デビルマン 新編集版
(豪華愛蔵版&新文庫版)
その1
OVA『デビルマン・誕生編』発表に際し、それまでのバージョンと異なる編集が成された。
基本的には各巻冒頭にカラー+モノクロ描き下ろしが加えられ、『新デビルマン』も包括。
ここではその相違点をピックアップ!長くなるんで2ページにまたがるです。


(6)豪華愛蔵版全5巻1987年

第1集 1987. 9/17 第1刷 「誕生編」 
第2集 1987. 9/17 第1刷 「激闘編」 
第3集 1987.10/17 第1刷 「夢幻編」 
第4集 1987.11/17 第1刷 「暗黒編」 
第5集 1987.12/17 第1刷 「黙示録編」


オリジナルとの変更点
豪華愛蔵版(以下「豪華版」)と、完全復刻版のページ数で比較しています。
尚、新文庫版と豪華版は、同じ内容なので、「豪華版」すなわち新文庫版と思ってください。

●第1巻●

冒頭描き下ろし。太古のサタン+デーモン軍団対神の軍団の闘いが、32ページに渡ってイラスト的に展開。殺される天使、雷で散る醜きデーモン、仁王の様な神の集合体とサタンを中心にオブジェと化した悪魔の集合体が激突。これは永井泰宇版『真・デビルマン』(小説)に初めて描かれ、ビデオ版にも冒頭に挿入された。

最後の了の語りにつなげる構成的問題としてはともかく、不動 明の物語としては蛇足ではないか?...どっちかっていうとオリジナルの、了の語りでデーモン族の輪郭が明かになってく方が怖いと思うぞ、俺的には。

続いて、7ページ、明の父・礼次郎と母・須弥子(とは特に説明されていない!のだが、そういうコトだろう)がヒマラヤにて悪魔に遭遇。氷づけのゼノンを見てキャア〜!…というとこまで。(ちなみに小説版&ビデオ版では後々出て来るジンメンの伏線になってます。サッちゃんではなく、明の母が喰われていて...となっています。)

その後、連載第一回の放課後の学校に。以下、差別用語の修正以外はオリジナルどおり。そして、完全復刻版2巻の22ページ、不良を明が退散するところまで。意味ありげに笑う猫が羽根生やして飛んでいく新作ページがあって豪華版は2巻へ。

デビルマン・気になるハナシ
不動明の家族は海外勤務になって、家族全員着いて行ったようである。...で、ソレはこの豪華版(新文庫版)にも受け継がれているわけだが、だとすると、冒頭にゼノンに出会うのは...ダレ?なーんちて。

あとがき・永井豪「黙示録の予感・デビルマン」


●第2巻●

冒頭7ページは新作。水浴するシレーヌ、覗きに徹するカイム、ああ憧れのアモンの姿。(了が言うほど愛の無いヤツラではないらしーぞ、おい)そして現代、氷の中からシレーヌ復活!この呼ぶ声はサタンかゼノンか?

ここから、まさかのカットの山完全復刻版2巻の23ページから52ページの約30ページがばっさり削られてます。明の夢の中に現れるアモンの記憶。地獄の最下層でゼノンに出会い、絶叫し目覚める明。聞きつけて来る美樹。(結構好きなんだが、ここでの二人の悩ましい(笑)寝間着バナシ
更にカットは続いて翌日、明がサバトの傷癒えぬ了の見舞に行くシーン。ここで逆に了から体の具合を聞かれ、
「暴力はいい ウズウズするぜ!」という明。
続いて夜道を行くお嬢ちゃんがヒトを喰う悪魔発見...したばっかりに!というシーン。
また別に喰われた死体を見たトラックがびっくり、事故・炎上というシーン。以上がカットとなった。

従って、明の身体・精神的変化は語られず、実は密かにデーモンが人間世界に進行している伏線も無くなっている。これは切り過ぎじゃないか?

牧村家夜のケンカ談義から、『デビルマン』最大にしてマンガ界屈指の血みどろ名シーン・対シレーヌ篇はノーカット描き替え無し!...ああ、よかった!

「その虫ケラの力が どのようなものか! 見るがいい〜〜っ!
きゃああああああ〜!かっくいいいいいい〜!

で、豪華版2巻はまだ終わらない。完全復刻版3巻がばらばらに刻まれて入ってます。
まず、完全復刻版アタマから21ページの学校で語られるデーモン天敵説とそれを受けた明と了の会話。

でも、その後のデーモンハンターのくだりがばっさりカット。なんてこったい、これはまずくないか?レストランで語り合う二人の男。人間を食ったかい?いや、うまいぜなんて会話の後、一人の方を了が尾行、実はデーモン!襲われかけたところで了の記憶がなくなり、デーモンの焼け焦げた影だけが残っている...という後への伏線話。結局「ヒトを食う」ということにシンボライズしたあのデーモンの描写は出色だと…無念。(完全復刻版22〜45ページ)

その後、『ススムちゃん大ショック』篇(完全復刻版148〜163)と題して、同名の自作をセルフパロディてのはそのまま。続いて、『デビルマン』中、最もナイスなファッキン野郎・ジンメン篇(完全復刻版99〜147)。ここで、2巻はおしまい。

あとがき・川又千秋「永井豪の神話世界」


●第3巻●

...とゆーわけで、今回は後年に描かれた『新デビルマン』が素知らぬフリして入っているのだあっ!!...まずナニゲに読んでて、あれ?と思ったのが、第二話「魔界のジャンヌ・ダルク」から始まってるのコトよ。


ナレーションが変更。左がオリジナル、右が変更後です。
1ページ目 「時をこえ....」
「デーモンと戦った明と了は....」
「了と明が....」
「めざめた時....」
2ページ目ラストのコマ 「またべつな時代へ〜」 「べつな時代へ〜」
4ページ目最初のコマ 「飛鳥 了こと魔王サタン」 「飛鳥 了」
(この時点では、ばらせんわな)

「魔界のジャンヌ・ダルク」「ウィーンの晩い春」「美しき軍神 サモトラケのニケ」「ベルサイユの妖妃」「リトル・ビッグホーンの悪魔」(これはオリジナルのリメイクですね、ティアナの台詞と言い)の順で収録されています。本来の1話は、2本目の「ウィーン...」。最終話に当たる美樹ちゃんの首を埋める話は、豪華版5巻に収録。

続いて「闇の蜘蛛」(ヤミクモ…)と題して、書き下ろしの扉。続いて、完全復刻版3巻46ページからが収録されてます(本宮パロディも健在)。で、75ページだけ、校舎俯瞰の絵を描き下ろし(オリジナルの絵はカット)。更に完全復刻版96ページまでママ。97、98ページの、これを仕組んだのが「百の悪魔を支配する魔将軍ザン」だと語る明がカット。本来は「ザンの挑戦か!」と言って終わってます。

ここからが描き下ろし展開です。美樹や不良ドモを人質にとった蜘蛛デーモン・ラズバ対デビルマンの戦いが17ページに渡って描かれます。恐らくオリジナルの「魔将軍ザン」(アニメのザンニンになるのかな?)の設定がさして生きてないことから、豪華版3巻の読み切りオムニバス的雰囲気を作るため、改変されたのでしょう。

更にこの巻で、飛鳥 了との「カラミ」的ムードのエピソードが入ることで、大きく見ると、後のサタンとしての正体が暴かれる流れへの伏線にはなってますね。豪華版は「同性愛的」に直したんですね。『新デビルマン』て、了の「想い」がはっきりとクローズアップされてますから。そこを豪華版は強調している感じです。それは更に、続く第4巻で顕著になってきます。

あとがき・辻 真先「私のデビルマン」


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