UPDATED 2003/7/20

★Ken's Cinema Report★

映画の感想のぺージです

2002年12月から2003年5月の感想のページです。ベースは北九州・福岡の映画館です。

どれを見ますか
[近作の感想] [2002年の作品の感想]

最近封切りの作品の感想のページです
上から新しい順です
ネタばれがありますので、未見の方は注意してください。

  ball1[めぐりあう時間たち]
  ball1[歓楽通り]
  ball1[マトリックス リローデッド]
  ball1[小さな中国のお針子]
  ball1[あずみ
  ball1[ドリームキャッチャー]
  ball1[おばあちゃんの家]
  ball1[ラスト・プレゼント]
  ball1[アカルイミライ]
  ball1[ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲]
  ball1[S.T.X/ネメシス]
  ball1[過去のない男]
  ball1[シカゴ]
  ball1[わたしのグランパ]
  ball1[裸足の1500マイル]
  ball1[デアデビル]
  ball1[スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする]
  ball1[キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン]
  ball1[ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔]
  ball1[007/ダイ・アナザー・デイ]
  ball1[刑務所の中]
  ball1[ボウリング・フォー・コロンバイン]
  ball1[クリスティーナの好きなコト]
  ball1[レッドドラゴン]
  ball1[スコルピオンの恋まじない]
  ball1[猟奇的な彼女]
  ball1[戦場のピアニスト]
  ball1[黄泉がえり]
  ball1[Jam Films(ジャムフィルムズ)]
  ball1[西洋鏡・映画の夜明け]
  ball1[ボーン・アイデンティティー]
  ball1[壬生義士伝]
  ball1[鬼が来た!]
  ball1[ごめん]
  ball1[ゴスフォード・パーク]
  ball1[AIKI]
  ball1[ギャング・オブ・ニューヨーク]
  ball1[K-19]
  ball1[マイノリティ・レポート]
  ball1[至福のとき]
  ball1[8人の女たち]
  ball1[TRICK 劇場版]
  ball1[ハリー・ポッターと秘密の部屋]



ball1めぐりあう時間たち
原題 THE HOURS (フランス/アスミック・エース 114分  2002年)
監督 スティーヴン・ダルドリー
出演 ニコール・キッドマン  ジュリアン・ムーア

 1923年、ロンドン郊外の田舎町に作家であるヴァージニア・ウルフの病気療養のためウルフ夫妻は移り住んできた。物静かだが優しい夫の気遣いをよそに、彼女は書斎で煙草を吸いながらゆっくりと眩いていた。「…ミセス・ダロウェイは言った、花は私が買ってくるわ」。その瞬間、傑作『ダロウェイ夫人』が生まれようとしていた。
 1951年、ロサンジェルス。閑静な住宅地に住む妊娠中の主婦ローラ・ブラウンは、ベッドの中で一冊の本を手にしていた。本の題名は「ダロウェイ夫人」。夫は子供の世話を見てくれる、良き父であり夫だったが、彼女は夫が望むような理想の妻を演じることに疲れていた。今日はダンの誕生日、夜のパーティのために幼い息子リッチーと一緒にバースデイケーキを作り始める…。
 2001年、ニューヨーク。編集者クラリッサ・ヴォーンは、同居している恋人サリーに言った。「サリー、花は私が買ってくるわ」。彼女の友人でもある作家リチャードが栄えある賞を受賞したのを機に、彼の祝賀パーティを企画していた。彼女は花屋で美しい花を買いこみ、エイズに冒されたリチャードのアパートへ向う。
 ピュリッツァー賞とペン/フォークナー賞W受賞に輝くマイケル・カニンガムの同名ベストセラーを、「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ダルドリー監督が完全映画化。

 アカデミー賞で9部門ノミネートされた作品で、ニコール・キッドマンが主演女優賞を取った作品。受賞した賞の数は「シカゴ」の方が多かったけれど、私はこちらの作品の方に感動しました。出演している役者たちが誰もが一流ばかりというのもありますが、脚本が巧妙でどんどん作品に引き込まれていきます。3つの離れた時代のエピソードを組み合わせて書かれていますので、若干複雑なところもありますが、「ダロウェイ夫人」をキーワードにとても巧みに描かれています。ニコール・キッドマンはつけ鼻をしてがんばっていますが、それ以上の演技なのがジュリアン・ムーアだと思います。ニコールとメリル・ストリープは作家とか編集者だということで、ある程度エキセントリックなところがあっても違和感がないのですが、ジュリアン・ムーアは普通の主婦という設定なので、彼女の行動についてを観客がどうとらえるかが、この作品の評価の鍵になると思います。違和感を持ってしまった人にはこの作品はダメでしようね。
 脇役も豪華です。エイズの作家役がエド・ハリス。メリル・ストリープの娘役にクレア・デインズ。ジュリアン・ムーアの旦那役にジョン・C・ライリ―。彼が出てきただけで、やられたという感じでした。セリフ回しもとてもクリアで映画や英語の勉強になるようなとても作り込まれている作品だと思いました。

  評価 ☆☆☆☆☆  (03/5/26)


ball1歓楽通り
原題 Rue des plaisirs (フランス/シネマパリジャン、松竹、メディア・スーツ 91分  2002年)
監督 パトリス・ルコント
出演 パトリック・ティムシット  レティシア・カスタ

 1945年初め、戦時下の歓楽通りの娼館に娼婦の息子として生まれ育ち、館の女たちからは弟のように可愛がられているプチ=ルイは、新入り娼婦として、この館に現われたマリオンをひと目見て、こう決意した。「あなたの世話がしたい、僕の一生をかけて」。こうして、プチ=ルイのマリオンヘの、“誰も真似することはできない”愛の日々が始まった。どこか、少年の心を持ったまま大人になったかのようなプチ=ルイは、マリオンが幸福になることだけを願っていた。空襲の間にも、ふたりは将来、マリオンが叶えるべき“しあわせのリスト”を書き記すのだった。マリオンの希望のひとつは、“有名人になること”。そして、プチ=ルイはマリオンの“運命の男”を探し出すことだった。
 「髪結いの亭主」「橋の上の娘」のパトリス・ルコントの新作。

 ルコント作品のセオリーともいえますが、この作品も男性の方が女性よりも目下に描かれています。娼館育ちという設定の生もありますが、ほとんど半裸や全裸の女性たちに囲まれていても、何とも思われていない主人公。一種のアイドル的存在ではありますが、下働き的な仕事ばかりしていても、それを何とも思っていないいうのが、またもの悲しいですね。ストーリー的にはありふれた?話ですが、ヒロインが今ひとつ魅力的でないので、盛り上がらない気がします。悪くはないのてすが、他の女性の方が魅力的に見えるところがあります。また、歌の才能で転身していくのですが、この歌もいま一つのような感じです。相手の男性のだらしなさや最後の展開についてはそんなに文句はないのですが…。
 全体的にはもう一歩?

  評価 ☆☆☆☆  (03/5/26)


ball1マトリックス リローデッド
原題 The Matrix Reloaded (フランス/ワーナー 138分  2003年)
監督 ラリー&アンディ・ウォシャウスキー
出演 キアヌ・リーブス  ローレンス・フィッシュバーン

 エージェント・スミスとの戦いで開眼し、超人的な力を身に付けたネオは仲間のトリニティーとザイオンに戻り、甘いひとときを過ごしていたが毎夜悪夢にうなされていた。それは彼女が戦いの最中、命を落とすというものだった。ザイオンを守るべくマトリックスに向かったネオたちだったが、そのネオの前に、倒したはずのエージェント・スミスがクローン化し大人数で立ちふさがり、さらに手強い相手が容赦なく襲って来るのだった。果たしてネオはザイオンを救うことができるのか? そして彼の夢に出ていたトリニティーの運命は?
 1999年に公開され世界中の話題になったマトリックスシリーズの2作目。

 まだ公開されたばかりで未見の方が多いでしょうから、あまり書かない様にしましょう。アクションシーンはさすがにスゴイです。予言者に会う前の護衛?と闘うシーン、百人のエージェント・スミスと闘うシーン、そして終盤のカーアクションシーン等。見応えがあることはあります。しかし…。
 乞うご期待?

  評価 ☆☆☆☆  (03/5/25)


ball1小さな中国のお針子
 (フランス/アルバトロスフィルム 110分  2002年)
監督 ダイ・シージェ
出演 ジョウ・シュン  チュン・コン

 1971年、中国。文化大革命の嵐が吹き荒れる只中、医者を親に持つマーとルオは、反革命分子の子として再教育のため山奥深くに送り込まれた。雲に至るような石段を上がると、小さな村と湖がひっそりと姿を現わした。村人は素朴で、読み書きを知らず、村長によく従っていた。二人の再教育生活が始まった。彼らを待っていたのは、屈辱的な仕事や、つらい畑仕事、そして未開の鉱山から素手で鉱石を抽出するなどの過酷な作業だった。ある日二人は、年老いた仕立て屋と美しい孫娘のお針子に出会う。仕立て屋の持っているのは時代遅れのミシンだが、西洋文明からかけ離れたこの村ではモードを生み出す近代化の象徴だった。ルオはたちまちお針子に恋をする。そして文盲のお針子に物語を語り聞かせてあげたいと思い立つ。
 「中国、わがいたみ」のダイ・シージェが自身が著しフランスで出版された原作をフランス資本で映画化した作品。

 文化大革命時代の下放を背景とした映画としては今までも陳凱歌の「子供たちの王様」、陳冲の「シュウシュウの季節」などがありますが、この作品はこれらとはちょっと違った感じになっています。ここに出てくる若者たちにはそういった体験が辛いものとして描かれておらず、そうした窮屈な時代ながらその中で青春を謳歌している風に感じられます。それはそれとしてよいのですが、観る側にとっては表面的なものに見えてしまい、奥行きが感じられないのが残念です。ヒロインの女性は一度も名前で呼ばれることがなく、ずっとお針子と呼ばれていることから何かを抽象化したものと思えるし、ラスト近くの幻想的な小屋のシーンからもそれは伺えるのですが、あまりに唐突過ぎて洞察でませんでした。風景はとてもすばらしく、行ってみたくなりました。

  評価 ☆☆☆☆  (03/5/18)


ball1あずみ
 (日本ヘラルド、東京放送、電通、アミューズ他/東宝 142分  2003年)
監督 北村 龍平
出演 上戸 彩  原田 芳雄

 関ヶ原の戦いの後、親を失い・孤児となった幼子「あずみ」は、爺と呼ばれる男に拾われ、仲間と共に、最強の戦士となるべく過酷な修練を積んで育てられた。爺(は、徳川家康の側近から反乱を起こそうとする者を事前に抹殺する最強の戦士を育てるという密命を受けていた。歳月が流れ、爺は10人の戦士たちに修練の終了を告げるが、最後にこの中で最も好きな者とふたり組みになり、それぞれを殺しあえという試練を与える。仲間達と斬り合って残った5人は、浅野長政や加藤清正の暗殺を命じられる。
 小山ゆうの原作でベストセラーの劇画を「VERSUS」の北村龍平が映画化。

 原作は何度かしか読んだことがありませんが、予告編が面白そうだったのと監督の前作である「VERSUS」が評判だったので期待していました。見た結果は、うーん。戦闘シーンは迫力があって面白いのですが、ちょっと上映時間が長すぎますね。ある種のテロリスト集団と言えるのでしょうが、どうもその根拠が希薄な感じがします。本筋には関係ないのですが、そもそも徳川方の刺客という設定がどうにも落ち着きが悪い感じです。個人的に徳川家康にはいいイメージを持っていないので(笑)、豊臣方ならまだすんなり見られるのですが…。
 上戸彩はそれなりにがんばっている感じてすね。動きはいいのですが、セリフが入るとちょっと居心地の悪さを感じます。あずみの心情の描き方も甘いし、冒頭で殺してしまった若者の描き方も曖昧だし…。脇役では、北村一輝がいいですね。この人は悪役をさせるととても光ります。オダギリジョーも無茶苦茶な役柄で面白かったです。しかもかなりのギャグが入っていて笑えたのですが、そういう見方でいいのかな。カメラワーク等は面白いのですが、全体的にはもう一つの感じです。また、評判の?縦方向にクルクル回るカメラはちょっと見ていてクラクラする感じで逆につらかったです。今後の作品に期待します。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/5/17)


ball1>ドリームキャッチャー
原題 Dreamcatcher (キャッスルロック/ワーナー 135分  2003年)
監督 ローレンス・カスダン
出演 モーガン・フリーマン  トーマス・ジェーン

 メイン州の小さな町。4人の少年が、上級生たちにいじめられていた一風変わった少年ダディッツを助ける。ダディッツは不思議な力を持っていて、やがてその神秘的なパワーは4人にも伝わり、彼らはある秘密を共有することになる。それは、友情以上の絆で4人を強く結びつけたのだった。 20年後、大人になった彼らは、別々の場所で、それぞれ悩みを抱えながら生きている。4人とも、「あの時」に身につけた偉大なパワーを、宝物というよりは重荷のように感じていた。毎年の恒例となっている狩猟小屋に集まった4人だったが、その年は、なぜか不吉な出来事が次から次へと起こっていった。
 スティーブン・キングの同名のベストセラー小説を、「白いドレスの女』」「ボディガード」のローレンス・カスダンが映画化。

 スティーブン・キングとローレンス・カスダンの名前に釣られて見に行ったのですが…。うーん。言ってしまえば「スタンド・バイ・ミー」と「シャイニング」と「遊星からの物体X」「エイリアン」等を足して割ったような作品です。SFなのかサスペンスなのかオカルトなのかはっきり言ってテーマがよくわからない作品になってしまっています。まぁ、無理にジャンル分けする必要はないのですが、モーガン・フリーマンのいつにないエキサイトした演技だけしか残らない作品です。なんなんでしょ(笑)
 ローレンス・カスダンが「マトリックス」のファンだそうで、おまけで「アニマトリックス」の短編のうちの一編がついていました。こちらは既に6月からDVDが発売になっています。

  評価 ☆☆1/2  (03/5/11)


ball1おばあちゃんの家
原題 家へ.../The Way Home (韓国/東京テアトル・ツイン 87分  2002年)
監督 イ・ジョンヒャン
出演 キム・ウルブン  ユ・スンホ

 夏のある日、7歳のサンウは母親と一緒に初めて会うおばあちゃんの家へ向かっていた。おばあちゃんは山の中の村に一人で住んでいた。失業中の母親は一人でサンウを育てているのだが、新しい仕事が見つかるまでサンウを預かってほしいと祖母に頼むと、さっさとソウルへ帰ってしまった。おばあちゃんは話すことが出来なかった。サンウはおばあちゃんを無視して、朝から晩までゲーム機で遊んでいた。食事の時も、サンウはおばあちゃんの作った漬物は口にしようともせずに持参した缶詰をおかずにご飯を食べた。やがて、ゲーム機の電池が切れた。サンウはおばあちゃんに電池を買うお金をくれるよう頼むが、現金収入のない彼女はお金など持っていない。昼寝しているおばあちゃんの髪からかんざしを盗んで、村の雑貨店に行くが、電池を扱ってない上に、盗んだかんざしだと見破った店のおじさんに、ぽかりと頭を叩かれてしまう。
 「美術館の隣の動物園」の女流監督、イ・ジョンヒャンの新作。韓国で観客動員400万人を超えて大ヒットとなった作品。

 去年の福岡映画祭の時に見た作品ですが、感想をまだ書いていませんでした。そうこうしている内に一般公開されてしまいました。お勧め作品なので、ここに書いておきます。
 プロットはかなりはっきりしている作品です。都会育ちの少年と相当田舎に住んでいるおばあちゃん。しかもそのおばぁちゃんは話すことができない。そういったジェネレーションギャップや地域格差を描いた作品です。そういったベタな設定の中でのいかに違和感なくストーリーを見せていくかということが課題になるかと思います。そうした意味でこの作品は割と成功しているのではないでしょうか。おばあちゃんは素人の人が演じていて、口が利けないという設定がうまいんでしようね。孫に対する思いが視覚に入ってきます。やんちゃな孫や存在感がない母親の設定が極端な感じで嫌らしさを感じるところもありますが、見た後に子供時代のことや自分のおばあちゃんのことを思い起こさせてしまうような佳品です。
 最近公開されている韓国映画はバラエティに富んでいますね。最近やらなくなったような邦画のテーマの穴を埋めている感じです。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (02/9/15)


ball1ラスト・プレゼント
 (韓国/パンドラ 113分  2001年)
監督 オ・ギファン
出演 イ・ジョンジェ  イ・ヨンエ

 才能はあるのに、なかなか芽の出ないコメディアンの青年。そんな彼を愛し、デビューを信じている彼の妻。小さな子供服専門店を経営して、生活を支える妻にとって、だらしない生活に甘んじるヨンギが情けなく、二人の間には口喧嘩が絶えない。しかし彼に内緒でテレビ局のプロデューサーに掛け合い夫を使ってほしいと頼み込む妻の行動を、夫は知るよしもない。そんな彼にもようやく大きなチャンスが巡ってくる。テレビ「お笑い王」トーナメント戦への出場権。だが、そのとき二人に残された時間があまりにも短くなっていた…。
 昨年3月に韓国で公開されるや、大ヒットとなった作品。

 元々正月頃やっていた作品ですが、何故か今頃小倉で…。でも、CINEPLEX、結構単館系をやってくれるので助かっています。
 結構ベタなメロドラマで、お互いの気持ちのやりとりに疑問な点もありますが、ヒロインのイ・ヨンエが良いので許します(笑)。子供時代のエピソードなど写真を見た時点でわかりそうなものですが、どんなものでしょう。その過去を探っていくペテン師コンビが良いですね。いい狂言回しになっています。でも、主人公の漫才ってどうもあまり面白くないですね。どたらかと言えば寸劇つぽいです。韓国ではこういうのが受けるのかなぁ。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/5/5)


ball1アカルイミライ
 (アップリンク 115分  2002年)
監督 黒沢 清
出演 藤 竜也  浅野 忠信

 仁村雄二と有田守は、おしぼり工場で働く同僚。守はいつも他人とうまくわたり合えない雄二を気にかけている。守は人を殺すほどの猛毒を持つアカクラゲを大切に育てているが、雄二が彼の家を訪ねた日、上司が突然やって来る。相変わらず面白くもない藤原の話も笑顔でやりすごす守に反し、雄二は苛立ちを隠せない。藤原は水槽にクラゲを見つけ、手を伸ばしてみる。あわてた雄二を制止した守は、藤原をじっと見つめたまま、何も言わない。なぜか危険を感じた藤原は、自ら手を引っ込めるのだった。その翌日、藤原がクラゲの猛毒のことを言わなかった守をクビにすると言う。守は、雄二を残して工場を後にする。夜、むしゃくしゃした雄二は、突然暴力的な衝動に駆られ、鉄パイプを手にして藤原の家に急ぐ。そこには、血の海で倒れている夫婦の死体かあった。わけが分からないまま家に戻った雄二は、暗闇の中必死で守に電話をかけるが、いくら呼んでも守の応答はない…

 「回路」などのホラー作品が多い?黒沢清の新作。私が観たのは「地獄の警備員」と「CURE」くらいかな。
 一言で言ってしまえばジェネレーションギャップを描いた作品だと言えるでしょうが、どうも題名と裏腹な感じを受けます。浅野忠信やオダギリジョーとその父親世代である藤竜也や笹野高史の世代の間に入る私ですが、どちらの気持ちもわからなくはないですが、どうも共感はできません。19や20位ならまでしも20台半ばの設定でこれでは…。今さら「サード」や「青春の殺人者」でもないですが、目新しさがない気がします。クラゲの存在もイヤされるものではないなら微妙です。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/5/4)


ball1ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲
原題 JAY&SILENT BOB STRIKE BACK (米/ギャガ・コミュニケーションズ、東北新社 104分  2001年)
監督 ケヴィン・スミス
出演 ジェイソン・ミューズ  ケヴィン・スミス

 人気コミック「なまくら男とクロニック」はジェイとボブの実生活がもとにされていた。ところが、幼友達であるバンキーがハリウッドへ行き、親友2人の漫画をもとに映画を制作することにする。映画「なまくら男とクロニック」では人気若手ハリウッドスターが主役の2人組に抜擢される。当の本人のジェイとサイレント・ボブは度肝を抜かれる。映画化されるのに何の報酬も貰えず、そのうえインターネットで彼らは酷評されていることを知る。キレた2人は映画をメチャメチャにしてやろうとハリウッドのプロダクションもとへ旅立つが…

 ジェイ&サイレント・ボブというのは向こうで人気?の映画キャラでもう何作か登場しています。サイレント・ボブと言ってほとんどセリフをしゃべらないキャラをやっている人がケヴィン・スミスと言って脚本・監督をしています。前作の「ドグマ」がなかなか面白かったので、新作を見に行きました。と言っても向こうでは1年以上前に封切られた作品ですが…。
 しかし、、この作品はちょっと期待はずれでした。話しているセリフがほとんどフォーレターワーズ。下劣で普通は言えないセリフばかり言っています。ストーリーはあってない様なもので、ほとんどパロディ。題名でも分かるように「スターウォーズ」とか「チャーリーズエンジェル」、「猿の惑星」などがネタになっています。でも、ちょっと笑いづらいなぁ。「ドグマ」にも出ているのですが、ベン・アフレックやマット・デイモンがちゃんとした役?で出演しているのが不思議ですねぇ。この二人の会話でダイの出演作についてあれこれ言っているシーンが私は一番笑えました。(笑) 他にも本家スターウォーズ(笑)のマーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、クリス・ロック、「グット・ウィル・ハンティング」などの監督、ガス・ヴァン・サント、「スクリーム」の監督のウェス・クレイブンなども出演していて内輪的には面白いのかも…。でも、変なの。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/5/3)


ball1S.T.X/ネメシス
原題 Star Trek: Nemesis (米/UIP 116分  2002年)
監督 スチュアート・ベアード
出演 パトリック・スチュワート  ブレント・スピナー

 ピカード艦長が率いる宇宙艦隊旗艦USSエンタープライズ号の勇敢なクルーの一人であるライカー副長はカウンセラーの卜ロイと結婚し、U.S.S.タイタン号の艦長に転属になることが決まった。結婚式を終えたあと、彼らは近くの惑星からの異常な電磁気信号に気づく。調査の結果、発信源は地表に放置されたアンドロイドの身体からのものだった。しかも、そのアンドロイドはエンタープライズ号のデータ少佐に酷似しており、プロトタイプといえる物だった。その後、惑星連邦にとって長年の敵だったロミュラン帝国の母星で新しい指導者となった法務官が、惑星連邦と平和協定を話し合いたいと言ってきたため近くにいたエンタープライズ号は、その星に向かう。ピカードたちが会った新しい法務官は驚くべきことにロミュランが作り上げたピカード艦長のクローンだったのだ。

 ご存じ、スタートレックの最新作です。トレッキーでというほどではないですが、割と見ています。週刊本が出るくらいですから日本のファンもかなり多いようです。さて、本作、またしてもクローンものです。実際にクローン羊などがでてくる位ですが、最近、クローンが出てくる作品はどれくらいあるのでしょう。ちょっと安易で辟易気味な感じもしますが、この作品は典型的なSFなので、それも良しとしましょう。館長のクローンが出てきたばかりでなく、データの類似品が出てきているところがいいですね。そこがラストにうまく繋がっています。ラストはなかなか見応えありましたが、全体としてはもうひと工夫欲しかったかな。ウーピー・ゴールドバーグがちょこっと出てきますが、あの巨人?がロン・パールマンだったとはビックリ。全然わかりません(笑)

 リバーウォークのTジョイに初めて行ってきました。新しいだけあってイスが他の映画館より良い感じです。背の部分が高くて頭のところにあたるヘッドレストがついています。追加料金がなくても吸われるスペシャルシートがあるのですが、ここはまた他のシートよりいい感じです。イスと隣のイスの間にテーブル?があってものとかドリンクとかおけるようになっていて便利なのですが、何故かこれが金属製。上映中に音を立ててしまうことがあります。どうして金属製のものを置いているのでしょうか。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/4/27)


ball1過去のない男
原題 Mies vailla menneisyytta/Man Without A Past (フィンランド・ドイツ・フランス/ユーロスペース 97分  2002年)
監督 アキ・カウリスマキ
出演 カティ・オウティネン  マルック・ペルトラ

 ある列車でひとりの男が夜のヘルシンキに流れ着く。たどり着いた公園で、彼は突然暴漢に襲われ、身ぐるみ剥がされたうえ、瀕死の重傷を負う。財布は空に、身分証明書はごみ箱へ。血まみれの男はかろうじて人気の残る夜の駅までたどり着くも、そこで意識を失ってしまう。担ぎ込まれた救急病院で男治療を受けるが、脈拍は弱り、やがて心電図は死亡を伝える。ところが、医師たちのいなくなった病室で彼の意識は突然戻るのだった。男はいつのまにか港のそばの岸辺に倒れている。港湾のコンテナに住む一家に助けられた男は、なんとかスープを口にするまでに回復する。しかし彼には過去の記憶がなくなっていた。かつての仕事も、住んでいた場所も、そして自分の名前すらも。そんなことはよそに、コンテナに住む人々の生活は淡々と過ぎて行く。「マッチ工場の少女」「コンタクト・キラー」のカウリスマキの新作。

 イラク攻撃に抗議してアカデミー賞出席をけっ飛ばしたカリウスマキの新作ですが、彼独特の映像空間というか時間が流れているようで、とてもいい感じてす。ストーリーを書いてしまうとありがちな記憶喪失の男の話なのですが、デテイルの描き方が彼らしい作品です。アップにすることなく情景をとても寡黙に描いているところも多弁な作品や映像展開に凝った作品が多い昨今では逆に印象的です。コンテナで暮らしていたり、その人たちを助ける救世軍の人が出てきたりするのですが、そんなに貧乏くさく後ろ向きの話ではなく、前向きでほのぼのとした話になっている所も評価できます。それでいて、ニヤリとさせられるシーンが多いのも良いですね。クレイジーケンバンドの曲や列車食堂で寿司と日本酒が出てくるシーンにはビックリ(笑)  ちなみに相手役の女性は似ているけれど「オースティンパワーズ」にでてくるファルビシナおばさんではありません(爆)

  評価 ☆☆☆☆1/2  (03/4/25)


ball1シカゴ
原題 CHICAGO (米ミラマックス/ギャガ 113分  2002年)
監督 ロブ・マーシャル
出演 レニー・ゼルウィガー  キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

 1920年代、シカゴ――セックスとジャズと犯罪の匂いが漂う退廃的な街。日々、人々は刺激を求めていた。だから、この街では、犯罪すらも娯楽になり、新たな事件が起こるたびスターが生まれた。 今日もとあるキャバレーの壁際に立ち、ステージで繰り広げられるヴェルマ・ケリーの艶やかな歌とダンスに陶然とした表情を浮べているひとりの女がいた。彼女、ロキシー・ハートもスターを夢みている女性のひとりだった。彼女は夫がいる身でありながら浮気をしていた。彼は「ショーに売りこんでやる」という言葉をかけていたが、いつまで経っても自分のために動いてくれる気配はない。ある日、彼の態度をなじった彼女は、その言葉が嘘だったことを知る。逆上した彼女は、その場で彼を撃ち殺し逮捕されてしまう。ロキシーは移送先の留置場で、一人の女の姿を目にして驚く。それは、あの晩、ステージで喝采を浴びていた憧れのヴェルマだった。彼女は、自分の眼を盗んで不倫をしていた夫と姉を殺した罪を問われていた。<歌姫×殺人事件>―このセンセーショナルな事件にマスコミが飛びつかないはずがなかった。ヴェルマは巧みに女看守長ママ・モートン(クイーン・ラティファ)を買収し、辣腕弁護士ビリー・フリン(リチャード・ギア)を雇うことに成功する。マスコミ操作に長けたビリーの手にかかれば、凶悪な犯罪者も一転、新聞の一面を飾るスターに生まれ変わるのだった。
 今年のアカデミー賞6部門を受賞した話題作。

 以前にも書いたことがあることですが、私は映画や音楽は個別には好きなのですが、ミユージカルや演劇にはあまり興味がありません。宝塚は以前見たことがありますが、福岡などでやっている四季などは見たことがありません。ただ、なぜかミユージカル映画について言えば嫌いではなく、割と見ている方だと思います。ボブ・フォッシーと言えば「オール・ザット・ジャズ」「キャバレー」などが有名ですね。この「シカゴ」も彼のミュージカルが原案となって、捧げられています。
 主人公はレニー・ゼルウィガーなのでしょうが、彼女が今ひとつパッとしません。マリリン・モンローよろしくお色気がある感じなのですが、スローな曲ばかりやっていて、踊りらしい踊りはラストだけでしょうか。それに対してキャサリン・ゼタ=ジョーンズは迫力ですね。彼女は元々ミュージカル出身みたいで、歌っている時の力強さもかなりのものです。リチャード・ギアはまあまあかな。アカデミー賞で6部門受賞した作品ですが、私ははっきり言ってそれほど感動しませんでした。あまり重要なことではないかも知れませんが、ストーリーにどうも馴染めなかつたことが原因です。いくらそういう時代だったと言われても、殺人したことを売り物にして名声を得ていくというのがねぇ。まあ、現代でも似たようなことやっているから皮肉的にとらえればいいのかもしれませんが…。ダンスの方も印象的だったのはマリオネットのシーンくらいでした。ただ、馴染めなかったということで、作品ではありません。始めの「オール・ザット・ジャズ」とかその後の監獄でのシーンは良い感じでした。  クィーン・ラティファははまり役だったし、「チャーリーズ・エンジェル」のルーシー・リューなども出ています。

  評価 ☆☆☆☆  (03/4/13)


ball1 わたしのグランパ
 (テレビ朝日、ホリプロ他/東映 113分  2003年)
監督 東 陽一
出演 菅原 文太  石原 さとみ

 父の日記でみた「囹圄(れいぎょ)の人」。わたしのグランパ(祖父)が刑務所から帰ってくることになった。五代家の一人娘・珠子(たまこ)は中学1年生、正義感が災いして学校では不良グループから目を付けられている。南米に行っていたと聞かされていた祖父は、実は人を殺して刑務所に入っていたのだ。だが、帰ってきたグランパは、不良グループからいじめにあっている珠子を助け商店街の人からに、まるで旅から帰ってきたように慕われていた。けげんな様子の両親を横目に珠子は次第にグランパに心を開いてゆく。

 筒井康隆の原作を読んでいたので、その映画化ということで見に行きました。監督も東 陽一だったし…。この作品で東映会館内の小倉東映、最後の上映作品になりました。
 原作はそんなに長い作品ではないのですが、そのリズム感が映画の方では薄らいでいる気がします。ちょっとダラダラした感じですね。終盤のオカルトシーンもちょっと興ざめでした。
 ヒロインは今後のホリプロ一押しの新人とのことですが、どうでしよう。悪くはないのですが、ちょっと華がない気がしますね。でも、今はこういう子の方が人気がでるのかな。菅原文太はいい味出していましたが、ちょっと歳とりましたねぇ。

  評価 ☆☆☆  (03/4/13)


ball1裸足の1500マイル
原題 Rabbit Proof Fence (オーストラリア/ギャガ 94分  2001年)
監督 フィリップ・ノイス
出演 エヴァーリン・サンピ  ローラ・モナガン

 1931年、西オーストラリア・ギブソン砂漠の端に位置するジガロング。この土地には14蔵のモリーとその妹で8蔵のデイジー、そしてモリーの従妹にあたる10蔵のグレイシーというアボリジニの少女たちが生活している。アボリジニと白人の混血だったため、アボリジニ保護局の局長は、彼女達を拘束し、遠く離れたムーアリバー先住民居留地に収容される。ここの寄宿舎で寝起きするアボリジニの少女たちには粗末なベッドと貧しい食事をあてがわれ、白人文化に溶け込むための厳しいしつけが行われていた。ムーアリバーに収容されてほどな<、彼女たちはこの施設から逃げ出し居留地まで歩いて帰ろうとするが…。

 母の待つ故郷まで1500マイルを90日間歩き続けた少女たちの壮大な真実の物語とのことですが、途中で砂漠などもあるし、並大抵ではありません。追っ手のまき方などもクレバーでとても少女達の考えとは思えません。やはり、天性の生活の知恵がそなわつていたのでしょう。こういう混血児政策があったこと自体初めて知りました。差別的な考えもあるかも知れませんが、当時としてはやむを得ない考えだったのでしよう。
 オーストラリア映画で、主人公達はアボリジニの子供達。監督は「今そこにある危機」や「ボーンコレクター」などを手がけたハリウッドのヒットメーカーで、撮影はウオン・カーウァイ作品で知られるクリストファー・ドイル。彼らは何れもオーストラリア出身です。音楽がちょっと変だなぁと思っていたら、ピーター・ガブリエルだったし、保護局の局長はケネス・ブラナーと周りはかなり豪華でした。

  評価 ☆☆☆☆  (03/4/12)


ball1デアデビル
原題 Daredevil (マーヴェル/20世紀フォックス 103分  2003年)
監督 マーク・スティーヴン・ジョンソン
出演 ベン・アフレック  ジェニファー・ガーナー

 ニューヨーク、マンハッタンのヘルズキッチン地区。12歳の少年は、落ちぶれたかつての名ボクサーの父親と二人暮らしをしていた。ところが、ある日、彼は父親が恐喝をしている現場を目撃し、気が動転したまま走り出す。その時、彼は運悪く廃棄物を目に浴びてしまい視力を失ってしまう。視力を失った彼だったが、残りの感覚が超人的に鋭くなり、超感覚で物事を感知する「レーダーセンス」を体得。また、格闘技や体操などで極限まで体を鍛え上げる。父親もボクサーとしてカムバックに成功したが。八百長を断ったため襲われ、命を落としてしまう。大人に成長したマットは、親友とともに弁護士事務所を開業し、弱者を救うためなら、弁護料ももらわないという潔癖ぶりには、友人もあきれていた…。

 人気マーヴェルコミックの映画化とのことですが、ちょっと期待はずれでした。ネタバレですみませんが、主人公はヒロインを救うことが出来なかったし、敵役は殺してしまわなかったため、ラストでギャグとばしているし…。コミックをどうのこうの言っても仕方がないかも知れませんが、昼間は弁護士で、夜は闇のヒーローという設定自体がどうかと思いますね。裁判で負けた相手をやっつけるなんて、弁護士やっている意味ないじゃないかという感じです。同心が仕置人やっているならまだ理解できますが…。
 視覚的には面白い描き方をしていましたが、内容的にはちょっと不可解な作品でした。理屈を言っても何ですが「スパイダーマン」の方が潔い気がします。唯一の収穫はコリン・ファレルかな(笑)

  評価 ☆☆  (03/4/12)


ball1スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする
原題 Spider (英・仏・カナダ/ブエナビスタ 98分  2002年)
監督 デビッド・クローネンバーグ
出演 レイフ・ファインズ  ミランダ・リチャードソン

 ロンドンのある駅に一人の男が降り立った。よれよれのコート姿で持ち物は鞄がひとつの男はなにやら書いた紙切れをとりだし、寒々と汚れた古いビルのあいだを用心深く歩いていく。男はようやく目的の家を見つけ、ドアをノックした。そこは心療施設から退院させられ社会復帰まで行き場のない患者を預かる施設だった。管理人の夫人に部屋をあてがわれた次の日から、彼は鉄道に隣接した土地、農園と小屋がある土地をうろつき、大切に持っているノートブックにぶつぶつうなりながら小さな字でなにか書き付けていった…。

 「デットゾーン」「裸のランチ」「クラッシュ」のクローネンバーグの新作と聴いては見に行かない訳には行きません。今回もまた彼独特の世界が広がっています。パターンとしては最近よくあるような自分の記憶探しの話で、ちょっとわかにくい所もありますが、どこまでが現実でどこまでが失われた記憶かを上手く描いている様な気がします。主人公を演じているのが、レイフ・ファインズ。レッド・ドラゴンでもそうでしたが、最近どうもこの手のサイコっぽい役で芸幅を広げているようです。ちょっと普通でない人を主人公にしているのて、私に取っては気に入った作品ですが、皆にお勧めできるかとしいうちょっと無理かも知れません。

  評価 ☆☆☆☆  (03/3/29)


ball1キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
原題 Catch Me If You Can (米/UIP 140分  2002年)
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 レオナルド・ディカプリオ  トム・ハンクス

 1963年。NY州ブロンクスヴィル。地元名士の集まりで、スピーチをし、喝采を浴びる父を、16歳の息子は誇りに思っていた。父は兵士として駐留したフランスで、村一番の美女だった母の心を射止めた話を、息子に聞かせるのが好きだった。だが、そんな幸せな家庭があっという間に崩壊する。父が事業に失敗。家を売り、小さなアパートに移った頃から、母の様子も変化した。男ができたらしい。ある日、学校から帰ったフランクに、両親の離婚が告げられる。父と母、どちらと一緒に暮らすか。究極の選択を迫られた彼は、そのまま家を飛び出し、マンハッタン行きの列車に乗った。父からもらった小切手も限度額まで使ってしまい、小切手に手を加えるが、すぐに怪しまれてしまう。そんな時、彼は、町で人々の視線を集めて歩くパイロットを見かける。これだ!彼はベテラン・パイロットから航空会社の仕組みを聞きだすと、うまく制服を手に入れ、偽造した小切手を出しても、もう怪しまれることはなくなった。

 「ダイ・アナザー・デイ」も「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」も人が大勢死ぬシーンばかりでうんざりしましたが、こういう軽妙な作品は犯罪者ではあるけれど、ホッとさせるものがあります。実話というのはちょっとビックリですが、スピルバーグがこういう軽めの作品を作るとはちょっと違和感がありますね。どうしたことでしょう。犯罪ものですが、音楽やファッションも含めて古きよき60年代でしようか。家族がテーマにもなっています。
 キャストは割と重めですが、ディカプリオもこういう役ははまり役みたいで嬉々としてやっている感じてす。少年役でもこなせるし…。クリストファー・ウォーケンが父親役でなかなか渋い。でも、アカデミー賞候補ものかなぁ…。

  評価 ☆☆☆☆  (03/3/23)


ball1ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
原題 The Load of the Rings: The Two Towers (ニュージーランド・米/ヘラルド、松竹 179分  2002年)
監督 ピーター・ジャクソン
出演 イライジャ・ウッド  イアン・マッケラン

 荒涼とした景色が広がる中を行く、フロドとサム。彼らは、火の山(滅びの山)のき裂に指輪を捨てるという使命のため、冥王サウロンが支配するモルドールを目指していた。そんな二人の後を、前の指輪の持ち主、ゴラムがこっそりと後をつけていた。彼らと離れ離れになったアラゴルンとレゴラス、ギムリの3人は、オークとウルク=ハイの軍団にさらわれたメリーとピピンを追っていた。魔法使いのサルマンが、ホビットを生きたまま連れて来いと、ウルク=ハイに命令したのだ。アイゼンガルドのオルサンクの塔を拠点とするサルマンは、モルドールのバラド=ドゥアの塔を支配する冥王サウロンと手を結び、中つ国を闇の世界に変えようとしていた。手始めにサルマンは、人間の国、ローハンへの攻撃を開始する。
 総製作費340億円、撮影日数15ヶ月、スタッフ2,400人、キャストとエキストラ26,000人という空前のスケールで描くシリーズ第二作。

 何だかんだ言っても、3時間の長尺、飽きることなく見せてくれる作品であることはひていできないでしょう。戦闘シーンでの兵士の数も多さに圧倒されますが、理屈はどうであれ、どんどん兵士が死んでいく様は時節柄ちょっとうんざりさせられるところもあります。今回の注目はゴラムですね。CMにも登場していますが、あの二重人格ぶりはなかなか話を面白くしています。CGの動きはちょっとグロテスクですが…。
 メンバーが3つに分かれて行動しているので、ちょっとわかりにくいところもありますが、そこはちょっと仕方ないかな。空を飛んでいけばすぐ着ける感じなのに…(笑) 前作の時も書いた気がしますが、イライジャ・ウッドはちょっと…

  評価 ☆☆☆☆  (03/3/22)


ball1007/ダイ・アナザー・デイ
原題 Die Another Day (英・米/20世紀フォックス 123分  2002年)
監督 リー・タマホリ
出演 ピアース・ブロスナン  ハル・ベリー

 朝鮮半島の軍事境界線を越えた北側に潜入し、死闘の上、危険人物である大佐を滝壷に突き落とした英国秘密諜報部員ジェームズ・ボンドは、捕らえられて拷問を受けた。やがて、彼はその大佐の腹心だった部下と交換され、自由の身になったが自白したものと見なされ、治癒名目の幽閉という思いがけない事態になった。諜報部員の資格を剥鷺されたボンドは、自らのアイデンティティーを証明するためにも、大佐の部下を追うべく、厳しい警衛を潜り抜けてキューバに飛ぶ…。
 シリーズ第20作目&40周年のダブル記念作品。

 うーん。どうなんでしょう。ボンドらしいしゃれっ気や車なんかも出てきますが他の作品との差別化ができにくくなってきた感じてす。他の作品がボンドの真似をしているのか、冷戦状態がなくなってきたせいでしょうか。「トゥモロー・ネバーダイ」のテレビのネタづくりとか今回のDNAネタとか規模は大きいですが、かなり個人的なレベルになってきた感じですね。元々わけわからないストーリーではありますが…。でも、あの手で地雷爆破できるのなら平和利用できるかも(笑)。
 拷問シーンがタイトルバックで使われているのですが、ちょっとイヤですね。ソウルバスが懐かしいぞ。流れているマドンナの曲もパッとしないし…。彼女はチラッと出演もしています。
 ヒロインのハル・ベリー。この役でシリーズ化との話が出ていますが、どんなものでしょう。私はもう一人のロザムンド・パイクの方がよほど目立っていてよかったが気が…。「Q」は、前任者が亡くなったので前作にも出ていた「モンティ・パイソン」出身のジョン・クリースが演じています。

  評価 ☆☆☆  (03/3/21)


ball1刑務所の中
 (ビーワイルド・衛星劇場/ザナドゥー 93分  2002年)
監督 崔 洋一
出演 山崎 努  香川 照之

 ガンマニアのハナワカズイチは銃砲刀剣類等不法所持、火薬類取締法違反で懲役3年の刑を受ける。北海道の雑居房での生活が始まった。一流ブランド好きのおぼっちゃま受刑者、媚びを売る受刑者に火花を散らす、腕に仁義、もとい仁議と刺青してしまった男、シャブに未練たっぷりの冴えない中年男、そしてハナワの5匹の受刑者たち。起床6時40分、就寝21時。軍隊以上の規律正しい厳しい生活の中で、食事のこと、掃除で出た陰毛の犯人探し、電気剃刀の電池のもち比べ…毎日毎日飽きもせず繰り返される同じ会話、同じ日常が続いていく。
 自身の刑務所体験を漫画に興した花輪和一の大ヒットコミックを「月はどっちに出ている」の崔洋一が映画化。

 名古屋刑務所みたいに怖い刑務所もあるようですが、この作品のような刑務所なら一回くらい入ってもいいかなぁと思える不思議な作品です。こういうところだからまた入りたくてわざと犯罪を犯す人がいるのでしょうか。キャストが豪華です。香川照之、田ロトモロヲ、松重豊、村松利史、大杉漣等。チョイ役で椎名桔や窪塚洋介。窪塚なんかかなりおいしい役ですね。

  評価 ☆☆☆☆  (03/3/19)


ball1ボウリング・フォー・コロンバイン
原題 Bowling for Columbine (カナダ・米国/ギャガ 120分  2002年)
監督 マイケル・ムーア
出演 マイケル・ムーア  チャールトン・ヘストン

 1999年4月20日、アメリカ合衆国は普段通りの穏やかな朝を迎えた。人々は仕事に励み、大統領は国民が名前さえ知らない国に爆弾を落とし、コロラド州の小さな町では2人の少年が朝6時からボウリングに興じている。何の変哲もない予定調和な1日のはじまり…。その1時間後、あのコロンバイン高校銃乱射事件、別名トレンチコートマフィア事件が起きた。事件の舞台はコロラド州リトルトンのコロンバイン高校。そこの生徒である2人の少年が、高校に乗り込み銃を乱射。12人の生徒と1人の教師を殺害したのち、自殺するという衝撃的なものだった。この事件は全米を震撼させた。あらゆるメディアが事件の分析を試み、ヒステリックに騒ぎ立てた。その中で マイケル・ムーアは、その大きな体をゆすりながら、問題の核心に迫るためマイク片手にアポなし突撃取材を敢行していく。彼は問う。「マリリン・マンソンのライブを禁止するのなら、なぜボウリングも禁止しないのか?」  カンヌ映画祭で20分のスタンディングオベーションを受け、デヴィッド・リンチがカンヌ映画史上、最初で最後の特別賞受賞を与えた作品。アカデミーしょうでも最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。<

 イラク攻撃の中、非常にタイムリーな作品。ドキュメンタリーの体裁ですが、そんなにシリアスではなく、かえって笑えるような描写もあります。
 マイケル・ムーアの「アホでマヌケなアメリカ白人」を読んでいたのですが、冒頭の口座を開くと銃がもらえるという銀行のサービスにはまずびっくりしましたね。その銃で強盗したらどうするのでしょう。米国の考えは途中のアニメで集約されていると思います。また銃犯罪が少ないカナダの若者の意見に私も同意見です。アポなしのKマートやチャールストン・ヘストン邸突撃あたりはどうかと思いますが、色々なことを考えるネタとしては最適な作品です。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (03/3/12)


ball1クリスティーナの好きなコト
原題 The Sweetest Thing (米国/ソニー 84分  2002年)
監督 ロジャー・カンブル
出演 キャメロン・ディアス  トマス・ジェイン

 "結婚相手より当座の相手"をデートの鉄則に、遊びの恋を楽しんできたクリスティーナは、その夜も失恋して落ち込んでいる女友達を元気づけようと、もう一人の親友と一緒に彼女をクラブに連れ出す。そして、手近な男の尻をつかんで振り向かせて、彼女に紹介しようとしたことから運命の出会いとなる。

 まあキャメロン・ディアスがでていなかったら見に行かなかった作品です。セルマ・ブレアもかわいいけれど…。キャメロン・ディアスもメジャーになったのによくこんな作品に出ているなぁと思いますね。そみが彼女のいいところでもあるけれど…。こういう映画を見ていると向こうの映画の気軽さが垣間見える気がします。今の日本では逆になんかなかつくれませんよね。昔のプログラムピクチャーみたいなものでしょうか。最近、WOWOWでもやっていて話題の「セックスアンドシティ」という向こうのテレビドラマがあります。言ってみれば向こうの女性版「パンツの穴」か(笑)

  評価 ☆☆1/2  (03/3/9)


ball1レッドドラゴン
原題 Red Dragon (米国/UIP 125分  2002年)
監督 ブレット・ラトナー
出演 アンソニー・ホプキンス  エドワード・ノートン

 プロファイルに優れ、“人食いハンニバル”と呼ばれた殺人鬼、ハンニバル・レクター博士を命懸けで逮捕したが、FBIを退職した元トップ捜査官の元にかつての上司が訪れ、最近起きた連続殺人事件の協力を求める。上司の懇願に負けて現場を再検証することを承諾した彼は、解析した犯人像を語る。狙いは両家の夫人で、なぜ選ばれたかは不明ながら何らかの共通点があること。そして突発的な犯行ではなく入念に準備されたものであることもつけ加えた。仕事を終えて帰ろうとするグレアムに地元紙の記者が、今回の事件についてうるさく近づいてくる。犯罪心理学に長け、自らも殺人鬼である病院に幽閉されたレクター博士に意見を求めるように説得する。彼にとっては精神をボロボロにされた相手だったが、真相を知りたい気持ちが勝り、厳重な監視の目が光る病室へ捜査官は向かう。  アカデミー賞主要5部門を独占した『羊たちの沈黙』か11年―。「ハンニバル」を経た“レクター”シリーズの最新作。製作はラウレンティス

 うーん。面白いと言えば面白いのですが、ちょっと違和感が残りますね。レクターは出ていますが、シリーズものとは言ってもちょっと別の話みたいに思えます。逆にレクターが出てくることで、レッドドラゴンの不気味さがそがれてしまって、怖さが失われている気がします。ストーリーの展開は面白く、出演者もハーヴェイ・カイテル、エミリー・ワトソン、メアリ=ルイーズ・パーカー、フィリップ・シーモア・ホフマンとかなり豪華です。なかでもレイフ・ファインズはこの手の役をさせたら一級ですね。エミリー・ワトソンとの関係の方で一つストーリーが出来てしまいそうです。でも、彼とレクターの繋がりが今ひとつわからなかったのは私だけでしょうか。ラストにはニヤリ。

  評価 ☆☆☆  (03/3/2)


ball1スコルピオンの恋まじない
原題 The Curse of the Jade Scorpion (米国/ギャガ 101分  2001年)
監督 ウディ・アレン
出演 ウディ・アレン  ヘレン・ハント

 C.W.ブリッグスは社長の信頼も厚い自称腕利き保険調査員。今日も盗難に遇ったピカソの名画をみごとに見つけだして難事件を解決した。そんな彼にとって最大の悩みのタネが、リストラ担当重役として最近入社してきた女性の存在だ。直感タイプで独自の捜査方で事件を解決してきた昔気質探偵の彼とは正反対に、彼女は徹底的な合理主義者。その上美人だというのにかわいげのないバリバリのキャリアウーマンときている。ブリックスとはまるで水と油のような関係で、顔を見れば皮肉を言い合う犬猿の仲である。そんなある日、社員一同で同僚の誕生日を祝うために行きつけのナイトクラブにくりだした。そこではある魔術師が催眠術ショーをやっていて、実験台になったのが彼たちが選ばれる…。ウディ・アレンの新作。

 こういうおしゃれな恋物語を描かせればウディ・アレンの右にでる人はいいませんねぇ。いくつになっても主役でいられるのでうらやましい限りです。それでいて、不自然ではないから不思議で仕方でないですねぇ。私たち観客が彼の映画でまじないを受けているようです。設定がかなり昔になっているのですが、その頃からリストラってあったのでしょうか。それも女性重役が乗り込んでくるとは…。現在に対する皮肉かな。  ヘレン・ハントもこの作品ではかわいく見えるから不思議。脇役のシャーリーズ・セロンもいいですが、彼女は髪が短い方が良いな。ダン・エイクロイドもまだ老け込む歳じゃないぞ。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (03/3/1)


ball1猟奇的な彼女
 (韓国/アミューズ 122分  2001年)
監督 クァク・ジェヨン
出演 チョン・ジヒョン  チャ・テヒョン

 まるで女の子のように、大事に育てられた気だてのいい大学生が、ある夜、地下鉄で酔っぱらってしまって歩けなくなった“彼女”を介抱する羽目になる。仕方なくホテルに泊めて面倒を見るが、翌日素面になって昨日の記憶がなくなってしまっている彼女は昨夜のいきさつについて、彼に問いただす。しらふの彼女は、やっぱり、大学生好みのキュートな美人。しかし、態度はとてもワイルドで、彼や周囲の客にあれこれと指図をし出す。そして、酒が入ると、「私、きのう、好きな人と別れたの」と言って泣き出し、再び気を失ってしまう。キョヌは、また、ホテルに彼女を連れて行くが、子供のような寝顔の彼女にひかれ始め、その心の傷をいやそうと決意する。そして、彼女とつきあい始めたものの、もちろん、普通の相手ではなかった。

 弓月光の漫画みたいなストーリーですが、韓国でヒットし、ドリームワークスがリメイクの権利を買ったとのことです。この作品、ヒロインの行動に付いていけるかどうかで評価が分かれるでしょう。私は予告編などで受けていた印象のような突飛さは感じずにヒロインを見ることができました。しかし、全体の流れとしては今ひとつな感じがします。前半戦、後半戦、延長戦などという分けて展開していくのですが、それぞれがちょっと長過る感じです。この手のラブコメとしてはもうちょっと短い方がいい気がします。それぞれのエピソードも長過ぎますね。脱走兵の話なんかもはずせとまで言いませんが、途中でだらけてしまいました。彼女の脚本の話もいるかなぁ…。ラストはバレバレですが、ちょっとチグハグかも…。まあ、それなりにホロリとさせられますが…

  評価 ☆☆☆  (03/2/23)


ball1戦場のピアニスト
原題 The Pianist (フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス/アミューズ 148分  2002年)
監督 ロマン・ポランスキー
出演 エイドリアン・ブロディ  トーマス・クリッチマン

 1939年、ナチス・ドイツがポーランドに侵攻した日、ユダヤ人でピアニストであるシュピルマンは仕事場であるワルシャワのラジオ局でショパンを演奏していた。やがて彼らユダヤ人に対してゲットーへの移住命令が出され、シュピルマン一家も住みなれた我が家を後にする。彼はゲットー内のカフェでピアノ弾きの仕事を得るが、ここには彼の演奏に聴き入る客はいなかった。物資を密輸しようとした少年が殴り殺されたり、隣人一家が皆殺しに遭ったりするのを凍るような思いで目にしていたが、やがて、ユダヤ人たちは全員収容所へ移されることになる。シュピルマン一家を含む大勢のユダヤ人が乗せられる列車に向って移動を始めたが、彼だけは運良くひとりだけ死の収容所行きを免れる。彼はゲットー脱出を決行し、知り合いに頼んで隠れ家で僅かな食料で食いつないでひっそり暮らし続けた。だが冬のある日、とうとう彼の存在が隣人に知られ、アパートにいられなくなってしまう。
 「ローズマリーの赤ちゃん」「テス」のロマン・ポランスキー監督作品で2002年のカンヌ映画祭、パルムドールを受賞。

 第二次世界大戦当時のユダヤ人を描いたの作品は今までも何本もありました。「シンドラーのリスト」や「ライフ・イズ・ビューティフル」なんかもそうでしょう。でも、この作品はこれまでの作品とちょっとタッチが違っています。主人公がドイツ人に体を張って抵抗したヒーローでもなければ、取り立てて自分が悲惨な目やハラハラドキドキさせるような場面を生き抜いたわけでもありません。割と普通の視線で衛かがれているところが目につきます。下手に別れた家族の行く末や収容所の様子を描いたりしていないところも逆にこの作品では効果的だと思います。ドラマ性にかけている点は否めませんが、直接的な描写や悲壮的なメッセージではなく、淡々と事実や主人公の変化を描いていくだけでその分を補える説得力はあるような感じがします。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (03/2/22)


ball1黄泉がえり
 (TBS・電通・東宝他/東宝 125分  2002年)
監督 塩田 明彦
出演 草なぎ 剛  竹内 結子

 九州の阿蘇地方で死者が蘇る現象が多発する。彼らは、ゾンビや幽霊の姿ではなく、死んだ当時の姿のまま、自分の事を想い続けてくれた人の前に、ある日突然現れたのだ。彼らを目の前にして喜ぶ家族、そして戸惑う周囲の人々。彼らは一体、何故、どうやって戻ってきたのか!?厚生労働省に勤務する青年が自分の故郷で起こったこの不思議な現象の調査に乗り出す。そこで彼は、死んだ親友の彼女だった女性と再会する。彼女は恋人だった男性が自分のもとによみがえってくるのでは…と想い続けているのだった。

 甦った人たちと同じく3週間の限定公開とのことで当初公開された作品です。予告編やCMを見た限り大した作品ではなさそうで、興味は無かったのですが、意外に評判が良かったのと監督が「害虫」の監督の塩田 明彦とのことで急遽見に行くことにしました。もっとも、その後も観客動員が好調のようで、3月になった現在もまだ続映されています。
 で、見た感想ですが、予告編通りちょっとがっかりと言った感じです。これも原作がある作品なので、どちらの要因かよく分かりませんが、どうも展開に無理が多すぎます。以下、ネタバレ注意。

 SFなので、そんなに理屈を言わなくてもいいのですが、中途半端な点が多いので、文句が言いたくなります。まず、何千人も甦っている割には、内緒を通していてマスコミの存在が無視されています。その割にインターネットなどは発達していて、行方不明になったはずの歌手のコンサートに大勢観客が集まったりしています。死んだ人のことを思い続けることで死んだ人が甦るとのことですが、山本圭壱の場合はそれほど兄さんのことを思っているとは感じられません。(甦った後はだいぶ態度が変わっていましたが…) 草なぎ剛扮する役人は、自分の仕事そっちのけで、鹿児島まで行ってしまうし…。(携帯どうやって返したんだ(笑))  素材はもっと良い話だと思うのですが、なにせアラが目立ってしまっています。群像的な見せ方もしているのですが、削った方がいいもと思われる話もあるし、ラスト近くのRUIのコンサートシーンも彼女結構うまいとは思いましたが、何曲もダラダラ歌ってしまっては緊張感がなくなってしまう感じです。草なぎ君はともかく、竹内結子はいいなあ。彼女はポイントアップ(笑)

  評価 ☆☆1/2  (03/2/5)


ball1Jam Films(ジャムフィルムズ)
 (セガ・アミューズ/アミューズ 109分  2002年)
監督 北村 龍平  篠原 哲雄  飯田 譲治  望月 六郎  堤 幸彦  行定 勲  岩井 俊二
出演 魚谷 佳苗 山崎 まさよし 大沢 たかお 吉本 多香美 佐々木 蔵之介 妻夫木 聡 広末 涼子

 篠原 哲雄、堤 幸彦、行定 勲、岩井 俊二等の俊英監督7名によるコンピレーション・フィルム。一つのテーマにとらわれず、それぞれの映像パフォーマンスを披露している。俳優陣も大沢たかお、広末涼子、山崎まさよし、妻夫木聡等、バラエティに富んだキャスト。

 監督の顔ぶれがなかなか興味深かったので、見に行きました。オープニングのの映像が原田大二郎のCGでおっ、これは面白そうだなっと思ったのですが…。一本目でちょっとくじけてしまった感じです。その後の作品も見る人によって好き嫌いはわかれるでしょうが、全体として見てみると果たしてうまくいったのか疑問が残る作品のような気がします。長編とは違ったものを狙ってトライした監督もいるでしょうが、結果的には自分のカラーを十分させないままになってしまった感もありますね。個別に見ると面白いものもありますけれど…。ネタ的に一番受けたのは行定勲と妻夫木聡のコンビのヤツですね。望月六郎まで行くとネチネチしすぎていますが…。段々ブルマの学校なくなっているので、貴重な映画になるかも(笑) 日の作品、セガが製作していますが、スクウェアの例があるだけに大丈夫かな。

  評価 ☆☆☆  (03/2/2)


ball1西洋鏡・映画の夜明け
原題 SHADOW MAGIC (米・中国/ギャガ 115分  2000年)
監督 アン・フー
出演 シア・ユイ  ジャレッド・ハリス

 清朝末期の一九〇二年。イギリス人レイモンドは中国に初めて“西洋鏡”と呼ばれる映画を持ち込んだ。北京の写真館で働いていた中国人青年リウは、銀幕の映像を目にした瞬間、その魔力に魅入られた。青年のおかげでレイモンドの映画小屋は大繁盛するが、観客を奪われた京劇の人々は面白くない。しかも、リウが恋したのは京劇界の大スターの娘。そんな折、レイモンドとリウは西太后の誕生日を祝う式典で映画を上映することになる。

 2000年の作品とのことですが、ちょっと従来の中国映画っぽくない作りになっています。調べてみると製作は、米国・中国・台湾の合作。監督は中国出身ですが、米国に留学していた女流監督とのことです。清の末期の時代の話しですが、共産主義国家から資本国家に変化している中国にダブるところもあります。映画や映画小屋?が題材ということもありますが、「ニュー・シネマ・パラダイス」に通じるところもありますね。映画好きな人で、この映画を見て嫌いだと言う人はそんなにいないでしょう。また、写真や映画の伝来時の様子がわかり、勉強にもなります。日本も同時期だと思うのですが、どんな様子だったのでしょう。主役とヒロインはなかなか感じが出ていていいですね。主役は、「太陽の少年」のシア・ユイ。映画技師役は、リチャード・ハリスの息子です。ちょっと安易な展開もあって今ひとつのところもありましたが、見た後の気持ちがいい作品でした。

  評価 ☆☆☆☆  (03/2/2)


ball1ボーン・アイデンティティー
原題 Bourne Identity (ユニバーサル/UIP 118分  2002年)
監督 ダグ・リーマン
出演 マット・デイモン  フランカ・ポテンテ

 嵐の地中海沖である漁船が、海上に浮いている男を救い上げる。男はウェットスーツを身に着け、数発の弾丸を受けていた。やがて、男は意識を取り戻すが、記憶を失っていた。身元も経歴も何ひとつわからないが、男は戦う術を身につけている上、語学に堪能で、自己防衛能力にも優れていた。男は早急に自分の正体を突き止めることを決意し、皮膚の下に隠されていたカプセルに記されていたチューリッヒの銀行に向かった。ロバート・ラドナムの原作をマット・デイモン主演で映画化。

 この作品ではありませんが、ロバート・ラドナムの本は以前読んだことがあるので、それに釣られて見に行きました。まず、問題は邦題ですね。最近、カタカナの邦題が多いのですが、この作品も然り。ボーンというから「骨(Bone)」か「生まれ(Born)」だと思ったにのに、何のことはない「ボーン(Bourne)」という名字でした。原題のままとは言え、なんのこっちゃ。勝手に想像した私が悪いのか?。原作本の邦題は「暗殺者」だと思います。
 内容は、まあこんなものでしょう。マット・デイモンが意外にアクションできるとはちょっとビックリ。サル顔(失礼)ですが、芸幅広がってきましたね。途中吹き抜けを飛び降りるとんでもないアクションのシーンがあって大喜びしてしまった私でした。ミニでのカーチェイスもおやおやかな。(笑) 相手役は「ラン・ローラ・ラン」のフランカ・ポテンテがやっているのですが、ヒロインっぽくなくて逆に面白いかも。

  評価 ☆☆☆  (03/2/1)


ball1壬生義士伝
  (松竹・テレビ東京・テレビ大阪・電通他/松竹 137分  2003年)
監督 滝田 洋二郎
出演 中井 貴一  三宅 裕司

 幕末の京都の片隅、壬生で産声を上げた新選組は、表向きには得意絶頂だったが、内部では崩壊が始まっていた。倒幕勢力が日に日に力を増し、新選組も各々の思惑に揺れていた。そんな中にひときわ腕の立つ男が入隊する。局長の近藤勇も一目置く斎藤一は、田舎侍で金に汚い彼に反発しいきなり斬りつけたりするのだが、、お互いの胸に秘めた真意を理解し始めたことから、やがて友情のような者が芽生えていくようになった。やがて、新選組の分裂は現実のものとなっていくが…。浅田次郎の原作を中島丈博を脚本、滝田洋二郎が監督。

 うーん。どうなんでしょうね。悪い作品ではないのですが、必要以上に泣かせに走っているような気がします。まあ、原作が浅田次郎だからかなぁという気がしますが、何となく普通の人情ドラマになってしまい、新撰組や明治維新という設定が中途半端になってしまった気がします。原作を読んでいないから何とも言えませんが…。「たそがれ清兵衛」の方が公開が前だっただけにどうしてもそれとの比較にもなってしまいます。南部藩時代の主人公の心情はよくわかるのですが、鳥羽伏見の戦いあたりの揺れがちょつとわかりませんでした。死んでしまったら妻子がこまるんじゃないかなぁ…と。それとも慰労金が何かでるんでしたっけ。お金の話でなんですが…。
 ストーリーを斎藤の回顧でつづっていくのもどうだったのでしょう。緊張感を欠く要因ですね。ま、そういう話じゃないのか。でも、佐藤浩一の老けメイクが出てくるたびに親父の三国連太郎を連想して笑いそうになってしまいました。山田辰夫の好演と沖田総司役の堺雅人のニヤリとした笑いが印象的。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/2/1)


ball1鬼が来た!
原題 鬼子來了(DEVILS ON THE D00RSTEP) (中国/GAGA・東光徳間 140分  2000年)
監督 姜 文(チアン・ウェン)
出演 姜 文(チアン・ウェン)  香川 照之

 第2次世界大戦が終結に向かっていた1945年の旧正月直前。中国・華北の寒村に住む青年の家に、深夜、「私」と名乗る男がやって来て、拳銃を突きつけた上、麻袋を2つ押しつける。麻袋の1つには日本兵が、もう1つには通訳の中国人が入れられていた。「私」は、それを晦日まで預かるよう脅し、供述書も取れと命じて去っていく。日本海軍が駐留している村で日本兵を家に置くなど危険極まりない行為だ。村人たちは寄り集まり、殺してしまうか、日本軍に引き渡すか、喧々轟々、話しあう。だが、晦日まであと一週間もない。それまで2人を隠すのが最善策ということに落ち着く。日本兵は囚われの身になったことを恥じて、一刻も早く殺せとわめき立てるが、命が惜しい通訳は機転をきかせて、日本兵の言葉を勝手に友好的な言葉に翻訳して村人に伝える。
 約束の時間になっても、「私」は姿を見せないし、日本兵は、機会あれば何とか日本軍と接触を図ろうとするため、村人達は相談の上、彼等を始末しようとする。姜文の「太陽の少年」に続く久々の新作。2000年カンヌ国際映画祭グランプリ作品

 一言で言うとスゴイ映画です。原作がある作品の様ですが、ストーリーに隙がないです。冒頭の緊張感。日本兵と村人たちとの間のどことなく間抜けなやりとり。その間に立つ通訳の抜け目ない立ち回り。前半はそう言ったとぼけたやりとりを描いているだけに終盤での急展開がより印象的なものになっています。白黒で撮られているところも効果的ですね。ロケの村を作ったというのもスゴイし、日本兵、特に陸軍と海軍の描き分け方もリアル感がある気がします。

  評価 ☆☆☆☆☆  (03/1/22)


ball1ごめん
 (読売テレビ、バンダイビジュアル他/オフィス・シロウズ、メディア・ボックス 103分  2002年)
監督 富樫 森
出演 久野 雅弘  櫻谷 由貴花

 セイこと七尾聖市は大阪郊外に住む小学校6年生。身長体重はクラスの真中。ある日、授業中、クラスで(多分)初めて一番にオトコになってしまう。その日以来、彼は授業に身が入らない。博学の友人には「要するに発情期に入ったんだ」と事もなげに奮われてしまう始末であった。  ある日、京都の祖父母の家に遊びに行ったセイはお使いに行った老舗の演物屋である少女に出逢う。その時以来、彼女の事が頭から離れなくなってしまう。友人に勧められて、京都に向かい彼女の居場所をつかんだ彼だったが、彼女には冷たくされ、そのうえ、彼女は中学生だということがわかってしまう。「非・バランス」でデビューした冨樫森監督の新作。原作は相米慎二の「お引っ越し」と同じ、ひこ・田中の同名小説。

 こういう映画、意外と私のツボなのです。姓に目覚める少年の話ですが、「マレーナ」ほど、ベタベタしていません。「小さな恋のメロディ」に近いかな。両親が國村準と河合美智子というのも視線を柔らかくしています。子供の話しながら?遠距離恋愛(笑)、お互いの意志のすれ違いとなんとなくおとなっぽいテーマを含んでいます。そうしたストーリーの中でキーになっているのが、自転車。この小道具が距離や動きを表すために効果的に使われています。特に終盤の自転車のシーンは良いですね。「跳んだカップル」みたいに記憶に残るシーンになるかも…。

  評価 ☆☆☆☆  (03/1/20)


ball1ゴスフォード・パーク
原題 GOSFORD PARK (イタリア・イギリス・アメリカ・ドイツ/UIP 134分  2001年)
監督 ロバート・アルトマン
出演 イケル・ガンボン  クリスティン・スコット・トーマス

 1930年代、イギリス郊外に建つカントリー・ハウス、ゴスフォード・パークに次々と人々が集まって来る。ここの主の招待によるパーティーが催されるのだ。主人達とともに、付き人のメイドや従者達も一緒にやってきた。主人たちの優雅な「階上」とは違って、そこには人が入り乱れ、活気にあふれた「階下」の世界があった。パーティーは初めてのメイドのメアリーは主人の名前で呼ばれることを含め、すべてに戸惑っていた。様々な考えを持って集まってきた来た彼等が、翌日行った、ギジ撃ちで小さな事件が起こった。ホストであるマッコードル卿が暴発した銃で耳を撃たれたのだ。単なる事故か、それとも誰かが故意に狙ったのか…。アカデミー賞脚本賞、ゴールデン・グローブ賞監督賞などを受賞したロバート・アルトマンの新作。

 さすが、ロバート・アルトマン。数多い出演者を巧みに演出し、見応えがある作品になっています。今回はちょっと長回しがなかった点がものたりませんでしたが…。「8人の女たち」と同じく推理仕立ての群像劇。階上の貴族達と階下の下男、メイド達に切り分けているところが面白いですね。また、主人公をまだ若いメイドにしているため、主人達の関係や貴族のしきたりも彼女と共にわかるようになっているところも見やすいです。謎解きはちょっと…、でしたが、そういう映画でもないですね。期待通り、お腹一杯になれる作品でした。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (03/1/13)


ball1AIKI
 (日活・パップ・衛星劇場他/日活 119分  2002年)
監督 天願 大介
出演 加藤 晴彦 ともさか りえ

 ボクシングに打ち込んでいた太一は不慮の交通事故による脊髄損傷により、一生、車イスの生活になると宣告される。失意の彼は、彼女や仲間の見舞いもはねつけてしまう。そうした様子を見て、「障害者になると、そうやって世間が狭くなっていく」と辛辣な言葉を投げかけたのは、同じ病室の脊髄損傷の先輩だった。彼は夜、自殺を試みようとする太一に、「あと1年だけ生きてみな。それでも面白いことがなきゃ、俺は止めねえよ」と言う。退院して車イスの生活を送る太一は、職探しもうまくいかず、たったひとりの身内である姉・民子(原千晶)の結婚が自分のために延期になったことも知って、自暴自棄の生活を送っていた。だがある晩、ふとしたきっかけで、露店商の仕事を得る。やがて、打ち込むものを求めるようになった彼は合気柔術に入門を志願する…。監督は今村昌平の息子、天願大介。

 うーん。キネマ旬報のベスト10に入っていたので、見に行ったのですが…。ピントが合わなかったせいか、どこが評価されているのか今ひとつわかりませんでした。悪くはないですが、普通のちょっといい青春映画という感じです。残念ながらそれ以上のものはそんなに感じませんでした。
 これまた悪くはないのですが、主役の二人が今ひとつの様な感じがします。石橋凌、火野正平、桑名正博と言ったおじさんに負けている気がします。木内晶子の方がよほどかわいいのに…(笑)。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/1/12)


ball1ギャング・オブ・ニューヨーク
原題 Gangs of New York (米ミラマックス/松竹 日本ヘラルド映画 168分  2002年)
監督 マーティン・スコセッシ
出演 レオナルド・ディカプリオ  キャメロン・ディアス

 19世紀初頭のアメリカ、ニューヨーク。希望を抱いてやってきたアイルランド人の移民たちを迎えたのは夢とは程遠い、厳しい現実だった。「ネイティブ・アメリカンズ」と名乗るアメリカ生まれの住人たちは、やってきた移民たちを、よそ者と呼び、自分たちの土地、仕事、そして祖先たちが苦労して勝ち取った自由を脅かす侵入者とみなしたのだ。やがて、「ネイティブ・アメリカンズ」とアイルランド移民たちの組織「デッド・ラビッツ」との戦いは熾烈を極め、ついに雌雄を決する時を迎えた。その戦いは「デッド・ラビッツ」のリーダーである神父が、「ネイティブ・アメリカンズ」のボスに殺されることで決着がついた。自らも刑務所に投獄された神父の息子を支えたのは、父を殺した男への復讐、それだけだった。
 「タクシードライバー」「グッドフェローズ」をはじめとする数々の傑作を生み出してきたマーティン・スコセッシが、30年間温めてきた構想を、撮影期間270日、総製作費120億円以上の巨費を投じて挑んだ超大作。

 一昨年から予告編を見たような記憶がありますが、例のテロ事件のために、公開が遅れた作品です。3時間足らずの上映時間のせいもありますが、さすが大がかりで迫力がある作品です。見た直後は、歴史物なのか復讐劇なのか、ましてはラブ・ストーリーではなく、今ひとつ意図がわからない作品というのが直後の感想です。でも、考えてみると色々な物が背後にあることを感じさせます。その一つがこの作品の暴力描写にあらわれているのでしょう。冒頭の乱闘シーン迫力ですね。思わず目を背けるところもあります。このシーンもそうですが、全体を通して武器として使われているのがナイフや斧などが多く、ピストルはあまり出てきません。史実もそうだったのかも知れませんが、距離をおいて一撃でけりが付くピストルより肉弾戦での刃物の戦いで凄惨さを強調している気もします。移民を受け入れながら、差別を行う。その移民を徴兵して南北戦争の戦場に動員する。選挙を行いながら、裏では戦いを行う。それでいてゴールドラッシュの時代でもあるんですね。全てが混沌としている感じです。向こうの人でも、ニユーヨークにこういう歴史があつたことは知らない人が多いということですが、増して日本人の我々には初めて知るような歴史ではないでしょうか。何か体質的には、現在の米国にもそのまま当てはまる感じです。
 ディカプリオもがんばっていましたが、敵役のダニエル・デイ=ルイスが熱演ですね。久々の出演だそうですが、演技の幅広さを感じさせ、さすがです。キャメロン・ディアスは普通でしょうか。またしても、リーアム・ニーソン、おいしい役柄。
 全体的には今ひとつですが、さすがスコセッシ。ニューヨークを語っています。燃え尽き症候群にならないことを祈ります。最後のU2の歌も象徴的です。

  評価 ☆☆☆☆  (03/1/11)


ball1K-19
原題 K-19: The Widowmaker (英・米ナショナル ジオグラフィック他/ヘラルド 138分  2002年)
監督 キャスリン・ビグロー
出演 ハリソン・フォード  リーアム・ニーソン

  ミハイル・ポレーニンは経験豊富な潜水艦艦長として部下の信頼と尊敬を集めていたが、ソ連国家首脳部は最新鋭の原子力潜水艦K −19 の処女航海を指揮するには及ばないと判断し、代わりにアレクセイ・ボストリコフを新艦長に任命する。鉄の意志を持った、強烈な「職務志向の人」ボストリコフは、ポレーニンを副長として、航海に出るが、二人の意見はしばしば対立する。唯一共通するのは海軍と祖国への忠誠心である。
 1961 年、アメリカとソ連の冷戦時代の実話の映画化。監督は「フルースチール」「ストレンジ・デイズ」のキャスリン・ビグロー。

 潜水艦を舞台にした映画というのは、かなりあって、一つの小さなジャンルとして認識していいかも知れません。私も割と好きで見に行くことが多いです。まあ、普通の映画以上に極限状態が設定しやすいので、ドラマとして扱いやすいのとも言えます。
 この作品、ロシアの潜水艦の話なのですが、セリフは当然英語です。まあ、これは「レットオクトーバー…」辺りもそうだったか。冷戦下ということもあり、それなりの緊迫感はあるのですが、何か今ひとつの感じです。核に対する恐ろしさは認識できましたが、ドラマとしてもねぇ。ちょっと違う様な気がします。ラストの後日談も必要だったの…。ハリソン・フォードが珍しく敵役という設定なのですが、自分が製作に絡んでいるとしても、ギャラ30億円というのは取りすぎな気もします。

  評価 ☆☆☆  (02/12/30)


ball1マイノリティ・レポート
原題 Minority Report (20世紀フォックス・ドリームワークス/20世紀フォックス 146分  2002年)
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 トム・クルーズ  コリン・ファレル

 ワシントンD.C.。2054年。殺人はすべて消滅していた。未来が見えるようになり、処罰は、罪が犯される前に行なわれた。司法局のエリート集団、犯罪予防局の奥深くで、罪を犯そうとするすべての証拠、殺人現場の場所を始めとする詳細を「プリコグ」が見通していた。サイキックの三人から構成された「プリコグ」(予知能力者)の気付いた殺人が、これまで、誤報だった事はなかった。それは、国内最高の、もっとも進んだ犯罪摘発チームで、完全なシステムだった。そんな犯罪防止局のチーフは、自らの悲劇的な事件をきっかけに自分が経験した悲劇を同じように経験する可能性を持った何干もの人々の為に、自分の情熱のすべてを捧げていた。犯罪予防法案が全国化するための投票を前に、彼には、ユニットの有効性を疑う必要がなかった。
 フィリップ・K・ディックの原作をスティーブン・スピルバーグが監督した話題作。

 原作を読んだ記憶はないのですが、結構面白い話ですね。元々SFは好きなので、こういった話には、はまってしまいます。レクサスやギャップ、ブルガリなどスポンサー色もすごい。果たして、実際に50年後に残っているでしょうか。
 ラストに向かう展開は途中で予想がつきましたが、その後にどんでん返しがありました。でも、よく考えると矛盾点があるような…。アクションが予告編を見て想像していたほどではなかったなという感じ。あとドラマとしても今ひとつでしょうね。トム・クルーズよりマックス・フォン・シドーの達者振りの方が目立っていました。サマンサ・モートンはどうも地味ですね。

  評価 ☆☆☆☆  (02/12/22)


ball1至福のとき
原題 幸福時光 (中国/20世紀フォックス 95分  2000年)
監督 チャン・イーモウ
出演 トン・ジエ  チャオ・ベンシャン

 近代化が進む中国、大連。中年の労働者は喫茶店で太った女性とお見合いをするが、結婚のために5万元を用意するよう言われて困り果てる。彼は工場をリストラされて失業中だった。彼は仲間に相談し、工場の裏の空き地に放置されているオンボロバスを改装して、ラブホテルとして稼ごうとする。彼は見合い相手に対して、つい自分が旅館の経営者だと嘘をついてしまう。一方、彼女の家には甘やかされた息子のほかに、目の不自由な前夫の連れ子が住んでいた。継母にとってウー・インは厄介なお荷物。チャオが旅館経営者と聞いて、娘を雇うように頼む。
「あの子を探して」、「初恋のきた道」に続くチャン・イーモウの新作。

 主役の二人がいいですね。トン・ジエは本来は軍隊に入っているというのが信じられませんが、体重を落とし、恵まれない娘役を好演しています。相手役のチャオ・ベンシャンもいいですね。ほらを吹いたりするのですが、根はとても良さそうな役柄を演じています。下着姿のシーンなどがでてくるので、性的な関係も連想できなくはないのですが、それを押しとどめる役柄ともいえるでしょう。ラストはちょっと辛い感じがするが、これはこれでいいのかな。見合い相手の親子を見ていて、どこか見たことがある設定だなぁと思ったら、前に見た「チョコレート」の母子みたいですね。話は全然違いますが…。
 チャン・イーモウとしては珍しい?現代劇なのですが、ハーゲンダッツやマクドナルドも出てきて、段々中国映画も背景が変わってきた気がします。配給も20世紀フォックスジャパンとのこと。
 この映画の舞台は大連ですが、私の勤めている会社もここに進出しました。景気がよさそうなのに、結構失業者もいるようですね。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (02/12/15)


ball18人の女たち
原題 8 femmes (フランス/ギャガ  111分  2002年)
監督 フランソワ・オゾン
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ  ファニー・アルダン

 1950年代のフランス。雪に閉ざされた大邸宅にクリスマスを祝うため家族が集まってきた。そんな中、メイドが一家の主マルセルの部屋に朝食を持っていくと背中をナイフで刺さて殺される主人を発見する。すぐに犯人探しが始まったが、電話線は切断され車も配線を切られて動かない。それに番犬が吠えたような形跡も一切ない。つまり犯人は外からの侵入者ではなく、内部の人間なのだろうか? 容疑者は邸宅に集まった8人の女たち。クリスマス気分で和気あいあいだった家族が一転してお互いを詮索し始める。その結果、殺された主人をめぐって、それぞれの思惑や事情、秘密が次第に明かされてい
 フランスのを代表する女優達が歌って、踊る夢の大競演作。

 なかなか豪華な女優陣ですね。他の出演はエマニュエル・ベアール、イザベル・ユベール、ヴィルジニー・ルドワイヤン、リュディヴィーヌ・サニエ等々。メインストーリーは意外にもミステリー。そして、その謎解きも意外とドロドロしていて、ブラックなところもあります。それでいて、いきなりミユージカルなシーンが挟まれているので、ちょっと違和感もあります。設定的には昔のアメリカ映画なのですが、やはり、いかにもフランス映画という感じです。
 久々のファニー・アルダンもいいですが、メイド役のエマニュエル・ベアールがいいですね。ゾクゾクしました(笑)

  評価 ☆☆☆☆  (02/12/14)


ball1TRICK 劇場版
 (テレビ朝日、東宝/東宝 119分  2002年)
監督 堤 幸彦
出演 仲間 由紀恵  阿部 寛

 300年に一度、村を襲う大きな災い。自称売れっ子天才奇術師の奈緒子は、村人たちの不安を取り除くため神を演じてほしいと依頼を受ける。 だが村で奈緒子を待っていたのは…。何でも実体化する男、足の裏に目を持つ男、確率を支配する男…。彼らは皆、自分こそが神であると称していた。次々と起こる不可思議な現象。追い詰められる奈緒子と天才物理学者・上田、そして奈緒子の母親も加わり、事件は思わぬ方向へ…。深夜ドラマで評判だった?作品の劇場版。監督は、「ケイゾク/映画」「溺れる魚」の堤 幸彦。

 深夜ドラマの時は、チラッとしか見たことがなかったのですが、仲間と阿部のやりとりなんかは駄洒落が多いかけあい漫才みたいな感じで、変なドラマと思いました。で、当然映画も変です。ストーリーなんかはどうでもいいと言った感じですね。それより手品のトリックの謎解きの方が手が込んでいて、変に説得力があります。竹中直人、ベンガル、石橋蓮司、芳本美代子等脇役も面白いですが、まあわざわざ映画館に見に行く映画でもない気が…。私も映画の日じゃなかったら見なかったでしょう。仲間由紀恵、私が初めて観たのは庵野秀明の「ラブ&ポップ」だったのですが、出世したなぁ…(笑)

  評価 ☆☆1/2  (02/12/1)


ball1ハリー・ポッターと秘密の部屋
原題 Harry Potter and the Chamber of Secrets (米・英/ワーナー 161分  2002年)
監督 クリス・コロンバス
出演 ダニエル・ラドクリフ  ルパート・グリント

 ホグワーツのどこかにあると言われる「秘密の部屋」。その扉が50年ぶりに開かれた時、おそるべき冒険が始まった。第1作で対決した「名前を呼んではいけないあの人」、ヴォルデモート。ハリーは何とか勝利したが、強大なその力を完全に断ち切ることはできなかった。本作でハリーは、両親を殺した憎むべき闇の魔法使いヴォルデモートと自分の間に、不気味な共通点があることに気づいてしまう。壁に書かれた不吉な血文字、石にされた生徒たち、そしてハリーだけに聞こえる声…。次々と起こる不可解で残酷な事件の謎を解こうと、ハリーがたどり着いた「秘密の部屋」。そこに眠っていたのは、ハリー自身の過去に関する謎だった…。昨年、世界的ヒットになったハリー・ポッターシリーズ第二作。

 前作もそうでしたが、長いですね。2時間40分。でも、まあそんなに飽きずに見ることができるかも知れません。しかし、分厚く2分冊になっている原作を読んでいないので、何とも言えませんが、それでも色々詰め込み過ぎと言う感じもしますね。ある程度カットしているところもあるのでしょうが、何かペースが速くて分からないと言ったところもあります。もっとエピソードを削っていいのではと思われます。でも、クィディッチのシーンを省くかと言えば、難しいところもありますが…。それと前作もそうだったのですが、ラストの謎解きが飛躍しすぎていて、あれあれと言う感じがしますね。お目当ての設定の仕方がやや卑怯と思われるのですが、いかがでしょう。ハーマイオニーが活躍しなかったのもちょっと残念(笑)。ケネス・ブラナーは何か変な役ですねぇ。リチャード・ハリス追悼。

  評価 ☆☆☆☆  (02/11/30)


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