離婚と親権者指定の約束の効力

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2013.11.10mf
相談
私は、26歳、病院の事務員として働いています。子供は2歳です。
協議離婚したいと思っていたのですが、話し合いがつかず、調停申立をしようと思っています。
今年 4 月に夫が怒って「離婚だ」と 言ってから、私は、子供の親権をとるため 8 月から仕事につきました。別居はしてませんが、寝室はもちろん、食事や洗濯も別々です。そのとき、夫は、「離婚します。親権は妻に渡します」との同意書を書き、サインもしました。
最近、夫の方から、「婚姻生活が破綻しているとはいえないから、取消すことができる」と言ってきました。
私の場合、婚姻生活が破綻しているといえるのでしょうか。
この同意書は有効ですか。
もし有効でも、覆されることは考えられますか。
相談者は、電話で予約して弁護士会の法律相談を受けました。

回答
離婚をするには、過去に離婚について合意があったのではなく、離婚届をする際に離婚意思が必要です。親権者 指定には、過去に親権指定について合意があったのではなく、親権者の届出をする際に、親権の指定について夫婦の合意が必要です。
貴方の場合、それがありません。すなわち、夫婦で離婚届ができていないし、その中で親権者の指定ができません。離婚とか、親権者指定は夫婦で約束しても、その約束は単なる過去の合意であり、単なる情況証拠であり、そのままでは、効力を生じません。離婚とか、親権者指定は、届出という形式が必要な要式行為なのです。

相手が意思を翻すと、上記同意書は効力を発揮しません。改めて、裁判所に決めてもらうことになります。その際、同意書は、そのような「約束があったこと」の1つの証拠となります。
別居の場合は、婚姻生活の破綻は認定し易いです。同居夫婦の場合、裁判所は、細かな婚姻生活の状況を調べて、夫婦が本当に破綻しているかを判断します。離婚を認められれば、子供にとって父母のどちらに養育されるのが適当かで、裁判所は、親権者を指定するでしょう。仮に離婚になれば、子供が小さいですから、貴方(母親)が親権者に指定されるでしょう。

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