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Last updated 2013.8.29mf
弁護士河原崎弘

養育費を払わない元夫の子供との面接交渉を拒否したい

相談
3年前に弁護士に依頼し、夫とは、離婚し、私が子供(6歳)親権者になりました。家庭裁判所の調停では、「子供の面接交渉は、月2回、養育費は月額4万円」と取り決めました。
ところが、元夫は、初めの1年間は養育費を支払いましたが、その後は、再三催促しても、支払いません。それなのに、ときどき、子供には、お小遣いをあげたりして、子供に対しては、いい顔をしています。養育費を払わないのに、元夫は平気な顔で子供と面接しています。
私は、養育費はいらないので、もう元夫とは縁を切りたいです。
私は、子供を元夫に会わせなくてはいけないでしょうか。
相談者は、子供を連れて法律事務所を訪れ、弁護士のアドバイスを求めました。

弁護士のアドバイス
父親が養育費を支払わないことを理由に、面接交渉権を否定することは、通常は、無理でしょう。元夫には養育費の支払い義務があり、あなたには面接交渉に応じる義務があります。両者は、対価関係とか、引換え給付の関係にありません。
子どもの母親が、「養育費を払わない元夫の面接交渉の禁止」を求めた申立について、家庭裁判所 は認めませんでした。下に載せておきます。
他方、面接交渉が、子供にとって害がある場合は、拒否できます。子供が幼くて、母親と離れると情緒不安定になる場合には、 面接交渉を認めない審判例 もあります。

審判例
  1. 京都家裁昭47・9・19審判
    申立人(母)は、上記(1)、(2)の事実を主張して、相手方(父)の事件本人(子ども)に対する面接を全面的に禁止する旨求めるのであるが、相手方は過去を反省し、今後円満に事件本人に面接できる場合、事件本人に対し養育料として毎月12、000円程度の仕送をしてもよい旨言明しておるので、相手方の事件本人に対する面接を全面的に禁止することは相当でないと思料する。
    しかして、相手方は上記(第552号)調停成立後勤務の都合上、大阪府茨木市、兵庫県明石市、同県尼崎市と居所を転々し、現在は千葉県香取郡〇〇町の肩書住所に居住していること、事件本人は現在申立人の監護養育のもとに母子家庭の環境にも慣れ、平穏に通学(小学生)していること等を考慮し、春、夏、冬の各休暇中の適当な日時、場所において年3回当裁判所調査官鳥谷泰生の指示に従い相手方をして、事件本人に面接させるのを相当と考える
    ただ、相手方は、事件本人に面接するに際しては、真に父としての愛情を以つて臨み、申立人および事件本人の生活の平穏、福祉を害しないよう慎重に行動すべきであり、(酒気を帯び、暴言を弄するごときは絶対に不可)、申立人は、相手方において慎重な行動をとる限り、寛容を以て臨み事件本人をして「自分にも親切な父があるのだ」との幸福感を抱かせるよう配慮することが必要であり、当事者双方は、事件本人の福祉のため従来のような感情的対立を解消させるよう努力すべきである。
    以上により、当庁昭和43年(家イ)第552号親権者変更申立事件の調停成立調書中第二項の(1)(申立要旨(2)の(イ)を主文のとおり変更するのを相当と認め、主文のとおり審判する。
登録 2004.5.14