タイトル おしどり右京捕物車
放映年 1974年
放映話数 全26話
中村敦夫主演のカルト的異色時代劇。<北町の虎>と異名を持つ凄腕与力、神谷右京。凶賊の罠にはまり、半身不随となったが、そのハンデもなんのその。愛妻、はな(ジュディ・オング)の押す箱車に乗って悪を討つ

共演:前田吟、下条アトムほか

思い出の1本が本作。鞭を持って似合うのは右京と静玄太郎@アイアンキング

 木枯らし紋次郎こと中村敦夫さんはカルトな時代劇にご出演されている。本作と「江戸特捜指令」(76年)である。「江戸特捜指令」は最近時代劇専門チャンネルで放映されたが、変な面を被って出てくるところや、いつも大掛かりな仕掛けをするところなど、笑える要素満載。「地獄に堕ちて蛆虫になれ」という決め台詞もすごいし、どんな敵が出てきても素手で戦う竜雷太さんの立ち回りや、五十嵐淳子さんの笑えるくらい下手な殺陣も圧巻である(ゴールデンハーフのエバも出演)
 それより凄い一本が、これである。なにせ、主人公は半身不随。それがハンドメイド箱車に乗り、妻がそれを押して、走る、走る、走る。右京は、車の中から鞭を振い、ばっさ、ばっさと敵を討つ。右京はめちゃめちゃ強いが、弱点は妻、はな。<ああ〜>とばかりに倒れ伏し、哀れ右京も箱車とともに横倒し…それでも、どうにかこうにか敵をやっつけてしまうのだ。この作品を思い出そうとすると、浮かぶのは必死の形相で箱車を押すジュディ・オング@はなの姿と、ぴしぴしと鞭を振り回し、はなを怒鳴りつける中村敦夫@右京なのだ
 おそらく今の放送コードでは、こんな番組は制作できないだろう。地上波で再放送も難しいのではないか?だが、本作はハンディキャップをもろともせずに戦う姿勢を見せる男と、それを深い愛情で支える妻の純愛物語だ。愛があるからこそ、夫は妻に箱車を押させ、また妻は夫の戦いの場へと危険を承知で飛び込んでいく。究極の愛がこの作品の本当のテーマなんだろう
 この作品のタイトルはすべて漢字で一字。<鞭・炎・讐・妖・蹄・奪・忍・囲・妬・爆・変・簪・砲・殺・虜・闇・破・燃・眩・怨・怒・峠・穴・蠢・櫛・愛>さて、全部読めますか?(2002.8.31)