日本プロレス追放

 日本プロレスは、猪木を除名処分にして追放したと発表した。日プロ側の言い分は猪木が日本プロレスの乗っ取りを企てた。つまりクーデターを計画したというものであった。
 当時の日本プロレスの実体は、乱脈な経営で、一部フロントが会社を食い物にしているという腐敗した状態であった。それに不満を持った選手たちが集結。理想のプロレスを目指し、それを実現させる環境を作ろうということで意見が一致した。具体的には一部首脳陣の退陣を求め、選手も名目だけでなく実質的にフロントに参加するという計画であった。その音頭を取ったのが猪木である。
 しかし、計画は事前に会社に漏れ、猪木が首謀者として処分された。上田馬之助がフロントに密告したのが原因といわれている。この計画には当初、ジャイアント馬場も賛同していたが、結局、袂を分かち、務めていた選手会長を辞任、始末書を提出して、日本プロレスに残ることとなった。
 事の真相は不明だが、猪木が理想としたことと、猪木をとりまく人間の思惑がずれ、会社乗っ取りのような形になってしまったのではないかと思われる。当初、協力を得た馬場にも途中から状況報告をせず、猪木側が独自に行動していたということもあった。