O157について

O-157

写真は「臨床と微生物」臨時増刊号(1996年12月)より。
大腸菌Escherichia coliは通性嫌気性のグラム陰性桿菌でヒトの結腸には10〜10個/mlの濃度で常在しているといわれます。このなかで抗原構造の違うO1〜O173が知られています(この数につては変動する可能性あり)。O157はその中の一種類で、激しい血便や下痢を起こします。
 O157でも鞭毛の抗原構造の違いによってH1〜H56に区別されますが、同じO157でも毒素を産生するものと、しないものがあります。大腸菌O157であっても,その約1/3は陰性であり非病原菌といわれています。問題になっているのはH7抗原のO157で、小児などは死に至ることもある強力な毒素(Vero毒素)を産生します。
一般に3〜7日の潜伏期をおいて激しい腹痛、下痢で発症します。患者の約5%で溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全の症状を伴って溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発します。
2001年1月、O157(大阪堺市の中毒原因菌)の全遺伝情報が解読されました(550万塩基対、5361個の遺伝子)。



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