入場料金はロイヤルリングサイド席30万円から2階指定席Eの5千円までの10種類。ロイヤルリングサイドは後援者や関係者に用意されたもので、一般には10万円の特リン席以下が発売された。
当時はプロレスのリングサイドが5千円、ボクシングの世界戦でも2万円で、破格の値段だったが、もちろん超満員となった。
当日はNETテレビ(テレビ朝日)が昼夜2度の放送。昼は午後1時から2時50分まで全国32局ネット、夜は午後7時30分から9時21分まで、ニューヨーク、ロスとの3元中継スタイルで放映。
視聴率は、昼の放送が平均46%、最高値が54.6%(13R)、夜は平均19%、最高で26.3%を記録。
アリのファイトマネーは610万ドル(18億3千万円)。一方、猪木のファイトマネーは200万ドル(6億円)。これに武道館の興行収入、放映料、クローズド・サーキットの入場料が新日プロの収入となり、アリのファイトマネーをペイできる見込みだった。
クローズド・サーキットは全米170ケ所を始め、全世界で行われたが、これが思わぬ不振で、新日が抱えた赤字は約10億といわれる。
武道館の猪木vsアリ戦と同時進行で全米各地で「格闘技オリンピック」と題したビックマッチが行われた。
ニューヨークのセンチュリー・シェア・スタジアムでは、ブルーノ・サンマルチノとスタン・ハンセンのWWWFヘビー級選手権試合(8分0秒、試合放棄でサンマルチノの勝利)、アンドレ・ザ・ジャイアントとチャック・ウエップナーの異種格闘技戦(3ラウンド1分52秒、アンドレのリングアウト勝ち)が行われ、3万人の観衆を集めた。
シカゴのインターナショナル・アンフィシアターでは、AWA世界タッグ選手権試合ディック・ザ・ブルーザー、クラッシャー・リソワスキー組対ブラックジャック・ランザ、ボビー・ダンカン組、AWA世界ヘビー級選手権試合バーン・ガニア対ニック・ボックウインクル戦が行われた。
テキサスのヒューストン・コロシアムではテリー・ファンク対ロッキー・ジョンソンのNWA世界ヘビー級選手権試合、ウイリエム・ルスカはロサンゼルスのオリンピック・オーデトリアムでドン・ファーゴと対戦。
アリはバンテージに石こうを注射して試合に臨んだといわれる。またセコンドにはピストルを持った男もいたといわれる。猪木サイドも底に鉄板の入ったシューズを用意していたが、結局は使用しなかった。
セコンドについていた坂口、小鉄、藤原は体を張ってでも猪木を守る覚悟だったという。もし、判定でどちらかが勝っていたら大惨事が起きていたかもしれない。まさに、極限状態での闘いだった。