北朝鮮平和のイベント

 当時、参議院議員だった猪木は北朝鮮の問題に興味を持ち、何か直接行動はできないものかと考えていた。
 一方で師である力道山の故郷という思いもあった。実は猪木はこのイベントの3年程前まで、力道山が北朝鮮の出身であることを知らなかったという。新聞で力道山の娘が北朝鮮にいるということを知って驚いた。力道山は、自分が北朝鮮出身であることを隠していたが、言われてみれば思い当たる節もあり、資料を集めて見るうちに、力道山の思いを理解し、北朝鮮訪問の気持ちが強くなった。
 そして平壌において「平和のための平壌国際スポーツ・文化祭典」の開催に至り、38万人の観衆を動員する未曾有のビッグ・イベントとなった。
 猪木はリック・フレアーと対戦し、予想外の名勝負を展開した。また立会人としてモハメッド・アリも参加。パーキンソン病の悪化で、歩行もままならないと伝えられていたアリが元気な姿を見せた。