大型哺乳類

ニホンザル Macaca fuscata

 東京都林業試験場,奥多摩野生サル研究会,野生動物保護管理事務所などが継続的な調査研究を行っています.奥多摩町,檜原村,あきる野市,八王子市などに分布していますが,農作物への被害が問題視されていて,毎年まとまった頭数が被害防除の観点から駆除されています.しかし最近は一部の自治体において,駆除以外のオプションとして,サルの群の奥山への追い上げ作戦などが実施され,一定の効果をあげてきています.

ニホンジカ Cervus nippon

 以前,(財)自然環境研究センターが個体数調査などを行っていましたが,現在は継続的な調査研究は行われていません.奥多摩町内では禁猟獣としての扱いを受けてきています.奥多摩町を中心に生息していますが,近年分布域を拡大しており,この数年間でそれまでの分布の南限であった小河内ダムを渡り,三頭山周辺の檜原村方面でも確認されるようになっています.農作物(ワサビ田など),植林木などへの食害が問題視され,現在東京都では対策協議会を設置して,具体的な管理案を検討しています.

ニホンカモシカ Capricornis crispus

 カモシカの会東京支部などが,自然観察会の題材として利用しているものの,生態的な情報の蓄積はほとんど行われていません.ニホンジカと比べると速度は遅いようですが,やはり分布南限であった多摩川を越えて,分布域を拡大しているようです.シカのように爆発的に個体数を増加させる種ではないことなどから,シカの陰に隠れてあまり地元では問題のある獣としては扱われていません.近年,パラボックス病の発生が確認されています.

ニホンイノシシ Sus scrofa

 これまでまったく本種に対する調査研究は行われてきておらず,したがってその個体群動態はほとんど不明です.青梅市や奥多摩町が分布の中心域といえます.以前は檜原村にも分布していましたが,現在その姿を見かけることは難しくなっています.奥多摩町では,自家消費用の農作物をイノシシによって食い荒らされることが多く発生しています.

その他の哺乳類

 キツネ,アナグマ,ハクビシン,タヌキ,テン,イタチ,ムササビ,モモンガ,ニホンリス,ネズミ類,モグラ類などの中小型の哺乳類も多く生息しています.これらについては,いずれまた機会をあらためて紹介したいと考えています.

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