婚姻費用分担の調停についての調停委員の態度

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Last updated 2015.6.11mf

相談:調停員の態度

私は、32歳、夫は37歳、子どもは2人います。夫は酒を飲んで乱暴するので、私は子どもを連れ、家を出て実家に居ます。今、弁護士を依頼せずに自分で離婚調停をしています。もう3回調停をしました。
前回の調停では、夫は、「生活費も慰謝料も一銭も払わない」と言っていましたが、今回は、「月8万円を3年間支払う」と、言うようになりました。
婚姻費用の取り決めまで、どの位時間がかかりますか。
調停委員は、「婚姻費用なんて、おまけみたいなものですから、早く離婚の話を決めた方がいいですよ」と、言います。しかし、私としても、今は、「慰謝料」よりも、「生活費」の方が大切なので、「婚姻費用を先に決めて欲しい」と、言いました。
ところが、調停委員は、「ご主人は月8万円を3年間なら払うと言っているので、早ければ次回に離婚成立になるから、婚姻費用なんて決めなくてもいいんじゃないですか」と強く勧めてきます。
いっそ、離婚は取り下げて、婚姻費用の請求だけにした方が良いのでしょうか。もちろん離婚したくて調停を申立てしたのですが。
夫の言う金額はあまりにも人を馬鹿にした金額で、信用できないし、分割払いなんて、とても納得できません。
今月も来月も離婚が成立しなくて、なおかつ生活費ももらえないとなると、本当に生活に困ります。
婚姻費用計算機の入力の仕方が、うまくできないのです。すみませんが、教えて下さい。主人の給料は月50万円位、私は月16万円位です(いずれも手取、税込み年収は主人は700万円、私は220万円)。夫は再婚、私は、初婚で、私と夫の間に子供2人(3歳、5歳)がいます。 夫は、 自分の住んでいる住宅ローンを毎月8万円支払っていて、これが負担だそうです。

お答え:自分の利益を考える

離婚調停と婚姻費用分担の調停が、同時に係属した場合、家庭裁判所では、先に、婚姻費用の調停を成立させ、次に、離婚調停に入るのが普通です。婚姻費用分担調停がまとまらなければ(不調)、事件は審判に移行し、家庭裁判所が分担額を決めてくれます(家事事件手続法272条4項)。
そこで、調停の際に、相手に対し、給料明細書、源泉徴収票、預金通帳の写しなどを提出させれば、これは、審判でも利用でき、審判が早く進みます。

人間は、自分の利益を考えて行動します。調停委員も同じです。組織に属した人間は、組織における自己の利益、評価を追求しがちだからです。調停委員は、事件を早く、多く処理(解決)したがります。裁判所が事件が早く解決することを喜び、調停委員がそれに迎合するからです。
あなたも自分の利益のために行動し、納得できないなら妥協してはいけません。調停委員や相手方から提案があった場合や、説得されても、即答せず、「次回までに回答します」と答えてください。弁護士がいない場合は、特に大事なことです。
財産分与や慰謝料に納得できなければ、婚姻費用の分担だけ決めて、離婚しないことも一つの選択肢です。

婚姻費用分担の調停が不成立でも、4か月くらいで審判してもらえます。
婚姻費用は算定表に基づく婚姻費用計算機で計算して下さい。 婚姻費用支払い義務者が住んでいる家の 住宅ローンは、婚姻費用の計算に関係ありません。
相談者の場合、計算すると、認められる婚姻費用は13万円位です。
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