■かゆみの話

 皮膚を引っ掻くと,その場所のかゆみをおこす細胞を刺激し,さらにかゆくなります.そこに二次的な湿疹や皮膚感染を生じて,かゆみをさらに強くするという悪循環が発生してしまます.二次的な症状をおこさないうちに,早めに処置することが大切です.
 皮膚掻痒症やアレルギー性鼻炎の薬は,最近,有効なものが次々と開発されてきています.


日常生活のなかでかゆみを誘発するもの

  1. 乾燥肌(ドライスキン)
    乾燥肌は敏感となりちょっとした刺激でもかゆみを誘発します.入浴後のスキンケアで肌をしっとり保ちましょう.冬におこるかゆみは,冬湿疹,乾燥湿疹,老人性湿疹などと呼ばれますが,いずれも乾燥肌が原因です.

  2. 入浴
    熱すぎる湯は皮膚を刺激するため,かゆみがおこりやすくなります.ゴシゴシと強くこすることもよくありません.

  3. 衣類
    ウールや化学繊維の肌着は,かゆみを誘発します.肌着は木綿にしましょう.洗剤が衣類に残らないようにすすぎ洗いを十分にして下さい.

  4. 食品
    熱い食べ物,刺激の強い香辛料,味の濃い料理はかゆみを引き起こすことがあります.

  5. 室内の温度,湿度
    室温が外気温と極端に違うと,かゆみを誘発します.特に乾燥肌やお年よりの人は冬の室内の乾燥はよくありません.

  6. 石鹸など
    石鹸,シャンプー,化粧品のなかには,かゆみを悪化させるものがあります.刺激の少ないものしましょう.


  7. 汗をかいたら放っておかずに,よく拭いて,肌を清潔に保ちましょう.

  8. お酒
    アルコールは皮膚の血管を拡張させるため,ほてり,かゆみを強くします.


ヒスタミンという物質がかゆみを起こします.かゆみの治療薬には,抗ヒスタミン作用をもったものが多くあります.これには特徴的な副作用として眠気があります.内因性ヒスタミンはヒスタミンH1受容体と結合し,覚醒作用を有しますので,これをブロックすると眠気がくるわけです.
かゆみの内服薬は抗アレルギー薬として分類され,喘息,アレルギー性鼻炎,皮膚掻痒症に対して用いられます.


■アレルギー性鼻炎

病態 喘息やアトピー性皮膚炎などとは異なり典型的なT型アレルギー反応です.くしゃみ,鼻漏の「即時相」では肥満細胞,鼻閉を中心とした「遅発相」では好酸球の役割が重要です.遅発相では好酸球から放出されるMBPやECPなどの傷害性蛋白によって粘膜障害が発生し,過敏性となり,非常になおりにくい状態になっています.また,ストレスによる悪化など自律神経系の関与も指摘されています.
治療の現状 日常生活の注意
  1. 抗原の除去・回避(ハウスダスト,スギ花粉など),花粉飛散期では,マスクの着用,窓を開けない.
  2. 運動により交感神経系のトーンを高める,体質改善.
  3. 初期治療が極めて有効,2-3月頃より薬物治療を開始する.
抗アレルギー薬の効果 ケミカルメディエータの遊離抑制薬と受容体拮抗薬がある
  • 軽症(くしゃみ,鼻漏型) → 受容体拮抗薬・抗ヒスタミン薬,鼻閉には遊離抑制薬
  • 中等症 → 遊離抑制薬,第二世代抗ヒスタミン薬,局所ステロイド薬,抗コリン薬,血管収縮薬
  • 重症 → 上記に加え,短期間のステロイド内服
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