5568 5730 便宜的なもの。3%弱の違い。共有するデータは統一した計算方法で。暦年較正も5568として作成。半減期に何を採用しても暦年較正の結果は同じ。大気中の14C濃度の変化が20%近くに及ぶことからすると、半減期の多少の違いよりも暦年較正の方が本来の年代に近付く。14C濃度1%の違いは約80年に相当(半減期5568年で80.7年、5730年で83.1年)
本来は Before Present の略であり他の年代測定法ではその意味で使っているが、炭素年代の場合は、便宜的な年代尺度であるとの認識の下 Before Physics の略称と再規定された。しかし、炭素年代の専門家も Before Present の略と説明することが珍しくない
資料誤差またはぶれ(初期値の違い、汚染、資料調整) 計測誤差(計数誤差と機械誤差等の和)。測定値に付される誤差は計測誤差。原因の異なる複数の誤差は、それぞれの自乗を足して平方根をとることで計算できる。 √(a2+b2+c2+d2+... )
同一の値である資料を複数計測すれば、その点数(件数)の平方根に反比例して誤差は小さくなる。名目上の誤差を小さくすることは困難ではないが、それに応じてデータの信頼性が高まるとは限らない
軽いやつはふらふら動き、くっつきやすく離れやすい。光合成やその後の種々の有機物の合成の過程では軽い炭素が多くなり、呼吸による分解では重い炭素が残りやすい。一般的な陸上植物(C3植物)は、標準資料の 13C 濃度(約1.1%)を分母(1000‰)とした場合、それより 13C 濃度が 25-28‰(2.5-2.8%)程度少ない(δ13C = -25‰ などと表現)。大気の δ13C は -8‰ 程度なので、実際の質量効果は17-20‰程度。14C の場合、12C との質量の違いが 13C の2倍なので質量効果も2倍。つまり、C3植物の場合、当時の大気が封じ込められた試料(氷床など)と比べ 14C が 34-40‰ 程度少ない。ただし、炭素年代測定では、δ13C = -25‰ に調整して計算することになっているので(δ13C を測定した場合、それと -25‰ の違いに応じて 14C の測定値に加減する)、炭化材由来の資料であれば、δ13C を計測せずともずれは少なく誤差の範囲に収まる(仮に δ13C = -28‰ の資料を無補正でも、3‰ = 0.3% だから 0.3*2*80yrBP ≒ 50yrBP 相当)。
欧米の年代確定年輪測定データに基づき構築されたデータが INTCAL 較正には、このデータをそのまま使うか、補間やスムージングして使う。補間の手法(計算法)、分割単位(1年単位)により、較正結果に微妙な差異を生じる
「14Cを植物が体内にとり込むメカニズムには二つあり、一つは葉による光合成で、炭素をとり込み酸素を放出する。いま一つは土壌から根や養分を吸い上げてとり込む形である」 *ノーベル賞級の蛇足
現象としての「増長効果」の指摘。歴博側はアルカリ洗浄の重要性と海洋効果の可能性を指摘(藤尾・今村2004.03)。合わせて大友人骨にも言及。西田の再反論は具体性乏しく、測定法を理解する姿勢を求めたい
資料採取・資料調整の手法の改良は不断に続けるものとしても、混入の影響を0とすることは不可能なので、その時々で資料の実効信頼度を測っておくことが必要である。同一個体内でのばらつき、一括資料中のばらつき、編年上ごく狭い期間に限定できる資料のばらつき、他の方法で実年代が高い精度で絞り込める型式の測定、異なる性格の資料間の異同などである。また、資料に混入するおそれのある炭素源も計測することがのぞまれる。胎土、土壌、調査・整理用品など。
「杭は (中略) 時期の判定が難しいからである」(春成2003.12a) 梅白の杭が間違いなく夜臼期であると証明可能なのか? 福岡県笠抜遺跡では、根元から中期末〜後期初頭の丹塗り磨研壺が出土した杭2本の測定結果が cal BC515-350, 295-230 と cal BC385-195
少数または単独の較正年代は、型式の期間を示し得ない。個々の資料の年代は点に過ぎず、較正年代の幅は可能性が高い範囲。シュレディンガーの猫とは違う。較正曲線の単純な時期であれば、型式の時間幅からランダムに抽出したとみなせる資料を多数測定することで、年代幅を推定できる。曲線が水平または蛇行している場合は限定困難。
藤尾(2004.8)の弥生開始期各段階の時間幅の推定も論理性に欠ける記述が多く「統計学的に」という文言の用い方が不適切。また、測定資料の土器に、編年上の位置付けが難しいものが多いことを記述しながら、それを論拠として各段階の微妙な年代を考証することに無理がある。
九州縄紋土器年代の教訓(キーリ・武藤1982.2)。共伴・上下関係の評価に統計学的視点を持っているか 数値化が困難 恣意的選択 数理解析の機械的適用は避けるべき 型式論的評価をいかに盛り込むか
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