ドルで借りたお金を円で返済できますか

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Last update 2015.3.24mf
弁護士河原崎弘

相談:ドルでの借金

私は、アメリカ留学中に自動車事故を起こし、その損害賠償金を支払うために友人(日本人)から 1200 ドル借りました。借用書も発行しました。当時は 1 ドル 128 円でした。
私は、その後、日本に帰国し、2 年後に友人(貸主)も帰国しました。
最近、貸主から残金 1000 ドルを当時のレート(1 ドル 128 円)で 128 万円を返すように請求されました。
現在、1 ドルは 107 円です。私は、現在の相場で 1000 ドルを円に換算し、 107 万円返してもいいのでしょうか。それとも、128 万円返さなくてはいけないのでしょうか。
相談者は、弁護士に相談しました。

回答:借主は、返済時の為替相場で、円通貨で返済できる


外国通貨で表示された債務については、債務者は履行地に於ける為替相場により日本の通貨で弁済できます。ドルで借りた場合、借主は、借りたときではなく、返済するときの為替相場で、円で返済することもできます(民法403条)。
従って、あなたは、1000 ドルで返済するか、現在の為替相場で 107 万円返済すれば足ります。

関連質問

アメリカ留学中に、友人に車を貸したところ、友人が事故を起こし、修理代に8000ドルかかりました。
友人は、逃げていて、修理代を払いません。4年たち2人とも日本に帰国しました。私は、自分で裁判しようと考えています。8000ドルは、ドルの価値が下がりました。私は、8000ドル請求できませんか。

回答

損害賠償は、原則として、金銭ですることになっています(民法417条)。この場合の金銭とは、日本の通貨を指します(大審院明治39年2月19日判決)。そのため、訴状では、8000ドルを円に換算し、円で、請求にする必要があります。

関連質問2

私は、アメリカに留学中に、付き合っていた彼(日本人)に、借用書なしでお金を貸してしまいました。総額にして、$16,000です。
でも、彼は一向に返す気配がないと言うか、良いように解釈をすれば、一括返済をしようと思っていたらしいけど、それを待っていたら、いつになるか分からないので、去年の夏、私が彼の所に行きました。月々返済できる額を聞き、振り込んでもらっていました。
そんな彼も7月ぐらいに結婚をするらしく、私には、「お金がない」と、言いながらも、彼が結婚式をあげると聞きました。私は、「そんなお金があるのなら、まず、全額返して欲しいし、あなたが結婚をしてからは、かかわりを持ちたくない」と、彼に言いました。ところが、彼から、「できることと、できないことがある」と、言われてしまいました。でも、彼は、「月々絶対に返済をする」と、言うので、「それだけの自信があるのなら、まず、親に立て替えてもらって月々親に返せばいいでしょう」などの言い合いの結果、ぜんぜん話にならなくなってしまいました。
私が、彼の親に言ったところ、それが気に食わないのか、親には秘密にしていたかったらしく、開き直ってきて、「お金なんか借りてないよ」と、言い出しそうな状況になりました。今、やっと、どうにかこうにか残金$10,000の借金は認めています。

私としては、10,000 ドルを返してもらえれば、別に、何も言うことはないのですが・・・
今は、1 ドル 95 円ですが、当時のレートは 1 ドル約 85 円でした。
もし、なんだかんだと、話がややこしくなってきたら、「円で返すなら当時のレートで返して欲しい」と言えるのでしょうか?
利息は請求できますか?
あと、私たちは離れているので話が思うようにスムーズにいかないのですが、彼を呼びつけることはできるのでしょうか?

回答

第三者にとってわかり難い質問です。他人に読ませる文章は、わかり易く書いて下さい。
返済の話をする際は書類を残すべきでした。当時なら相手は借用書を書いたでしょう。
借用書がない場合 は、感情に走ってはいけません。冷静に相手の様子を見ながら借用書を書かせる機会を探すのです。言い合いをする前に 借用書 あるいは 金銭消費貸借契約書 などを書かせ、証拠を確保をすることが必要でした。
利息は約束がなければ請求できません。返済が期限に遅れた場合(期限がないときは、返済請求後は)、遅延損害金を請求できますが、この金利は、約束がない場合は、年5%です(民法419条1項、404条)。
ドルで貸した場合、相手(借主は)は、借りたときではなく、返済するときの為替相場で、円で返済することもできます(民法403条)。
裁判は、債権者(あなた)の住所地で起こすことができます。その意味では相手をあなたの住所地の裁判所に呼びつけることはできます。

法律

民法第403条
外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は、履行地における為替相場により、日本の通貨で弁済をすることができる

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