UPDATED 2003/1/11

★Ken's Cinema Report★

映画の感想のぺージです

2002年6月〜11月の感想のページです。ベースは北九州・福岡の映画館です。

どれを見ますか
[近作の感想] [2002年5月以前の作品の感想] [2001年の作品の感想]

作品の感想のページです
上から新しい順です
ネタばれがありますので、未見の方は注意してください。

  ball1[ピンポン]
  ball1[海は見ていた]
  ball1[スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 DLP版]
  ball1[ノー・マンズ・ランド]
  ball1[スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃]
  ball1[マジェスティック]
  ball1[春の日は過ぎゆく]
  ball1[アイ・アム・サム]
  ball1[ドリアンドリアン]
  ball1[アリ]
  ball1[少林サッカー]
  ball1[突入せよ!「あさま山荘」事件]
  ball1[スパイダーマン]
  ball1[害虫]
  ball1[活きる]



現在、作成中です。しばらくお待ちを…
「ロード・トゥ・パーティション」
「トリプルX」
「スズメバチ」
「たそがれ清兵衛」
「なごり雪」
「白い船」
「チョコレート」
「OUT」
「きれいなおかあさん」
「カンダハール」
「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」
「阿弥陀堂だより」
「アバウト・ア・ボーイ」
「バーバー」
「サイン」
「チキンライスウォー」
「酔画仙」
「おばあちゃんの家」
「DRIVE」
「ブレッジ」
「ウィンドトーカーズ」
「オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー」
「トータルフィアーズ」
「猫の恩返し」
「ギブリーズ EPISODE 2」



ball1ピンポン
 (日活/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント  119分  2002年)
監督 曽利 文彦
出演 窪塚 洋介  ARATA

 同じ高校の卓球部に所属するペコとスマイルの二人。ペコは卓球で世界一になることを夢見ているが、中国からの留学生や幼なじみのアクマに破れる体たらく。一方のスマイルは卓球を軽視していたが、コーチに才能を見いだされ、実力をメキメキと発揮することにより、卓球の面白さに目覚めていく……。
 松本大洋原作のマンガを、映画「GO」やドラマ「木更津キャッツアイ」の脚本の宮藤官九郎で描いた作品。監督は「タイタニック」のCGも担当したVFX出身の曽利文彦

  評価 ☆☆☆1/2  (01/8/4)


ball1海は見ていた
 (日活/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント  119分  2002年)
監督 熊井 啓
出演 遠野 凪子  永瀬 正敏

 粋な江戸っ子が住む深川の少しはずれにあるお女郎宿「葦の屋」。 そこで働く、まだ年若く器量よしのお新は、女将さんや姐さん方から「客に惚れてはいけないよ」と哀しい掟を教えられていた。にもかかわらず、お新は恋をしてしまう。彼女の先輩格で武家の出だという触れ込みの菊乃は、お新の純な恋を暖かく見守っているが、彼女も気の良い隠居の身請け話とヒモとの腐れ縁が立てない悩みを抱えていた。ある夏の日。激しい雨がやがて嵐に変わり、川は氾濫、高潮の兆しも見え始める。逃げ惑う人々をよそに、「葦の屋」を守ろうと居残るだったが、次第に逃げ場を失っていく。山本周五郎原作で、黒澤明がやり残した「幻」の企画を熊井啓が映画化。

 最近、何故か時代劇の企画が目に付きます。そういう時代なのでしょうか。冒頭のCGによる遠景から始まるシーンはなかなかいい感じでしたね。街の作りも考えられていて、さすか美術の木村威夫、その時代の感じが描き出されているような気がします。主演の遠野凪子がかんばっていたし、脇の清水美砂や石橋蓮司、奥田瑛二も存在感ある演技でした。ただ、肝心の相手役の永瀬正敏や吉岡秀隆がちょっと弱いですね。それとストーリーもエピソードの積み重ねに終わってしまっている感じだし、ラストの持って行き方や星空も強引で違和感があります。海は見ていたというタイトルながら、どうも海のシーンが弱いところもあるし…。セットがよかっただけにちょっと残念。

  評価 ☆☆☆1/2  (01/8/4)


ball1スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 DLP版
原題 STAR WARS: EPISODE II - ATTACK OF THE CLONES (ルーカスフィルム/20世紀フォックス 142分  2002年 DLPデジタル)
監督 ジョージ・ルーカス
出演 ユアン・マクレガー  ナタリー・ポートマン

 エピソード2のデジタル版。DLPはデジタル・ライト・プロセッシングの略で、普通の映写機ではなく、ミクロンサイズの超微小な鏡を敷き詰めた特殊な半導体を使い、その鏡にランプ光を反射させ、その反射した光をスクリーンに映し出す、という映像方式です。フイルムんどの様な劣化が無く、美しく鮮明に映し出す技術とされています。ジョージ・ルーカスはこの技術に大変興味を持っていて、この作品で大きく採用されました。

 一体、どう違うのか検証するために見に行きました。まだ上映できる映画館は10館くらいしかなく、九州では、大分しかそのスクリーンがありません。ちょうど大阪に用事があったので、大阪の「梅田ブルク 7」という東映系の新しいシネコンで見てきました。
 入ってみて、気が付いたのですが、キャパが200足らずの小さいスクリーンでした。スターウォーズを上映し、しかもDLP設備のスクリーンなので、そこそこの大きさはあるだろうと思っていたのですが、甘かったです。通常版を見た戸畑のスクリーンよりも小さいので、差がよく分かりません。しかも、前日に取った指定席なので、席の移動はできないし…。  ということでもあまり差がはっきりわかりませんでした。ただ、室内などの暗いシーンで人物や物体の輪郭や黒い物体の色の違いなどがよく分かるかなぁと言う気がしました。  

   (01/7/27)


ball1ノー・マンズ・ランド
原題 NO MAN'S LAND (フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロヴェニア/ビターズエンド  98分  2001年)
監督 ダニス・タノヴィッチ
出演 ブランコ・ジュリッチ  レネ・ビトラヤツ

  1993年、紛争中のボスニアとセルビアの中間地点<ノー・マンズ・ランド>でバッタリ鉢合わせになったボスニア兵とセルビア兵の二人。塹壕の中で身動きが取れなくなった二人の元に国連軍やマスコミが押しかけ、騒ぎは予想だもしない展開に…。
 本年度米アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞の話題作。記憶に新しいボスニア紛争の極限状態の中にいる人々を通じて、戦争の愚かさをユーモアたっぷりに描き出す。監督はボスニア出身で、この作品が初監督作となるダニス・タノヴィッチ。

 テーマがテーマだけに深刻で疲れる作品かと思いながら見ると、これが意外にコメディタッチな作りで、意外な展開を見せます。しかし、この調子のまま、ラストに向かうとかえって深刻さを再認識させられる感じです。国連軍の兵隊達とは言葉が通じない中で、言葉が通じるのが敵味方という事実も痛烈です。また、マスコミの描き方も、こういう取材をしているのだろうなぁと思え、どれほど事実を伝えているのか分からなくなります。  

  評価 ☆☆☆☆1/2  (01/7/25)


ball1スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
原題 STAR WARS: EPISODE II - ATTACK OF THE CLONES (ルーカスフィルム/20世紀フォックス 142分  2002年)
監督 ジョージ・ルーカス
出演 ユアン・マクレガー  ナタリー・ポートマン

 1977年に公開された「スター・ウォーズ」の最新章は、「エピソード1/ファントム・メナス」から10年後の設定。銀河共和国は、またもや争いと混沌の中に陥ろうとしている。何百もの惑星と有力な企業同盟の間に広がりだした分離主義者の運動は、ジェダイの騎士たちでさえ防ぎきれない新たな脅威を銀河にもたらしつつある。いまだ明らかにされない強力なフォースの持ち主の深謀遠慮によるこの運動が、“クローン戦争”の勃発と、共和国の終焉の端緒に導く。この迫りくる骨威に対抗するため、自分の権力の強化を計りつつ、パルパティーン最高議長は、劣勢のジェダイを支援するために強力な“共和国軍”創設を認可する。
 この混沌とした状況の中、今や高名な元老院議員となったパドメを警護するため、ジェダイであるオビ=ワンとその弟子のアナキンはオビエワンが呼ばれ、三人は久々の再会を果たす。

 デジタル技術の進化に伴い、映像の方は作品を追う毎にどんどん進化しているようですが、ストーリーの方は今ひとつですね。アナキンとパドメの許されない?ラブ・ストーリーの方に話の中心か行ってしまっていて、感心のメインストーリーの方はややこしくなって分かりづらくなつている気がします。まあ、一作目が通算の第4話になるので、それに繋がる謎解きみたいな面もあるので、やむを得ないところもあるかも知れません。
 アナキン役のヘイデン・クリステンセンは生意気そうな感じが出ていて、いいかも知れません。ナタリー・ポートマンはいい女優になりましたね。  

  評価 ☆☆☆☆  (01/7/21)


ball1マジェスティック
原題 THE MAJESTIC (米ワーナー/ワーナー 153分  2001年)
監督 フランク・ダラボン
出演 ジム・キャリー マーティン・ランドー

 1951年、レッドパージに揺れ動くハリウッド。ある新鋭脚本家がデビュー作の公開中、非米活動委員会から共産主義の嫌疑をかけられる。そしてその晩、車で事故を起こした彼は見知らぬ村で目を覚ますが、彼はいっさいの記憶を失ってしまっていた。だがその彼を助けた村人達は、彼が第二次世界大戦で死んだ映画館主の息子だと思い込み、彼を明るく迎え入れる。しかし……。 主演はジム・キャリー。「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」のフランク・ダラボン監督の新作。

 ジム・キャリーは元々コメディが主だったのですが、最近シリアスな熱演物の作品が増えて来ました。コメディアンとは言え、割と顔は二枚目ですからねぇ。トム・ハンクスの後を追うつもりでしょうか。
 この作品は笑える所もあって、そんなにシリアスな作品ではありません。フランク・キャプラを彷彿させるようなハートウォーミングな人情喜劇というかオトナの寓話と言ったところでしょうか。しかも、主人公の職業が脚本家、事故にあって厄介になる老人が映画館の主人となかなか映画ファンのツボを押さえた設定の作品です。そんなことはないだろうと思いながら引き込まれていくのは、ジム・キャリーとマーティン・ランドーの演技のせいでしょうか。レッド・パージの辺りは事情を知らないとわかりにくいところがあるし、ちょっと必要以上に長いかなと思う所はありますが、見た後の気持ちは良い作品と言えるでしょう。

  評価 ☆☆☆☆  (01/7/14)


ball1春の日は過ぎゆく
 (日本・韓国・香港/松竹 113分  2001年)
監督 ホ・ジノ
出演 ユ・ジテ  イ・ヨンエ

 録音技師の青年とラジオ局のDJ兼プロデューサーの女性が、番組制作のための取材で初めて出会った。季節は冬。山寺への2度目の旅の帰り、女性は青年を自分のアパートに誘う。ごく自然に恋に落ちる2人。恋愛経験の少なそうな青年と、年上で離婚経験がある女性だが、一緒にいると嬉しい気持ちで繋がりあう。だが、やがて春がきて夏を迎える頃、彼女の態度に変化が表れる。父親に紹介すると青年が言えば黙ってしまう。そして、別れを告げては、気まぐれにまた連絡してくる。そのたびにとまどい傷つく青年。しかし再び春がめぐって再会した時、青年はひとつの辛いけれどそれしか選べない道を選択をするのだった。「八月のクリスマス」のホ・ジノの新作。

 監督の前作、「八月のクリスマス」は福岡映画祭で初めて見て、いい映画だなと感心させられた作品でした。その悟、一般公開されて韓国映画ブーム?の端緒となったとも言える作品でした。そのホ・ジノ監督の3年振りの新作。ヒロインは「JSA」のイ・ヨンエです。
 この作品は、見る人によってかなり見方が変わるでしょう。青年をすごく構ったり、突き放したり翻弄するこの女性の心情に入り込めるかどうかというところが微妙です。見方によれば、すごく悪女にも見えます。私も観ている途中は、何故そんな行動をとるのかわからないところがありましたが、彼女の過去や青年の言葉足らずな点とかのすれ違いの結果なのかも知れないなぁと思いました。
 そういった意味でちょっと悲しい話ですが、映像の方はすごく印象的なシーンが多く、室内の描写でもちょっと違うなというところがありました。

  評価 ☆☆☆☆  (01/7/13)


ball1アイ・アム・サム
原題 I AM SAM (ニューライン/松竹、アスミック・エース 133分  2001年)
監督 ジェシー・ネルソン
出演 ショーン・ペン  ミシェル・ファイファー

 7歳の知能しかもっていない父親、サム。コーヒーショップで働きながら、たった一人で娘を育てている。楽しい仲間に囲まれて、幸福な日々を送っていたが、彼女が7歳を迎えると、サムは父親としての能力に欠けると判断され、ソーシャル・ワーカーによって娘を奪われてしまう。かけがえのない娘を失ったサムは、敏腕女性弁護士とともに、裁判に出ることを決意する。自分が、父親としての能力を十分持っていることを証明するために、そして、娘とまた楽しく暮らすために―。

 泣かせる映画です。しかし、見ているときは泣けましたが、後で考えるとラストなんかがちょっと安易な感じです。ちょっと話が飛んでしまった感じで、無理矢理結論づけた感じでした。子役はダコタ・ファニング。あゆみたいに目が大きくて、かわいいですね。その辺も泣かせる要因でしょう。ショーン・ペンはアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされるだけあって、いつもながらの好演ですが、ミッシェル・ファイファーもこういう役ができるのかと感心させられる所もありました。  音楽はビートルズのカバーで統一されています。サムがビートルズが大好きで…、という設定のためですね。なかなかいい感じだっので、珍しくサントラを買いました。

  評価 ☆☆☆1/2  (01/7/7)


ball1ドリアンドリアン
原題 DURIAN DURIAN (香港/大映 117分  2000年)
監督 フルーツ・チャン(陳果)
出演 チン・ハイルー  マク・ワイハァン

 中国東北部・牡丹江から中国南部の経済特別区・深センに出稼ぎにやってきたイェンは、家族に内緒で3週間の就業ビザを手に入れ香港へ渡る。香港の雑踏の中、彼女は体を売って稼いでいった。香港の名所、にも行くことはなくカレンダーの写真で眺めるだけ。男たちに呼び出されるまま、彼女は毎日狭い路地裏を闇歩する。この路地裏が、彼女が知っている香港の全てだった。出身地を尋ねられるたび、上海、四川、湖南と、男たちを煙に巻きながら、"食べて、売る"という日々を送るイェン。そこには、哀しさや暗さが入り込む隙もない。ある日、彼女のガード役のチンピラが、ドリアンで頭を殴られるという事件が起きる。危ない商売をしている彼女は警察を呼ぶことができず、路地裏で皿洗いをしている少女に声をかける。だが少女とその家族は、警察を呼ぶことを拒む。実は少女の家族もまた、中国本土から就業ビザで香港に渡った不法滞在者だったのだ。監督は「メイド・イン・ホンコン」「リトル・チュン」のフルーツ・チャン

 とても興味深い作品でした。東北、以前でいうところの満州からはるばる深センや香港に出稼ぎに行く人もいるんですね。まして、やっていることが売春だし…。そういえば、前の「こころの湯」は深センに働きに来ている息子のが出てきました。前半の香港でのシーンの主人公と故郷に戻ってきてからの主人公の表情が全然違いますねえ。というか映画自体のカラーが全然違います。香港のシーンは割と単純でわかりやすいのですが、故郷に帰るとやたら登場人物が増えてきて、ちょっとわかりにくい気がしました。特に、彼女の旦那との関係も説明不足でわかりにくかったです。また、少女の家族との関係についてもちょっと無理があるかなぁという気もします。意図的な演出なのでしょうが、香港で売春している時の彼女の方が生き生きしているんですね。何かその辺も引っかかりました。
 ただ、香港製作とは言え、こういう作品が作られるようになったというのもちょっと驚きですし、「インターナショナル」をこういう風に茶化しても大丈夫なのかなといらぬ心配をしてしまいました。目の付け所としては、さすがという気がしますが、前半と後半の差がありすぎてちょっとマイナス。

  評価 ☆☆☆☆  (01/6/16)


ball1アリ
原題 ALI (米/松竹、日本ヘラルド映画 157分  2001年)
監督 マイケル・マン
出演 ウィル・スミス  ジェイミー・フォックス

 1964年2月、カシアス・クレイはヘビー級チャンピオンを破って新しいチャンピオンとなった。「俺は最も偉大だ」と明言し、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と自身のボクシング・スタイルを誇る弱冠22歳の若きチャンピオン。
 その傲慢とも思える発言で世間を騒がせていたカシアスは、チャンピオンになった翌日、黒人イスラム教団体「ネイション・オブ・イスラム」への入信を発表する。指導者イライジャ・モハメドより授けられた“賞賛に値する人”を意味する新しい名前「モハメド・アリ」への改名は、社会に衝撃を与える。殺到するマスコミに、彼はクールに言い放つ。「俺はみんなのチャンピオンになるつもりだ。でも君たちの望む人間になる必要はない。なりたい自分になるんだ。俺が何をどう考えようと自由だ。

 「メン・イン・ブラック」などコメディっぽい作品が多いウィル・スミスが「ラスト・オブ・ザモヒカン」などのマイケル・マン監督で「アリ」をやると聞いて、違和感が持ったのは私だけでしょうか。しかし、この作品を見ると全然なりきり方が違いますね。しゃべり方とかもそっくりに似せているようだし、ちょっとビックリでした。彼はこの作品でアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の主演男優賞にノミネートされたというのも頷けます。  世代的に彼の試合や所作は知っていますが、宗教絡みの話やマルコムXとの関係については詳しく知らなかったこともありもその辺はかなり勉強になりました。ボクシングそのものよりも、アリが活きていた時の時代性とか人種差別と行った問題を避けて通れないでしょう。そういった意味を含めて伝記映画としては、面白くみられましたが、それ以上のものがあったかと言うとちょっと何か足り無いなぁ…という感じがしました。

  評価 ☆☆☆☆  (01/6/15)


ball1少林サッカー
原題 SHAOLIN SOCCER/少林足球 (香港/クロックワークス・ギャガ=ヒューマックス他 109分  2001年)
監督 チャウ・シンチー  リー・リクチー
出演 チャウ・シンチー  ウォン・ヤッフェイ

 “黄金の右”と呼ばれるサッカー選手のファンは、チームメイトのハンが持ちかけた八百長試合に荷担したことがきっかけで、自慢の脚を折られてしまう。20年後、かつての立場は逆転していた。サッカー界の首領として君臨するハンと、彼の雑用係に身を落としてしまったファン。ふとしたことからハンと口論になったファンは、あの八百長試合がハンが仕掛けた罠だったというショッキングな事実を聞かされる。ハンヘの怒りを胸に、ふらふらと街にさまよい出たファンは不思議な青年と出会う。少林拳を信奉する青年は、くず拾いをしながら少林拳を熱心に説いて回っていた。不自由な脚のことを指摘されたファンはかっとなり、手にしていた缶を投げつける。シンはそれをいともたやすく空のかなたに蹴り飛ばした。青年のキックした力を見てサッカーへの情熱を取り戻したファンは、サッカーチームをつくることをシンに持ちかける。

 前作の「オープン・ユア・アイズ」が評判だった、アメナバール監督。私も結構楽しめた作品でした。その作品を気に入ったトム・クルーズが権利を買い取って再映画化したのが、「バニラ・スカイ」です。そして、それとは別に製作したのがこの作品です。ヒッチコック辺りを意識したというだけあつて、かなり心理的に怖がらせる趣向がうまくいっています。ちょっと卑怯な手かも知れませんが、子供の使い方もうまいですね。特に息子役の子がいつも眉間にしわを寄せているのが怖い感じを増していますね。家族と使用人との愛だの緊張感の描き方は上手かったのですが、出征していた主人が帰ってきたところから、緊張感が無くなってしまったのが惜しいです。ラストはちょっと途中で気配が分かってしまったのも残念な気がしますが、やはりこの監督、なかなか才能があるなというのが率直な感想です。ニコール・キッドマン。怖さ倍増の美しさ。

  評価 ☆☆☆☆  (01/6/1)


ball1突入せよ!「あさま山荘」事件
 (東映・アスミック・エース・TBS/東映 133分  2002年)
監督 原田 眞人
出演 役所 広司  宇崎 竜童

 1972年2月、連合赤軍があさま山荘に立てこもった日の午後、警察庁長官室に呼ばれた佐々淳行は・後藤田正晴長官の突然の言葉に頭を抱えた。数々の学生紛争を戦った経験があるとはいえ、今の自分のポストで長野県警をさしおいてこの事件を指揮できるわけはない。日本にもFBlのような組織が必要という長官の構想に反対ではないが、よりによってその先陣に立たされるなんて。しかし断ることなどできるはずもない。佐々は困難な道をあえて選択する、ギリシャ神話のヘラクレスにも似た運命を省みながら、編成された指揮幕僚団、丸山参事官の補佐という肩書きで了承をもらい、すぐさま現場に向かうのだった。

 この事件は私が子供の頃の事件ですが、結構記憶に残っています。それだけ強烈な事件だったということです。主人公は今も時々テレビに出てくる佐々淳行で、原作も彼が書いているのですが、はっきり行って格好良すぎます。本当にこんなに格好いいセリフを言っていたのでしょうか。最終的に成功したからよかったものの、一歩間違うとかなり危険ですね。
 じけんがを知っている私が感じるくらいなのですが、突入シーンでどのチームがどこを攻めているのかわかりにくいですね。間取り図とか作戦図を織り込んだ方がよかったのではないでしょうか。

  評価 ☆☆☆  (01/6/1)


ball1スパイダーマン
原題 SPIDER-MAN (米コロンビア/ソニー 121分  2002年)
監督 サム・ライミ
出演 トビー・マグァイア  ウィレム・デフォーニ

 幼くして両親を失った主ピーターは伯父夫妻に引き取られ、ニューヨーク郊外のクイーンズに暮らしていた。ごく普通の高校3年生になった彼にとって、関心事はカレッジヘの進学と、幼なじみの同級生の存在。そんな彼が唯一の友人と呼べるのは、同級生のハリーのみ。巨大軍需企業オズコープ社の経営者で天才科学者でもあるハリーの父親はたちまちピーターの化学の才能を愛し、息子以上に目をかけるようになった。
 そんな或る日、課外授業で遺伝子を組み替えたスーパースパイダーの見学に行ったピーターは、逃げ出したクモに刺されてしまう。すると、彼の身体に異変が起こり始めた!

 この手の映画は悪役である程度、評価が動いてしまうとおもいますが、この作品のウィレム・デフォーはさすがで、役柄にはまっています。主人公のトビー・マグァイアがちょっと弱いキャラ設定のためなおさらですね。ストーリーはともかくCGもそこそこ楽しめたと思います。ただ、ヒロインはあんまりかわいくないなぁ…。
 サム・ライミ監督ということで、どうしても「ダークマン」を連想してしまったのは私だけでしょうか。こちらもビデオ探してみてやってくださてい。

  評価 ☆☆☆☆  (01/5/19)


ball1害虫
 (日活・TBS・ソニーPCL/日活 92分  2002年)
監督 塩田 明彦
出演 宮崎 あおい  田辺 誠一

 主人公は中一の少女だが、母親の自殺未遂、小学時代の担任との恋愛などが影響してか、同級生の女の子とは違った雰囲気を持つ。 自分に関する噂話が飛び交う、気詰まりな学校をドロップアウトして、街で気ままに毎日を過ごすことにした彼女は、万引きで小銭を稼いで生活する少年や精神薄弱の中年男と知り合う。彼らと小さな悪事を楽しみ、子供らしい笑顔を取り戻し、またクラスメイトの努力のかいもあってか、サチ子は再び登校し始めるが…。

 悪くはないのですが、どういった人を対象にして作っているのかわからなくなりました。「リリィ・シュシュ…」もそうでしたが、もうこの手の作品はいいかなという感じてす。ラストも持って行き方もやるらないですね。悪くはないけれどねぇ。宮崎あおいや蒼井優といい、セリフが少なくても表情がよくいいところを押さえていますね。でも、CMで見ると どうして宮崎あおい、髪切ってしまったのかな。長い方がいい気がしますが…。

  評価 ☆☆☆☆  (01/5/4)


ball1活きる
原題 活着 (中国/角川書店・ドラゴン・フィルム 131分  94年)
監督 チャン・イーモウ
出演 コン・リー  グォ・ヨウ

 1940年代、中国。ある資産家の息子が、博打に明け暮れる毎日を送っていた。ある日、博打の借金のために、親の全財産を失ってしまい、愛想を尽かせた妻は、子供たちと家を出てしまう。 老父は怒りから突然無くなってしまい、老母は寝込んでしまう。すべてを失った彼であるが、唯一の道楽技能であった影絵芝居で、全国を巡演し生き延びていこうとする。戦火の中をかいくぐり、辿り着いたわが家で貧しいながらも妻は、優しく子供たちと彼を迎えてくれた。しかし、彼等の娘・は、言葉が話せなくなっていた…。

 チャン・イーモウの94年の作品のようですが、なぜ今まで公開されていなかったのでしょう。ちょっと不思議です。ダメなオヤジにしっかり者の奥さん。彼等の家族が激動の数十年を活きていくストーリーです。おなじことをやっていても評価がころころ変わっていった中国の社会体制の変化は、いまさらながらちょっと怖い物があります。割と悲劇的な描写が多いのに何故か笑えるシーンも多いです。必要以上に深刻にならないような演出なのでしょうか。

  評価 ☆☆☆☆  (01/5/4)


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