担保提供(物上保証)して、保証人になった場合の責任

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2013.4.13更新 mf
相談
親戚の叔父さんは商売をしています。その叔父さんの頼みで、私の父と母が不動産(畑など)を担保に提供し、叔父の保証人になりました。その後、私の弟夫婦が親と同居して新築の家を建てました。その家も 公庫と銀行のローンの担保になっています。その後 その叔父の商売がうまくいかずに返済が遅れだしたとき、新築の家が追加担保にされてしまいました。最初のとき追加担保の用紙に印鑑を押したらしいのです。
叔父の商売はもう駄目らしく、競売手続きがとられました。
叔父の債務は約 7000万円あるそうです。父親は2年前に亡くなりましたが 私も弟も財産放棄の手続きをしませんでした。私は結婚していますが、このまま不動産が競売にかけられた場合、債務が残ったりしたときに 母や弟、私にはどのようなことがあるのでしょうか。 
実家の土地、建物(約 6000万円)が競売されても、約 1000 万円の債務が残ると思うのです。
相談者は、奥さんを伴って、弁護士事務所を訪れました。

回答
【物上保証の場合】
あなたの父母が自分の所有する不動産(土地や建物)に抵当権を設定し、担保提供しただけ(物上保証)なら、担保となっている土地や家は、競売されますが、担保提供した人(物上保証人)にはそれ以上の責任を問われません。債務者本人は残債務につき責任を負います。
競売されて債務が支払われた場合、物上保証人は、債務者本人に対して求償できます。保証人や担保提供者(物上保証人)が複数いる場合、負担部分(原則として債務を保証人等の数で割った額)を他の保証人等に求償できます。

【保証人の場合】
しかし、あなたの父母が、担保提供しただけでなく、保証人となっている場合(保証人として捺印した場合)は別です。
あなたの父母は、債務者本人と同じく、7000 万円の全債務につき責任を負います。担保物件が競売され、債務が残った場合も、残りに 1000 万円の債務につき責任を負います。 従って、あなた(保証人である父の相続人として責任あり)、母(保証人としての責任および父の相続人として責任あり)、弟(保証人である父の相続人として責任あり)が 相続放棄 をしないと、債務を相続 し、責任を負うことになります。
相続放棄は、相続開始があり、自己が相続人であることを知ってから3か月以内にする必要があります。父が亡くなってから2年経過していますので、今から、相続放棄はできません。
その場合は、あなた方(母、相談者、弟)は土地、建物を失うことになります。しかし、自己破産して再出発をする方法があります。

【包括根保証の場合】
父と母は、銀行と叔父さんとの間の継続的な契約から発生する一切の債務を保証する 包括根保証 をしています。これは、責任が過酷だとして、包括根保証人側から、解約(告知)したりする権利など、包括根保証人の責任を制限することが認められています。自己破産がどうしてもいやな場合は、あなた方の責任が限定される例に当たらないか、検討する必要があります。
登録 June 21,2001
保証の種類と保証人の責任