東京都知事選出馬と撤回

 既成政党による候補者選びの内紛に腹を立てた猪木が出馬を決意する。その裏には以前、アリとの試合を「NHKで取り上げるまでもない茶番劇」とコメントした当時のNHKアナウンサーだった磯村尚徳氏が立候補していたという因縁がある。
 しかし、猪木は再度イラクを訪れた際に、空爆にあった市民が収容されている病院を訪れ、少女から「戦争をしないで」と直訴され、自分のなすべきことは都知事ではなく世界を相手にすることだと悟る。そんなとき、猪木を降ろすために自民党の小沢幹事長が27億の金を用意していると噂され、降りずにおりられず、迷っていた猪木に、故福田元首相が「君は国政の場で活躍すべき人」と助言。撤退を決意したといわれている。
 いろいろと騒がれたが、私は取り立てて騒ぐほどのことではないと思う。これは猪木流のパフォーマンスの一つで、猪木は常にファンをいい意味でも、悪い意味でも裏切ってきた。何をしでかすかわからないのが猪木の最大の魅力だ。いい意味では、ファンの想像もつかないことをやり、感動させる。悪い意味では、ファンを怒らせ、暴動騒ぎを起こしている。この都知事選騒動は、失敗パフォーマンスの一つに過ぎないと思う。