前の項目で-n-や-r-、-d-といった要素があるという話をしました。これらの要素はさらに観察してみると面白いことに気づきます。
子音で終わる語幹を持つ動詞を見てみることにしましょう。
「ib-da」(着る)に連体形の語尾がついたものを見てみましょう。
ib-n=eu=n 現在(進行)
ib-eu=n 過去(完了)
ib-eu=r 未来(推量)
ib-deo=n 過去(完了)回想
母音で終わる語幹を持つ動詞を見てみることにしましょう。
「ga-da」(行く)に連体形の語尾がついたものを見てみましょう。
ga-n=eu=n
ga=n
ga=r
ga-deo=n
「-」は文字の切れ目で「=」は一文字中の要素の切れめを示します。じっと見ると何かが見えてきます。実は西洋語の文法知識で時制を考えると見当違いが生じます。
子音で終わる動詞に現れる[eu]は子音同士がくっつかないためのつなぎ母音といえましょう。ちなみに-r-で始まる語尾は子音で終わる語幹の後ろに来るときにはほとんどの場合につなぎ母音を必要とします。つまり言い換えると第II語基につくということがわかります。同じように-d-で始まる語尾にはさらに母音を必要としません。-deo-、-deu-、-daといった語尾にはさらに母音を必要としません。これは第I語基につくということです。-n=eu-は進行、-r-は推量、-deo-は回想を意味しているようです。これらを元にいくつかの語尾を観察してみてください。