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拉薩ラサ(中国)(1)ついに入蔵する

ラサの象徴ポタラ宮

 ラサ(Lhasa)[拉薩]とはチベット語で「神の地」を意味する。こんなに高い土地でしばらく過ごすという経験はこれまでなかった。
 日本を出発してまず到着したのは上海、ここから飛行機を乗り継いで成都に向かう。成都は内陸だが湿気が多く、蒸し暑い。ここで一泊してようやくラサに向かうことができる。ラサは気候の関係から飛行機は朝にしか離発着できない。そのために深夜に成都に着いたにもかかわらず、翌日の出発は早朝。そしてラサには朝のうちに着くのだ。
 大学時代にラサ口語の授業をとったせいもあってか、チベットには長年足を踏み入れたいと言う思いがあった。授業で出てきたチベット料理の数々、そしてラサ一の繁華街である八角街。どれをとっても憧れのものであったのだ。
 計画を立ててから旅行の日はすぐに訪れたかのようだった。ラサ空港に降り立った時には震えるような感動があった。「ついにラサの地を踏んだのだ」と。ここにたどり着くまで20年が過ぎた。空港に書かれたチベット文字。そして周りから聞こえる歌うようなチベット語の響き。何もかもが嬉しかった。
 チベットは乾燥していることが多いのだが、私たちが訪れたときは珍しく雨が降り続いた後だった。ラサ川はぎりぎりまで増水してまさに溢れんばかりの様相を呈している。
 ラサ空港はラサの市街からかなり離れたラサ川の川岸にある。これも政策的なものなのだろうか。そしてわれわれと同じ飛行機には軍関係の偉い人たちが乗っていたらしく、空港では民族衣装の人たちが楽器と踊り で歓迎をしていた。じつは彼らが急きょラサ入りしたためにわらわれが泊まるはずだったホテルはすべてキャンセルさせられ、別のホテルに移ることになったのだった。宿泊予定のホテルはラサで一番よいホテルだったが、まあ仕方がない 。ここは中国なのだ。

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