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『ダークスタイル・ダークエレメンタラー 〜ヴァーダークラルアンティー =闇冒記(やみぼうき)〜』


                 第十一旋承壁陣(だいじゅういちせんしょうへきじん)


                               たかさき はやと






 「ヒマ……だな」
「そうかもな……」
 エルフィールは街中を歩きながらそうぼやく。
 目的も無く、なんとなく街から街へ旅する二人。
 やらねばならないことは……いまだ見つからなかった。
「エルフィールとジョルディーというのはおまえたちか……?」
 黒いマントに黒い頭巾……全身黒づくめの若い男の声がその場に響く。
「なんだおまえは」
 エルフィールの質問には答えず、黒づくめの男はさらに言葉をつむぐ。
「ここではちょっと、急ぎの用件なのですが……」
 エルフィールはジョルディーを見る。
 ジョルディーはうなずいた。
 三人は人気の無い街はずれまで来る。
「それで」  エルフィールがうながす。
「私はブラントといいます。  我がブライアント帝国では近々全国家を統一するため戦争をはじめます。
 そこで、御高名な二人にも参戦して欲しいのです」
 エルフィールがため息をつく。ジョルディーも同様だ。
「それは一緒に戦ってはいただけないということですかな?」
「争いはごめんだね」
 エルフィールが吐き捨てるように言う。
「そう……だな」
 ジョルディーもうなずく。
「あなた方は聞いてしまった……もう後戻りはできませんよ」
「なに、脅すわけ?」
 エルフィールがブラントに聞き返す。
「いえ、あなた方を連れて来いとの命令に忠実なだけですよ」
   ブラントはマントと頭巾を取りはらう。
 茶色い短髪、誠実そうな精悍な顔立ちだ。
 ブラントは長剣を抜く。
「あんたよりいい顔だね」
 エルフィールはジョルディーをからかう。
 ジョルディーも真剣な顔で剣を抜く。
ギンッ!
ガギギンッ!
 何度かジョルディーとブラントは剣を合わせるが、ブラントはかなりの腕前なのが、エルフィールにも解る。
「あはは、大変よねえ、もてるって……」
 エルフィールはまだ笑っていた。
ガンッ!
 下からすくい上げるブラントの剣をジョルディーは避けて剣を合わせる。
ギンッ!
 ブラントの剣を切り上げると、ジョルディーはブラントの腕めがけ渾身の一撃を打つ。
ギギンッ!
 それを軽々と切り返すブラント。
「さてと、あたしも手伝うか……」
 エルフィールは短剣を握ろうとした。
 手が光っていた。ジョルディーの手も……。
ガギンッ!
 ジョルディーは間合いを取るとエルフィールと両手を合わせた。
 クリスタルの剣がお互いの手をつなぐ。
「その力です……ぜひ研究させていただきます……」
 ブラントは二人に斬りかかる。
ガンッ!
 クリスタルの剣がブラントの剣を軽々とはじいた。
 二人の動きに一瞬の隙も無い。
 まるで一人で操るようにクリスタルの剣が、ブラントをつらぬいた。
「う……が……が……」
 ブラントがその場にうずくまって動かない。
 ブラントは生きていた。
 クリスタルの剣がブラントの欲望だけを切り裂いた。
 二人は街を後にする。
「ヒマだな……」
「そう……かな」
 エルフィールとジョルディーの旅は続いていた………。









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