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 2008年6月 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ ライブ観戦ツアーレポート
 
16th June 2008 :3日目 ウィルミントン〜ニューヨーク・マンハッタン〜グリニッジ・ビレッジ,ソーホー
 都市間高速バス 〜 マンハッタン 〜 降りそこねた 〜 ミッドタウンへ逆戻り 〜 希代の方向音痴 〜 地下鉄 〜 
 ブルー・ノート 〜 ボブ・ディラン 〜 チョコレート天国 〜 レコード屋 〜 全部くれ! 〜 
 まだまだTP&HBショッピング 〜 悲劇 〜 人生はコメディだ


 友人M宅で6時起床。荷物をまとめると、いよいよニューヨークへと向かう。Mは家族を連れてニューヨーク観光を計画しており、私の分も長距離バスを予約してくれていた。
 長距離バスのオフィスは、ウィルミントン駅の近く ― つまり、ダウンタウンのちょっと怖い所の近くにある。友人Mの夫は仕事で不在なので、昨晩来たゲストの旦那さんが送ってくれた。オフィスと言っても、小さな廃墟と言って間違いではない。ただの待合所としての利用なのだろう。
 アメリカの都市間バスと言えばグレイハウンドが有名だが、経営が中国系の会社も沢山ある。今回利用のバスがこれにあたる。20ドル,2時間半でニューヨークに着くのだから、かなりリーズナブルだ。
ダウンタウンのオフィスは待ち合わせだけの場所で、実際のバスは町を離れた所のガス・スタンドに来るとの事。バンに分譲してガス・スタンドに移動し、買い物やトイレなどを済ませてバスを待つ。そして9時半ごろにニューヨーク行きのバスが来た。今日も良い天気。

 乗客には様々な人種が交じり、大きな荷物の人も多い。バスは高速道路に乗って、凄い勢いで北上する。飛ばすうえに、物凄い揺れとガタつきで、シートベルトが無いのが不思議だ。リーズナブルだが、安全かどうかは分からない。

 友人Mとしゃべりつつ、やがてバスはペンシルベニア州からニュージャージー州に入る。
 95号線の左手に、私が降り立ったニューアークの空港が見えると、やがて右手にマンハッタン島のビル群が迫ってきた。しかし周囲はまだ複数の川の河口と海の交わる湿地帯。
 ニュージャージー・ターンパイクを大きく右折し、リンカーン・トンネルに入る。ハドソン川の下を抜け、地上に出るといきなり摩天楼と共に、「スパマロット」や、「ジャージー・ボーイズ」といったミュージカルの看板が目に入る(「ジャージー・ボーイズ」は、マイク・キャンベルが鑑賞して共感した作品)。
 40thストリートから右折してブロードウェイに入った。

 ここから私と友人Mのマヌケが始まる。
 二人とも、宿泊ホテルが近い34thストリートのメイシーズで降りるつもりだったが、同時にメイシーズで止まるのは二つ目の停車場だと思い込んでいたのだ。実際には最初の停車場がメイシーズであり、私たちは降り損ねた。

 その後は、あれよと言う間にダウンタウンへと向かう。焦る私たちをよそに、ストリートの数字はどんどん小さくなり、私は突如ガイドブックの「タクシーの乗り方」を読み始める。
 やがて周囲に漢字が増えて、どうやらチャイナ・タウンに来たらしい。中国語のできる友人Mは、俄然元気になる。そもそも、彼女はチャイナ・タウンを観光するつもりだったのだ。こっちにはその気がなかったので、どんどん顔が青くなる。
 バスはチャイナ・タウン終着だった。バス会社そのものが中国系だったことを、やっと思い出す。
 バスから降りると、さすがにスーツケースを持って地下鉄に乗るわけにも行かないので、私だけタクシーを使う事になった。
 友人Mも拾うのを手伝ってくれるのだが、どうも彼女は車の屋根に何かついていると、タクシーだと思うようで、黄色くない車も平気で止めようとする。
 「頼むから黄色いのにしてくれ!」
 「そっかぁー!あ、タクシー!」
 「あれも黄色くない!」
 それでも、なんとかイエロー・キャブを拾い、友人Mとはここでお別れ。

 車内で単身、やっと気持が落ち着くと、地図を取り出して現在位置を確認した。レキシントン・アベニューを北上しているので、23rdの交差点を見回し、ベスト・バイの位置を確認する。TP&HBポイントは重要だ。
 かくして、タクシーは31stストリート,マディソン・スクエア・ガーデンのはす向かいにあるホテル,アフィニア・マンハッタンに到着した。
12時ちょうど。案の定、タクシーのドアを閉め忘れた。

 ホテルにチェック・インし、部屋に荷物を置くと、しばしの休憩の後出かけることにする。目的は主に買い物。地図を握りしめて外に出てみると、間もなく判明したのは私が方向音痴であること。
 東京で生活している内は方向音痴だと思ったことは無いが、どうやら碁盤の目が駄目らしい。それは地下に潜っても変わらず、さっそく逆方向の地下鉄に乗ってしまった。

 良くある事だ。

 あわてず騒がず、次の駅で正しい方向に乗り直す。

 グリニッジ・ビレッジめぐりをするためにW4thストリートで下車し、360度くまなく迷った末に、ジャズ・クラブ,ブルー・ノートを発見。



想像していたより、小さい。

 一応、外観的にはピアノの形らしいが、言われなきゃ分からない。そもそも不格好な足場はピアノに見せるためなのか、ほんとうに工事中なのか判然としない。ともあれ、写真だけ撮って次へ向かう。
 途中、カフェの壁面に描かれた伝説のロッカーたちを発見するが、ジョージ・ハリスンの美男子加減を理解していないらしい。



他の連中も似てないぞ。

 ほどなく、ボブ・ディランがニューヨークにやってきて最初に歌った伝説のカフェ、Caf? Wha?(日本語表記が難しいので、原語表記)に到着。無暗に写真を撮りまくる。
 ブルー・ノートもそうだが、夜はまた雰囲気が違うのだろう。古い建物が普通に残るニューヨークだが、1960年の雰囲気を私も感じているのかどうかは分からない。とにかく若く、美しかったボブ・ディランと同じ所に、私もきっと立っている。当然、叫びたくなる。
 「ここで!ディラン様が!ディーラーン様が…!」




ぐっとこらえて、ジミ・ヘンドリックスが作ったエレクトリック・レディ・スタジオを目指すことにする。

 エレクトリック・レディ・スタジオを目指す…?




 ものの見事に、逆方向に進んでいた。
 そもそも、エレクトリック・レディ・スタジオはブルー・ノートの北なので、最初に行かなければならなかったのだ。気づいた時にはかなり南下しており、ジミヘンは諦めることにして、Rさんお勧めのチョコレート店ジャック・トーレスを目指す。

 碁盤の目が駄目と言いつつ、その中に斜めの道が出現すると、それはそれで大混乱。6番街と7番街が微妙に曲がっているのが、気に入らない。
 しかも店の構えが地味なので、ジャック・トーレスに入るまでもかなり迷う。やっとたどりつき、目当ての買い物を済ませ、ソーホーへ向かう。

 ソーホーでもチョコレートを買う。マリー・ベルは誰のお勧めでもないが、ネットサーフィンで見た青いパッケージが気に入った。かなりお高い。
 店員のお姉さんと相談しながら買い物をしているうちに、彼女はかつてジャック・トーレスで働いていた事が判明。どこまでチョコレート好きなんだ。しかも東京に行ったことがあり、きれいで好きだと言う。

 ガイドブックに書いてあるように、ソーホーでディスプレイを楽しみながらショッピング…!とは、行かない。私にはそういうお洒落なノリが似合わない。すぐにソーホー歩きに飽きて、北へ戻る。

 6番街に出て、今度は迷わずに目指すレコード・ショップ,ブリーカー・ストリート・レコーズに到着。やはりTP&HBが待っている所は迷わない。





 地下の中古レコードコーナーに向かい、TP&HBを探してみる。しかし、良く分からない。
 店員のお兄さんが、声を掛けてきた。「箱の置いてある位置が高過ぎない?」
 それは日本でも同じことなので構わないのだが、知りたいのはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは果たして、どこを見れば良いのかと言う事だ。T?P?それともH?
 すると、お兄さんは「任せて!」と言ってシングル3組を取り出してくれた。



Don’t do me like that / Casa Dega( 1979)
かなりボロボロだが、ジャケットになんとなく雰囲気がある。$ 9.99



Don’t do me like that / Century city
+ Live in London, Something else / The stories we can tell (1980)

ハマースミス・オデオンでのライブ音源の入った2枚組。ライブが聴きたい!2枚組なので$ 19.99



Learning to fly / Too good to be true (1991)
イギリス版。好きな曲の上に、この時期のジャケットがお気に入り。$ 11.99なのは輸入だから?

 私はコレクターではないので、日本でこの手の買い物はしない。しかも、やや高めらしい。しかし、旅行先では空気も一緒に買うようなものである。
 ほとんど考えずに、お兄さんに「全部くれ!」と宣言。お兄さん、大喜び。
 明日ライブなのだと話していると、彼は私がTP&HBロゴのチョーカーをしているのに気づき、「本ッ当に好きなんだね〜。上に飾ってあるレコードは見た?」と案内してくれた。
 1階のディスプレイ・コーナーの高い位置からお兄さんが取って見せてくれたのは、シェルター・レーベルのLP “ You’re gonna get it ! ”。欲しけど、LPは持って帰れないから。でも、ありがとう!

 なぜか1階の通路にある段ボールに、太った灰色の猫が長くなっていた。


箱の側面の傷は明らかに、こいつがつけたものだろう。

 購入した3セットのうち、2枚組が一番お気にりなのだが、あとでロックの師匠たるToshiさんに聞いてみた所、アナログ版の数が少ない Learning to flyが一番良さそうとのことだった。それにしても、私はアナログのプレイヤーを持っていない。特にハマースミスのライブを、どうやって聴いたものか未だに解決していない。

 TP&HBを入手してホクホクしながら地下鉄に戻り、23rdを目指す。例によって降り損ねつつも、あわてず騒がず一駅戻り、ベスト・バイに入る。
 無論、ベスト・バイ独占販売のTP&HBドキュメンタリーDVD, “ Runnin’ down a dream “ が目当てである。既に持っているが、何の因果か私のボックスにはピクチャー・カードが入っていなかったのである。自分用も含めて3セット購入。ついでに、未入手だった “ Highway Companion “ のボーナストラック入りもゲット。
 さらにホックホクしながら地下鉄で34thに戻り、ホテルを目指すが、やはり迷う。
マディソン・スクエアに向かうのに、なぜかエンパイア・ステートが前方にある。どうやら、ブロードウェイが斜めに走るが故に、ヘラルド・スクエアで方向感覚を失うらしい。次回にニューヨークを訪れる時は、本気で磁石を持ってくることにする。

 荷物を一度置いてから、バナナ・リパブリックで買い物。ここは前回にも買い物をしているので、なんとなく行く気になっていた。店員のお姉さんは、私が日本から来たと知ると、「私、岡山の学校に留学してたんだ〜」と言う。どうも、昨日から日本に行ったことのある人ばかりと会っている。
夕 食用にデリで巨大なサラダを購入し、本日の外出終了。帰り道で激しい夕立に遭い、メイシーズの店先で雨宿りをするが、ほどなく止んでホテルに戻る。

 ホテルでは、これまた楽しみにしていた、テレビでのコメディ鑑賞をすることにする。その前に、思わぬ悲劇が起こった。目からハード・コンタクト・レンズを外し、右をケースに入れる。パリン。

 
パ リ ン …?

 次の瞬間、絶叫。レンズがホルダーにはまっていなかったのだ。生まれて初めてコンタクトを割った。しかも、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブ前夜に。イカしたロック・コンサートを、ダサい眼鏡で鑑賞するこの悲劇。
 きっと他にもっと酷い悲劇が待っていて、コンタクトが身代わりになったのだろう…と、思う事にする。

 気を取り直し、TBSでコメディを楽しむ。コメディ好きとしては、天国である。

Two and a Half Men:
 チャーリー・シーン主演の正統派人気シット・コム。シリーズ5まで制作されている。私が見たのは、チャーリー(役名もチャーリーなのだ)が義弟アランのイメチェンの手助けをする回。シャツを選ぶシーンは、古典的なんだけど大爆笑。日本でもウケると思う。

Family Guy:
 1999年から放映,第6シーズンまでされている人気アニメ。シンプソンズをどぎつくして、インテリ要素を入れた感じ。歴史,宗教ネタ満載。子供向けとは思えない。赤ん坊スティーウィーの「拷問ごっこ」は凄かった。犬のブライアンがナイス・キャラ。ヤク中になっていた。長男クリスの声は、セス・グリーン。

My name is Earl:
 前から見たいと思っていた作品(日本のFOXでも放映しているらしい)。シット・コム特有のラフ・テイクの入っていない、オフ・ビート系。弟のランディと悪行の限りを尽くしていたアールが改心して奮闘するのだが、このマヌケでトンマなアールが、それほどの事ができたのかと疑いたくなる。アールは感化されやすく、クリスチャン・スレイター演じる地球に優しい男のコミュニティにも簡単に感化される。友達のダーネルが最高。愛しのカメと扇風機にあたる姿が素晴しかった。

Friends:
 おなじみ、フレンズ。すでに古い作品のはずだが、何度でも再放送に耐えられるクオリティはさすが。こちらにもチャーリー・シーンがゲストで出演していた(フィービーとつきあっていた、海軍のお兄さん)。ちなみに、ジョーイ役のマット・ルブランクはTP&HBのビデオInto the great wide openに出演しているらしい。おそらく、ラストシーンで入れ墨をしていたお兄ちゃんだろう。

 ドラマの放映そのものは見られなかったが、CMではThe Office米国版の告知をしていた。イギリスではオフ・ビート系全盛だが、アメリカでもそれが来るのだろうか。見た作品はいずれもしっかりとしたプロットを持った作りで、イギリスにあるようなナンセンス&シュール系は見られなかった。

 巨大サラダも平らげ、コメディ鑑賞も満足のいく結果。いろいろあった日だったので、翌日のコンサートに備えて早々に就寝する。しかし、外は車やサイレンですさまじく騒々しかった。階が低いせいもある。これもニューヨークか。


→ 17th June 2008 :4日目 その1: 5番街 〜 アッパー・ウェスト・サイド
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