弁護士(ホーム)弁護士による交通事故の法律相談 > 交通事故で脳挫傷を負った場合の後遺症認定
Last update 2015.4.3mf

交通事故で脳挫傷を負った場合の後遺症認定

弁護士河原崎弘
質問
祖父が、昨年 9 月 13 日、自転車で走行中、暴走車に跳ねられ、左脳後ろ半分を挫傷により失い、現在、寝たきりの生活をしています。
加害者が加入していた保険会社と交渉をしているのですが、本年 3 月末にて症状固定を保険会社と同意しました。しかし、 6 月 9 日現在、未だ後遺症の等級が決まっていません。
  1. 後遺症認定に、 そんなに時間がかかるものなのでしょうか。
  2. 親の話では、主治医が面倒そうに対応しているとのこと。また、「もう病院へは来るな」と云われたそうです。
    別の病院で後遺症認定を受けることは可能なのでしょうか。 横浜、東京等の大病院へ移りたいとも思っています。
  3. さらに、町の開業医でも認定は可能でしょうか。
  4. 後遺症の等級が決まらないと慰謝料の算出ができないのでしょうか。
  5. 脳に傷を受けたため、本人の意思表明は不可能なのですが、弁護士は依頼を引き受けてくれますか。また、その方法は何かありますか。
回答
  1. 交通事故 の後遺症の認定は、軽いけがでも 2、3か月かかっています。脳に関する後遺症の場合は、通常、事故後6か月経過してから診断します。しかし、事故後9か月経過しても後遺症認定がされないのは、何か理由があるでしょう。
  2. 通常、後遺症は、病院で後遺症の診断書などを書いてもらい、それを保険会社に提出し、保険会社は 損害保険料率算出機構 (東京都千代田区神田錦町 1-9:TEL 03-3233-4141 )に提出し、損害保険料率算出機構が調査し、その調査結果に基づいて、保険会社が判定します。その間、レントゲン写真などを病院から借りて、損害保険料率算出機構に調査をしてもらいます。
    もし、現在の病院の診断書が不満であれば、その点を医師に言って下さい。それでも、納得のいく、診断書を書いてくれないなら、別の病院で診断してもらってください。
  3. 町の開業医で診断してもらってもいいですが、病院の診断書と、開業医の診断書の、どちらを信頼するかの問題となります。
  4. 後遺症の等級 が決まらないと、慰藉料金額は計算できません。しかし、等級は必ず決まります。
    等級認定に不服がある場合は、できる限り保険会社から認定理由、損害保険料率算出機構から調査結果を聴いて下さい。そして保険会社に対して異議申立てをして下さい。
    異議申立に際して、別の病院の診断書、病院での再検査の結果、刑事記録の写などを添付すると効果的です。
    保険会社の査定が8級であったが、工夫を重ね努力して、裁判の結果 4 級となった 脳外傷の裁判記録 があります。大変参考になります。
  5. 本人が意思を表明できなくとも、便宜上親族が委任状を書いて弁護士に委任したらどうでしょう。
    保険会社が、それにクレームを出した場合は、正式に家庭裁判所で後見開始の審判(民法 7 条)を受け、親族の中から成年後見人を選定(民法 843 条)してもらい、後見人が弁護士を依頼する方法があります。
ご質問の様子だけからでは正確に判断できませんが、本件は、後遺症の等級表別表第1の第 1 級ないし第2級に該当するでしょう。将来の介護費用、後遺症による休業損害( 得べかりし利益 )を含めると、損害は、死亡事故より、高額になります。そのため、慎重に示談すべきでしょう。
登録 July. 21, 1998
東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 03-3431-7161