back next list random home back next list random home back next list random home

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

アヤシゲ翻訳 テレビシリーズ3 エピソード1 / ウナギ Eels


 ナブティック

(ハワードが、ナブティックのシャッターの落書きを消している。店内にはくつろぐヴィンス。ハワード、憮然としながら、店に入る。)
ヴィンス:どうかしたか?
ハワード:シャッターの卑猥語を消すのに、4時間もかかったんだぞ。
ヴィンス:卑猥語って?
ハワード:あの落書きだよ。毎日俺が消しているのに、毎日また書かれる。なんて手の混んだ侮辱だ。
ヴィンス:無視しろよ。ただのガキのいたずらだろ。書き足してやるとかすれば良いじゃん。
ハワード:書き足す?「ハワード・ムーン、有料にてタマを舐めて差し上げます」にか?
ヴィンス:そう書かれてるの?
ハワード:そう。
ヴィンス:すげぇ笑える。
ハワード:何が笑えるんだよ。
ヴィンス:お前がそんなことするとはな。
ハワード:しない。
ヴィンス:そう書いてあるんだろ。
ハワード:落書きだからな。
ヴィンス:火の無い所に煙は立たないぜ。
ハワード:そうか?発煙機はどうなんだよ。
ヴィンス:あれは煙じゃなくて、ドライアイスだ。おまえ、やりそうな目をしてるし。
ハワード:なんだって?
ヴィンス:自分で見てみろよ。おまえ、いかにもタマを盛んに舐めそうな感じだぞ。
(ナブーとボロ登場)
ナブー:じゃぁ、行ってくるよ。
ヴィンス:どこ行くんだっけ?
ボロ:野郎慰安旅行だ。凄い事になるぞ。
ナブー:ここの留守番、大丈夫?
ハワード:大丈夫、心配するな。ちゃんとヴィンスのことは見張っているから。な、そうだろ?
ナブー:心配なのはヴィンスじゃないよ。
ハワード:え?
ナブー:いい店員だもの。
ハワード:どこが。バカすれすれじゃん。見ろよ。
(ヴィンス、ミニカーで遊んでいる。)
ヴィンス:んー?
ハワード:ミニカーで遊んでるような奴だぞ。
ナブー:一日でミニカーを売っちゃうだろうさ。ほら、可愛いし、カリスマ性もあるし…
ハワード:俺だって。
ナブー:目も大きい。きみはずうたいはでかいけど、目は小さい。ぞっとする組合わせだね。
     それから、変態的副業に手を出すなら、お店の広告には載せないでくれる?
ハワード:あれは俺じゃない。落書きアーチストどもだ。
ボロ:火の無い所に煙は立たぬ。
ハワード:なんだよ、発煙機はどうなんだよ。
ボロ:ドライアイス。

(店の前に、シャーマンたちがのった空飛ぶ絨毯が待っている。)
トニー:急げよ、ナブー。このノロマ!
ナブー:分かったよ。
トニー:早くよじ登れよ、お猿野郎。大事な飲みの時間がなくなっちゃうだろ。
ボロ:もう何倍飲んだんだ?さっさと始めてるんだろう?
トニー:朝食にまず一杯。ゴールデン・グラハムにシャンパンかけてやった。ゴキゲンだぞー!
デニス:ペースを考えろ、ハリスン。これは私主催の旅行だからな。行くぞ。
トニー:イェー!

(店内で鏡を覗き込むハワードとヴィンス)
ハワード:俺の目のどこが悪いんだ?
ヴィンス:べつに。ただ、人間っぽい目じゃないってだけ。雄鶏の目を、人間の顔にはめこんだみたい。
ハワード:小さいのは認める。でも、パワフルだろ。
ヴィンス:サイズの問題じゃないよ。すっ飛んでるってだけさ。この十年で、おまえ俺にアイコンタクトもしないじゃん。
ハワード:それが俺のスタイルなの。片目は外側にキープしてるんだ。
     あの影は何者だ?だれが俺の背後から忍び寄っているんだ?…みたいな時のためにな。
ヴィンス:しょーもないセールスマンなだけだろ。
ハワード:俺は優秀な店員だぞ、どうも。
ヴィンス:バカ言え。この店が開いてこのかた、お前が何か一つでも売ったこともないじゃないか。
ハワード:状況は変わったのだ。
ヴィンス:まじで?
ハワード:俺の売り口上を聴けよ。おまえ、お客さん役な。
(ハワードとヴィンス、カウンターに移動する)
ヴィンス:どんなお客さん?
ハワード:どんなでも。
ヴィンス:よし、じゃぁ俺、ネヴィル・バムシュートな。
ハワード:ネヴィル・バムシュート。オーケー。ハイ、ネヴィル。
ネヴィル:ヘイ。
ハワード:奥さん、元気?
ヴィンス:ちょっとその…
ハワード:おやまぁ。良いジャケットだね。
ヴィンス:良いだろ?
ハワード:でも、ちょっと肘がすり切れてるな。捨てなきゃだめだって、思っているんだろう?
     おっと待った!俺に良い考えがある。
ヴィンス:まさか。
(ハワード、商品見本を取り出す。)
ハワード:ハワード・ムーンの、エリート肘あてセレクション。
     ご覧下さい、この深く、味わいのあるマフィンのようなものから、毛羽立った素材のもの、
     そして魅力的なナツメグ色まで。
ヴィンス:言いたい事は分かるけど、そういのはどんな店でも買えるな。
ハワード:なるほど。私と同じで、肘あて目利きですな。では、こちらを。「カメレオン肘あて」と呼んでおります。
(ハワード、箱を開けて見せる)
ヴィンス:どこにある?
ハワード:それです。ほら、ここに。この肘あては環境に合うように色を買えるのです。
ヴィンス:ワァオ!
ハワード:見てみよう。
ヴィンス:どのくらいかかるの?
ハワード:2時間くらいかな。
ヴィンス:なるほど。つまり、肘あてが周りの色みたいになるわけね。
ハワード:その通り。
ヴィンス:で、なんの役にたつわけ?
ハワード:オーケー。会わなかったようだな。でも、最後のこいつはどうだ。「サバイバル肘あて」だ。
ヴィンス:興味あるね。
ハワード:想像して見ろ。お前は、大自然のまっただなかに居るとする。
ヴィンス:ショアディッチを離れたことが無いんだけど。
ハワード:ホクストン・スクェアに行って、ドラゴン・バーの裏の駐車場に行くんだよ。
ヴィンス:あのあたりは最低だ。テレビ番組の「クライムウォッチ」みたいなところだ。
ハワード:寒くて、おおかなくて、暗くて、お前はサマージャケットしか着ていない。
ヴィンス:何色?
ハワード:ブラウン。
ヴィンス:そりゃないよ。
ハワード:キラキラ縁取りつき紫。
ヴィンス:オーケー。
ハワード:寒いんだ。さぁ、どうする?
ヴィンス:リロイの所に行く。反対側に住んでるから。
ハワード:リロイは居ない。
ヴィンス:どこ行った?
ハワード:スキーに行った。
ヴィンス:なんで声を掛けられなかったんだろう。スキーが好きなのは、俺の方だぞ。
ハワード:一人で行きたかったんだよ。
ヴィンス:そんなやついないだろ。
ハワード:一人でスキーに行くのが使命なんだ。
ヴィンス:なんで?
ハワード:スパイだから。
ヴィンス:コピー・センターで働いてるじゃん。
ハワード:それは見せかけで、本当はスパイなんだ。
ヴィンス:ひでぇな。あいつに電話してくる。
ハワード:どうでも良いだろ。おまえは一人っきりなんだ、いいな?寒いんだ。火を焚くには、何が必要だ?
ヴィンス:どうすりゃ良いわけ?
ハワード:このサバイバル肘あてを役立てるんだ。いいか、こいつには火打石が繊維の中に織り込まれているんだ。
     量肘を使って、ちょっと焚き付けてみれば…(肘を越すり合わせ始める)…
     数時間後には、自分で火を起こせる。な?火が吹き出るって寸法。
ヴィンス:おまえ、イカれてる?
ハワード:仕事だ!お前なんて、俺の商売相手じゃないからな。
ヴィンス:誰がお前の商売相手なんだよ。キリギリスか?
ハワード:じゃぁ、お前は何をやるんだよ。ひとの事笑ってばかりいて。テーブルになにか出して見ろよ。
ヴィンス:よっしゃ、こいつを見ろよ。いいか、セレブリティ・レーダー!略して、「セレブレーダー」。
     リロイなんて、スキーに行く前にこれで大儲けしたんだ。
ハワード:何をするものだ?
ヴィンス:ポップスターたちに、鳩みたいな足輪をつけてある。連中に忍び寄って、足首につけるんだ。
     本人たちは、気づいてない。たとえば、ザ・ホラーズのギタリストがどこに居るか知りたいとするだろ。
     ジョシュア・ヴォン・グリム
(入力する)。レーダー、オン。(レーダーが作動し、ディスプレイされる)
     
ベスナル・グリーン・セメタリー(墓場)に、ピクニックに行ってる。すごいだろ!
ハワード:なんで俺がこいつの行方を知りたがるんだ?
ヴィンス:お前じゃないよ、クールな連中が知りたがるのさ。15歳のギャルとか、トレンディな人とか、訳知りな連中さ。
ハワード:稼げるのか?
ヴィンス:もちろん。もう400人以上のポップスターに足輪をつけてある。成功間違いなし。
ハワード俺の肘あての方が金になる。
ヴィンス:現実を見ろ。
ハワード:賭けるか?
ヴィンス:いくら?
ハワード:5ユーロ。
ヴィンス:乗ったよ、キリギリス。
ハワード:乗った。
ヴィンス:お手並み拝見。
ハワード:売り上げ競争開始!

(ハワードは閑古鳥。ヴィンスのカウンターには、若者たちが列を作っている)
ヴィンス:お次の方!
女の子:ザ・クラクソンズのリード・シンガーはどこにるか教えてくれる?
ヴィンス:どうやら、マークス&スペンサーの父親むけ売り場で、ジャケットを買ってるみたいだな。
女の子:やったぁ!ありがとう!


 空飛ぶカーペット

シャーマンたち:♪俺たちゃスーパー・マジック・メン 朝の5時までねばるぞ シャーマンの掟はあるけど 泊りの旅行だ♪
ナブー:ボロ、なんだかパ二クってきちゃった。お店が無事では済まないんじゃないかな?
ボロ:済まないだろうね。
ナブー:あの二人、問題起こしてるかな?
ボロ:だろうね。
ナブー:どうしよう?
ボロ:これ飲んで。
(ビールを差し出す)
デニス:静かにしたまえ!内なる波動が聞き取れないじゃないか。どうやら道を間違えたようだぞ。
トニー:ああ、この役立たず!
デニス:だれか他の人が運転した方が良いかも。
トニー:無理!このあり様だもん!
サブー:だろうな。運転できたとしても、足がペダルに届かないだろ。
トニー:なんだとぉ?俺は大型免許持ってるんだぞ。俺より下半身の長いヤツなんて居ないじゃないか。
サブー:黙ってろ、このピンク・ウェハース!カークに運転させようぜ。
デニス:カークは駄目だ。こいつは名うての突撃弾丸野郎だからな。
サブー:カーク。お前が自動車社会の脅威で、おまえんちの通路をつぶしちまったってのは本当か?
カーク:いかにも。
トニー:とめてくれない?おしっこ行きたい。
デニス:サービス・ステーションについたらな。
トニー:わかってるけど、べつにいいじゃん。俺は機械じゃないんだぜ。膀胱が弱いんだ。
サブー:全身が膀胱だろうが。
トニー:俺のせいじゃないよ。尿瓶にとどかないんだもん。おまえが連れてってくれれば、被害は防げるよ。
デニス:悪いが、小便のために止まることは出来ない。
サブー:そいつは聞いてないな。
トニー:ありえねぇ〜
(シャーマンたち、ふたたび歌い始める)


 夜空に月登場

月:ぼく、木星くん大好き。いい人だよね。ある日、あの人あの輪っかをドライ・クリーニングに出したの。
  そしたら縮んじゃって。どの輪っかも縮んじゃったから、あの頭にキツキツでさ。
  まるでビョルン・ボルグみたいだったよ!


 ナブティック

ヴィンス:OK、誰を探すの?
(暇そうなハワード、ヴィンスの客の中に、ジャケットを着た男性客に目をつける。)
ハワード:ちょっと!あんた!
(男性客、ハワードのカウンターの前に来る)やぁ、良いジャケットだね。
     じつに良い。ひじあてがあると、もっと良くなるよ。そうだな、きみぐらいの身長で肌色なら、
     しっかりした小鹿色か、ナツメグがお勧めだよ。
ヴィンス:お前なにやってんだよ。横取り禁止!。
ハワード:売り口上妨害禁止!
ヴィンス:こっちはイケてるグループなんだ。お前なんかにそのグロいコーディロイのシロモノで、
     うちのお客をイカれさせないからな。
(男性客に)ごめんね。
男性客:(ヴィンスのカウンターに戻って)ヴィンス、なんだってあいつ、俺とヤリたそうな顔で見るわけ?
ヴィンス:ありゃ、アイコンタクトの練習してるだけだから。無視したって。おい、ハワード、あちらが、お前のお客さんだぜ。
(店内に、エレノアが入ってくる)
エレノア:ヘェェェェェェェェ〜〜ロォウ〜…ヘロー!
ハワード:ハロー。ハワード・ムーンです。
エレノア:あたし、エレノア。
ハワード:エレノア。素敵な名前ですね。素敵な女性にふさわしい。お、素敵なジャケット。
     肘あてを使えば、10倍良くなりますよ。
エレノア:お上手な売り口上ね。
ハワード:どうも。
エレノア:あなた、その体は本物?
ハワード:え、あ、ええ。あの…お宅の旦那さんも興味をお持ちでは?
エレノア:夫は死んだわ。
ハワード:お気の毒に。
エレノア:どんな肘あてを、傷心にはあててくれるわけ?
ハワード:じゃぁ、ゴアテックスなんてどうでしょう。ナイロンとかその手の織物です。
エレノア:あたしが言いたいのは、あなたを夕べ食べた牛肉みたいに、平らげちゃいたいってことよ。
ハワード:あの。ここはそういう所じゃないんで。
エレノア:恥ずかしがらないでよ、カウボーイ。あの広告の話なんだから。
ハワード:あ、あれ。
(ヴィンスがあざ笑う)誤解ですOK?あれは広告じゃなくて、落書きです。悪趣味芸術ですな。
エレノア:あたしら、ゲームを楽しむには大人すぎるかしら。
ハワード:ゲーム?大人過ぎって、どういう意味です?
エレノア:いいじゃない、ラブ・モンキー!もう興味津津なんでしょ?
ハワード:状況がよくわかりません。
エレノア:あたしは愛し合うことが一番大事なオンナなのよ!
ハワード:まだ誤解しているようだけど、俺はそういうんじゃありません。
エレノア:いくらでも構いやしないわ!
ハワード:知りません。その思い込み、どうにかなりません?そんじゃ。
エレノア:これ、あたしの名刺ね。気が変わったら、使ってね。きっと、変わるでしょ。バイ。
(エレノアが立ち去ると、ヴィンスがあざ笑っている)
ハワード:
(ヴィンスの客たちに)はい、みなさん出て行ってください。
ヴィンス:なんだよ!なんで追い出すんだよ?!おーい?!
ハワード:5時半だぞ、ヴィンス。閉店時間だ。
ヴィンス:俺がどのくら稼いだか、知りたいだろ。
ハワード:かなりなんだろ。いくらだ?
ヴィンス:3000ユーロ稼いだ。
ハワード:3000ユーロ?
ヴィンス:じゃ、またあとでな。
ハワード:どこ行くんだ?
ヴィンス:(NMEの表紙を見せる)こいつに足輪をつけに行くんだ。
ハワード:誰だ、この高そうな機械人形。
ヴィンス:ピート・ネオン。ネオン・ニードレスのリード・シンガーだよ。
     きょう来た人、来た人、みんなこいつの居場所を訊くんだよ。こいつに足輪つけられなきゃ、殺されちゃうからな。
ハワード:今から行くのか?
ヴィンス:ああ、夜行性だから。体が一部がフラミンゴなの。
ハワード:店の棚卸はどうすんだよ?
ヴィンス:そりゃ、手伝いたいけど。リロイが教えてくれたんだよ。
     ピート・ネオンはトップ・ショップのあたりで目撃されているらしいから、行かないと。
ハワード:お前にとっちゃ、良い日だったな、ヴィンス。でも、小売業ってのは、長い目が大事だ。
     お前はこの戦闘では勝利しても、戦争全体には、勝ってないんだ。
(ハワードがシャッターを閉めると、「ハワード・ムーン。変わり損ねたあなたのために下半身提供します」と落書きしてある)
ヴィンス:どうやら、おまえの広告、メニューが増えたみたいだな。
ハワード:誰だ?!出て来い!どこに居る?!とっつかまえてやる!全然面白くないぞ!いいか、神様が見てるからな!
(雷雨になる)


 ナブティック


(何者かが嵐の中、ナブティックにやって来る)

ハワード:今日はもう閉店です。看板をひっくり返し損ねたんだ。失礼。あの、閉店ですってば。
(ハワードが振り返ると、入口にヒッチャーが立っている)
ヒッチャー:おや、これはこれは。ここはなんだ?あんたは何者だ?
ハワード:店員ですけど。
ヒッチャー:ほう、そうかい。それで、何を売ってるんだ?
ハワード:あの、ほら、いろいろですよ。こまごまとした、骨董品とか。中古品とか、言うなればつまらない物です。
ヒッチャー:
(ひじ当てを取り出して)この布の丸い物はなんだ?何に使う?
ハワード:べつにどうというわけじゃ。つぎあてです。良いもんですよ、火打石が織り込んである。
     サバイバル・肘あてって言って、擦れに強く、雨にも強く、弾丸にも強いんです。
ヒッチャー:弾丸もはね返すと言ったか?
ハワード:さぁ、どうでしょう。
(ヒッチャー、サバイバル・肘あてを胸ポケットにしまう)
ハワード:あの。19ユーロです。
ヒッチャー:お前にくれてやる金はないぞ。それとも、
(この後の脅し文句が、意味不明。If you don’t like tha5 transaction I jab you in the gums with me screwdriver?)
ハワード:それで結構です。
(この翻訳も自身無し)
ヒッチャー:ここいらはガラが悪いな。いろいろなロクでもないもの、連中、変人たち…
ハワード:いつだって、御近所にはいろいろ問題があるもんでしょう。
     でも、そこいらじゅうでああだ、こうだと、再開発の計画とかがあって、
     自分たちでオーガニック・スーパーを作ろうともしてるんです。
(ヒッチャー、ハワードの顔面に向かって勢い良く放尿し始める)
ヒッチャー:楽しかったか?コックニー小便顔面攻撃はどう?最悪か?どうだ?まぁ、心配するな。
     二度はやらんから。俺がお前を守ってやるよ。お前を愛してるからな。
ハワード:そうなんすか?
ヒッチャー:お前がみょうちきりんでなけりゃ、カウンターの裏ですぐにヤッてるところさ。
ハワード:そりゃどうも。では、失礼。
(ハワード、体の向きを変えようとするが、その先にヒッチャーが居る)
ヒッチャー:よう、おっさん。
(再度方向転回)
ヒッチャー:愛想悪いな。それにしても、ここの事はよく覚えているぞ。
    ここで、パイ&マッシュの店をやっていたんだ。ウナギを出していたのさ。ウナギは好きか?
ハワード:スシなら好きですけど。
ヒッチャー:スシ?ウナギの話だぞ。生きたウナギがてめぇの腹のまわりでクネクネして、
     ドカンとコーフンさせてくれるんだ。ああ、そうだ。あの懐かしいエルシーがここを所有していた。
     彼女のことをエルシー・イールと呼んだものさ。
     彼女は、俺が孤児だってんで、ウナギをただでくれたんだ。
     それで俺達はウナギを食うと、一緒に歌って楽しんだのさ。
     ああ、まだあるな
(ピアノに向かう)。弾いて良いだろ?
ハワード:調律していないんですけど。
(ヒッチャー、ピアノの蓋を弾きはがして、投げる)
ヒッチャー:みんなここに集まって、レイなんてアザラシの子供みたいに寝ころんでいた。足がなかったからな。
ハワード:なるほど。
ヒッチャー:そして、俺が歌いだすんだ。ちょうど、こんな具合に…
(ヒッチャー、ピアノをたたきながら歌い始める)
ヒッチャー:♪ウーナギ!ウーナギ!♪
(ハワードに)さぁ、ご一緒に!
ハワード:うーなぎ…うーなぎ…
ヒッチャー:♪体の中でウナギがニョロニョロ 出口を探してる 
     おなかの中はもうたくさん 心のうちをすり抜け、けつの穴もすりぬけ ウーナギ…
(ヒッチャーの帽子から、女性が現れる)
ハワード:あれは?
ヒッチャー:エルシーさ。さぁ、一緒に踊れよ。
(ハワード、幻想に引き込まれてエルシーと踊り始める。やがて、悪夢が収まり、ハワード絶叫)
ヒッチャー:ははは!エルシーに会ったか?一緒に踊ったか?
ハワード:いいえ。
ヒッチャー:いいや、踊ったはずさ。みんなでな。お前みたいのには、いろいろ悪いことが起こるもんだ。
     お前の店が燃やされたり、巨大トラックに腕を引きちぎられたりな。それを回避するために、
     この俺が守ってやるのさ。もちろん、有料だぞ。夜中までに1000ユーロ用意しろ。
     さもなきゃ、また貴様にウナギをくらわせてやる。
(ヒッチャー、ステッキを置いて出ていく)


 月夜に月登場

月:長い間、望遠鏡で月を眺めていると、気がおかしくなるって言うでしょ。
  それ、本当だと思いますよ。だって、ほら、パトリック・ムーアって知ってるでしょ?
  あの人、ずいぶん長いあいだ、ぼくをずっと見てたんですよ。
  昨日、ぼくが彼をみたら、あの人サラダの上にクソしてましたよ。


 ナブティック

(ヴィンスが店に帰ってくる)
ヴィンス:ヘイ、ハワード。信じられないだろうがな、ピート・ネオンのすぐ側までは行けたんだぜ。
(ハワードは上の空)
ヴィンス:あいつ、窓台にとまってたんだ。そっと近付いて足首にタグをつけてやろうとしたところで、逃げられちゃった。
ハワード:ウナギ…
ヴィンス:うん?
ハワード:ウナギ…
ヴィンス:なんだって?ハワード、大丈夫か?
ハワード:やばい。
ヴィンス:はぁ?
ハワード:金はどうした?
ヴィンス:使っちゃった。
ハワード:何に?
ヴィンス:この指輪。
ハワード:3000ユーロ持ってたじゃないか。
ヴィンス:これ、メキシコのアリが中に入ってんだ。すげぇだろ?
ハワード:バカ!
ヴィンス:どうしたんだよ?
ハワード:この町から逃げ出さなきゃ。
ヴィンス:落ち着け。何があったのか、説明しろよ。
ハワード:あいつが店に来て、コックニーだ。俺の顔に小便をぶっかけて、それから…
     
(カメラに向かって)もう見てますよね。俺が説明している間のところ、ちょっとカットしていいですか?
(少々お待ちください)
ハワード:…だから、夜中までに1000ユーロ用意しないと、死んじまう!
(カメラに向かって)どうも。
ヴィンス:よし、パニクるな。OK?ナブーに電話してみよう。どうにかしてくれるよ。
ハワード:出ないよ。
ヴィンス:とにかく掛けてみる。
(ヴィンス、電話をかけ始める)


 南国のリゾート地

トニー:ちゃんと伸ばして、塗りこんでよ。
サブー:
(トニーにサンオイルを塗りながら)なんか間違ってる。
トニー:ちゃんと指を使えよ。
サブー:この割れ目、なんか広がってないか?
トニー:恥ずかしがらないで。いつものことじゃん。
サブー:自惚れるな。トニー・ハリスンごときが、イラつかせやがって。
トニー:ところで、それ、ちゃんと効くの?
サブー:さぁな。レベル、7だって。
トニー:7?67だって言ったじゃん!
サブー:なんでお前、眉毛がないわけ?このピンク・ヘンタイ!
(ナブーの携帯電話が鳴る)
ナブー:ぼくのだ。
(携帯電話を取る)
トニー:あ、ナブー!電話は置けよ。
サブー:ナブー。規則だぞ。旅行に携帯禁止。罰は簡単。ターバン一杯のテキーラ一気飲み。
シャーマンたち:一気、一気!
(ナブー、ターバンでテキーラを一気飲みする)
トニー:あーあ、時間の無駄遣い!
デニス:バレーボールやらないか?
(ボロ、トニーを取り上げる)
トニー:あ、なに?やめろよ!ちゃんと見ろ!わざとか!
(シャーマンたち、トニーをボールにしてバレーを始める)
トニー:この極悪非道〜!


 ナブティック

ヴィンス:信じらんねぇ。出ないよ。使えねぇな。
(ハワード、逃げる準備万端)
ハワード:荷造りしろ。行くぞ。
ヴィンス:そりゃ無理だろ。この店をナブーに任されてるんだから。
ハワード:居たけりゃ、好きにしろ。俺は逃げる。じゃぁな。
ヴィンス:臆病者。すぐに逃げるんだな。
ハワード:そうじゃない。
ヴィンス:そうじゃんか。小学生のころ、いじめっ子に2ユーロ要求されただけで、「逃げるぞ」だったじゃないか。
     それでも上手くいかなかったさ。せいぜい、道の向こう側までしか行けなかった。
ハワード:そうさ。誰のせいだよ?

(回想:こどものころのハワードとヴィンス)
ハワード:来いよ、ヴィンス!
(ヴィンス、巨大荷物と共に現れる)

ハワード:荷物は小さくまとめろって言っただろう?
ヴィンス:荷物はまとめたさ。とにかく、逃げるなんてナシだ。
ハワード:いままでの人生、ずっと逃げてきたんだ。
ヴィンス:何から?
ハワード:学生ローン。
ヴィンス:学生ローンを踏み倒すやつがあるか?
ハワード:おれはそうなの。あいつら、おっかないんだぞ!
ヴィンス:住所を買えちゃえば、みつからないじゃん。
ハワード:おまえ、あいつを見てないからな。
     あいつが夜中までに1000ユーロ手に入れられなきゃ、俺達は死ぬしかないんだぞ。
ヴィンス:待てよ、ハワード。金を手に入れる、良いアイディアを思いついた。
(ヴィンス、エレノアの名刺を手に取り、カメラに向かって意味ありげ)


 運河のほとり

(カウボーイ・スタイルのハワードが、ヴィンスに抗議している)
ハワード:こんなん、最悪じゃん。
ヴィンス:いままでで、一番イケてる格好だよ。
ハワード:格好の問題じゃない。このシナリオ全体が気に入らない。
ヴィンス:うまく行くって。エレノアに会うだろ、前払い金を要求する。ありがちな話さ。
     「ヒル・ストリート・ブルース」にもあったろ。
     そらから、俺がこいつをお前につきつけて脅す。
(モデルガンをハワードにつきつける)
ハワード:わかった、近づけるなよ。
ヴィンス:プラスチックだってば。
ハワード:そうだけどさ。
ヴィンス:その金をかっぱらったらずらかるから、15分後に店に戻ってきて、落ち合えば良いのさ。
ハワード:やっぱだめだ。こんなのダメだよ。
ヴィンス:なぁ、ハワード。こいつをやるか、ウナギ野郎か、どっちかなんだぞ。
ハワード:やらないよりはマシか。
ヴィンス:さぁ、位置について。行くぞ。
(ヴィンスが身を隠し、ハワードはハーモニカを吹き始める。エレノア登場)
エレノア:ヘロォ〜〜ゥ、カウ・ボーイ。
ハワード:やぁ。
エレノア:素敵なゆうべじゃない?
ハワード:この時期にしてはさわやかだね。
エレノア:あなたの友達が言ってたとおり、ゴキゲンでいてれると嬉しいんだけど。
ハワード:そりゃ、調子は良いよ。
エレノア:あなたの友達、あなたがダルストンのこのあたりでもとりわけ、デカくて、
     すごくイケてるタマの持ち主だって言ってたわ。
ハワード:どうかな。まぁ、イカれてて、ダーティなのは認めるけど、古靴みたいに…
エレノア:私をめちゃめちゃにしちゃって良いのよ。
ハワード:そのつもりだから。ご心配なく。
エレノア:エロエロ・マシーンにしちゃって!
ハワード:はいはい。
エレノア:素敵!
ハワード:触るまえに、お金を。
(夜空からピート・ネオンが飛来。ヴィンスがそちらに気を取られる間に、ハワードが前金をゲット)
ハワード:OK、お金はいただき。
(隠れているヴィンスに聞こえるように)今、このてにお金をがっちりつかんだぞ。
     そう、これ、この通り…
(ヴィンス、ピート・ネオンの方に走って行ってしまう)
エレノア:さぁさぁ、かわいい宇宙飛行士さん。ママのところへいらっしゃい!
ハワード:ヴィンス!
(ヴィンス、ピート・ネオンへのタグ取り付けに成功)


 ナブティック

ヴィンス:980、990…1000ユーロ。良くやったぜ、ハワード。…ああ…ほんと、ごめん。
ハワード:触るな。二度と、触るな。俺を見るな。
ヴィンス:あんなはずじゃなかったんだよ。
ハワード:はずじゃなかった?彼女のスゴさを知らんだろうが。
ヴィンス:長い人生、いろいろあるさ。
ハワード:この事を誰かに言ったら、文字通りお前に激痛ブロック攻撃を仕掛けるからな。
(ヒッチャーが入ってくる)
ヒッチャー:今晩は!金は用意したか?さもなきゃエルシーとウナギをまた仕掛けてやるぞ!
ハワード:その必要はありません。金はこのとおり、あります。
ヒッチャー:今までみたことないほど、ショボいお前みたいな店員が、どうやって手に入れたんだ?
ハワード:金の入手方法はこの際、問題じゃない。とにかく、金はある。
ヴィンス:こいつが体を売ったの。
ヒッチャー:だれだ、この貝殻野郎。
ヴィンス:ハイ、俺、ヴィンス。俺も店員なの。
ヒッチャー:どんなものを売ってるんだ、小僧?
ヴィンス:このミニカーこか。
ヒッチャー:
(ミニカーを取り上げて)こんなもの、誰が買うもん…、おお、こりゃ良い。これいくら?
ヴィンス:69ユーロ。
ヒッチャー:100ユーロ出そう。
ヴィンス:やった。
ヒッチャー:うちに帰ったら遊ぶんだ。しかし、その前にお前らを切り刻んでやらんとな。
ハワード:そんな。金はあるんですよ。それじゃ、契約不履行だ。
ヒッチャー:ふんだ!俺が物分かりの良い男か、ペパーミントグリーンの悪魔か、どっちに見える?
ハワード:最初の方?
ヒッチャー:はずれ。俺はな、お前らのような最近の軽薄な連中やら、すべての存在が嫌いなんだ。
     お前らの皮をはぎ、目玉をえぐり出して踏みつけてくれる!
(ドアにエレノア登場)
エレノア:ヘロォ〜〜そのナイフを置きなさい。
(拳銃を取り出す)ハワードの髪の毛一本にでも触れてごらんなさい。
     ドイツのクマみたいに撃ち殺すわよ。
ヒッチャー:なんだこいつ?お前のかみさんか?着飾ったヘンタイじゃないか?
(エレノアが発砲。ヒッチャー、倒れる)
エレノア:ハワード、私のいとしいチクビちゃん。もう行かなきゃ。アカプルコにすてきなところがあるの。
     そこに来れば、もっとお楽しみよ。
ハワード:ああ、名刺をもってるから。そのうち、行くよ。
エレノア:アァ〜〜〜ディオス!
(エレノアが退場すると、ヒッチャーが床から起き上がる)
ヒッチャー:なんだこりゃ。死んでないぞ。何かが弾を止めたみたいだ。
     
(服の下から、弾で傷ついた肘あてを取り出す)サバイバル肘あてだ!まさにその名のとおりだな。
ハワード:丈夫だって言ったでしょ?
ヒッチャー:お前が、俺の命を救ってくれたんだ。
ヴィンス:もう俺達を殺すなんて言わないだろ?
ヒッチャー:どうかな、殺すなんて思っても居なかったが。
     床に倒れた時は、本当に死ぬかと思ったが、啓示があったんだ。
     お前らみたいな若い連中は、ウナギだの、ヴィクトリア朝のばか騒ぎには興味がないってな。
     プレット・ア・マンガーや、リリー・アレンが好きなんだろ。俺はもはや時代遅れだ。過去の遺物さ。
     さっさと行って、トラックにでも頭をひいてもらおう。お騒がせして悪かったな。
ハワード:あの、それほど悪いもんじゃないと思いますよ。
ヒッチャー:ええ?
ハワード:過去と未来は共存できると思うんです。
ヴィンス:両方によるコンボってのは面白そうじゃん。
ヒッチャー:本当に?どうやるんだ?
ハワード:あの歌、歌ってみてよ。
ヒッチャー:いいよ。
(ヒッチャー、ウナギの歌を歌い始め、ハワードとヴィンスが様々な趣向でそれに加わる)
ヒッチャー:過去と未来の要素を組み合わせて、良いとも悪いともつかない色んなものができ上がるのさ。


 ナブティックの前

(空飛ぶ絨毯で、シャーマンたちが戻ってくる。一同、二日酔い)
トニー:あー、自分の手にゲロっちゃった。
サブー:そりゃいいや。すんばらしいね、トニー。最高。
トニー:飲み過ぎじゃないよ。この絨毯が悪いんだ。おなかがひっくりかえいそうだ。
(ボロとナブーがじゅうたんから降りる)
ボロ:じゃぁ、またね。
シャーマンたち:バァイ。
サブー:お前のおなかって、どこにあるわけ?
トニー:手術してみないと分かんないよ。五つもあるんだ。進化してるから。


 ナブティックの中

(ナブーとボロが戻ってくる)
ボロ:ヘイ。
ヴィンス:ヘイ。旅行はどうだった?
ボロ:まいった。おさるもはまる。
ナブー:どうだった?問題無し?
ヴィンス:う…ん。
ハワード:うん。大丈夫だったよ。
ナブー:行こう、ボロ。酔いざましが欲しいよ。
(ナブーとボロ、階上へ)
ハワード:よし。棚卸するか。
ヴィンス:手伝いたいけど、フレンチ・アルプスで、スキー中のリロイと会うことになっているんだ。じゃぁ、またな。
(ヴィンス、カバンと取り損ね、中身が床に落ちる。それをハワードが見ると、明らかにシャッターに落書きをしたらしきスプレー缶)
ハワード:この野郎…
ヴィンス:こいつは、違うんだ。
ハワード:殺してやる。
ヴィンス:ただのジョークだってば。
(スーツの男が二人店に入ってくる)
男1:邪魔するぞ。
男2:これからどうなるか、分かっているな。
ハワード:はぁ?何事だ?
男1:我々はお前をつけていたんだよ。
ハワード:あんたら、誰だ?
男1:
(バッヂを見せる)学生ローンだ。
ハワード:いやだ!
男2:一緒に来てもらおう。
ハワード:嫌だー!もうあげる物は何も残っていません!



(終)
 
→ アヤシゲ翻訳トップへもどる  → サイト トップへ  → フレームが表示されない場合は、こちらのサイト入り口へ