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  ソング・ファクツ    2003年 マイク・キャンベル (全文)


 マイク・キャンベルは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのリード・ギタリストだ。彼はギタリストとしての腕前で有名な一方、素晴らしいソング・ライターでもあり、ペティの多くのヒット曲やドン・ヘンリーの何曲かを作曲している。
彼はそれらの伝説的な曲がいかにして出来たかを語ってくれた。

SF:Boys of summerはいかにして出来たのですか?

Mike:ぼくは自宅に4トラックの機材があって、それを使っているのだけど、ドラム・マシーンを手に入れたことがある。ロジャー・リン・ドラム・マシーンの最初のやつが出たときだ。そいつを使ってリズム・セクションをプレイしてみた。
 自分の小さな4トラックで作ったデモをトムに聞かせた。でも、この時ぼくらが作っていたアルバムSouthern Accentsには、こいつはサウンド的にどうしてもフィットしなかった。
 あの時、一緒に仕事をしていたプロデューサーのジミー・アイヴィーンがある日電話してきて、「ドンと話した」って言うんだ。ぼくはドンに会ったことは無かったけど、とにかくドンは曲を探しているらしい。ジミーがぼくにドンの番号を教えてくれたので、電話をかけて例の曲を聞かせたら、翌日またドンから電話が掛かってきて言うんだ。「車の中で曲をかけながら詞を作ったから、録音したい」って。始まりはそんな具合。
 基本的に、ドンは出来る限りデモ・バージョンに近づけたがった。最終的にはボーカルのキーを上げた。
 実は、最初のキーでオーバーダブとか、色々仕上げていたんだけど、ドンがキーを半音かそこら上げることに決めたので、ぜんぶ録音をやり直さなきゃならなかったんだ。でも、結局すごく良く仕上がったよ。

SF:The Atarisのカバーバージョンはどう思われますか?

Mike:好きだよ。聞いたときはムズムズしたね。

SF:多くの人があのバージョンを聞いて仰天したようですよ。この曲は特別視されていますから。

Mike:ぼくの15歳の息子はパンク・バンドをやっていて、あれには興奮していた。ぼくにとってもオーケーだな。
 この曲に挑みかかる事を楽しんでいるんだと思った。若いバンドの連中にああはやって欲しくないって、思われるだろうけど、ぼくはああいうバージョンのも悪くないと思う。

SF:あなたが書いた曲の音符はあまり変えていませんので、曲そのものに敬意を表していると思いますよ。

Mike:うん。あれを良く聞いて気付いたのは、Ataris はギター・パートに力をいれているけど、音を変更したのは少しで大部分はそのままだ、ってことだ。
 ああいう歌い方は好きだよ。歌詞を一箇所だけ変えていたけど、ぼくはクールだと思った。ある日、あれを一日に3回もラジオで聞いたんだ。興奮したね。

SF:それからまたドン・ヘンリーと仕事をしていますね。The Heart of the matterについてはいかがですか?

Mike:その後(Boys of summerの後)何年かの間に、自宅のスタジオを24トラックに改造したんだ。
 自宅でこの曲を録音して、ドンに聞かせた。彼が詞を書いたんだけど、J.D. サウザーの助けも借りたんじゃないかな。ドンは自分の声に合うようにキーを変えて、もういちどデモを作り直した。
 あれには、ドンがすごく自信を持っていたと思うよ。彼は言ってた。詞を書くのにかなり長い間頑張ったけど、最終的には気に入るような、本当に歌いたいような詞が書けた、って。みんな歌を気に入ってくれた。女の子たちもね。

SF:こういう曲を作るとき、作詞家や歌手とはどんな協力をするのですか?

Mike:場合による。トムやドンに関しては、二人とも優れた作詞能力を持っている。この場合、ぼくの骨折りどころは曲だ。
 彼らが気に入っていたり、歌ってみたい詞をつけてくれば、ぼくにはそれを変える必要もない。彼らは本当に凄いから。たとえば、ぼくがトムに詞に関して意見を言うことなんて、ものすごく稀だ。ときたま、この一行をあっちにとか言うことはあるけど。
 彼らは素晴らしいシンガーであり、作詞者だから、ぼくは彼らがベストを尽くしたものを信頼しているんだ。

SF:Stop draggin' my heart aroundに関しては、何かありますか?

Mike:Stop draggin' my heart around は、ぼくが曲を書いて、トムが詞を書いた歌。
 ハートブレイカーズがジミー・アイヴィーンと一緒に録音していた。スティーヴィーと仕事をしていたジミーが仲介役になって ― スティーヴィーが歌っても良いか、って、ジミーがトムに頼んだんだと思う。そんなところから発展した。

SF:あなたはスティーヴィーや、トムといっしょに演奏したのですか?

Mike:ぼくらはハートブレイカーズの曲として録音していたから、スティーヴィーが歌うって決まったとき、そのトラックを使い、彼女が歌をオーバー・ダビングしたんだ。デュエットになったというわけ。
 基本的に、あの録音はハートブレイカーズのものだよ。

SF:Refugee に関して、何かありますか?

Mike:仕上げるのが大変だった。ぼくが自宅で作ったときは、4トラックだった。(トムが?)変更はせずに付け加えたんだけど、録音が出来上がるまでの時間が永遠に思われた。
 これで良しって思えるまで本当にキツかった。100回は録音しなきゃならなかったんだ。ある日なんて、あまりにもフラストレーションが溜まるから ― 後にも先にもあれっきりの事だったけど ― ぼくはスタジオを出て、二日ばかり町から離れた。あれ以上、プレッシャーには耐えられなかった。
 でもぼくが戻って、もう一度みんなで集まってみると、うまくテープに録音できたんだ。

SF:ああいった曲を書くとき、それがヒットする予感とかありますか?

Mike:ある一定のレベルでは、良い感触があったりする。確かな事は、他の曲より良い曲だってこと。
曲をしあげてみると、他の曲と比べて、バンドの連中とか、まわりのみんなの反応が良かったりするんだ。そういうのは、特別な一曲になると言えるんじゃないかな。
 Refugee をスタジオでミキシングしていたとき、受付の女の子が入ってきてミキシングを聞き、「これはヒットする!ヒットする!」と言ったのを覚えている。ぼくらは顔を見合わせて言った。「たぶんね。」
 いつだって分かるって訳じゃない。こいつはヒット間違いなしと思っても、ほかの人はそれには食いつかず、別の曲がヒットしたりする。曲の良し悪しは分かっても、ヒットするかどうかは分からないんだ。
 多くの場合、ヒットするレコードは、ただ歌が良いだけじゃなくて、タイミングが良かったりする。発表するときの雰囲気や、聴衆が何を聞いているのか、どんな曲を期待しているのか、神経が参っているときなのか、どうかとか。そういうことがヒットするかどうかを決定するんだ。

SF:いままでに、思わぬヒットが生まれたり、思ったより感触が良くなかったような経験はありましたか?

Mike:後者の例で言うと、Full Moon Feverがそうだった。あのとき、ぼくらはMCAに所属していたと思うんだけど、ジェフ・リンとレコーディングをしていた。すごく上手くいったと思って、すごく興奮していた。曲も良かったし。
 それで、レコード会社の人に聞かせてみた。すると彼らは言うんだ。「そうだな、この中にヒットする曲は無いな。」
ぼくらはすっかり落ち込んでしまって、戻ってくると他の曲を録音した。バーズのFeel a whole lot betterという曲だ。その時は、会社の連中が気に入るだろうと思いながらね。
 ぼくらはおよそ6ヶ月後に、同じレコードを持ち込んだ。そうしたら、気に入ってもらえた。こう言うんだ。「ああ、ヒット曲が3曲はあるな。」ぼくらはやっと認めてもらえた。まったく同じレコードだったんだよ。おなじレコードを聞かせたのに、今度はやる気になったんだ。
 こういうのは、タイミングと、ことを成し遂げようとする、人のやる気の問題なんだと思う。結局は、曲が良くできて、聴衆がその曲にフィットすれば、上手く行く。それでも、自分で掴みに行かなきゃならないんだけど。

SF:Here comes my girlに何かウラ話はありますか?

Mike:Refugee と同じようなものだよ。この二曲は同じ週に書いたんだ。ぼくがいくつかデモを作っていて、トムが二曲を気に入った。
 Here comes my girl は面白い曲だ。コーラスは出来ていたんだけど、トムは詞をどうするのか確信がなくて、いろいろな歌い方を試し続けた。結局、あの半分しゃべっているようなやり方になり、歌が生き始めたんだ。

SF:You got lucky については?

Mike:You got lucky はドラム・ループにのって書かれた。ぼくは自分のスタジオでドラム・パターンを作って、それに曲をのせた。
 スタジオ入りすると、他のドラム・ループを使って、もう一度造り直した。ドラマーに実際に叩いて貰ってそのテープを切り、つなげた。そいつを部屋じゅうにめぐらして、いくつかマイクロフォンを立て、テープを回す。そして3分か4分のコピーを作って、そいつをドラム・ループにしたんだ。
 ギター・ソロはトムのアイディアだ。モリコーネ風のギター・サウンドはどうだろうって、提案したんだ。ビブラート・アームを頭につかうようなやつだ。トレモロ・アームを使った波打つようなギター ― クリント・イーストウッドの映画「続・夕日のガンマン」の曲みたいな音になった。あそこでああいうアプローチをするのは、トムのアイディアだったよ。

SF:Jammin’ me について、何かありますか?

Mike:Jammin’ me は面白かった。ぼくが書いた曲をトムにやったのだけど、トムは暫くの間なにもせずにいた。それで、たぶんボブ(ディラン)と仕事をしたときに、二人で詞をつけたんだろうな。新聞とかテレビから言葉を抜き出していたんだろう。それでトムが言ったんだ。「ああ、マイクのこういう曲があったんだった。」それでこの曲に詞を入れ込んでいった。
 ボブが詞を書いているとき、ぼくはその場に居なかったのだけど、彼がこの曲に貢献してくれたと聞いて、ゾクゾクしたよ。それでぼくらは、デモを作り直していったんだ。

SF:あなたが書いた歌があって、それに対する言葉として聞いたのが「だめだこりゃ」だったそうですね?

Mike:トムやドンから聞いたんじゃないけどね。いくらかぼくが書いた詞に関しては、「だめだこりゃ」だった。トムは本当に凄いよ。ぼくに何か聞かせてくれるときはいつでもそうだ。
 (作詞の才能が)あいつをホンモノにしているし、あいつ自身も自信を持っている。この次元に関して、トムが駄目なことなんて稀だ。

SF:読者からよく質問される曲は、Mary Jane’s last dance です。ある話では、あなたがトムにギター・パートを演奏させたそうですね。

Mike:それは本当。あの曲は、まだ形になっていなかった。ぼくの所のガレージで作ったんだ。紙には書いていなかったのだけど、ずっとガレージでジャムっていたんだ。それで、トムはぼくのギターを使っていた。曲はIndiana Girl って呼ばれていて、最初のコーラスは “ hey, Indiana girl, go out and find the world “ になっていた。
 ぼくらはこの曲が気に入っていて、リック・ルービンが録音したらと提案した。暫くの間やってはいたけど、実際は基本のリフとコーラスしか出来ていなかった。
 ぼくらは録音をはじめ、コーラストムが歌った。そうしたら、 “ hey, Indiana girl “ だと、うまくはまらないと判断して、” last dance with Mary Jane “ に変えたんだ。歌詞には、Indiana night のところに、Indiana girl が残っている。まさに、トムがより深い意味での意図をもつコーラスをモノにした瞬間だ。(深いほうの意味に)解釈したいと思えばできるし、ただの良いラブ・ソングってことにも出来る。

SF:それで、ギター・パートについては?

Mike:オーバー・ダビングはすべてぼくの家でやった。ぼくは、あいつに無理やりやらせたのか、それとも勧めただけなのかは分からないけど、たぶん勧めたんだな。
 トムが最後のギター・パートをプレイして、さらに重ねた。最後のところの短いソロのところを、トムが弾くようにプッシュしようと、こう言ったんだ。「そのユラユラしたギター・ソロ、そのまま続けてみろよ。」
 何せサウンドは良かったから、トムはリズムを落ち着かせるように弾いたんだ。最後のところのアレを、トムは本当に素敵にプレイしたよ。
 この録音では面白い事に、ラフ・ミックスをぼくの家でして、同じ日に最後のギターとかちょっとしたオーバー・ダブもやってしまった。つまりラフ・ミックスを、ここ,この自宅で、手動でしてしまった。その後の数週間、三つか四つのスタジオで、さらにミキシングをしようとしたけど、ラフ・ミックスを越えるようなものは出来なくて、結局、こいつを発売することになった。

 面白い曲だよ。とても不規則な感じで、粘っこく、ルーズな感じだ。(再度ミックスを試した?)あの日、ただ(曲を)固めて、ミックスの時にサウンドを洗い上げ、ピカピカにしたんだけど、前のミックスみたいなノリにはできなかった。

SF:恐らく、そこがこの曲の人気の理由でしょうね。完璧にはしなかったという点が。

Mike:そうだな。ノリが必要なんだ。グルーヴがね。

SF:American girl には、多くの噂がありますね。特にフロリダ大学に関して。これに関して何かありますか?

Mike:そいつに関しては、ぼくに分かっているにはこの曲が最初のレコードのためにレコーディングされ、それが7月4日(独立記念日)だったってこと。
 トムがアメリカン・ガールに関して何か考慮に入れていたかどうかは知らない。441っていうのは、オレンジ・ブロッサム・トレイルのことで、ゲインズヴィルを貫くハイウェイなんだ。フロリダの中央部を走っている。ゲインズヴィルのイメージがいくらか意識されているね。
 ぼくらは、この曲は自殺に関する歌なんだろうとよく言われたものだった。 “ if she had to die “ という歌詞があるからそうだと言うんだ。でも、彼らは全ての行, “ if she had to die trying.” までは考慮に入れていない。一部の人は文字を読んで、文脈外の解釈をする。
 ぼくにとっては、これはただただ美しいラブ・ソングだよ。フロリダのイメージを持ったラブ・ソングさ。

SF:「羊たちの沈黙」に使われた事に関しては、どう思いますか?

Mike:クールだと思ったよ。あの映画は好きだし、あの歌に関して嫌な気分にはならなかった。暗いシーンに対して、喜びあふれた曲で楽天的なものを並べているのが、面白いと思ったよ。

SF:他にトムと作った曲で、ファンが喜びそうな話はありますか?

Mike:この話がそれにあたるかどうかは分からないけど。You wreck me はトムが歌(詞)を書いたのを録音したものだ。
 あいつが電話してきて言ったのを覚えている。「この曲に、詞が書けたよ。」それでぼくは言った。「なんて曲だい?」「You rock meだ。」どういうわけか、ぼくはありきたりな響きだなと思ったけど、この曲に関しては全てが良かった。
 録音作業を進め、しばらくの間 You rock me で通していた。そしたらある日、トムが言ったんだ。「You wreck me に変えようと思うんだけど。」 そうすると、全ての意味が違ってくる。たった一語が、全てを変えてしまう良い例だね。

SF:あなたは多くのスタジオ・セッションをこなしていますね。何か際立った事はありますか?

Mike:ぼくらが最初にFull moon feverをジェフ・リンと録音したとき、あれは自分にとって物凄いことだった。何せ、あれは本当にぼくら三人,ぼく、トム,ジェフがぼくの家でやったんだから。ジェフ・リンは素晴らしいレコード製作者だ。色々な意味で大興奮だった。
 なんと言っても、バンドのエネルギーは、ある一定の型にはまってしまっていたし、ドラマーに関しても問題を抱えていた。インスピレーションのネタ切れみたいな感じもあった。スタジオでの録音では、インスパイアを得ようとしたり、どうにかしようとして色々トラブルもあった。
 この(FMFの)プロジェクトは最初、単に楽しみで始まったようなものだった。でも、ジェフが加わるようになると、彼は毎日ぼくの考えを吹っ飛ばしてしまった。とにかく彼と一緒にやるのは、エキサイティングだった。
 トムが来て、「OK、この曲だ」とか言うと、ジェフがおっぱじめる。ぼくはそれまであんなのは見たことがなかった。こう言うんだ。
 「OK, やることはこうだ。ドラム・マシーンを落とす。マイクロフォンを上げて、アコースティック・ギターを入れる。他のマイクロフォンを持ってきて,キーボード。OK, ベースはこんなのがいい。マイク、ちょっとこのギターを試してみて。ぼくはこのパートのバックグラウンドのアイディアを考えておくから…」
 かくして、5,6時間後にはレコードは出来上がっていた。それからぼくらは、椅子に座り込んで言うんだ。「一体どうっやてこれをやらかしたんだ?」
 ぼくらはスタジオに居ると、「OK、この曲はどうする?」とか言って、全員が演奏の準備をするんだ。そして色々苦心して、曲を落ち着かせる。普通は、ノリやスピリットをモノにしようとすると、どんどん悪い方向に行き、5人以上の人がいっぺんに演奏しようとする。この人(ジェフ)は、やってきた時からどのピースをどう組み合わせるべきなのかを分かっていて、ちょっとしたコツを得ている。
 バック・ボーカルをどうずらすとか、重ねるとかね。そして、短いメロディをあっちに、こっちに…。トムとぼくはそういうのを吸収して行った。すごく驚くべきことであり、エキサイティングな時間だった。まるで音楽大学か何かみたいだったな。

 ドラムスに関しては、ジェフが居ないときに、ぼくらがマイクをセットしてみた。そうしたら彼が来て、マイクをドラムスから離してしまい、ドラムスを部屋の角のほうに向けちゃうんだ。
 それでこう言う。「OK、こう録音するんだ。」はたして、こういう場合99パーセントは彼が正しい。ぼくらは言ったね。「イエス、サー。リン先生。」
 あれはレコード作りの一つの手法であって、唯一のものではない。最近のぼくらは、またバンドでライブ録音をやるのが好きになっているけど、ジェフからはアレンジや対旋律のことなど、あらゆることを学んだ。

SF:どういう経緯で、Sixth avenue heartache でプレイすることになったのですか?

Mike:T-ボーン・バーネット(the Wallflowersのアルバム,Bringing Down the Horseのプロデューサー)がある日電話してきて言ったんだ。「こういう曲があるんだけど、ギターを入れてくれるか?」
 ぼくは答えた。「今は、本当にスタジオに行って録音する時間が無いんだ。」そしたら彼は、「テープを送ったら、きみの家でオーバーダブしてもらえる?」と言うので、ぼくはOKした。
 それでバーネットがテープを送ってきて、そいつには、いくつかのリズムトラックに乗ったオープン・トラックが入っていた。ぼくはある日の午後、何時間かでギターを持ってきてつなぐと、幾つかのパートに、複数のオーバー・ダブをしていった。良さそうなのができたので、テープをバーネットに送り返した。ぼくは一度も(ウォールフラワーズの)連中には会わなかったよ。
 そうしたら、バーネットがぼくに電話をよこして言った。「やぁ、すごく良かったよ。」それで、あの曲がラジオで流れるようになった。

 この曲のあるギターのラインが、ほんとうに好きなんだ。すごくジョージ・ハリスンっぽいサウンドで。スタジオであのサウンドをモノにしたとき、すごく誇りに感じたよ。バーネットたちがあれを採用してくれたのが、とても嬉しかった。
 可笑しいのは、その後なんだ。ぼくはジョージに偶然会って ― ジョージっていうのは、本当に気まぐれで、シニカルな人なんだけど、ぼくを見て、クスクス笑いながらこう言ったんだ。「やぁ、あの曲をラジオで聞いたよ。今度は、ぼくっぽくやる事にしたの?」

SF:あなたが作った曲の中で、とくにこれは、というお気に入りはありますか?

Mike:難しいな。最近のものに偏り勝ちになるけど。でも、Refugeeはいつもハッピーな気分になるな。たぶん、仕上げるのにすごく苦労したからだろう。もう、どうにも出来なくて、仕上がらないんじゃないかと思う時もあった。
 本当に何かを掴んだ瞬間が、この曲にはある。もし、どうしても一曲を選ばなきゃならないなら、最初にこの曲を選ぶな。

SF:ギター・プレイでのお気に入りはどうでしょう?

Mike:American Girl。これで本物の閃きを得た。あと、I need to knowとか。Boys of summer にもすごく良いギターがある。Can’t stop the sun っていう歌をやったんだけど、これのギターも凄く好きだな。

( Song Facts 2003/11/15 )


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