無理解な依頼人/弁護士にとって危険な依頼人
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2013.3.20mf
最近は、パソコンを使ったメールが便利です。弁護士も、依頼人が作成した文書ファイルを基に訴状、答弁書、準備書面 を作ることが多いです。元々、具体的争いの内容は依頼人が詳しいのですから、この方法は合理的です。
しかし、弁護士が手抜きのため、依頼人に手伝わせて、書類を作らせていると感じる依頼人が、結構、います。特に、弁護士が、「概略を書いたファイルをメールで送って下さい」と言った場合に、その危険があります。
この結果、
よくある例は、事件が終了した段階で、 報酬を減額させる目的、あるいは、報酬支払いを拒否する目的で、依頼人は、このような(書類を弁護士ではなく、自分で作ったと)主張をします。このような依頼者は、個人の依頼人の場合が多いです。
弁護士としては、当初から、わかっていれば事件の依頼を受けるべきか慎重に判断すべきでしょう。対策は、次の通りです。
- 最初の原案(ドラフト)は弁護士側で作成する。
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依頼を受ける際に、「弁護士は事実を知らないので、事実については、依頼人に教えて戴きます。それを基に弁護士は法律的な判断をして書類を作るのです。裁判は、依頼人と弁護士の共同作業なのです。弁護士だけでは裁判はできないのです」との説明を十分する必要があります。
さらに、当初の委任契約書の中に特約として次の文章を入れる必要があります。
「依頼人は、裁判上の書類作成には、依頼人の協力が必要であることを理解した。依頼人は、文書を作成し、訂正するなどして、弁護士に協力する」
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事件処理の途中で、依頼人が、「お金を払って弁護士に仕事を頼んだのに、弁護士は私たちに手伝わせている」等と言って、
依頼者がこのような不満を
持っていることがわかった場合は、要注意です。このような書類作成方法を止めた方が無難です。
弁護士は、毎回、依頼者から面談で事情聴取し、弁護士ないし事務所員が直接書類作成した方が無難です。後から、出てくるクレームの源をできるだけ小さくできるからです。さらに、一旦、依頼人がこのような不信感を持つと、その解消は難しいです。それは、徐々に高まり、発展し、大きなトラブルになる危険があります。
弁護士は、
後から出てくる苦情、トラブルに巻き込まれ、時間を無駄にすることを考えたら、若干、事前に、注意すべきです。要するに、依頼者の苦情を事前に予防すべきです。
2005.7.8
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