改訂版 デビルマン


(16)改訂版 デビルマン全4巻 2012年

改訂版 デビルマン1巻 改訂版 デビルマン2巻 改訂版 デビルマン3巻 改訂版 デビルマン4巻
1巻/2012.4.6発行 2巻/2012.5.7発行 3巻/2012.6.6発行 4巻/2012.7.6発行

 2007年、永井豪デビュー40周年を記念して、日刊スポーツ出版社から「永井豪撰集」という豪華上製本が企画された。 作者自らがセレクトした作品群が収録、有名タイトルである『デビルマン』『マジンガーZ』などは加筆再構成を施し、 この撰集でしか見られない限定仕様である旨が謳われていた。それと呼応する形で石川県にオープンした「永井豪記念館」 ではそのための原稿と思しき、修正された『デビルマン』の原稿が展示されていた。だが結果は告知されていた全4期の内、 2期のみが実際に刊行、改訂された『デビルマン』は発表されなかった。

 だがその後2012年に「改訂版」という名前で、永井豪デビュー45周年・『デビルマン』 『マジンガーZ』誕生40周年に発表されるコトとなった。

 『デビルマン』は大きく分けて、1972〜3年の初単行本であるKC新書判と、 1987年OVA発売時に再編集された豪華愛蔵版の2種に分けられた。 「改訂版」はこのどちらとも違う新編集となっている。全4巻という構成をにらみ、新規描き下ろしに加えて、 ブロックでの入れ替えや『デビルマン』『新デビルマン』『豪華愛蔵版』『ネオデビルマン』など、 コレまで描かれたバージョンの一部を流用しているため、特に4巻の最終戦争一連はかなり印象が違うモノとなっている。

 私見も交えていうと、発表20年前後の「豪華愛蔵版」〜『ネオデビルマン』時くらいまでの加筆は、 主に不動明を愛する飛鳥了からの視線が際立っていたのだが、今回はそのバランスが代わり、 作品をもう少し俯瞰し、40年の間に描かれたピースを再構成したモノになっているように思われる。

 編集に対して絵の修正そのものは全体として前半に多い。また80年代頃の筆のようなタッチから 今回はペンのタッチを生かした絵柄になっていたため、かえって違和感は少ない。 また80年代加筆に比べると、今回主に前半の明とデビルマンに多く見られ、全体としての絵柄の 統一に心を砕かれたのか、とも見える。

 また、永井豪は同時期に『激マン!』を「週刊漫画ゴラク」で連載しており、 こちらは自身がモデルのマンガ家「ながい激」を主役として『デビルマン』連載を回顧する作りである。 構成は『デビルマン』をセルフカバーした部分と、ながい激の思考や仕事風景がカットバックする 体裁をとっている。アニメ版との関係性や周辺を取り巻く状況も描かれて連載当時の状況も 加えつつ、改訂版から5年経った2012年なりの永井豪による自作言及になっていて、こちらもまた 興味深い。ことに連載終盤に向かう描写は虚実入り乱れて、作者自身の入れ込み具合が伝わる流石の表現。 6巻をもって「デビルマンの章」は終了した。

(17)激マン! 1〜6巻(2012.12月現在) 2010年〜連載

激マン!1巻 激マン!2巻 激マン!3巻 激マン!4巻 激マン!5巻 激マン!6巻
1巻/2010.9.20発行 2巻/2010.12.20発行 3巻/2011.3.20発行 4巻/2011.9.1発行 5巻/2012.1.10発行 6巻/2012.12.10発行


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