風のささやき

父の日や君の描きし笑顔かな

子供らは遠き軒先夏休み

父の日や子は育ちおり授業見る

なまはげに怯え泣きべそ夏休み

夏休み始まる子らのはしゃぎぶり

昼空に泳ぎ果ててや鯉のぼり

絵日記が封じたままで夏休み

空腹に食は細らぬ鯉のぼり

垢じみて早三年目夏衣

木陰から木陰へ白の夏衣

空に咲く花かすませて浴衣人

浴衣着て君は彩る人の川

梅干せる祖母の背中の丸みかな

サイダーは一缶奪いあう四人

ソーダ水注いだ泡のやんちゃかな

今日もまた熱度下がらず夏氷

闇にとけおぼろ蚊遣の煙かな

扇風機肌蹴る熱は鎮まらず

風鈴はかくも冷やか君おらず

病む子泣く純に悲しげ夏蒲団

絵団扇や拍子とり舞う子の握る

匂う子を剥いて浴びせるシャワーかな

扇いでも風取りこぼし古団扇

尾を引いて風鈴売りの冷の音

日傘差す少女の遥か山を見る

バス停は白い日傘の花畑

誘蛾灯命の爆ぜる音止まぬ

田植まで水青く待つ田んぼかな

闇焦げる花火煙した名残にて

川面には流れ流れる花火なり

金魚売り自信ちらつく子供かな

髪上げてうなじ涼しく見る花火

一人見て寂しさの増す花火かな

風呂上り涼みて道草食うている

手花火の命短し怒れる子

硝煙の余韻酸っぱき花火かな

水遊びする子の尻の光りかな

遠花火気づく間も無く寝る子かな

子の登る岩の暑さやキャンピング

汗かきの痒み寝られぬ子をさする

いつの間に横に子供の昼寝顔

風吹くや汗も涼みの露天風呂

日焼して黒光る子や尻の白

日焼顔運動会の熱の跡

見るごとに日焼裸身の黒光り

絵日記は怒られて書く裸の子

一列に肩寄せ合って昼寝かな

川遊び生臭き手のまま昼寝の子

日暮れどき子を腕枕に端居する

工作に励む汗の子風を呼ぶ

汗匂う車内にシャンプー香るかな

汗疹には石鹸しみて泣く子かな

家の内外も変わらぬ襟に汗

気がつけばまた汗目に入る陽ざしかな