2010年 8月 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ ライブ観戦 & NY ツアーレポート
Part 1. トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ ライブ (その1)
2010年 8月24日(Tue) IZOD Center (East Rutherford, NJ)
マンハッタンから電車とバスを乗り継いで、TP&HBのコンサート会場、アイゾッド・センターに到着(詳しくは、Transfer を参照)。
会場のアイゾッド・センターは、NBLニュージャージー・ネッツの本拠地。コンサート時の収容人数は約2万人。
オープニング・アクトである、マイ・モーニング・ジャケットが7時半,時間通りに演奏を始めたころは、まだせいぜい3割程度の客の入りだった。それもそのはずで、外の駐車場では、バーベキューが盛り上がっていた。
マイ・モーニング・ジャケットは、やはりうわさ通りのライブ上手だった。ヴォーカルとドラマーはモッサリ系だが、リード・ギタリストは金髪の可愛い系,ベーシストはクールで格好良く、キーボーディストは端正なハンサム君。
彼らの演奏を楽しみつつも、TP&HB本番に備えて、写真撮影の練習に余念がない。
事実上、カメラの持ち込みと使用は、許可されている。それどころか、会場整理の職員が、積極的にカメラマンを買って出て、観客の写真を撮ってあげまくっていた。
マイ・モーニング・ジャケットの演奏が1時間ほどで終わってみると、客の入りは7割程度。それなりに盛り上がっている。
マイ・モーニング・ジャケットの演奏が終わり、ハートブレイカーズを待つ間、ステージ上では機材の準備が進んでいる。
そのうち、ステージ上に、高橋是清 ー アラン・ローガンの姿が見えた。まん丸顔に、白髪の可愛いおじさん。私が最初に彼を見たのは、「コンサート・フォー・ジョージ」のリハーサル風景の映像だ。並みいる大物ミュージシャンのズラリと並んだギターの中で、仕事をしていた。
彼はジョージとのつきあいもあったそうだ。最近はハートブレイカーズと行動をともにして、ハートブレイカーズ・オフィシャル・ページのビデオにも登場する。
そんな訳で私とKさんがアランの写真を
撮っていると、前の方でビールを飲んでいるおじさんが、「お嬢ちゃんたち、どうしてそんなに、あの高橋是清を撮るの?」と訊いてきた。私が説明しても、おじさんにはあまり実感がないようだった。
マイ・モーニング・ジャケットが8時半に演奏を終えると、私の予想に反して、30分後の9時ちょうどに、TP&HBの登場となった。少し早目だと思うのだが、これは翌日にはトロント公演があるため、移動時間を考えてのことではないだろうか。
ともあれ、9時にはもう会場は一杯。毎回思うのだが、信じられないほど大勢のTP&HBファンが巨大な会場を埋め尽くしている。その注目を一身に浴びつつ、ステージ上にTP&HBが登場した。
セットリスト
Listen To Her Heart
You Don't Know How It Feels
I Won't Back Down
Free Fallin'
Oh Well
Mary Jane's Last Dance
Kings Highway
Breakdown
Jefferson Jericho Blues
Good Enough
Running Man's Bible
I Should Have Known It
Learning To Fly
Don't Come Around Here No More
Refugee
Runnin' Down A Dream
American Girl
私たちの席はアリーナ席,中央セクションで、トムとロンの間くらいの位置、前から5列目。これだけ前で見るというだけでも幸運だったのだが、さらに目前の客が何かの付き合いの「オトナ」だったらしい。私の前は空席になってしまい、Kさんの前も座ったままだった。
このおかげで、苦労せずにトムと、マイクの姿が大きく見える。二人のみならず、みんなのニコニコした表情が手に取るよう。これほどの良いライブ鑑賞環境は、きっとこの先も期待できまい。
曲目としては、たった二つの私の希望 ― "King's Highway" と、"American Girl" が含まれ、大満足。翌日のセットからはこれら2曲が外れたので、運が良かった。
やはり1曲目、"Listen to Her Heart" のイントロが鳴り響いた時の身震いするような感動と、会場の盛り上がりは表現しがたい。
今回、トムはあの「長すぎるジャケット」を着用。直に見るとそれなりに格好良い。季節はずれのストームで、屋外の気温は華氏65度程度(摂氏20度を切る)。この涼しさも、長ジャケット復活の要因だろう。
マイクも黒っぽいジャケットを着て、ふたりともセンタープレスのあるパンツ。マイクはかなり早いうちにジャケットを脱いで、腕まくり。凄い柄の何とも言いようのないシャツで、会場に日本語の「キャー、マイクー!変なシャツー!格好良いー!」という謎の叫び声が響く。
トムも4曲目くらいからジャケットを脱ぎ、ふたりとも黒いベストを着用。トムのシャツはドレッシーな感じの白なのだが、二人とも赤系・暖色のスカーフを首に巻いているので、なんとなく似ている格好をしている。
トムの赤いブーツに期待していたのだが、あれは赤いジャケット,赤シャツの時だけらしく、今回は黒のブーツだった。
2曲目の "You Don't Know How It Feels" では、トムの腰の動きが可愛くて、日本人娘2名が「カワイイ!カワイイ!」の連呼。
さらに、"I Won't Back Down", "Free Fallin'" という [Full Moon Fever] からの曲では、観客たちも一斉に大合唱で、泣きそうになるぐらいの感動。特に前者は、エレクトリック・バージョンなのが嬉しく、トムの声の伸びがすばらしい。
"Free Fallin'" のイントロは、ともにリッケンバッカーを持ったマイクとトムが、かなり接近して、同時に弾き始めるのに痺れてしまった。
そして、"Oh Well"。トムがマラカスを上下左右に振りながら、滑らかに体を動かすのが、セクシー&クール。あのダンスは誰に習うのだろうか。
さらに、大人気曲の "Mary Jane's Last Dance"この曲の前だったか、トムが水を飲み始めた。
マイクにそのそぶりがないので、私が "Drink water, Mike!" と叫ぶと・・・本当にマイクは水を飲み始めた。どうやら聞こえたらしい。冗談でなく、十分聞こえるような距離だったので、本気でそう思っている。
ともあれ、トムもマイクも、頻繁に水分補給をしていた。トムのタバコは見ずじまい。電子タバコのおかげ?
"Mary Jane's Last Dance" では、トムのソロ・ギターが見所。ソロに入る前から、ちょっと緊張気味の様子で歌っている。そしてソロ・プレイ。トムがソロに入りやすいようにちゃんと、マイクが下支えしている音がする。
トムのソロ・プレイはエリック・クラプトンとジョージ・ハリスンをミックスしたような感じ。どこかにウブな感じがして、ドキっとする。
今回のステージではあまり長くはやらなかったが、トムのソロが終わると、トムとマイクの二人がぶつかりそうなくらい接近して、シンクロ・プレイを展開。だんぜん、マイクの方に余裕があって、トムをどんどん引っ張っていく。その二人の背後で、楽しそうにしているベンモントも印象的だった。
前半が切れているが、そこそこ見られる動画が撮れたので、YouTube にアップしてみた。動くトム&マイクは本当に素敵だ。
→ YouTube : Tom Petty Played his solo
聞きたくて仕方がなかった "King's Highway" は、[Take the Highway] の時に比べると、抑えめのテンポ。しかしエレキでハードにキメてくれる感じが良い。
続いての "Breakdown" では、お約束のとおりオーディエンスとのやり取りが楽しい。マイクが終始幸せそうに、客席を見回している。
→ Part 2. トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ ライブ (その2)
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