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 2013年 11月 ボブ・ディラン ライブ観戦 & リチャード三世, ロンドン ツアーレポート
 

Part 4 普通の観光地とあまり普通ではない観光地


セント・バーソロミュー病院 St. Bartholomew's Hospital

 セント・バーソロミュー病院 ,通称バーツ。シャーロック・ホームズがワトスン医師を出会った場所として有名だし、近年はBBCのドラマ [Sherlock] の撮影場所としても有名。去年も訪ねたが、今年もATさんと一緒に見物。
 高等刑事裁判所(オールド・ベイリー)を経由して、セント・ポール寺院に向かう。

セント・ポール大聖堂 St Paul's Cathedral

 セント・ポールはUKで第二位を誇る巨大教会である(一位はリヴァプール大聖堂)。朝早くから見学できる。入り口をみつけるのにやや時間がかかるのは、巨大であるがゆえか。
 地上階に入ると、がらんとした空間が広がる、頭上には巨大なドーム。今回は回廊にあがるのは遠慮する。比較的新しく、とにかくでかいと言うことで、ローマのサン・ピエトロ大聖堂を思い出す。
 どちらかというと、墓が多い地下階の方が見応えがあった。ホレイショ・ネルソンと、ウェリントン公爵 ― 二人のナポレオンを打ち負かした将軍が葬られている。さらに、チャーチルの記念碑などもある。
 異教徒の私は、セント・ポールは外からその偉容を眺めるのが一番良いと思うのだった。




紋章院 College of Arms

 セント・ポールの南側、クィーン・ヴィクトリア・ストリート沿いに紋章院はある。すぐ近くにミレミアム・ブリッジがかかる。
 1484年、国王リチャード三世の特許状によって創設されたのが、紋章院である。英国王室直属の組織であり、紋章を管理する権限を持つ。今回の旅のテーマの一つは、リチャード三世。紋章院もチェックしなければ。
 リチャードが創設したときの紋章院は、今の場所より南東、アッパー・テムズ・ストリートにあったが、リチャードがヘンリー・チューダーに敗れた後に今の場所に移動した。現在の建物は、ロンドン大火後のもの。門扉の飾りや、紋章が美しい。




ロンドン塔 Tower of London

 去年、ロンドン塔は行かなかったので、久しぶりのロンドン塔となった。
 テムズ川沿いにそびえ立つロンドン塔の偉容を見るだけでも、テンションがあがる。タワー・ブリッジもよく見える。
 歴代国王の生活空間である王城として、砦として、保管庫として、そして牢獄としても機能してきたロンドン塔。歴史好きにはたまらない。



 朝一番に出かけ、ビーフィーター(ヨーマン)によるガイドツアーに参加した。これが正解。二回目以降のガイドツアーはもの凄い大集団になっていた。
 反逆者がここから入城したら二度と出られないと言われたレイダーズ・ゲートから、ブラッディ・タワーを経由し、一番大きなホワイトタワーの横を通りながら、ビーフィーターの説明を聞く。その間にも、ロンドン塔名物のレイヴンの姿が見える。



 セント・ピーター・アド・ヴィンキュラ教会にも入れてもらえた。おそらく、ビーフィーターのガイドツアーでないと、入れないのだろう。教会前の広場はかつて処刑場に使われており、芝生には処刑台跡を示すオブジェがある。以前は簡素な四角い小さなプレートだったはずだが、今は立派なクリスタル製になっている。
 ガイドツアーが終わると、有名なジュエルハウスに入り、金銀宝石の数々を見物。ここは写真撮影禁止。あまりにもキラキラして立派なので、本物なのかどうか疑いたくなる。



 ホワイトタワーにも入った。ここには武器,甲冑などなど、ずらりと並べてあるが、歴史好き的にはちょっと退屈かも知れない。
 むしろ、「ロンドン塔の王子たち」こと、エドワード四世の二人の王子(エドワード五世,ヨーク公爵リチャード)たちが幽閉されていたとされる、ブラッディタワーの方が興味深い。
 ここでは、リチャード三世が王子殺害の黒幕であるとする演出がやや強い。これが、一般的な認識だからだろう。それでも、王子殺害の犯人は「リチャード三世?ヘンリー七世?それても殺されていない?」― という投票マシーンでは、それほどの大差はなかった…と、思っている。



ウェストミンスター・アビー Westminster Abbey

 ロンドンに来ると必ず訪れるウェストミンスター・アビー。やはり歴史好きとしては外せない。今回も詳しい日本語音声ガイドとともに見学。主に中世からチューダー朝のお歴々の墓が並ぶ。

 去年から、気になっていることがあった。むかしむかし、初めてロンドンを訪れた時、私は確かにヘンリー五世の墓を見た。
 私はこの幸運で、調子が良くて、はた迷惑なほど積極的で、楽天的で、それでいて冷静で有能な、そして若くして死んだ王が好きなので、彼の墓を見たと言うことはちゃんと覚えている。しかも、ヘンリー五世はシェイクスピアの題材にもなっており、通称ハリー,ハル ― イングランド人にも人気がある。しかし、去年はその墓を見なかった。音声ガイドにもなかった。なぜなのか。
 今回の訪問で、その疑問が解けた。ヘンリーの墓は、ウェストミンスター・アビーでも重要な場所である、聖エドワード廟(ノルマン・コンクェスト以前の王、エドワード懺悔王の墓)のすぐ後ろにある。ところが現在、聖エドワード廟の付近は、保護のため立ち入り禁止にいるのだ。従って、ヘンリーの墓も観光客の目に触れないところになってしまったというわけ。
 今回、高くなっているヘンリー7世チャペルの入り口付近から、やっとヘンリー五世の墓を見ることが出来た。彼はこちらに足を向けていた。有能で人気のある人物であるが故に、良い場所に墓があるものの、それがかえって仇となったというわけ。
 人生も、墓もいろいろだ。




ウェストミンスターからピカディリー・サーカスへ Westminster – Picaddily Cirus

 ウェストミンスター界隈には、ビッグ・ベン、国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)、などがあり、ホース・ガーズにダウニング街10番地(首相官邸)へと進み、さらにアドミラル・アーチに、トラファルガー広場。そしてピカディリーへと続く。
 ピカディリー・サーカスのエロス像は、クリスマス・デコレーションなのか、巨大なドームの中にあった。おそらく、スノー・ボールなのだろう。




アビー・ロード Abbey Road

 ビートルズが録音し、アルバムタイトルとジャケットにもなったことで有名なアビー・ロード。去年は割愛したが、今年は時間があったので足を伸ばした。
 久しぶりのアビー・ロード。地下鉄 St. John’s Wood から歩くのだが、この駅はゾーン2に属するので、料金に注意が必要。駅から南西にてくてく歩くと、やがてアビーロードスタジオが右手に見える。
 近年、ロンドンでは昔ながらのゼブラ柄の横断歩道は姿を消している。一番外側に細い点だけが描かれているのだ。しかし、ここだけは文化財登録されているため、ビートルズがアルバム・ジャケットにした時と同じようにゼブラ柄の横断歩道が残されている。
 横断歩道では、次々と観光客がやってきて、写真を撮っていた。それだけではなく、黄色いベストを着たお兄さんが写真を撮る手伝いをしてくれる。あの人たち、お金を取るのだろうか。私は遠慮した。
 スタジオの前には、BBCの大きなトラックが止まっていた。録音があるのだろう。この日はジョージが亡くなった日だったが、特別なことは何もない模様。
 アルバム・ジャケットが撮影されたのはよく晴れた夏だったが、私が訪ねたのは雨上がり、薄暗い11月。見た目の雰囲気はかなり違う。
 ともあれ、ああ、アビー・ロードに行ったのだという感慨は深い。特に何がどうということもない場所のはずだが。やはり特別なのだろう。次回も、時間さえあれば行ってみたい。




BBC ブロードキャスティング・ハウス BBC Broadcasting House

 ロンドンへ行く直前ビートルズのBBCライブ・アルバムの第二弾 [On Air –Live at the BBC Volume 2] が発売になった。このアルバムの内側に施されたアートの写真が、BBCブロードキャスティング・ハウスだった。
 ホワイト・チャペルにあったテレビ・センターに対し、オックスフォード・サーカスの北にあるブロードキャスティング・ハウスは主にラジオ番組を制作,発信していた。実は、モンティ・パイソンでお馴染みのBBCテレビジョン・センターは、売却されてしまい、BBCの本社機能はこちらのブロードキャスティングに移っているのだ。テレビジョン・センターには、去年の見学ツアーで行っておいて良かった。
 建物はアール・デコ様式の美しいもので、そのデザイン性故にアルバムのアートに使われたのだろう。
 ロンドンの中心部にあるので足をのばしてみた。私が行ったのは日没後だったので、夜景になった。この時間が良かったらしい。アルバム・アートにはない、背後の新館が綺麗に撮影できた。この新館がBBCの新しいヘッドクォーターとして機能しているというわけ。隣のオール・ソウル教会は往時のまま。
 右がビートルズのアルバム・アート。下が、今回私が撮影したブロードキャスティング・ハウス。 

 





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