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08 朝鮮語の文字3

 制定当時の発音が正しくはどんなものだったのか、それは中国の書籍や漢字で発音を転写したものなどを研究することで徐々に推測されてきています。

 「米」は現代では[ssal]と表記していますが制定当時は[psAl]と最初の濃音の部分は併書で[ps]という表記になっていました。この音がいったいどんな音なのか。この単語の漢字転写が「菩薩」と書かれている文献が存在します。12世紀初頭宗の孫穆が高麗を訪れ記録した鶏林類事という文献で、そこには「白米曰漢菩薩」とかかれています。白米は現代語では[hin ssal]ところが上の文献ではどうも[p]の音を発音したらしく「菩」の漢字が入り込んでいます。「ヒンプサル」とでも発音したのでしょうか。月印釋譜という文献では[hin psAl]。これから推察するに[p]と[s]はいづれも発音されていたのではないか。つまり本当に「プサル」といった具合に発音されていたのではないかとの推測がなされます。その発音がいつの間にか[s]の濃音になったと思われます。

 さらに粟を[jopsal좁쌀]といいますが「粟」の漢字音は[jo]。つまり間に[p]音がしっかり入って(生きて)いるのです。

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