債務者が破産した場合の相続人、保証人の責任

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2015.7.9mf
弁護士河原崎弘

相談:過大な債務

実は、私の兄が、不動産取引で失敗し、経営していた会社が倒産し、1億5000万円(銀行、信用組合、信用保証協会、サラ金からの借金の合計)の借金が残ってしまいました。
母が借金の連帯保証人にはなっています。
当初は、兄が自己破産をしようとしたのですが、母が保証人であるため、自己破産できず、なんとか、母と兄で返済していくということになりました。
しかし、1億5000万円もの金額を返済していくことは不可能に近い状態です。でも、銀行や信用組合、信用保証協会、サラ金に、月々少しずつでも分割返済していくことで、今のところ、話し合いがつきつつあります。自宅の土地、建物など全て抵当に入っています。この土地、建物などの合計価値は1億5000万円にはならず、せいぜい、6000万円位です。
このような状態で、もし、母が死亡し、兄が返済不可能となった場合(自己破産または本人の死亡)、借金の返済をどのようにしていったらよいのでしょうか。私にも返済義務が生じていくのでしょうか。そういう話があるということを、この前、知人から聞きました。
家族構成は母(59才)、兄(36歳で、妻、子ども2人がいます)、姉(嫁いでいます)、私、弟です。私と弟は、母とは別に暮らしています。
相談者は、母親と一緒に法律事務所を訪れ、弁護士に相談しました。

回答

債務者死亡の場合は債務の承継を阻止:相続放棄:

お母さんが亡くなった場合、法定相続人が債務を相続します。あなたも債務を相続します。
これを阻止するには、相続放棄ないし限定承認 を3か 月以内(民法915条1項)にする兄さんが亡くなった場合は、法定相続人であるお兄さんの妻と子どもが債務を相続します。これを阻止するには、相続放棄ないし限定承認を、同様に3か月以内にする必要があります。

お兄さんの妻と子どもが相続放棄した場合は、お母さんが債務を相続し、お母さんがその時点で死亡している場合は(あるいは相続放棄した場合は)、あなたを含めお兄さんの兄弟、すなわち、あなた、姉、弟の3人が債務を相続します。債務の相続を阻止するには、あなた方も相続放棄をする必要があります。

今のうちに債務の効力をなくす:自己破産:

不動産を処分しても9000万円の債務が残ります。この金額は大き過ぎます。任意整理は無理と思います。今のうち(若いうちに)に、お母さんも、お兄さんも自己破産し、再出発することをお勧めします。

主たる債務者であるお兄さんと、保証人であるお母さんが自己破産して(免責決定を受ければ)、債務を免れることができます。保証人は免責されませんが、あなたが、保証人になっていなければ、責任を負うことはありません。
登録 Feb. 22,1998
港区虎ノ門3丁目(神谷町駅1分)河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 03-3431-7161