Menu文芸・フリートークポン助の小屋ポン助の小屋の中

                       小 屋 の 中     wpeF.jpg (21241 バイト)                  wpe74.jpg (12510 バイト)

        「 枝折にねだってよう、オレの小屋を作ってもらったぜ!ま、小さいけどよ、自分の小屋って、いいよな!」              

   house5.114.2.jpg (1340 バイト)      wpe4D.jpg (24779 バイト)   wpe86.jpg (6318 バイト)   db3542.jpg (1701 バイト)     house5.114.2.jpg (1340 バイト)

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                      担当 :  ポン助

     db3542.jpg (1701 バイト)      INDEX                   wpe86.jpg (6318 バイト)   h4.log1.825.jpg (1314 バイト) house5.114.2.jpg (1340 バイト)  

    カラスの行水
 

 
ガイア21の打ち上げ
 
 2000・秋G1

     天皇賞的中

  wpe5.jpg (23017 バイト)
1999.秋G1
 
   
阪神3歳牝馬S

  wpe5.jpg (38338 バイト) wpe49.jpg (1184 バイト) wpeA6.jpg (14454 バイト)
      ポン助
 
ベンチから落ちる


house5.114.2.jpg (1340 バイト) wpe5.jpg (38338 バイト)
 マチコの訓示
 

wpe5.jpg (38338 バイト) wpe89.jpg (15483 バイト)
 ポン助の“銀ヤグラ”


  wpeF.jpg (21241 バイト) 
ミミちゃん、ポン助の
 
    小屋に見とれる!

 
wpe89.jpg (15483 バイト)
 お正月・初顔合わせ

 

 

                                                                           (1999.2.21)

  ミミちゃん、ポン助の小屋に見とれる!!

      wpe89.jpg (15483 バイト) wpe36.jpg (986 バイト)  wpe37.jpg (962 バイト)  wpe38.jpg (10224 バイト)   

 

 ポン助が小屋の外へ出ると、兎のミミが小屋の方をじっと見ていた。

「おう、ミミ、なんか用か?」

「うん...ポン助の小屋を見に来たの。カッコいいわね」

「おう ...そうだろう。自分の小屋はいいよな。おまえも、マチコに作ってもらえ」

「そうする。もっとカッコいいの作ってもらうの」

「ま、中へ入ってみな」

 ポン助は、先に入ってミミを小屋に入れた。中は、土間があり、畳が敷いてあり、

座卓が1つと将棋盤があった。奥の方に台所がある。

「ところでよう、ミミ...」

「なに?」

 ミミは、ちょこんと座り、ポン助を見ていた。

「マチコはワインをいっぱい持ってるだろう?」

「うん」

「1本持ってこい」

「ヤダもん。マチコに怒られるもん」

 ポン助は台所へ行った。洗って、葉っぱを取ったニンジン1本を持ってきた。

「これをやるからよう」

 ミミはニンジンを受け取った。

「......」

「じゃあ、よう...」

 ポン助は、また台所へ行った。今度は、キャベツを両手で抱えてきた。

「これもやるからよう」

「持ってくる、」

 ミミは小屋から出ていった。じきに、ボトルを1本持って帰ってきた。

「ミミ、こりゃよう、ブランディーじゃねえか!」ポン助は、ブランディーを将棋盤の上に

置いた。「カミュだぜ、おい、」

「ダメなの?」

「いや、いいけどよ...」

 ポン助は栓抜きを持ってきて、コルクの栓をゆっくりと抜いた。盃を将棋盤の上に

持ってきて、ブランディーを注いだ。

「ミミ、おめえも呑むか?」

 ミミは、将棋盤に向かって座り、黙って首を振った。そして、ポン助がブランディーを

呑むのを見ていた。

「おめえ、ニンジンを食え」

「いいもん。あとで食うもん」

「ま、いいけどよ...」ポン助は、もう一度、グイッ、とブランディーをあおった。「ふー

っ、最高のブランディーだぜ...おい、ミミ、おめえ、1曲歌えや」

「ヤダもん」

 ミミは、ニンジンをキャベツの上に置いた。

 ポン助は、今度はゆっくりとブランディーを口に含み、盃を飲み干した。そして、天

井を見上げた。

「ミミ、じゃあ、おめえ、酌をしろ」

「うん」

 ミミは、大きなブランディーのボトルを両手で抱え、盃に注いだ。

「こぼすな!」

「うん...」

 

                                                         (1999.4.30)

  wpe5.jpg (38338 バイト)  ポン助、ベンチから落ちる  wpe14.jpg (31298 バイト)house5.114.2.jpg (1340 バイト)

    house5.114.2.jpg (1340 バイト)       house5.114.2.jpg (1340 バイト)       wpe10.jpg (41811 バイト)            house5.114.2.jpg (1340 バイト)    

                

 ポン助は、ふと目を覚ました。春の夕日が、西の樹木の枝で赤く輝いていた。

酔っ払って、ベンチの上で眠ったらしかった。ポン助は、ゆっくりと体を起こした。両

手で目をこすった。むこうの芝生のタンポポが、赤く反射し、目に眩しかった。

  すると、その芝生の上を、招き猫のタマがとぼとぼと歩いてきた。元気がない。

体がフラついていた。タマは、とうとうフラリとつまずいて転んだ。

「ホーイ!ポーズ!」ポン助がパンと手を打った。

 タマは、サッと後ろ足で立ち、右手を上げた。が、あわてて、左手に変えた。その

時、チャリンと小判を落とした。

「ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ、ウヒャッ、ヒャッ、ヒャッ、」ポン助は、腹を叩いて笑らい転げ

た。さらに腹ばいになってベンチを叩いた。

「...フン、なんじゃ...ポン狸か、」タマは、小判を拾いながら、ボソリと言った。

 ポン助はまだ笑い転げていた。が、腹がコロリと回り、頭からゴンと下に落ちた。

「う〜ん...」ポン助は、両手で頭を押さえた。

「アホ狸め、」タマは、ひょいと、ベンチの上にのった。「昼間から、酒なんぞ呑んど

るせいじゃ!」

「ところでよう、タマ...」ポン助は、ベンチの上に這い上がりながら言った。

「なんじゃい?」

「その小判はよう...本物なんか?」

「わしも知らん。こりゃ、商売道具じゃ」

「ふーん...」

「ここのところ、あんまり信用がなくてのう...」

「商売かよう?」

「ああ...New Office もそうだが、競馬もなあ、」

「競馬なんか、気にすることないよな」

  支折が、公園の外の道を歩いてくるのが見えた。

「ポンちゃん、」枝折が、ベンチの方を見て声をかけた。「オフィスへ帰るわよ」

「おう」ポン助は、頭のコブに手をやりながら、ベンチから降りた。「それじゃあよう、

タマ、」

「ああ...」

 

                                                         2003.8.4

  カラスの行水  wpe4D.jpg (24779 バイト)  

                                                                

     wpe86.jpg (6318 バイト)   wpe89.jpg (15483 バイト)   db3542.jpg (1701 バイト)  

    <ブラッキー>         <ポン助><ミミちゃん>                                 <P公>

 

「フウー...いい湯じゃったのう...」タマが風呂から上がり、首にタオルをかけて

歩いてきた。招き猫の姿ではなく、本来の茶色の毛並みの猫になっていた。「ミミ、お

めえも入ってこいや...」

「あたしは、いいもん!」ミミちゃんは、木のテーブルで、ビールを飲みながら言った。

「汗が引いて、気持ちいいぞ、」

「汗は、かいてないもん!」

「そうかい...」

  タマは、タオルを使いながら、長椅子の方へ足を向けた。将棋盤をずらし、長椅子

の端に腰掛けた。

「おい、P公...」タマが言った。

「なに?」

「その団扇(うちわ)を貸してくれるか、」

「うん、いいよ...」

  P公は、自分の持っている団扇を渡した。 そして、木のテーブルに戻り、氷アイス

を食べた。タマは、団扇でパタパタと顔をあおいだ。川向こうの、黒い山の稜線を眺

めた。手前には、ポン助のトウモロコシ畑とサツマイモ畑があり、星明かり照らされて

いた。

  ポン助が、冷やしたジョッキを取り出し、ビールを注いだ。それを、ミミちゃんがタマ

の所へ持って行った。ジョッキを、将棋盤の上に置いた。

「おう、ありがとうよ、」

  それから、ミミちゃんは、枝豆の皿も持って行った。

          wpe5.jpg (38338 バイト)

                             <スッピンのタマ>      <招き猫に変身したタマ>

  タマは、ビールのジョッキを取った。将棋盤に、濡れたジョッキの跡が出来た。ビー

ルを飲むとキリキリと冷たかった。タマは、ビールを飲みながら、スッピンの茶色の

毛を、丁寧にタオルで拭いた。

「月が昇って来たのう...」タマが言った。

「地球から見る月の方がいいよな...」ポン助が言った。

「ポンちゃんは、宇宙のミッション・スペシャリストだものね...」ミミちゃんが、ビール

のジョッキを両手で抱えながら言った。「宇宙から見る月は、どうなの?」

「変らないよな...よく見えるけどよ、変化がないよな...地球からだと、山の上に

出たり、雲に隠れたりするよな...」

「大気を通してみないと、面白味がないかのう...」タマが言った。

「おう...俳句も出来ないぞ、」

「ふーむ...」タマが、シッポをタオルで拭きながら、うなづいた。

  茶色の毛が、ふわりと乾くと、タマは長椅子の上にチョンと立った。そして、クルリ

と回って飛び降り、招き猫に変身した。みんながはやし、パチパチと手を叩いた。

 

            wpe86.jpg (6318 バイト)   wpe4F.jpg (16599 バイト)    

「ようやく...」タマは、ビールのジョッキを手に取った。天空の、深い天の川銀河を

見上げた。「今年も、夏になったのう...」

「やっと、夏が来たよな...」ポン助も、日中の蒸し暑さの去った、山のシルエットを

眺めた。高原の、真夏の夜が澄み渡り、星が降るような夜空だった。

  ポン助は、寿司を1つ口に放り込み、もぐもぐやった。それから、冷えた剣菱をす

すった。片手で団扇を使い、もう一口酒をすすった。

「酒が、うまいよな...」ポン助が言った。

「うーむ...」タマも、ビールのジョッキを上げた。

「お、ブラッキーが来たぞ...」ポン助が、手を上げた。「おーい!」

「おう!」ブラッキーは、タバコの煙をプカリと吹かした。「夜は、あまり、出歩かねえ

んだがな...」

「夏の夜は、いいよな、」ポン助が言った。

「おめえらは夜行性だ。おれは、お天道様の下で生きてるんだぜ、」

「あたしは、夜も昼もいいもん!」ミミちゃんが言った。

「夜も、いいもんじゃろうが、」タマが言った。

「うーむ...しかし、今日は、ほんとに暑かったぜ...」

「汗を流すといいよな、」ポン助が言った。「たらいもあるぞ、」

「おう、そうかい。じゃあ、久しぶりに、水浴びするか...」

             

  ブラッキーは、たらいに半分ほど水を張った。そして、タバコを吹かしながら、しば

らくためらっていた。それから、ようやく片足を入れ、また引っ込めた。そのむこうのスス

スキの草むらで、蛍が光っていた。 

「水が、怖いのかよ?」ポン助が言った。

「そんなわけねえだろうが...」

  ブラッキーは、ようやくたらいの中に両足を入れた。そして、まだためらっていた

が、脚をを縮め、羽をカサカサと二、三度ゆらした。

「...フウーッ...」ブラッキーが、一息ついた。

「そ、それだけかよ?」

「...」

  ブラッキーは、またためらっていたが、もう一度、カサカサと羽で水をかいいた。

「ギャッハハハハッ」ポン助が、ドン、ドン、ドン、とテーブルを叩いた。

「うるせえ!」ブラッキーは、もう一度、カサ、カサ、と小さく羽で水をかいた。

「ウヒャッ、ヒャッ、ヒャッ、ウヒャッ、ヒャッ、ヒャッ、」ポン助は、腹を叩き、ひっくり返っ

て笑い転げた。

「ワッハッハッ...」タマも、腹をゆすって笑った。「それが、“カラスの行水”ってもん

かのう、」

  ミミちゃんも、P公も、一緒に笑った。

「や、やかましいぜ!」ブラッキーが言った。

  ブラッキーは、たらいから出ると、ブルブルと体を震わせ、羽の水を切った。それか

ら、神経質なしぐさで、嘴(くちばし)で自分の羽を突付いた。

           

  ミミちゃんが、ブラッキーのために、冷えたジョッキを取り出し、ビールを注いだ。

「はい、ブラッキー、」

「お、おう、ありがとうよ、」

「ビールは、いくらでもあるわよ!」ミミちゃんが言った。

「そ、そうかい、」

  ブラッキーは、タバコをくわえ、カチ、とライターで火をつけた。タバコに火をつける

と、フイにいつものブラッキーに戻った。そして、豪快に、泡の盛り上がったビールの

ジョッキをあおった。

「おう、ポン公!」ブラッキーが言った。「静かだし...案外、いい所じゃねえか!」

「夏はいいよな、」ポン助は、タオルで体を叩きながら言った。「トウモロコシやキュウ

リも作ってるぞ。サツマイモ畑もあるしよ...秋になったら、そのイモで、石焼きイモ

を売りに行くよな、」

「うーむ...」ブラッキーは、ゴクリ、ゴクリ、とビールをあおった。「おれも、別荘が欲

しいぜ...」

「ブラッキーの家は、どこなの?」P公が聞いた。

「おう...航空宇宙基地“赤い稲妻”の、ヘリ運用部に待機室があるぜ」

「ふーん...今度、遊びに行ってもいい?」

「おう、いいとも。いつでも来な」

「うん!」

  ススキの草むらが、夜風で大きく揺れた。すると、無数の蛍の光が、サーッ、と風

に流れて行った。

             

 

 



 

  毛布・シュラフ・テント