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アヤシゲ翻訳 テレビシリーズ3 エピソード3 / クリンプ・パワー The Power of the Crimp

(オープニング)

 ナブティック

(ヴィンスが元気のない様子で入ってくる)
ハワード:よし、確認しようじゃないか。
ヴィンす:ん?
ハワード:毎日遅刻、毎日違う言い訳。今度はなんだ?
ヴィンス:どういう意味だよ。
ハワード:レゴの雪崩につかまったか?
ヴィンス:いや。
ハワード:違う?パジャマが窒素になったtか?お風呂の天井が落ちて来たとか?
     巨大カワセミが羽毛布団の上から攻撃して来たとか?乗馬ズボンがマジック・ハリモグラにやられたとか?
     書きとめてやるよ。なんだって?カカシにパリまで連れて行かれたか?
ヴィンス:俺なんて無力だよ。
ハワード:全然面白くないな。掲載見送り。
ヴィンス:何でもどれもこれも面白いってわけには行かないよ。時々、人生っていうのは深刻な局面を迎えるんだ。
     すべての色彩が真っ黒になってしまう。
ハワード:俺のセリフ言ってないか?
ヴィンス:俺の身に悪いことが起こっているんだ。
ハワード:悪いことなんてないだろ。日の光で出来てるような男なんだから。
ヴィンス:悪いことは日の光のような人にも起こるんだ。
ハワード:いや、悪いことは俺に起こるもんだ。それで上手く行く。
ヴィンス:悪いニュースがあるんだ。どっからそうなったのか分からないけど。
ハワード:おい、お前らしくないぞ。どうしたんだ?何があったんだよ。
ヴィンス:ここしばらく、どうも具合が良くないと思ってたんだけど。医者に行ってさ。
ハワード:そんな。
ヴィンス:医者は最悪だって言うんだ。
ハワード:なぁ、俺が居るだろ。
ヴィンス:ハワード、そうだよな。
ハワード:もちろん。いつも俺達いっしょだろ?どんな問題なんだ?
ヴィンス:誰かが俺をコピーしてるんだ。
(ハワード、マグカップのお茶をヴィンスにぶっかける)
ハワード:あほ!お前が死ぬのかと思ったじゃないか!医者ってなんだよ!
ヴィンス:ちゃんと見せたよ、ファッションのドクターに!そいつが、すべての類似点を比較してみたら、
     95パーセントは一致するって!俺、この顔を商標登録しなきゃ。
ハワード:ああ、大変だね。誰かがお前をコピーとはねぇ。
ヴィンス:大変だよ!そのコピーしてるやつ、上方も俺みたいにして、歩き方も、しゃべり方も俺そっくりなんだ。
     これは俺のスタイルだぞ。生まれた時から、これを生み出してきたんだ。
     ほら、この写真見よろ。
(胎児の写真を見せる)
     ああ、信じられない!これじゃまるで、イエスと、洗礼者ヨハネだ。

 パレスチナの荒野

イエス:私は荒野に居た。そしてローブを着て、髭を生やしている。たぶんそうだな。これが、私のスタイルだ。
ヨハネ:俺たち、みんなが荒野に居るんじゃないか。
     つまり、あんたは俺の見た目を盗んだだけじゃく、チャンスもくれなかったんだ。
イエス:すべては、早い者勝ちだよ、ヨハネ。
ヨハネ:ああ、そうかい。
(サングラスをかけて、キリストと同じ格好をする)
イエス:そのサングラス、どこでゲットした?
ヨハネ:イェレサレム・マーケットだけど。どうして?
イエス:別に。


 ナブティック

ハワード:なんで気に病むんだよ。気にするなよ。みんなちゃんと違いが分かるだろ。
ヴィンス:あのな、お前はどんなもんか理解してないよ。こいつを見ろよ。
(雑誌チーク・ボーンの表紙を見せる)
ハワード:ああ、お前じゃん。表紙になったんだ。
ヴィンス:俺じゃない!コピーしてるやつだよ。ランス・ディオー!みんな違いが分かるか?信じらんねぇ。
ハワード:たしかに、良く似ているな。
ヴィンス:よく似ている?完璧に同じだ。こいつ、何もかも俺からパクってる。
ハワード:OK、みんなには見分けがつかない。でも、俺もお前も、ちゃんと分かっている。それで十分だろ。
ヴィンス:十分じゃない。
ハワード:見た目になんかこだわるな。要は中身だ。
ヴィンス:俺の中身はカラなの。ビーチ・ボールみたいに。
ハワード:俺を見習うべきだ。そうだ、俺は力強い見た目だろ。
     でも、俺の内面は、豊かで創造力に満ちているんだ。いわゆるカリスマってやつ。
     俺の話はすでに伝説的で、話上手。そうだろ?
ヴィンス:話し上手?お前の話、しょーもないじゃないか。あの筆箱ケンカのネタだけ。
     どうやって学校に行って、隣の席のやつの筆箱を持って帰るかなんて。
ハワード:そうそう、なんだかんだで、俺の筆箱になっちゃった話。
     二人とも同じ筆箱だったから、隣の奴が自分のペンを俺の筆箱に入れちゃって。入れ違いってやつだ。
ヴィンス:俺、まだその話分かんないんだけど。面白くもないし。
ハワード:意味がどうとかいう話じゃない。ユーモアを超えた余韻を感じるものだ。突っ込みどころなし。
     困ったときにはこれで切り抜けるんだ。ひとたびこのネタを発動すれば、巡航ミサイル並みの効果が出る。
(ヴィンス、相変わらず溜息をついている)
ハワード:こいつで、元気出せ。
(ハワードが戸棚をあけると、ゲイリー・ニューマンが現れる)
ゲイリー:やぁ、ヴィンス。
ヴィンス:よう、ゲイリー。
ハワード:利かなかったみたいだな。
(扉を閉める)あー、プレゼントとか好きだろ、ヴィンス。
     だからゲットしておいたんだ。
(羽根のついたかぶり物を取り出す)
ヴィンス:すげぇじゃん!
ハワード:こういうの好きだろ?パプア・ニューギニアから来たんだ。
ヴィンス:わぁお!(かぶり物を被る)
ハワード:こいつはまだ誰も見たことがないな。
ヴィンス:こいつを作った人は?
ハワード:盲人。
ヴィンス:これ、良くできてるよ。サンキュー、気分が持ち直したよ。
(窓を叩くランス登場。ヴィンスとおなじ羽飾りを被っている。ヴィンス、掴みかかろうとする)
ハワード:まて、ヴィンス。俺が相手してやる。
ヴィンス:どうやって、あんなこと?
ハワード:奥に行ってろ。俺がどうにかする。
(ヴィンス、店の奥に引っ込む)

(ランスが入ってくる)

ランス:よう、ハワード。
(しゃべり方がヴィンスっぽい…らしい)
ハワード:あなたは?
ランス:ランスだよ。流行の最前線

     (…という意味だと思うが、よく分からない。Meant to pop by earlier, only a frog stole my shoes.)

ハワード:ははは…うん、それ良いネタだな
(書きとめる)
ランス:ヴィンスいる?
ハワード:わからないよ。俺はあいつの奥さんじゃないから。
ランス:噂じゃ、あんたヴィンスの奥さんだって。ご飯作って、髪の毛きれいにしてやって、ケーキも作ってやるんだろ。
ハワード:何かご用でも?
ランス:実は、きみに会いに来たんだ。
ハワード:俺に?なんで。
ランス:あんたと、面白いことができると思うんだ。その見た目とか、雰囲気とかさ。
ハワード:俺、忙しいので。ごきげんよう。
ランス:ああ、そう。ふぅん。棚卸とかしなきゃいけないもんねぇ。
ハワード:何かおかしいか?販売業には大事なことだし、真面目にしなきゃならない仕事だ。
     ナブーが引退したら、俺が店を引き継いで、棚卸は重要事項に格上げする。
     そうなったら、誰も笑わないだろ。
ランス:はぁ、でも、少し休暇は必要じゃない?つまり、もっと良い暮らしなんてどうかなと思って。良いともわない?
ハワード:なんだって?
ランス:あんたは、ここから飛び出すべきだってこ。あんた、音楽の天才なんだろ?
ハワード:分かってくれてありがとう。たまにはついてるな。
ランス:秘密じゃないだろ。あんたはどこかへ行くべきさ。
ハワード:俺が?
ランス:ヴィンスはいつもあんたを後ろの影に押し込んでるだろ。
ハワード:あいつが?
ランス:だから、俺と組むだよ。な?俺との新しいスタイルで、ナイスなビートをぶちかますって、やってみたいだろう?
ハワード:い、いや…どうかな。そんな急に言われても…よく考えなきゃ。
ランス:そうだろね。良く考えてよ。また来るから。こっちにも用もあるし。新しいコートを…ええと…
     
(ヴィンスのコートのタグをのぞき見る)トップショップで買うんだ。
ハワード:わかった。
ランス:またね。
ハワード:バァイ。またね。電話くれよ。
(ランス、出ていく)

(ヴィンスが戻ってくる)

ヴィンス:何やってんだ。聞いてたぞ。
ハワード:しょうがないだろ。あいつ、チャーミングだし、太陽みたいな輝きがあるし。
ヴィンス:俺こそが太陽だろ。
ハワード:ああ、でもあいつは少年っぽい物腰もあるし。最初はあいつが嫌いだって決めてかかっていたけど、
     いざいなくなっちゃうと、会いたくなるんだ。
ヴィンス:信じらんねぇ!
ハワード:ああ、でもなんか伝わるんだよな。お前が敵わない何かがあるんだ。不思議だな。
     俺って暗くて、くじけてて、傷ついて、偏執的だって思い込んでいたけど、あいつの明るさで、
     なんだか馬鹿みたいに思えてきた。一緒なfら完璧な人格になれそうだ。
ヴィンス:でも、それって俺達二人のことじゃん!
ハワード:うん…でも今のおまえは傷ついて憂鬱症だろ?…どうかなぁ。
     でもあいつは、新しいことやるから一緒にやろうぜ、って。ちょっと心が動く。
ヴィンス:どうかしちゃったのかよ?お前、あいつの罠にはまってるぞ。
ハワード:ええ?
ヴィンス:あいつは、俺になろうとしているんだ。俺みたいに喋って、歩いて…でもって、俺はいつもお前と一緒だ。
ハワード:それで?
ヴィンス:お前はベルトとか、バッグみたいな俺のアクセサリーだもん。
ハワード:なんだって?
ヴィンス:そうじゃないって。ファッション関係の言葉を使わないと、うまく表現できないんだ。
ハワード:なるほど。
ヴィンス:あいつはほぼ完全に俺の見た目通りになってるだろ。
    そうなったらあと必要なのは、背が高くて、北部出身で、ジャズ狂で、髭を生やした、
     ファッション・センス欠乏の奴だよ。
ハワード:それでお前がイケてるってのか。
ヴィンス:うまく説明できない。俺は筆箱の話なんてしないからな。あいつは、俺達の仲を裂こうとしてるんだ。
     俺達の付き合いは長いじゃないか。俺達は太極図みたいなものだよ。
ハワード:そうだな、心配すんな。あいつのオファーを受けるつもりはないよ。あんな奴、必要ないよ。
     俺にはとっくに、未来型売春婦みたいな格好のチャラチャラした相棒がいるからな。
ヴィンス:ありがとう、ハワード。
ハワード:大丈夫だよ。あいつはお前に敵わない。
ヴィンス:そうだな。でも、まだ気になるな。俺の頭の中に入り込んでくる。
ハワード:いつも行ってるだろ?
(歌い出す)
     ♪大事なのは中身さ マイ・フレンド 表面じゃないよ、オレンジの中身の方さ 大事なのは中身さ マイ・フレンド 
     外側の皮じゃないよ、中身の方さ だから憂鬱な時は
ヨハネ:♪だれかが真似するからって♪
イエス:
(ヨハネの真似をしてサングラスをかけている)♪すぐに訴えたりすることはない ♪
ゲイリー:♪世の中はどっちにとっても もっとでっかいんだ♪
ハワード:♪大事なのは中身さ マイ・フレンド♪
ヴィンス:♪ジャケットじゃくて 仕立屋が大事♪
ハワード:♪大事なのは中身さ マイ・フレンド♪
月:♪大事なのは月そのもので、クレーターじゃないの♪

ハワード:元気でたか?
ヴィンス:まぁね。ほんの少し、まだマシかな。
ハワード:よかった。あ…
(ランスがまたやってくる)
ハワード:熱くなるなよ。俺みたいにクールに、冷静に、いいな?ハイ、ランス。あんたのオファー、
     考えてみたんだ。がっかりさせて悪いな。
ランス:構わないよ。もう他で調達したから。
(ハロルドは入ってくる)
ハロルド:やぁ。ハロルド・ブーンでございます。レイザー・ビームよろしくの登場でござい。
ハワード:ぶっ飛ばしてうやる!お前なんて俺にはなれないぞ!
ヴィンス:そうだ、みんなにとってのハワードはお前なんかじゃない!
ランス:黙れ、ショボ頭!
ヴィンス:ショボ頭?
ランス:ルート・ブースト知らないのか?
ヴィンス:ルート・ブーストは俺のスポンサーだ!
ハワード:俺達はビッグ目玉と、スモール目玉だ。そっちはどっちもスモール目玉じゃないか。
ハロルド:その極小めえ玉、なんて言うの?中国おメメか?
ハワード:小さいかよ
ハロルド:小さいね。
ハワード:お前の目よりは、二倍は似合ってるね。
ハロルド:証明できるか?
ハワード:小さい比べするか?
ハロルド:望むところだ。
(細目比べを(?)始める)
ハロルド:それがお前の言う小さいってやつか?
ハワード:もっと小さい。もっとやってほしいか?
ハロルド:なるほど。まだ見えてるか?
ハワード:見える。
ハロルド:これ、何本?
(指を2本立てる)
ハワード:3本?
ハロルド:はい、証明終了。
ランス:万事早い者勝ちさ。
ヴィンス:俺の顔は別だ。
ランス:そうか?
ヴィンス:そうさ。ちゃんと今朝、商標登録してある。
ランス:法廷でお顔拝見だな。
ヴィンス:一番顔の良い弁護士を雇うからな。
ランス:誰だ?
ヴィンス:マーカス・ホフマン。
ランス:綴りは?
ヴィンス:H-o-f-f-m-…
(ヴィンス、名前を書きとろうとするランスのペンを投げる)
ハロルド:ヘイヘイ、お静かに。法廷なんてやってらんないさ。明日の夜、おまえらをコテンパンにしてやるよ。
ヴィンス:明日の夜って、どういう意味だよ。
ハロルド:俺たち、ベルベット・オニオンでギグをやるんだ。
ヴィンス:そりゃ、俺達のギグだ!
ランス&ハロルド:変更済み。
ハワード:俺達の全てをマネしようなんて、無理だ。
ハロルド:できるよ。しかも、ずっと良くなる。
ハワード:まじで?
ハロルド:そうさ。
ハワード:本当にできるのか?じゃぁ、これはどうだ?
ハワード&ヴィンス:♪オウ、オウ、 行くぜクネクネ ちっこいクネクネ ツィストアップにダウン 
     パイプ
(管楽器)の音楽に合わせて踊ろう 踊ろう パイプ、パイプの人生 
     アイアイアイア〜 カラマ シャラマ シネマの夜 楽しいな ポップコーンを忘れないでね 
     トニーの紙で出来たお城のやつさ ♪
ランス:ふぅん。好きにやってな。
ハロルド:なんだ、そのたわごと。
ハワード:これがクリンプさ。低次元でやる気も出ないだろ。
ヴィンス:出て行けよ。身の程をよく考えてろ。
ハワード:そうだ、よく勉強してくれたまえ。
ヴィンス:クリンプ初心者!じゃあな!
(ランスとハワード、出ていく)

ヴィンス:信じらんねぇ!
ハロルド:驚いたな。
ヴィンス:厚かましいよな。
ハロルド:バカ二人が。
(ハワード、戻ってくる。入れ替わりにハロルドが出ていく)
ハワード:やっかいだな。
ヴィンス:どうしてやっかいかは分かってるだろ。お前が俺をクリンプに引きずり込むから。
ハワード:ああ、そっか。ごめん。なんて言うのかな。俺が苦難に陥ると、クリンプが出てくるんだ。パニクってたんだな。
ヴィンス:あいつらは、みんなの人気者じゃないんだぞ。どうせ、明日の夜は俺達へのあてつけだけだよ。
ハワード:少なくとも、俺はやり返してやったぜ。
ヴィンス:小さい比べで負けたじゃん。恥を知れよ。
ハワード:そうか?
ヴィンス:お前のその小さい目の事だ。整形手術した方が良くないか?
ハワード:とにかく、俺はやり返した。ツヤ不足の紙で突っ立ったりしてないからな。
ヴィンス:どういう意味だ?
ハワード:ランスを見たか?
ヴィンス:見た。
ハワード:あの、どでかい、ライオンみたいなたてがみ。お前なんか、前髪の生えたマスみたいだ。
(ナブーとボロが降りてくる)
ナブー:なにごと?店を駄目にする気?
ヴィンス:ランス・ディオーが悪いんだよ。
ハワード:それから、ハロルド・ブーンも。
ナブー:ああ、この二人。
(ランスとハロルドが表紙になっているチークボーンを見せる)
ボロ:格好良いね。
ヴィンス:俺達のまねだ!
ハワード:あいつら、俺達からパクったんだ。
ナブー:本物のオリジナルが、最後に勝利を収めるんだ。それを乗り越えなきゃ。
(歌い出す)
     ♪大事なのは中身さ マイ・フレンド♪
ボロ:♪皮じゃないよ、バナナの中身さ♪
ハワード:それ、もう俺がやった。
ナブー:落ち着けよ。ナブーの示唆に満ちたお話を聞きなよ。カササギとクジャクの話をしてあげるよ。

(アニメーション開始)
ナブー:昔々、クジャクとカササギが居た。
カササギ:着陸!
ナブー:クジャクは美しい羽根を持っていた。すごく目立って、蛍光灯みたいだった。
     カササギは嫉妬していた。どうしても白黒でいなきゃならなかったから。
     ある日、クジャクが眠り込んでいた。そこで、カササギはバリカンでクジャクの羽根を沿ってしまった。
     そして、その羽根をカササギはプリット糊で自分の体にペタペタ貼り付けた。
     クジャクは目が覚めると、寒風の中ブザマな格好でいることに気づいた。
クジャク:ああ、ぼくの素敵なコードはどこに?!
ナブー:カササギは新しい羽根を着て、町へ引っ越した。そして、すぐにカムデンの人気者になった。
カササギ:やぁ、お嬢さんたち。どうだい?俺ってば、カラフル・セックス・マシーンだぜ。
ナブー:モデルのガール・フレンドをガット。それから、スポーツカー、それから自分のトーク番組(カササギのお時間)。
     クジャクがテレビを見たら、カササギはカーク・ダグラスにインタビューしていた。
カササギ:やぁ、ダグラス。
(相手はどうみてもナン)
ナブー:クジャクはすっかり憂鬱になってしまった。滑稽だね。
     それでも、彼は一生懸命働き、そのうち自分の番組を持てるようになった。
     でも、そいつは深夜のデジタルチャンネルで、全然視聴率が取れなかった。ク
     ジャクはもう何もできない、そして銃で自殺して、ダンカン・グッドヒューの背中おっこちた。
     この事件は、新聞の一面になった。こうして、クジャクは世界中で有名になった。カササギよりもね。
(アニメ終了)

ハワード:つまり、俺達も自殺するって言うのか?
ナブー:あんただけだよ。ねぇ、「カササギのお時間」、覚えてる?
ハワード:いいや。
ナブー:だろうね。でも「クジャクの夢」は知ってるだろ?
ハワード:聞いたこともない。
ナブー:ぼくの惑星では有名だけどな。どいうテーマ曲だったっけ、ボロ?
ナブー&ボロ:♪ダッダッダ〜 クジャクの夢♪
ナブー:行こうぜ、ボックス・セットをゲットしよう。
(ナブーとボロ、二階に上がる)
ハワード:ご苦労さん。
ナブー&ボロ:♪クジャクの夢♪
ヴィンス:どうする?俺達のギグ。
ハワード:おまえ、ベルベット・オニオンに顔が利くだろ。
ヴィンス:まぁね。
ハワード:話をつけてみろよ。
ヴィンス:そうだな、誰がイケてるかって事だよな。俺たちか、あの間抜けどもか。
ハワード:よし、頼むぞ。
ヴィンス:まかしとけ。
(ヴィンス、出ていく)
ハワード:そう来なくちゃ。
ゲイリー:
(戸棚の中から)♪ドゥッドゥッドゥ〜 クジャクの夢♪
ハワード:ゲイリー、黙れ!


 ベルベット・オニオンのオフィス

(ホール&オーツの ”I can’t go for that” に合わせて、フォッシルが踊っている)
音楽♪いいよ、大丈夫 時間がない どこでやめる? どこでぼくを放り出して、線を引く?
     カラダを手に入れたら、魂が欲しい そんなことは考えないことだ お断り 
     そうさ君が望むならなんでもする でもそれだから無理なのさ♪
フォッシル:
(ラジカセを止めて、電話に向かい)そのようなわけで、無理です。
     やぁ、ヴィンス。何をしてほしいの?Grab some plastic.
(意味不明)
ヴィンス:なぁ、フォッシル。明日の夜、俺達がここでギグをすることになっていたよな。
     ところが今日、がランス・ディオールが俺を出し抜いたんだ。俺はいままで、あんたに良くしてやったよな。
     金もどっさり都合してやったし。
フォッシル:ああ、ヴィンス。ぼくの可愛いスウィートでないーヴで可愛い王子様ぼうや。
     こっちはビジネスなんだ。数がどうこうじゃない。説明させてくれ。
     この数字、2。オーケー?こいつがコーヒー・ショップをやってるわけ。
     こっちはナンバー9。これはお客さんね。
     ある日、9がやってきて、2はこう言う。「もう、コーヒーはありません。ナイフ格闘教室になったから。
     そしたら9が、「コーヒーが欲しいんだ!」
     そしたら2が、「むり!おまえを切り刻んで、切り刻み方練習にしちゃうぞ!」
     そしたら9が、「なんだと!出てってやる!」そしたら2が、「もうかぎを掛けてある!」
ヴィンス:何が言いたいの?
フォッシル:ご希望にはそえないってこと。
ヴィンス:そんなバカな。電話借りても良い?
フォッシル:いいよ。
(携帯を渡す)
ヴィンス:
(電話をかける)ハイ、フォッシル夫人?
フォッシル:ヴィンス!ヴィンス、ダメだってば!ヴィンス、ママはボクがベトナムで捕虜になってると思っているんだから!
ヴィンス:どうする?
フォッシル:スケジュールを都合してあげるよ。それが一番。ほかは無理。向こうの約束を反故にはできないよ。
ヴィンス:サンキュー、フォッシル。あんたならやってくれると思ったよ。
(携帯を返して出ていく)
フォッシル:
(ひとしきりべトナム語の真似を叫ぶ)敵襲!(銃撃の音真似をする)俺を突っつくな!
     
(携帯電話に向かって)ハロー、ママ?ああ、元気だよ。ドニーは荷物受け取った?
     分かってるよ、棒の束でしょ?でもほかに良いものがないんだもん。
(最後に、ベトナム語マネで一声)


 ナブティーク

(ハワードとヴィンスが、「未来派セイラー」の練習をしている)
ハワード&ヴィンス:♪俺達 未来派セイラー エレクトロニック難破船 
     デジタル密航者 老練な船乗りはサイボーグ あんたの夢はなんだい 未来派セイラー オーイェー!♪
(ハロルドとランスがやってくる)
ハワード:何の用だ?「閉店」って書いてあるだろ。
ヴィンス:次はどんな服か、スパイしに来たのか?
ハワード:あっちいって下さいません?
ランス:今夜、あんたらが俺達の前座だって聞いたぜ。
ハロルド:その船乗りの戯言はやらないでくれるよな。まったく、トンチンカンでございますよ。
ハワード:何が「ございますよ」だ、最後にくっつけてございますかよ。
ハロルド:ああ、そうでございますか?
ハワード:ええ、そうでございますよ。
ハロルド:で、ございましょうねぇ。
ハワード:ございませんですよ。
ハロルド:そうでございますよ。
ハワード:やり過ぎでございますよ。
ヴィンス:やめろ。「トンチンカン」ってどういう意味だよ。
ハロルド:惑星「何が起こってるか分かりません」に住んでたことある?
ヴィンス:いいや。ここの上に住んでるから。
ハロルド:そりゃけっこう。よし、いいこと教えてやる。未来派は死んだ。今やレトロだ。
ランス:みんな、過去を振り返っているんだ。テレビ見てみろよ。
(???)
ヴィンス:本当?どれくらい前?70年代?60年代?
ハワード:50年代?
ヴィンス:アホぬかせ、ハワード。
ランス:自分でtきとめろよ。トレンドを作ってきたんだろ?
ハロルド:とにかく、今夜会おうな。俺達はもっとマシなことをするよ。
     ゴミばかりの店に突っ立って、合成樹脂のアホどもに囲まれているよりはマシなことをな。
     こっちはBBCでパイロット版の番組をつくるんだ。午前2時には放映かな。
ハワード&ヴィンス:それは俺達の割り当てだぞ!
ハロルド&ランス:手遅れ。
(ハロルドとランス、店から出ていく)

ハワード:なぁ、あんなやつら気にするな。集中。あいつらを防がなきゃ。
ヴィンス:そうだな、あいつら俺達が何者か分かってない。
ハワード:俺達は自分が分かっている。俺らこそ、未来への先頭を切るセイラーなんだ。
ヴィンス:そうだな。あいつらは、俺達には敵わないよ。俺達はちゃんと未来へのコンパスを持っているんだ。
ハワード:あいつらはただの明かりさ。
ヴィンス:そうだ!
(再び、「未来派セイラー」を練習し始める)
ヴィンス:♪ロボット ヒトデ…♪
ハワード:♪サイロン提督♪
ヴィンス:♪電子回路の海…♪あー、なんだろう。いまいちのれないよ、ハワード。
ハワード:そうだな。分かるよ。なんていうか…馬鹿みたい。
ヴィンス:どうしよう?何か革新的なことが必要だよ。
ハワード:お前、新しいファッションの名人なんだろ?何か出してみろよ。
ヴィンス:よく考えないと。
ハワード:考える前に、行動だ。
ヴィンス:本当?
ハワード:ああ。
ヴィンス:そうだな。よし、まだまだやれるぞ。いくつか披露してやる。
     
(衝立に隠れて着替え、また出てくる)どう?ヴードゥー・テニス・プレイヤー。
ハワード:ああ…そうね…
ヴィンス:わかったよ、こっちが先だったな。(再び着替え)第二次世界大戦風性転換。
ハワード:かなりイっちゃってるな、ヴィンス。
ヴィンス:
(また着替え)よし、ボリウッド、交通標識(ロリポップ)マン。人呼んで、ボリポップ・マン!(背後から手が生える)
ハワード:だめ。
ヴィンス:ああ、まじかよ。
(ヴィンスの背後に居たスタッフが引き揚げていく)
ヴィンス:ごくろうさん。みんな、ランス・ディオールのせいだ。
     俺はファッション感覚のかたまりだったのに、あいつが俺の自信を打ち砕きやがった。
     どうすりゃ良いんだよ、ハワード。
ハワード:おちつけよ。理論的に行こう、オーケー?もし、過去にカギがあるのなら、俺がさらにそれを乗り越えなきゃ。
ヴィンス:お前が?
ハワード:俺は過去からの男なのさ。
ヴィンス:みんなそうだろ。
ハワード:俺ほどじゃない。俺にいい考えがある。
ヴィンス:本当?
ハワード:レトロ主義は、すべて過去を振り返ることだ。俺達が、他の誰よりもずっと過去に目をやるとしたら?


 ベルベット・オニオン

(ハワードとヴィンス、中世風の衣装で中世風の音楽を披露中)
ハワード&ヴィンス:♪そいつを持ってきて すぐにつぶして ぼくらは過去を探し求め 過去へとさかのぼる 
             時をかけぬけ過去へと向かう レトロで筋の通った結末へ♪
(観客、全員あきれている)
ハワード:みんな、学校で筆箱をもってた?
ヴィンス:よせ。
ハワード:俺は持ってた。その筆箱、隣のせきのやつのとそっくりだったんだ。それで勘違いして…
(観客から大ブーイングと共に、物が投げられる。ハワードとヴィンス、退場。バルコニーから、フォッシル登場)
フォッシル:ブーシュのもくろみは外れたようです。しかし、今、救世主となるべき彼らの登場です!ザ・フライティ・ズース!
(「未来派セイラー」をプレイする、ハロルドとランス登場。観客たち、大盛り上がり。ハワードとヴィンス、呆れて出ていく)


 ナブティック

(ヴィンス、スーツを着て現れる)
ハワード:すいません、まだ開店していません。
ヴィンス:俺だよ、ヴィンスだ。
(ハワード、ぶっ倒れる)
ハワード:
(起き上がりながら)ヴィンス、脅かすなよ。一体、どうしたんだ?
ヴィンス:夕べ、屈辱的だったろう。
ハワード:それで?
ヴィンス:ショアディッチを出ようと思って。ランビローズでマネージャーの仕事をもらったから。お前も入れてもらえるよ。
ハワード:おいおい、これはごく稀な挫折だよ。な?
ヴィンス:稀な挫折?あいつら、俺達を破壊したも同然だ。
ハワード:パニくるな。今夜、またギグがあるだろ。だから、また馬にまたがって挑まなきゃ…
ヴィンス:あいつらは、全てにおいて俺達を凌駕してるんだ。あいつらには勝てないよ。
ハワード:ヴィンス、あきらめるなよ。お前らしくもない。考えられないよ。
     俺達がやるべきことは、俺達にしかできなくて、他の誰もやったことのない物だ。
ヴィンス:つまり、肌着とパンツだけで走り回ってサツマ(ミカン)を投げ合うとか?
ハワード:ステージじゃ意味ないだろ。ほかの何かさ。
ヴィンス:ハワード、もうおしまいだよ。
ハワード:いったい、どうしたんだよ。
ヴィンス:俺の友達みんな、夕べ見てたんだぞ。みんなチャラい連中さ。俺は今すぐ、ああいうのからは抜ける。
ハワード:それがお前の問題だ。チャラいのはお前の友達だろ。お前に必要なのは、本当の友達だよ、
     俺の親友みたいな。そうだろう?ほら、レスター・コーンクレイクみたいにさ。
(レスターがやってくる)
ハワード:やぁ、レスター。元気か?
(レスター、ハワードに唾を吐きかける)
レスター:この恥知らず!お前なんて、緯度とストーク・ニューウィントン・ジャズ・クラブに来るな。
(出ていく)
ヴィンス:ランビローズに行く?
ハワード:そうだな。
(上着を着始める)
ヴィンス:
(店を見まわす)ここが懐かしくなるだろうな。
ハワード:そうだな。
ヴィンス:クレイジーな時を過ごしたもんだ。
ハワード:ジグゾー・パズルをやった時のこと、覚えているか?
ハワード&ヴィンス:♪パズル・ピース パイのピース お空に消えたピースを探せ 
     間違ったところに入れて クマの顔もぐちゃぐちゃ カナダの風景にはおかしな顔のクマ 
     ガルルルル〜 ジグソーのお時間です♪
ヴィンス:まてよ、ヴィンス。これだよ。
ハワード:なに?
ヴィンス:行って、おかしな歌を聞かせてやるんだ。
ハワード:クリンプを?
ヴィンス:そうさ、いいだろ?
ハワード:ちょっとおかしくないか。
ヴィンス:どうして?
ハワード:誰も今までやったことないぞ。
ヴィンス:そうだろ。だから、こいつは凄いんだ。
ハワード:そうかな。
ヴィンス:ある時点までは、だれもジャズをやっていなかったんだぜ。
ハワード:確かに。
ヴィンス:な?レニー・クラヴィッツが最初にステージに上がって、コードをいくつか弾いたとき、
     観客はみんなこいつ、イカれてると思ったに違いないよ。
ハワード:それはともかく、お前が言いたい事はわかった。とにかく、クリンプをやるんだな。
ヴィンス:そうさ、同時にさ。
ハワード:同時にクリンプか!ちょうど考えてたところだ。
ヴィンス:そうさ、行こうぜ!
ハワード:よし!よし、俺達クリンパー!


 ベルベット・オニオン

(ハワードとヴィンスが、ナブー,ボロをつれて入ってくると、ハロルドとランスがクリンプをやっている。観客は大受け)
観客1:これって何だ?
観客2:クリンプ!
観客3:凄い新しい!
観客4:あたしもクリンプやりたい!
観客5:新しいジャンルの発明だ!
ヴィンス:ぶっ殺してやる!
ハワード:これってジョークか?
ハロルド:相棒たちの存在なしに、俺達はクリンプを発明することはできませんでした。
     どうぞ、お迎えください、カヌーと、アンブロロです。
(ナブーもどきと、ボロもどきが現れる)
ナブー:なんだあの野郎!あいつ、ターバンがひん曲がってる!
ハワード:落ち着け、ハワード。クジャクの夢を思い出せ。クジャクなんてくそくらえだ!これは戦争だ!
(ボロが雄たけびをあげると、観客たちが振り返る)
ハワード:こいつは滑稽だな!
ランス:おやおや、ピカピカ詐欺師のお出ましだ!
ヴィンス:俺達はも何年もクリンプやってるんだぞ!
     夜中に、俺達の部屋で、誰もみてなかったけど、とにかく俺達はやってたんだ!
ハワード:俺達がクリンプを始めたんだ。そしてクリンプ学を学んだんだ。
ヴィンス:それはこいつだけで、俺はファッションの勉強を、セント・マーティンでやってたんだ。とにかく、お前ら許さないぞ!
ハワード:お前らなんて、やっつけてやる。俺たちこそ、クリンプの創造者だ。
観客:証明してみろ!信じないぞ!
ヴィンス:証明してやる。おバカ・クリンプをな!
ランス:おりこうクリンプをやってやる!
ハワード:こっちは来週のおたのしみクリンプだ!
ランス:80年代じぇ逆戻りクリンプだ!
ハワード:クリンプ・ポンプで吹っ飛ばしてやる!
ハロルド:大きく出たな。無謀じゃないか。
ハワード:無謀かもな。
ハロルド:無謀か。
ハワード:う…うん。
ハロルド:なるほど。
フォッシル:
(バルコニーから)こりゃ大変だ!さぁ、皆さん!連中のクリンプを見てみようじゃありませんか!

(観客が大盛り上がりの中、ズースとブーシュが交互にクリンプ対決を行う。どうやらズースが優勢)
ハワード:まいったな。俺達はやり尽くしちゃった。
ヴィンス:予想外だよ。もう敵わない。
ナブー:まだ、手はあるよ。4人クリンプだ。
ハワード:いや、そんなの不可能だ。
ナブー:無理だよ。
ボロ:できるさ。
ナブー:四人が心を一つにすれば。
(ハワード、ヴィンス、ナブー、ボロが同時に振りつきでクリンプを歌うと、観客呆然。大喝采にて、ブーシュの勝ち)


 ナブティック

(ハワードとヴィンスが、上機嫌で自分たちが表紙になっているチークボーンを読んでいる)
ヴィンス;やったね。俺達、キング・オブ・クリンプだぜ。
ハワード:そうだな。
ヴィンス:ゴールに到達だ。。
ハワード:クリンプのゴールってどこだ?
ヴィンス:どこでもない?
ハワード:うん。どこだろ。
ヴィンス:さぁ。
ハワード:どこでもないな。とにかく。さてと、店を開けるか。
ヴィンス:うん。


 月夜の空

偽月:ええと、このお話の教訓はですね…
月:ここで何やってんだよ。俺の振りして宇宙に居座るなんて、ダメだぞ。
偽月:時代は変わったんだ。俺が新しい月。お前なんて、月食で影にしてやる!
月:そうかい。じゃぁ、ぼくの友達に会わせてやるよ。木星!木星くーん!助けてくれ!
(木星登場)
木星:俺が木製だ!このペテン師なんて、むっしゃむしゃ食べてやる!
(偽月を食べてしまう)
月:ははは〜、キットカットみたいに食べられちゃいましたね〜。ははは。
  ぼくがお月さまです。オリジナルお月さまね。じゃぁね。

(エンディング:肌着とパンツだけでハワードとヴィンスがサツマの投げ合い)



(終)
 
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