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 2008年6月 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ ライブ観戦ツアーレポート
 

17th June 2008 :4日目 その1: 5番街 〜 アッパー・ウェスト・サイド
 再会 〜 無駄のない二人組 〜 5番街 〜 セント・パトリック大聖堂 〜 スタインウェイ 〜 ピアノ・ワンダーランド 〜 
 雑貨ワンダーランド 〜 ダコタ 〜 イマジン

 朝9時。ホテルのロビーでRさんと待ち合わせ。3日ぶりの再会である。

 荷物を置いてホテルを出ると、まずは朝食。私はニューヨークに来たらパンケーキを食べたいと思っていた。しかし店に当てがない。方向感覚の良くない私に困りつつも、Rさんのお導きでグランド・セントラル・ステーションに向かう。すると、駅舎向かいの「ニューヨークで一番うまい朝食の店」に、前回の渡米でも来たことを思い出す。そうだ、ここに入ろう。
 念願のパンケーキを食べる。ベチョっとして特においしい物ではないが、腹持ちはする。Rさんと今日の行動計画を練ると、さっそく徒歩で5番街に向かった。

 おしゃれなブティックや、ロックフェラー・センター隣りのメトロポリタン・ミュージアム・ショップでお買い物。目当ての土産物を無事ゲットする。
 やがてビルにはさまれた巨大な聖堂,セント・パトリック大聖堂に到着。アイルランド系住民のパワーと信仰心の象徴だ。




 教会好きなので、さっそく入場。美しく静謐な雰囲気の中、何人かが祈りを捧げている。売店をのぞいてシャムロック・グッズなど探して見るが、あるのはいたって宗教的な道具類。門前に騎馬警官が居て、馬が観光客に囲まれていた。

 さらに5番街を北上し、GAPやディズニー・ストアに立ち寄る。やがて57thを西に向かい、私が希望していた、スタインウェイ&サンズのショールームに到着した。天下無敵の、高級ピアノ・メーカーである。

 昔、フロリダのとある楽器屋さんに12歳くらいの男の子がやってきて、オルガンでビートルズのアルバムの曲を最初から最後まで弾き切った。あまりの素晴しい演奏に、15歳位の金髪の青年が男の子に声をかけ、名前を教えあった。男の子は青年の金髪が印象に残り、青年は男の子の変わった名前が印象に残った。数年後に二人は再会してバンド仲間になった。それから35年以上。いまだに同じバンドで活躍している。 
 ― と、いう故事が示す通り、楽器屋さんではピアノを弾いた方が良い。日本ではやらないが、旅の恥はかき捨てである。

 スタインウェイは高級メーカーだけあって、敷居の高い空気。大きなMET袋を提げた観光客の入る所ではないだろう。
 しかし、そんな事には構っていられない。ずんずん乗り込むと、「いらっしゃいませ」と、おじさんがデスクから立ち上がり、ノートに名前を書いてくれと言われる。それに応じながら展示してあるピアノは弾いても良いのかと尋ねると、五つの部屋にあるどのピアノも、自由にどうぞとの事だった。
 とりあえず、手前の部屋から覗き込むのだが、そこはピアノ・ワンダーランドである。スタインウェイはもちろん、傘下のボストン,エクセターのピアノがひしめき、すべて蓋が全開になっている。




 私たちの他に二人の男性が居るだけで、外とは打って変わっての静かさだ。この二人の男性もすこし鍵盤に触っており、ベートーヴェン「悲愴」の冒頭や、ドビュッシー「月の光」のパッセージなどをさぐっていた。
 どの部屋も暗めの照明で、時々ピアノの音がする以外は、とても静か。外の喧騒が嘘のようだ。目もくらむばかりのピアノの森が続き、壁ぎわにはショパンの彫像や、歴代のピアニストたち ― (コルトーや、ルビンシュタインなど)に混じって、大作曲家達の肖像が飾られている。ワーグナーやベートーヴェンなのだが、その模写肖像が絶妙に下手。
 五つの部屋をくまなく見て、しまいには値札ばかり確認するようになる。最終的には、一番高いピアノを弾くことにする。
 黒いスタンダードな外観をしたコンサート・グランド98,000ドルなり。税金やら諸々を入れれば、1000万円を軽く越すだろう。どうやら月賦でも良いらしい。
 Rさんに写真撮影を頼み、バッハの平均律,第一巻,2番,c mollのプレリュードとフーガを弾く。これのために、ウィルミントンで練習したのだ。
 良いピアノであることは当たり前だが、ヤマハやカワイと比較して、とんでもない差があるわけではない。ともあれ、普段はあまり触ることのない高級ピアノを弾いて大満足。ショールームのスタッフは、変な東洋人が来たと思ったことだろう。

 スタインウェイを出て、更に西へ。カーネギー・ホールが見えたので、写真に収める。日本の高校生らしき一団がたむろしているが、何者だろうか。




 近くにあるはずの大きな楽譜屋が音大人間には有名だが、寄らない。外版の楽譜は日本で買うと非常に高いのでチャンスだが、荷物になる。
 更に西へ向かい、Rさんおすすめのデュアン・リードの大きな店舗に入る。コンビニ+スーパー+ドラッグストアのようなお店で、何でも揃っている。ばらまき菓子や友人に頼まれた目薬,水などの雑貨を購入。これは良いところを教えてもらった。

 イタリア人・クリストファー・コロンブスの彫像が屹立するコロンバス・サークル西側の、タイム・ワーナー・センターに入る。ここもRさんお勧めスポット。まさに何でもある感じの買い物天国。
 何年か前に日本から撤退しまったキッチン用品専門店ウィリアム・ソノマに入る。ありとあらゆる素敵なグッズに目を輝かせる。特にお菓子コーナーの可愛いクッキー型が目を引く。
 更に食料品も売っており、試飲した柑橘系飲料が非常に美味しかった。歩き疲れているせいもあるが、ボトルの大きさの問題さえなければ、購入したいほど。
 地階には大きな総合食料品店ホール・フーズ。馬鹿でかく、かつ不味そうなケーキが鎮座している。チョコレートの塊売りは、ほとんどホームセンターの壁材状態である。

 かくして、ニューヨーク・ガイドとしては完璧なRさんのお陰で、無駄なく賢い買い物ツアーを完遂できた。この後、地下鉄に乗って少しより道をする事にする。

 私はジョン・レノンのファンだが、小野洋子には興味がない。
 ジョンは既にこの世の人ではないし、小野さんの現住所を見に行っても仕方が無いだろう…などと屁理屈をこねるのもどうかと思うので、ウェスト・アッパー・サイドのダコタ・アパートを見に行く。
 結局、ジョン最期の地を見ておきたいのだ。

 78thストリート駅から地上に出ても、やはり私の方向音痴が炸裂する。緑のある方がセントラル・パークに決まっているのに、どうもそれにも素早く反応できない。

 ほどなく、古風な外観のダコタ・アパートに到着。観光客がたくさん居るわけでもない。無論、関係者以外は立ち入り禁止なので、入り口の写真を撮る。古めかしいガス灯が印象的だった。天気の良い日中だったからだろうか。ここが28年前に起こった悲劇の現場である実感がわかない。




 セントラル・パークに入ると、すぐにジョンを記念したImagineモニュメントのある、ストロベリー・フィールズになる。ここにはかなりの人だかりがある。ジョンが実際にここに立ったかどうかは分らない。モニュメントは花に縁取られ、誰かが置いたセイウチの人形が可愛い。一方で、くまのプーさんも一緒に座っていた理由は不明。





 かくして後悔しないで済むよう、見るべきものは見た。朝食がヘヴィだったので、昼食は省略。ホテルに戻って、旅のメイン・イベントに備える。



→ 17th June 2008 :4日目 その2: トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ / マディソン・スクエア・ガーデン
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