HOME>世界街紀行>イタリア マテーラ(2)街を歩く
イタリア マテーラ(2)街を歩く

 街の中は上から眺めた以上に複雑な構造をしているのがわかります。 サッシは北側のSasso Barisanoと南側のSasso Caveosoの二つの地域に分けられています。階段や細道が入り組んで縦横無尽に通っているといった感じです。話によると家の屋根の上にまた家が作られ、屋根にも通路が出来ていたりと町全体が一体の建造物のようになっているとか。 通路もそれほど広くはないので、迷路の中を歩くような面白さと不思議さがあります。そしてなんといってもこの奇妙な街に人々が暮らしているということです。
 写真を見てもお分かりになるかと思います。一見すると全体がすり鉢状に見えて、歩いて降りていくしかないのだろうかと思っていたのですが、底の部分に着いてみると道路沿いに自家用車が置かれているのが判りました。良く見ると階段の一部を車が通れるように改造してあって車でおりられるようになっているのでした。ほぼ底に近いところには小さいもののホテルも できていました。以前はここには宿泊ができなかったと言うことなので、興味のおありの方はこのサッシの中に宿泊してみるというのも面白い経験になるかもしれません。一時はこの不便で生活しにくい旧市街から人々が離れていたということですが、再び人々が住み始めているのだそうです。そして今はこれらサッシ群は世界遺産に指定されています。
 先史時代からこの土地に人が住み始めたようです。これらのサッシは旧石器時代から現代までまさに歴史とともに上へ上へと建造物が積み重なっています。8世紀からの洞窟教会跡のほかにも、いくつかの境界が点在しています。写真にもあるように、岩肌にたくさんの穴が開いていて、それらがまさに古い洞窟住居跡なのです。なかでも目を引くのは最後の写真の真ん中に写っている教会です。岩を積み重ねたかのような形をした素朴な教会があります。
 サッシ群を眺めながら食事を楽しめるレストランが広場から程近いところにあります。悠久の歴史が作り上げた造形の美を愉しみながら食事をするのも良いかもしれません。

前のページ 次のページ