タイトル 岡っ引きどぶ
放映年 1991年
放映話数 全7話
柴田錬三郎原作の異色捕物帳。主演は永遠の青大将、田中邦衛。元は六十俵の宮仕えの身であったが、録を捨て岡っ引きに。仕込み刀の十手を手に、めっぽう腕が立ち、また人情にも厚い。スペシャルの後、レギュラーとして放映された

共演:中村橋之助、渡辺梓、樹木希林、地井武男

<北の国から>終わってしまいましたね。また、時代劇に出て下さい

 芸風が変わらない方である。青大将のまんま、何でもこなされる。そのくせ、いろいろな役をおやりになっている…不思議な方である(次元大介まで演じたのだ)
 本作は72年に30分もので山崎努さんが主演されていた。田中邦衛さんはこの<どぶ>をスペシャルで8本ほど(81年〜91年。本数は未確認)レギュラーとして7本制作された。盲目の与力、町小路の中村橋之助さんが推理担当で、どぶの田中さんは非常に腕の立つ岡っ引きで立ち回り担当(笑)仕込み十手を振りかざし、恰好良いの何の…そういえば「破れ新九郎」の時は、殺陣に金づちを使う大胆なものだったが(苦笑)どぶは、それこそ町方の旦那が一目置くほどの剣の腕。以前、武家だったということもあってか、貫録すら感じさせる、まことに王道をいく立ち回りである
 柴錬作品の主人公らしく、皆、どこかしら真直ぐな道を歩んでいない。三千石の旗本で、一刀流の達人でありながら、俸禄をお上に返上し北町の与力となった美剣士町小路左門(橋之助さん…あの髪形は似合わないなあ…きちんとした月代の方がお似合い)。武士を捨て、飲む・打つ・買うの放蕩三昧の岡っ引き、どぶ。義賊・鼠小僧次郎吉(眠狂四郎やオランダ左近でも主人公に盗人という組み合わせ…柴錬先生、好きなのか?)はどぶの侠気に惚れ、何かと手を貸す。個性的な主人公を、個性的な俳優が演じて、なかなか味わい深い
 田中邦衛さんの代名詞、青大将は今ならきっとモテモテだったろう。お金持ちで面白くって、センスもよく、意外と人もいい…朴念仁の若大将なんかより、なんぼも付きあって楽しいに違いない。青大将よ…君は時代が早すぎたのだ…。今なら、きっと<澄ちゃん>だって、君の魅力にイチコロ。時代を先取りした男だった