債務者が不動産を売って弁済する場合の貸金債権者の法的立場

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Last updated 2011.5.11mf
弁護士河原崎弘
相談
私も貸金債権を持っています。証拠の電話会話を録音することもできました。
相手は、「今マンションを売るんだが、それに抵当権が付いているので、その債権者との話し合いがついたら、あと 1 月位で、返済する」と言っています。
マンションを売るという話は先月から決まっていたそうです。どうして、そう時間がかかるのかと思ってしまいます。昨日もそのマンションの関係で人と会っていたようです。
これまでのことがあるので、「嘘かな」とも感じます。 抵当権付き不動産を売るのは、そんなに難しいのですか。 どうして債権者との話で時間がかかるのでしょうか。それとも不動産の売買は非常に時間のかかるものなのでしょうか。このまま待っていて大丈夫ですか。

お答え
録音で、貸金である証拠は確保できましたね。次は、回収の実行です。不動産には、大抵、抵当権が付いています。抵当権には優先権がありますので、抵当権付きの家を売る場合、売買契約の決済のときに抵当権者に立ち会ってもらって、代金の中から抵当権者に弁済し、抵当権を抹消してもらうのです。特に時間がかかることはありません。
問題は、家の売買価格より抵当債務が多い場合です。この場合は、売買に際し、抵当権の登記の抹消が必要なので、(一部の弁済で抵当権を抹消してもらう)抵当権者の同意が必要です。そのため、簡単には売れないうえ、代金は全て抵当権者に行き、あなたには弁済されません。 本件は、彼の言い訳のような印象を受けました。
相手が不動産とか、預金を持っているなら、今すぐ仮差押えをするとよいでしょう。仮差押えには優先的効力はありませんが、相手は財産を売るなどの処分ができなくなります。仮差押えには目的物件の1割、あるいは、請求額の 2 割くらいの保証金を供託する必要があります。
登録 Aug. 2, 1998