があるので、 油断はならない。表示された到着予定時刻の 10 分くらい前であろうか。 到着番線が、4 番から 1 番に変更になるとのこと。移動して、さらに待っていると、 表示された到着予定時刻より 7 分ほど早く、列車が現れた。行先表字幕は故障して いるのか、無表示である。車両の独特の塗色からして、おそらく Stansted Airport 行きの列車だろうが、時刻が合わない。乗務員に尋ねると、たしかに Stansted Airport 行きだと言うので、乗車。ホームには、乗るのをためらっている人も いたようだが、列車はすぐに発車した。案内放送も流れなかったため、たぶん、 空港に行きたい人で乗れなかった人は多いのではないかと思う。いいのか、 こんなんで。

class 170
Stansted Airport 行きの列車。写真は別の日に撮影。

 列車は順調に走り、Stansted Airport 駅には 30 分ほどで到着した。ここから 空港までは、エスカレータを 2 本上がるだけで空港ロビーに出ることができ、非常に 便利にできている。国際線の到着ロビーで T さんを待ち、無事、会うことができた。

 T さんと、再び、Stansted Airport 駅のホームへ。クレジットカードを 受け付ける自動券売機で乗車券が買えるようになっていて、驚いた。列車の案内板を 見るが、Cambridge 方面への列車の表示がない。駅員に尋ねると、列車の来る 見込みがたたないので、タクシーによる代行輸送になる、とのこと。T さんと 「それなら切符を売らなきゃいいのに」などと言いながら、また空港ロビーの 指示された場所へ向かう。まあ、タクシー代は払わないでいいみたいだけど。 指示された場所で聞くと、タクシーはしばらく来ないから、あと 15 分くらい お茶でも飲んで待っていてくれ、とのこと。しかたなく待つ。ちなみにお茶代は でなかった。

 待っていると、今度は「列車が来たので、すぐに駅のホームに向かってくれ」 との案内。油断しているとまた乗り遅れかねないので、小走りでホームに急ぐ。 なんといってもこの列車を逃したら、次はいつになるのかは、 現場の職員でもわからないのだ。空港ロビーとホームは、 迷った分も含めて、3 往復したことになる。列車には間に合い、無事、 ケンブリッジにたどり着くことができた。


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