3.プラリア パート
「ライバル」
思えば彼女とは、小さいころからいつも一緒だっ
た。家は近所。親は幼なじみどうし。そして、生ま
れた年も同じ。進路も、魔法学校を卒業するまで、
同じだったなぁ。彼女とは何でも競いあったもんだ。
でも、必ずほんのわずかの差で負けるのはいつも私
だった。テストならほんの1、2点。その他、かけ
っこや水泳ならほんのタッチの差、そして、魔法も。
私も、自分で言うのもなんだが、けっこう努力家で、
がんばっていたつもりだけれども、彼女も負けず嫌
いでね。結局、彼女に勝てないまま、魔法学校を卒
業してからは、ときたま会うだけになってしまった
な。
どんどんどん!
「アイン、あたい。開けて。」
おっと。思い出にひたっていたら、彼女だ。偶然っ
てあるものだな。
「アイン、いるんでしょう。早く開けなさいよ。」
はいはい、しかし、今度はなんだろう?
ドアを開けると、彼女は、なにも言わずに私の横を
すり抜けると、暖炉の前に座り込んだ。
「なにしに来たんだい、リーナ。」
私が声をかけると、彼女はこちらに顔も向けずに、
「決まってるでしょう、あたいが唯一ライバルと認
めたアイン、あんたと勝負をしに来てあげたのよ。」
これも、決まったいつもの答が、ちょっと怒ったよ
うな口調で返ってきた。でも、私はわかっている。
負けず嫌いの彼女は決して口には出さないけれど、
彼女が私を訪ねてくるのは、必ず、なにか辛い事や
いやな事があった時だってことを。
「で、勝負はなにでする?私は、リーナの望むもの
でなんでも結構だが?」
私の問いかけに、彼女は、
「そういう大口は、あたいに一度でも勝ってから叩
くのね。」
と、彼女らしい陽気さがすこし含まれた口調で返す。
「じゃ、次にあたいが来るまでにせいぜい腕を磨い
ておくことね。」
すっかり本来の調子に戻って、彼女は帰っていた。
そういえば、私が、彼女との勝負の勝ち負けにこだ
わらなくなったのはいつ頃からだっただろうか。小
さい頃は負けるのが悔しくて、暗くて見えなくなる
までボールを蹴りあったり、追いかけっこに夢中に
なって帰り道がわからなくなったり...。今なら
本気で勝負をすれば、彼女に勝てるだろうか。でも
いいんだ。私は、元気で陽気な彼女が好きだから。
(おしまい)
み:と、いうわけで、アインの一人称による、アイ
ンと、そのパートナーのリーナのお話しです。
今回は、キャラ紹介ということで。それに、ど
うせオフィシャルの本編にはパートナーは出て
きそうにないし、せめてプラリアに書いてやら
ないとね。
af5k-myzw@asahi-net.or.jp 宮澤 克彦