縮刷版99年1月下旬号


【1月31日】 秋葉原で買って来た「機動戦艦ナデシコ」のDVDをツラツラ。第2巻と第3巻が同時発売とあって、第3話から第10話までを主題歌とかエンディングをとばしながら4時間近くかかって見る。まだ自宅にビデオのなかった頃の番組で、実は前半のほとんどと見たことがなかったから新鮮な気持ちで「ナデシコ」を見られて幸せ。自慢にはならんけど。なるほどオフザケの部分はあっても、一方で物語の大枠が実にハードで結構あっさり人も死ぬし組織や人間がぶつかり合う悩みもあって、現実世界との整合性がまあとれている。後半に至ってどうにかビデオで見られるよーになって、オフザケぶりが目について嫌な気分になった記憶があるけれど、通して見ていれば慣れの中でシリアスな設定を追えたのかもしれないと、そんな思いからアニメはこれから通して見るかずっと見ないかのどちらかにしよーと決意する。だから「カレカノ」はビデオ出るまで見ません、ってーか今から見たら評価ガクっと低そーだし。

 何があった朋ちゃんのガス中毒騒動。今時の芸能人のマンションが電磁波のコンロじゃない当たりにそーゆー場所に住めないくらいにレコードの売上が落ち込んでいるのかってな感じの妄想が浮かんでしまうのはさて置いて、今時の都市ガスって中毒が起きにくいよーな主成分になってるって聴いたことがあるし、そももそもが匂いで気が付きそーなものだから、それでも事故が起こったって事は、やはりどこかに意図的な部分があったんじゃないかと考える人が出ても不思議じゃない。1番考えられるのは朋ちゃんやっぱりピーだから、ガスコンロの使い方が解らず出て来るガスを空気か何かと勘違いして喜んでいるうちにバタリ、って言ってしまったのかもしれないなー。それともガスパン遊びを大規模にやろーとしてドジったか。若乃花問題がとりあえず一段落し、ニッパチと言われる位に話題の乏しい時期の振って湧いた芸能的大事件で、期末のスポーツ新聞夕刊タブロイドも追い込みかけられそーでラッキィ。芸能担当はご愁傷様ですが。

 朝も早くからPメールで召喚されて日本橋へと出向く。本当はアトラスが六本木のヴェルファーレで何かの発表会をやっていた筈なんだけど、午後だと思って時間を確かめずにいたら午前の10時半からのスタートと知って悪かったけど行くのをパス。そのまま「ガサラキ」を見て厨房で皿洗いして道ばたの鈴蘭の花に心惹かれるユウシロウの甲斐甲斐しい姿に涙する。しまった「ロボコン」見忘れたロビーナちゃんは可愛かったのか。でも昨日やってた新番組の紹介で喋ったロビーナちゃん見たら顔に似合わず演技がペケだったからなー。来週は見て泣くか笑おー。行きの電車では日曜日に恒例の朝日新聞だけど不況の波がヒシヒシでサッパリ。天声人語は5人のコメントを並べるだけの調査力は誉められても「名文家」が集うコラムらしくない作り。何か最近多くなってまえんか意表を尽きすぎて滑る例。「産経抄」みたく主張バリバリもハズすと鬱陶しいけど、怒れる分だけまだマシだもん。

 召喚された先は今日が命日となる「東急百貨店日本橋店」。いきなりの入店は無理だろーと思っていたら12時ちょっと前だと行列も少なくスンナリと入店が可能に。1階の混雑具合も金曜日に寄った時の方がすごかったくらいで、エスカレーターまでをスタスタ歩いて金曜日にはゆっくりと見られなかった紳士服売場とか、他のフロアをいろいろと眺めて役に立ちそーな商品がないかを探す。紳士服売場ではスーツもジャケットも安かったけどあと1カ月と少しくらいしか着られない冬服も冬帽子もパスして5階の売場へと向かう。混雑していればすれ違い様に美人のお尻とか触り砲台だったのにぃ、と考えて集まったその筋の人もきっとガッカリしていたでしょー。もっとも圧倒的に顔じゃなく年齢がハイレベルな人が多かったんだけど。

 全回は気が付かなかった靴の売場に「クラークス」のワラビー(ローカットで色は茶、スゥエードじゃない奴)が、前日よりもさらに5000円も安い1万円で出ていたのでサイズを探して行きがけの駄賃と購入する。おばさんの店員が親切で、これだけ親切にサービスしていたのが合理化から外れてしまったのかもと考えたりして、それでも親切な方が嬉しいと思ったりする当たりから、今の目先の不景気を合理化とか効率化で乗り切るんじゃなく、これから延々と続く長い低成長時代をサービスとゆー付加価値で生き抜く方が正しいのかもと考える。経済素人なんで正解は解らない。早川からも新刊が普通の翻訳で出たクルーグマンさんなら何と言う?

 いったん抜け出して丸善で新刊を仕入れていると到着のメールが。東西線の沿線から大森望さんとさいとうよしこさんが混雑の東急へと突入していったので後を追って7階へ。実は初めて上がった屋上はアイスクリーム屋もなければ10円のパトカーも何もなく、冬日にしては明るい日差しの中を置かれたベンチで昼御飯を食べる家族連れとかで静かに賑わっていた。たぶん周囲のサラリーマンとりわけ今なんてほとんど商売のない証券マンにとっては格好の休憩場所になっていたんじゃなかろーかな屋上が、閉鎖された後はここを邪魔の入らない格好の住処とする鳩ばかりで賑わう事になるんだろー。裏手にある「サザビーズ」なんかが入った別館ものぞいた後は近所で休んで皆さんはお帰りに。こっちは三越へと周り1階南側にある受付のお姉さんの美人振りをながめ、きむらやでも「チェキ」は売り切れゴメンな事を確認してから総武線快速で新日本橋から船橋へと戻る。

 買った本は「松本坊主」(松本人志、ロッキングオン)とか「戦争論争戦」(田原総一郎×小林よしのり、ぶんか社)とか「靖国」(坪内祐三、新潮社)とか「インディアン・キラー」(ジャーマン・アレクシー、東京創元社)とか。民族にナショナリズム入った本が目立つのは明石散人さんから話を聴いたからでもあるんだろーか。「松本坊主」はダウンタウン松本がデビューからこれまでの芸人人生を語り下ろした形式。聞き手となった渋谷陽一さんの突っ込みが地の文で入っていれば、もう少し生々しい話も聞けたかもしれないのがちょっと残念。「論争戦争論」はどちらも逃げてないのが凄い。松本人志にしても小林よりのりにしても自分の思考なり置かれている状況を客観視できているのが、簡単に言い負かされたり消えていかない秘密なのかも。もちろんそれとて客観視した時に落ち込まないだけの自分への自信があるからなんだろーけど。論の是非はともかく態度として見習うべきところ多々ありそー。


【1月30日】 さらに「セガラリー2」。カウンターを当ててカーブを鰈(カレイ違い、華麗が正解)に通り抜けるラリーならではの雰囲気を味わおうとしても、脳と指先の神経が追いつかないのか寸断しているのか、右に曲がるカーブで先に左へとカウンターを当ててしまって路肩に激突、車は反対方向を向いて逆走を始めてしまって「アーケードモード」でも「10年グランプリモード」でも時間切れで「ゲェムオバー、イェーィ!」ってな言葉を幾度となく聞かされてコントローラを放り投げる。車を運転しなくなってだいたい9年、もちろん普通の走りじゃーカウンターをあててドリフトなんて頭文字Dな走りはしたことがなかったけど、神経の衰えをこうも感じると再びリアルなハンドルを握るなんて畏れ多くてちょっとできない。夏の「SF大会」には車買って乗り込むぞ、なんて一瞬でも思った我が身が恥ずかしい。車はやめてハーレーにします、免許をそれまでに原付から限定解除へと上げておこー。

 出鱈目な大鯔(ボラ違い、法螺が正解)は抜くとして、秋葉原へと遠征に向かう。電車ではほかが日銀ネタなんかを持って来ている中で、何故か2週間も前の「成人の日」に仙台市の成人式で起こった吉村作治さんの講演打ち切り事件が1面トップとそれから社会面のトップも使って紹介されている産経新聞を読む。いわゆる「教育の退廃」的ロジックから持ち出すには格好のネタだけに、内容もそーだろーと思って読んだややっぱりそーだったけど、こーゆー時に新聞社が仕組みたい論をサイドから支援して権威づける筈の学者先生たちが、むしろ自治体が今時の若者たちを集めてわざわざお堅い成人式なんかを開く愚の方を糾弾していて、事件の後にインタビューに答えていた吉村先生の「市側のサービスが若者たちのニーズにあってなかった」的分析とともに、現代を嘆きつつも現実を受け止めてさあどうするかを問うていて面白い。

 1人記事ばかりが入り口でダベってた理由を喋る口調に「悪びれなく」ってな枕詞やら紋切り型のセリフを付けて、ネガティブなイメージを与えようとする意図なり誘導が見られ、読んでいて眉がカユくなる。そもそもが2週間もたった今時に1面トップで報じる事自体が、何らかの意図をもった記事ってことを現してる。現実問題として目上の人への敬意と集団行動での規律と周囲への配慮の欠けた人が増えているのも事実であって、時にキレそうになるけれど、一事が万事の例として挙げるには任意であり価値もない「成人式」はちょっと小さい感じ。国会で下品にヤジるのを平気としている大人たちの世界を見てたりすると、それも本心じゃなく卑近な派閥意識とかからヤジるのを議員の仕事と勘違いしている大人たちを見せられると、むしろそっちの方を問題にしてくれた方が教育的にも効果が高いと思うんだけどねー。しかしやっぱりどうして今なぜこの記事が、の方が興味深い。その向こう側にある気分の醸成にも。

 秋葉原ではラオックスのザ・コンあたりで春登場のパソコンなんかをチェック、と思ったけど見たかった富士通の新型のB5ノート「MF9(これはローマ字が本当)26」は本体が未納で仕方なくカタログだけをもらって帰る。何故にこれかとゆーと1・68キロの軽さと4・3ギガのHDと3・5時間のまあまあな稼働時間とクラス最高の12・1インチTFTディスプレーとCD−ROMドライブ付属(内蔵じゃない)と一太郎(もしくはワード)バンドルってな買って余計な物を買わずにすぐに使える上に外へ持ち出しても大丈夫そーなスペックに惹かれたから。肝心なのは値段で別の店で見たらだいたい26−7万円ってあたりが妥当な線で、これにバッテリーを足してだいたい30万円の予算になるのかな。

 さて他に妥当で同等なスペックのモバイルがあるだろーか、って考えた時に浮かぶのは「レッツノート」に「バイオ」だけど前者は下品で後者はコジャレ過ぎ、かつ時間も短い。ってことで現時点では買うなら、金があるなら、その気になれるなら、仕事が増えるなら富士通が第1候補なんだけど、そのうち出るかもしれないマックのノートなんかも頭によぎって悩みは尽きない。どうせマックだからろくなノートにはならないのにぃ、擦り込まれた林檎の遺伝子がこーゆー時に体を縛る。残るは富士通の出方だがさて、おまけに「タッチおじさん」の縫いぐるみとかフィンフィンの縫いぐるみとか高倉健の縫いぐるみ……これはないか、あっても良いけどそんなあたりをドカンとオマケに積み上げてくれたら心もフラフラと揺れるんですけどぉ、と丸の内の黄色いビルに向かって媚びる。

 石丸電器のソフトショップをのぞくと懐かし「プリンセス・プリンセス」の歌声が。一角を見ると積み上げられたのはソニー・ミュージックがこのベストブームに出してきた最終兵器、とはちょっと違うけど特定の年齢層の心をくすぐるって意味では音波兵器に近い破壊力を持つシリーズで、ついついのぞいた財布にお金がもしもタップリ入っていたら、確実に何枚かは購入していたに違いないと手元不如意にちょっと感謝する。何しろこの「ATAR BOX」と銘打たれたシリーズの、ラインアップにあるのは前記の「プリプリ」に「バービーボーイズ」に「レベッカ」に「米米クラブ」に「ユニコーン」に「TMネットワーク」に「TMN」に「爆風スランプ」だ。「バブルガムブラザーズ」と「X」もあったけどこれはちょっと毛色が違うから別。除いた残りの面々は、80年代半ばから末期にかけて学生時代を過ごした人間の、絶対に血となり肉となって染色体レベルに擦り込まれているサウンドに違いない。

 思い出すねえケンメリの安っぽいカセットに突っ込んで真夜中の国道153号線(別名飯田街道、ちょっとマイナー)を飛ばしながらカラオケよろしく大声で怒鳴っていた日々を。周囲に聞こえたら迷惑だろーけどそこは田舎道でかつデュアルマフラーに変えてあるケンメリのやかましいエギゾースト、歌声なんぞ外に響くはずもなくたっぷりと練習させて戴きました。「まけるもーーんか」「めいびーとぅもーろー」「まっちのはずれでしゅびどぅばぁー」とか。披露する場はその時も今もこれからも多分ないんだろーけどね。収録曲を読むと「レベッカ」には「ウェラムボートクラブ」がないし「バービー」にも「もおヤダ!」がなくって残念だけど、聞けばきっと全曲鼻歌えるだろー。「プリプリ」「米米」もしかり。仮に10年後になって皆さんが「グレイ」とか「ラルク」とかを聞いて血沸き肉踊るのか、今時の移り変わりの激しすぎる音楽事情を思ってみたりもするけれど、これもいってしまえば成人式のダレぶりを嘆く昔語りなオヤジの繰り言だろーから、今時な皆さんは安心して今の音楽を聴きましょー。あたしゃ1人で昔やってます。「せかいでいちーばーん」「むりだーわにのうでたてー」「あすふぁーるとたいやをきしませーなーがらー」。


【1月29日】 ドゥロロン、ロンロンとアクセル吹かしながら「セガラリー2」を朝からプレイ。元よりアーケード版なんぞやった事のない身にとって、アクセル全開でカーブに突っ込む時にハンドリングとかブレーキングとかをどーするかなんて知識はなく、ゆるいカーブではスピードが出すぎでアウトに膨らみキツいカーブでは減速し過ぎてカーブ半ばで止まってしまって時間がどんどん過ぎて行き、チェックポイントを通過できずに敢えなくタイムオーバー、んでもって陽気なリズムに乗った兄ちゃんの「ゲェムオバー、イェーィ!」ってな声を幾度となく聞かされてアーケードモードも10年大会も練習走行すらも前に進めない。

 練習すれば良いんだろーけど、あの「F−ZEROX」でも未だにゴマシオも含めて全てのマシンを出し切ってない体たらくな身で、全ての車を見ることができるまでにかける時間とすり減らす指の皮を思うと暗澹とした気持ちになる。やっぱりレースと格闘は向いてないのかも、やっぱり「北へ。」にしとけば良かったのかも。あと慣れないためか、リアルで美麗なグラフィクがわざわいしてか、下手くそなのにも関わらずプレイした後に椅子に座ってテコテコとワープロを打っている時に、視界がズルリと横にズレて体もズルリと傾いて何だかドリフトしている気分になるのがちょっと嫌。動体視力が限りなくゼロからマイナスへと近づいている年寄りのために、そんな年寄りが唯一ラストまでプレイし通せたゲームであるところの「サクラ大戦」&「サクラ大戦2」の続編を、年寄りな王子様よ早く出して下さいお願いします。

 行きがけの駄賃に日本橋の白木屋に寄ると空からズロースが振って来た。違ったズロースを買いに来たお客さんで全館が超満員になっていた。もちろん今は「白木屋」なんて名前じゃなく、れっきとした「東急百貨店日本橋店」って名前になっているんだけど、何かにつけて引き合いに出されるのは、かつて同じ場所にあったデパートで大火災が発生した当時の名前「白木屋」の方。乙女ご婦人がたが腰巻きの下にズロースを履いてなくって黒ボーボーを見られるのがハズカシくって赤ボーボーに呑まれてしまった故事なんか、閉店が決まってから今日までに幾度となく新聞雑誌テレビを賑わせた。今月いっぱいで閉店ってことは残りあと3日ってことで、最後くらいは往時を再現してズロースを脱ぎ捨てた乙女たちが壁にへばりついて事件を再現してくれるかと思ったけど、不謹慎なのか誰もやってくれなかった。当たり前だわな。

 もちろん「閉店記念ズロース」なんかを売るほどのギャグってーか悪趣味な事はしてなくって、ごくごく普通のバーゲン品が地下から屋上まですべてのフロアにギッチリと並べられて、その混雑ぶりは今まで経験した2つの巨大イベント「大阪万国博覧会」とそれから「コミックマーケット」に、確実に匹敵するほどのものでした。歩けば美人のお尻をなで、母ちゃんの腹に触るくらいの混雑振りだけに、1歩歩くか歩かないうちに、今がトレンドなインフルエンザ菌をもらうこと確実なんで、体の弱い人栄養の偏っている人は寄らない方が吉でしょー。マスクしてくか大昔トラボルタが映画で被ってた無菌の袋に入っていけば大丈夫でしょーけど。

 商品自体もバーゲン品が多いみたいでブランド品は他の店へと引き上げられてるらしく、玩具売場で「ガンダムマーク2」のプラモデルがエウーゴとティターンズの両バージョンとも1500円で売ってたのに心がピクついた程度。あと帽子売場で「モールラック」のチェックのハットでサイズも珍しくピッタリなのを見かけたかれど、金が足りずに断念する。薄くても大きな僕の頭がフサフサだったらこの世に入る帽子は存在しなかったに違いない。こんな時ばかりは我が身にもたらされた光かが焼く運命にカミよ深く感謝しますとお祈りする。ゲーム売場で「Nintendo64」対応のゲームって事で若夫婦が「たまごっち」を1000円で買っていく姿を見て、火事の屋上から飛び降りるくらいの勇気ある振る舞いだと心からの拍手を心の中だけで贈る。おめでとう。

 朝日新聞が何を思ったか「アニマゲDON」ってなコーナーを月イチの予定で夕刊でスタート。読めば字のごとく「アニメ」に「マンガ」に「ゲーム」の記事を特集で掲載するページらしく、第1回目のゲストには今がやっぱり旬な「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督が登場して新作への意気込みとかについて喋ってる。見出しが「『ガンダムの富野』は虚像」とあって自らの立場を卑下しているのかと思ったら、インタビューのラストにはちゃんと「虚像にね、ついに、ついていこうと思ったんです」と自覚あるいは開き直りの言葉を発してて、パッと見と読後感にちょっとだけズレがあるよーな気がしたのは、単なる朝日嫌い所以でしょーか。

 マンガ紹介はダディ・グースならぬ矢作俊彦さんが、すぎむらしんいちさんの「スタア学園」をピックアップ。いかにもな人選にいかにもなセレクトが、ねっ朝日でしょ。「あの朝日が取りあげたんだぜすでにアニメもマンガもゲームも立派な文化だぜ」ってなどこか権威めいたスタンスを感じてしまうのは単なる弱者の僻(ひが)みとしても、見る側としてすでに一定の権威となっている朝日がとりあげる内容は、それ自体が今後権威化していく可能性があって、そんな権威のお墨付き欲しさに媚びるアニメにマンガにゲームが増えやしないかと、同じアニメやマンガやゲームを連日でっかくより深く紹介しているにも関わらず、どこからも相手にされていない我が表の新聞における苦労をおもってなおいっそうの僻みに性格が悪くなる。次回は予想するに高畑勲さんか押井守さんかゲームで鈴木裕さんかってとこかな。権威だもんな。


【1月28日】 ワンフェスのカタログをペラペラと見ていたら広告のページでもアルフレックスを発見、マニア垂涎とかゆー○○○○のシルクハットに杖にマントに先の跳ね上がったブッチャーみたいな靴のシルエットが出ていて、これどっかで見たことあるなー、と思いこないだ雪崩た本の山から見つかった唐沢俊一さんの「星を喰った男」(ハヤカワ文庫、620円)をペラペラと読み返して得心する。確認のために電話して問いただしてつまりはそういう事だと確信を得たけど、わざわざシルエットにしているって事に敬意を表して誰なのかはやっぱり当日までのお楽しみに。それでも知りたい人は行くか唐沢さんの文庫を買って表紙を見よー。

 けど前の勝新太郎に三船敏郎に今度の中村水主(「必殺!」ファンは買いだぜ、何せ藤田まことが衣装の布地にまでこだわって作る逸品だそーだし)と比べるとなかなかにツボな人選。かつガラガラヘビにも近いヘルなアンバサダーじゃなくってエロエムエッサイムってのが途轍もなくマニアックで、果たして誰が知ってるの? ってな疑問の方が先に立つ。まあ最初の勝新が2500体をほぼ完売して今度のワンフェスがラストのお蔵出しになるって事だし、三船もまずまずの引き合いだそーなんでちょっと冒険も面白いかも。シリーズってことは他のキャラも出るのかなー。基本的には生の俳優の顔を人形にするのがポリシーみたいなんで、あるいは実写の「鬼太郎」(ってあったっけ?)とかが出てくるのかなー。

 広告のページではアニメ化なった関係で今は幻になってしまった「ラフィール」に「スポール」をかつて買い、今度も出る「ミランダ」に「イプシィ」も買ってはあるけど前回は売り切れで買えなかった「なしの」が好評なH.B.Companyの広告も出ていていよいよメジャー化かと僥倖を讃える。とはいえ買える時間に行くには早朝からの行列は必至で、年寄りには早起きは辛いから完成品の展示を見るだけになっちゃいそー。まあ今まで購入した分もあるし、早くこっちを作って上げるのがますますのご発展を祈念する意味で正しいのかも。をを今回も出るのか1分の1ドラゴン殺し@ベルセルク。新雑誌のサンプル版でもしつっこく記事を載せてる編集長にはお勧めの逸品かも。塗装済完成品は5万8000円もするけど全長2・2メートルのドラゴン殺しを社内でブンブンと振り回したらきっと気持ち良いよー。

 「SPA!」は押井守さんへのインタビュー。例の「G.R.M」がどうこうでジェームズ・キャメロンがあれこれって話が載っていて、脚注に「バンダイさんに聞いてください」(押井)とあるんで折角だからと社長の人に聞いたけど、実のところははっきりした事はよくわからない。なんかはどうにかなってるんだろーし、あるいはなんにもなってないのかもしれないけれど、どっちにしたってなんとかなるんでしょー。曖昧模糊。しかし犬趣味もここまでいくと流石に突き抜けた物を感じざるを得ないのは服がまず犬でパソコンの上に犬で傍らのピンナップもほとんどが犬。なぜか佐伯日菜子様さま様のピンナップが切り抜いて張ってあるのは押井監督には日菜子ちゃんが犬に見えたってことなのか、それとも単なるファンなのか。ふと思ったけど実写で日菜子ちゃんがラムちゃん演ったら、あたるもさったと年貢をおさめたかも、だって呪われちゃうから、エコエコって。

 京急羽田線に乗って呪いの大鳥居を見に行く、じゃない羽田空港にある大鳥居は昨日の「ニュースステーション」ですでに移築されたんだったっけ。本当は大鳥居に呪われたセガ・エンタープライゼスを見に行ったんですねー、サターンユーザーの呪詛の声を一身に受けてなかなか新世代家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」が大空へと羽ばたけないセガ・エンタープライゼスを。まあそれは大袈裟じゃないとしても、流石に期待のソフトだけあって「セガラリー2」のお披露目及びサファリラリーへの参戦を発表する記者会見には、1階にある講堂がギッシリと埋まるくらいの人たちが集まって、結構な賑わいを見せてたねー。ゲーム雑誌だけじゃなく車雑誌の人たちも来てたみたいで、質問じゃードライバーになる人に質問が集まってたのがゲーム会社の会見しては珍しかったかも。

 花束贈呈に来た「ミスヤンマガ」ってのが個人的にはなんだかだけど、大スターを山と出している「ミスヤンマガ」なんで将来は解らないと思って写真を撮る。10年後にはお宝かただのゴミかと少し期待。後で実際にスバルインプレッサを囲んでドラバーとナビゲーターとそして「ミスヤンマガ」との記念撮影があったんで、車の前に陣取ってカメラを構えていたら3人が登場した途端に横からススーッと入って来て前に座りやがった女がいたので後ろから脳天にカカト落としを喰らわしスリーパーホールドで絞めてから首4の字をかけて完全に落とす。なんて事はしないで背中をツツいて「入る」と言って横にどける。日本にはまだまだ常識の通用しない人がいるのです。トトロ。読んであーこれあたしの事じゃん禿おやじが何言ってやがんだ、と思われた貴女はお手紙下さいやっぱり読まずに黒ヤギ尻拭きます。

 後ろの試遊台でちゃこちゃことプレイしても根がレースゲームに音痴な関係でタイムはボロボロ挙動はフラフラ。けどグラフィックの美麗さは、描かれた観客にコースの風景の緻密さも含めて流石に「ドリームキャスト」って印象で、デモで見せられた画面のあまりのスピード感にグラフィック酔いも覚悟したけど、後で実際に購入して家で走らせてみたら、そのあまりのスピードの遅さに(あくまでも個人的資質によるものでゲームの責任ではありません、鈍亀野郎と嗤ってやって下さいな)酔いなど一切関係ないことが判明する。楽しむまでには相当の修行が必要そーで、しばらくは週末はこれにかかりっきりになりそーなんで、仕事関係の人は僕にゲームなんか面白くなくなるよーホンモノの車なんかくれてやっちゃって下さいな。R34よりSよりケンメリが好きです。

 よくわからないままに恵比寿で開かれたクリエーターのエージェント業務なんかをやっている会社の新春パーティーに潜り込む。会場はコピーラーターにウェブデザイナーにマルチメディアクリエーターに演出家に撮影に他様々な肩書きの名札を付けた1000人以上のクリエーターな人たちでいっぱいだったけど、その誰1人として知らなかった事に、世の中にはこれほどまでにクリエーターが活躍できるだけの余地があるのかと驚く。それでもやっぱり業界に吹きつける伊吹おろし(尾張平野に吹く風で関東平野だったらからっ風か)のあおりを受けて欠食児童が多かったせいか、出された料理がまたたく間に消滅したのには思わず納得。加えて追加の料理が出なかったところに、クリエーターを扱う会社にも同様の厳しさがあるのかなんて邪推も浮かぶ。来月のAMDの表彰式にはさらにアヤシげなマルチメディアのクリエーターな方々が大集合するから、そっちでも欠食児童ぶりが見られるのかを観察し、今年の業界の行く末を占おー。


【1月27日】 表紙の女の子の絵に惹かれて「KaNa」(ワニブックス、950円)を買う。爲我井徹さんって人が原作で漫画は相良直哉さんが担当している本作は、古(いにしえ)の血を引く美少女と出会った普通の青年が人間と魔物とのハーフたちが世界をその手中の収めようと企む陰謀に巻き込まれてドンチャン、ってな設定でそれ自体に吃驚するほどの目新しさはないけれど、主演な女の子が長く人の世界と隔絶して暮らしていたせーか世間知らずでどこかとぼけてて、でも怒るとこわーい顔になる魔人バンダーのよーな面もあってその変わりようが飄々とした絵柄も相まって面白い。彼女が時として暴走しがちな血を抑えつつ男の子の恋愛を成就させつつ陰謀を打ち砕く物語は、第1巻ではちょっぴり哀しいエンディングを見せていて先行きにはちょっと期待。おまけの漫画の点目の哀ちゃんがグー。すぱげてーなのにそば粉をうつ鬼な顔の哀ちゃんもピー。

 ついでに目に入った大野安之さんの絵にコロリとやられて新刊の「超鉄大帝テスラ」(アスペクト、950円)を買う。大塚英志さんが原作を担当していて同じ原作担当の「サイコ」も吃驚なホラー、になる訳もないよね大野さんの絵じゃー。お話はどこかの満州を舞台にした傀儡政権を操る謎の勢力と、その名もニコラ・テスラの孫たちが満州鉄道の弾丸特急が変形する巨大ロボットを操って戦うとゆーもーテスラファンにはたまらない(怒るも嗤うもともにたまらん)お話に仕上がっている、とは思えんなー、まあ名前だけってことで。主人公の双子のお姉ちゃんも可愛いけれど注目は6人の美少年たち。「なあてぃすろおじゃ」だったっけか、何かで読んだ記憶のあるあの半ズボンの男の子たちが大活躍する展開に、ショタなお姉さまたちも大声援を贈ることでありましょー。けどときどき女の子にも変身するからロリなお兄さんだって応援だー。ちゃんと第2巻は出るのかが今はとにかく期待も不安も幾星霜。けどいつ「おおのやすゆき」から「大野安之」へと戻ったんだ?

 帝国ホテルで開かれたセガ・トイズの発表会をのぞく。世界に冠たる超高級ホテルの宴会場で発表されたのは当然のことながら歴史もあって格調も高いあの玩具。2本のハンドルをロープでつないだシンプルな形状からは想像も付かないスピードとパワーを必要として、世界をまたにかけて活躍するスポーツマンも愛用し、一方では老若男女も構わず楽しめるフトコロの深さも持っている、まわに今世紀最大の玩具が、セガ・エンタープライゼスの科学力(かがくちから)を得てまさに21世紀的に変貌を遂げた。発表しよう、その名は「ナワトビート」。どうだい格好良いだろう体がウキウキして来ただろう欲しくなっただろう始めてみたくなっただろう。マジソン街を持って歩けばエリートビジネスマンの名を欲しいままにできるだろーし、海岸線をプレイして走ればウエストコーストの美女たちが振り向くこと請負だぜ。

 なあにプレイは簡単だ。ハンドルに付けられたスイッチを押して4段階あるモードを選択、あとは流れ出すビートも鮮やかなサウンドに乗って、ハンドルの間を結んだロープを回して跳べばオッケーさ。時には1回のジャンプで2回転させるとか、ハンドルを持つ手を交差させてロープを回して飛ぶとかいった高等な演技だって楽しもう。回す速度に応じてサウンドのビートもテンポをアップ。オールクリアならヘイクール! ってな声は出ないがグッドグッドくらいは聞けるだろう。冬の運動場で泣きながら跳ばされ、冷え切ったスネにロープが当たって涙を流した辛い日々も、「ナワトビート」を使えば途端にヒップでホップでハッピーな日々へと変わる。さあ君も「ナワトビート」をレッツプレイ! 誰だい「縄跳びーと」なんて呼でる奴は。

 しかし会見に招かれていたのが不思議だったのがシンガーソングライターの井上昌己さん。聞けば毎日ダイエットのために6000回とか7000回とか跳ぶってな根っからな縄跳びお姉さんで、新製品の開発にあっていろいろ助言なんかもしているんだとか。音楽こそ流石に昌己さんの歌声は流れないけれど、そのスリムなお美しい肢体からは想像も出来ない格好で縄跳びをやり、そのスリムなお美しい肢体を維持しているのかと考えると、この反スリムでお美しくない肢体を矯正するためにも、レッツ! ナワトビートな日々をこれから過ごしてみよーかと、思ったけれれども面倒臭いしそもそもがあの冬の日にナイロンの縄跳びで脚や手を打ち泣いたトラウマが染み着いているので、ここはやっぱり新製品のテスターに送付でもするかどうしようか。肢体では負けてるし。いや負け方にもいろいろあるけれど。

 秋葉原で「ワンダーフェスティバル」のガイドブックを買う。頑なに前売りを拒んできたワンフェスが今回から何故か前売りを行うよーになり、ガイドブックがその前売り券代わりになっているとあっては是が非でも手に入れなくてはならないからね。行列に並ぶのが少しでも緩和されれば嬉しいけれど、実態はあんまり変わらないんだろーなー。ただ事前チェックができるよー、ってな「モデルグラフィックス」に掲載されていた前売りの告知の割には、当日版権がとれるか未定な状態だからなのか、具体性のかけらもない広告が多くてガイドブックとしての体を為していないのが気になる。書く側の意識ってのもあるのかなー、でも目立とうともしてないし解らんなー。

 巻頭では再びな村上隆さんがイベントを即売を行う旨告知があって懲りないとゆーか頑張るとゆーか。一応は聞くつもりだけど28000円のガレキは買えるか買えないか。売り切れたらちょっとすごいけど。あと座頭市なアルフレックスは初ワンフェスに中村水主や期待の○○○○を出品の予定でちょっと期待。寄りますからねー。巻末にはいよいよ岡田斗司夫さん仕切るところの「東京トイショー」(仮)の告知が。けど「東京おもちゃショー」も英文表記が「TOKYO TOY SYOW」なんでガチあう恐れがあっておやおや。眞相が噂な時期だけにすっきりとした形でイベントが立ち上がってもらいたいものですねー。


【1月26日】 そうか牛皮か靴の裏よりは旨そうだ、ってのはさておき「宇宙海賊ミトの大冒険」はちゃんと起きててリアルタイムで観賞、やっぱり可愛いにょーデ・ジ・キャラット&ゲマちゃんってそれはCMの話だろ? すいませんと謝ってでも可愛かったよ睦月ちゃんは、葵と逃げる時に知らず手を握り合ってしまって頬をポッと染めていて、弟の正月が改造くんをブンブンやっている時でも弟の頑張りを応援するなって事もしない。ああこれがヒトメボレって奴なのか、アキタコマチとは違うよなー。終盤に至ってどシリアスな展開になっていよいよ来週は蔭朗さんとあのちっこいミトがいったどーヤったかが解説される重要な回だ、ナボコフも吃驚の官能絵巻が展開されるものと期待して月曜深夜をみんな待とー。しかし「Looker」、別に睦月の頭のキノコは興奮するから生える訳じゃないみたいなんだけど。

 その「Looker」は編集協力に藤津亮太なる知人と1字違いの人の名前があって親近感が湧くけれど、それがなくても今月号の表紙は「カウボーイ・ビバップ」からフェイ・ヴァレンタインのポーズがとってもヨくって永久保存は必至でしょう。もちろん普段から着ているあの短いパンツスタイルだから大好きな「白」がどうとかってことじゃなく、それでも美人はそーゆー格好しているだけで十分に価値があるってことを、文字どおり網膜に焼き付けてくれますね。一方での「タニマニア」的な観点ではこれは完全にオッケー、けど胸元と顔の色がずいぶんと違うのはもしかしてフェイってその子な白面教徒? 単なるライティングの関係なんだろーけどね。おっと久々に佐伯日菜子様さま様の上目遣いな三白眼が連載コラムで拝めるぞ、呪われてー。上のあかほりさとるのフヌケぶりも拝めるぞ、呪いてー。

 阿部和重さんの短編集は「無情の世界」(講談社、1400円)で表紙がやっぱりコジャレ系、という表現が果たして正しいか否かは定かではないが、どっちにしたってこれは横浜の「ワイルドブルーヨコハマ」かな、格好のよい室内プールを撮った写真で表紙側は何故かプールと天上だけ、そしてそのまま繋がった裏表紙へと視線を移すと、ビキニがとっても似合って刺激的な姉ちゃんがチューウチュウチュチュはしていないけどはしゃいでて、静謐と惑乱の両面を持った作品世界をカバー写真でもって表現しようとしている、のかどうかは実は読んでないから解らない。ここが本当に「ワイルドブルーヨコハマ」なのかも頭がアレになってしまっていらい遊泳は禁じ手となっているので行ったことがなく知らない。禁じ手でなくても男1人で何しに行くの、って質問はやっぱり却下だ。ちなみに好みはショートヘアで水色のビキニの娘。読んでいたらお手紙下さい黒ヤギさんたら読まずに食べます。

 脳味噌が溶けて来たのが自分でも解って来たので、さらに溶けていそーな鶴岡法斎さんの単行本「ガラクタ解放戦線」(イーハトーヴ出版、1300円)を購入するも芸のある溶け方に圧倒されてげにゃげにゃになる。サブカル大好きの自称”変な女の子”を上手いこと言って自宅に連れ込みセックス三昧でそれを「セックス依存症の少女立ちへの取材」と言ってのけるライターのK氏が実在しているのかなんて知らないけれど、諧謔とか嘲笑とか自虐とかいったニュアンスを賢しらに盛り込むなんてしない割とストレートな文面から、なんとなく性格の生真面目さがうかがわれる、ように思ったけれどやっぱり実在の本人がどうなのかは知らない。メインを占める「修羅道へまっ逆さま!」はグロさが趣味じゃないけど、巻末のカキおろしエッセイ「もう帰れないぞ!」は醒めたキレ方がいい感じ。どっちが本人に近いのか、いやさらにすごいのかはやっぱり知らないけど家にやって来て殴るって読んだからどっちもすごいとだけ言っておこー。

 「矩形の密室」で懲りた筈なのに、ってゆーかその時に何か懲りたなーってことは覚えていても、いったいどんな話だったかはすっかり忘れてしまっているほどに印象の薄かった矢口敦子さんなのに、その後に課題図書として読んだ「人形になる」がまあまあだったことに加えて、テーマがインターネットに自殺とあってこれは読まずには捨ておかれないと、カッパノベルズから出たばかりの「真夜中の死者 イリュージョン」(819円)を読む。今ピーッと聞こえたのはお腹の上にのったピーピーケトルが沸騰した音です。

 つまりはそういったことで、何がそういったことなのかといえばすべてそういったことなんだけど、かいつまんで言えば悲劇の原因が暴かれて結末へと続く道筋があまりにも唐突過ぎ、かつ悲劇が目的ではなく結果に過ぎなかった事実が明かされ、これでは作品の中で死んだ人たちも浮かばれないと、やるせなさに頭をかきむしる。ヴァーチャルな世界では知り合ってはいても現実の世界では見知らぬあなたと見知らぬあなたが出会って花咲く恋があっても悪くはないし、逆に現実世界で出会ったが為に悲劇が起こることだってある。そうした虚々実々の入り交じったインターネットという世界を舞台に何が真実でなにが虚偽なのかを錯綜させつつ読者を混乱に陥れる、そんな展開で押し通ってくれればまだ読みごたえもあったもだろー。

 なのに「真夜中の死者」じゃーエンディングに至る過程で持ち出されるネタがネットとは一切無関係で、かつ次々と起こる悲劇もネットの属性とはおそらく無縁、いってしまえば現実世界の現実の人々の現実的な心の葛藤が引き起こした引き起こした悲劇なのに、「インターネットのどこかに魔が潜んで、あなたの闇をひきずりだそうと狙っているかも」なんて著者の言葉が書いてある。そこまでネットの魔性を煽りたいのかねえ、ってゆうかそう思われてしまっているのかねえ。ネットと使ったありうべき事件だと思える部分もあるだけに、練り込めば虚実入り交じったネットの世界で人心がいつしか操作され、ってなホラーにもなり得ただけにちょっと拙速な印象を受ける。それともこの時期だから急いで出したのか? だとしたらさもしい話だ。


【1月25日】 なんだむちゃくちゃ近いところで売ってるじゃん「すあま」、ってことで近日中にかまぼこのような形とかゆー実物に見(まみ)えて今度バンダイから出たとゆー「たれぱんだ」のティッシュカバーを買って、ティッシュが飛び出るスリットからムリムリと押し込んで食べさせてみよー、っても背中から食べさせても多大丈夫なのか、2口女じゃあるまいし。

 いやそーゆー問題とは違うと思うがともかくも全世界的に人気上昇中(推定)な「たれぱんだ」といっしょに「すあま」もメジャー化の道は必至な情勢、なのでここは「甘い物王選手権」ならぬ「すあま選手権」のために全世界の全銘柄の「すあま」を食べ尽くし、メモを取って形弾力味値段ほかをチェックしておこー。ところでこれが根本的な疑問だったりするけれど「すあま」っていったいどんな味がするものなんだ?

 中国ゴマの話を針小棒大したりクリイミーマミのCD−ROMの話をさもありなんな御託を並べてでっちあげたりセガ・エンタープライゼスが大崎駅の東にオープンさせるアダルトなゲーセンのリリースを処理したりして時間いっぱいのお仕事をやれこれ。刷り上がった新聞の1つの記事と外注の箱を除いた全部の記事が我が版図とゆー実態に、ブチブチと音を立てて頭の欠陥が切れ、鼻から透明な血が流れる。違ったよく見るとこりゃただの鼻水だった。

 一向に止まる気配を見せないので下の薬屋に行って鼻汁に効くサトーの「ストナ」を買って飲む。けど室内の空気があまりにも悪いためなのか部屋にいるうちは一行に鼻汁が止まらない。これが部屋から1歩出たとたんにピタリと止まった当たりにも、淀んだ空気でいっぱいの我がオフィスの不健康さを如実に認識できる。風通しを良くしたいってもこればっかりはヒラ社員にどうにか出来る筋合いのものでもない。やっぱり外圧導入して空気清浄機でも入れてもらうか、ドドドンと。でないと遠からず死人が出るぜ。

 銀座東急ホテルの1階にあるガラス張りのカフェテラス「O−157」じゃない「O−24」から徒歩でしばらく永代通りを橋の方へと向かってかの人と見(まみ)える。最初のノベルズの写真にしても最新の「IN POCKET」の写真にしても眼光鋭く思考明晰で黙して書くも語らずな印象を持っていたら、ご本人はいたって気さくで口数も少ないどころ言葉がつねにあふれて止まるところを知らず、古いビルの椅子に座って正面のやや座面が高いベンチより繰り出される言葉に、横目で棚に入った京極夏彦さんや田中芳樹さんや高橋克彦さんの著作などを見つつも、しばし圧倒される。珈琲は旨かった。

 その博覧ぶりは当然としても、知識をデータとしてファイルに入れてただ並べているのではなく、整理分類し必要に応じては取り出し混成し組み合わせては新たな説を導き出す応用の速さとそして確かさに、最近まで存在こそ知ってはいても著作にまでは踏み込めなかった我が迂闊さを知り猛省する。目の前に広げられた紙を指しては繰り出す疑問と解答を聞くにつけ、権威に弱い新聞と権威に弱いアカデミズムの共犯によって成されたあるいは犯罪的といえるかもしれない莫迦騒ぎの終息する場所を思って、端くれとはいえ同業の身として深く恥じ入る。近くすごいことになるぞ。

 とはいえご署名を落款とともに入れて戴き拝領した徳間書店から出たばかりの高橋克彦さんとの対談集「日本史鑑定」(1600円)で、例えば高橋さんが語っていたアカデミズムの小説家を見る目の冷ややかさが「稀代のディレッタント」にも当てはまるとしたら、同じく権威こそがすべてなメディアが果たして冷静な反応をとれるのかどうか。そこいらあたりには実は本職を離れてヤジ馬的な興味があるところだけど、官界マスコミ界にファンの多い人だけにそれなりの反応が出るだろーと期待しつつ成りゆきを見ている。

 口数の多いという点ではこの対談集のほとんど印象で高橋さんの分が印象で3割程度しかないところからもよく解る。アカデミズムの領分とエンターテインメントの領分とのせめぎ合いについての「日本史鑑定」での論議を先に読んでいたら、同じよーでも中身の浅薄な我が解説なんぞとてもじゃないが書けなかった。認めよう若さゆえの過ちというものを。若くもないけど。

 ってな自己嫌悪にのたうち回る我が身にも光明を与えてくれ、かつご署名落款の鮮やかなご著書も「リアルタイム日本史 歴史がみえる現在が見える」(講談社、1650円)も合わせて戴けてこれは僥倖と心底喜ぶ。蟹鮪海胆浅蜊鳥なども戴けて嗚呼我が人生のこれが至福だと舞い上がる。とはいえ伺った話によれば次ぎの「鳥玄坊先生」シリーズは偉そうにする日本の存立に鋭い舌鋒を加える衝撃の書、とでもいった内容になるみたいで3月の発売とその後の反応が今からとても楽しみ。

 あと「IN POCKET」で始まっている「アカシックコード」もノベルズやノンフィクションと違って比較的リアルタイムに時事ネタを扱っているだけに、手近な問題への何かを護るでもなく何かにおもねるでもないストレートな言説を、わずか150円とゆー値段で毎月堪能できるのは今の日本にとってとてつもなく幸福だと言うより他にない。今年は明石で築地が爆発するよー。


【1月24日】 休みな日こそは読書と思ったけど積ん見ずなDVDやらLDも溜まって着たんでとりあえずはDVDで出た「エヴァ」のラストを劇場版のところだけつまんで見る。記憶が猿なんではっきりとはしないけれど少しは公開版と変わっているのかなあ、覚えていないだけなんだろーけど見たとこのないシーン聞いたことのないセリフとかもあったし。とはいえ前のほど大規模な改変はなされていないからラストは当然にしてアレな訳でやっぱりな暗ーい気持ちになって床につく。枕元に3人紅蘭を並べておいても紅蘭が「ええ感じやでー!」と泣いてくれる夢はみなかったのは言うまでもない。枕の下にブロマイドもはさんでおかないとダメなのか?

 鳥玄坊先生の新書とかを読みながら微睡んでおきたら午前の9時30分で先週から続いている平安編な「ガサラキ」を見たけどやっぱりな展開で頭はドヨドヨ。物語としての吃驚仰天かあるいはシーンとしての驚天動地が最初の頃のよーにもっともっと欲しいんだけど今は世界を構成している因果の説明なんでしゃーないか。思い出したけど前にバンダイの商品カタログで見た「ガサラキ」の戦闘シーンをハードに再現するカードバトルゲームってもう出ているの? 最初の頃のリアルな戦闘描写から見れば期待に逸品だったのに、最近の伝奇な展開ではちょっと物語と乖離してしまうから、出してないのかもしれないなー。実際はどうだったっけ?

 バンダイと言えばこの春の期待が鼓独楽、っても解らないからこの正月にフジテレビの「新春スターかくし芸大会」でナイナイの岡村とか安達佑実とかが演じた中国独楽って言えばいいのかな、2本の棒をつないだ紐の上で鼓の形をした独楽をブンブン回して飛ばして遊ぶ古くからある遊びなんだけど、バンダイじゃーこれを「ハイパーヨーヨー」「ジターリング」に続くナウ(死語)なヤング(滅語)の為の新しい玩具として大々的に売り出そうとしている。昨日から幕張メッセではじまった小学館とかが主催する「次世代ハイパーホビー展」(だったかな)でも先行発売されてたよーで、会場のあちらこちらで「ヨーヨー」「ジター」に混じって独楽をブンブンと飛ばす子供たちの姿が散見された。

 手に入れたかったけど販売会場に入るのに15分待ちとか言われて雨も降っていたし断念。とりあえず会場をウロウロと回ってあちらこちらの展示を見物する。一番の目玉と勝手に思ったのがあの「ピカチュウ」を象ったちょっと大きめの人形、っても縫いぐるみじゃなくって中に仕込まれたモーターか何かが鼻をヒクヒクとヒクつかせ耳をピクピクと動かして、かつ当然のよーに「ピッカー」とかいった声を発してくれるそれはもーファンにはたまらない、後ろからアレしたいくらいに可愛らしい商品に仕上がっている。値段はえっと6800円? んでもって発売日は2月27日? 実物大の縫いぐるみには食指がわかなかったけどこっちはちょっと欲しい度がアップ。アレしたらどんな声をあげてくれるのか、期待しているけれどさてはて。

 なんて卑わいな事を書いてるとボクメツされちゃう懸念もあるけど、ここ書いてあることから著作権とか猥褻とかいった罪を引っぱり出すのは作業が面倒くさいし世間の話題に上る可能性も極めて少ないだろーから動きはしないだろー、任天堂じゃなく警察が。例の事件に限らず任天堂がイメージが壊れるなり著作権を侵害しているなりと訴えているのは日常茶飯事だろーけど、それをいちいき聞いていちいち立件するほど警察に時間的人的余裕がある訳じゃない。

インパクトがあって新聞テレビに雑誌が大々的に取りあげてちゃんと仕事をしていることが解る事件だったらやる意味があるってことで、それは結果として新聞にテレビに雑誌が大々的に取りあげた例の事件を見れば瞭然だったりする。任天堂を非難するのは筋が違うし摘発もいたしかたのないことと認識した上で、世間への印象で行動を決めているような印象を持つ警察と、そんな行動を結果的に支援しているノリ易いメディアの報道姿勢にも、最近の青酸カリ事件とか伝言ダイヤル事件とかの取りあげ方を踏まえつつ見ていこーよ。

 もどって「次世代ワールドホビー展」で目立ったのはそのゲーム会社の出展数。任天堂にセガ・エンタープライゼスにソニー・コンピュータエンタテインメントのハード御三家が揃って出るのは国内ではこれが唯一のイベントだし、加えてハドソンにスクウェアにカプコンにコナミといった大手もこぞって店を構えてゲームのお触りデモなんかをやっている。「ゲームショウ」とは客層が若干違うとはいっても、集まって来る子供たちの熱中振りといったら「ゲームショウ」なんか比べ物にならないくらいに激しく、こんな世代がそのまま育っていったらと考えるとゲームの未来もこれでどーして明るいじゃんと思えてくる。

 もちろんメディアファクトリーの「ポケモンカード」やらトミーの「ヤキューマン」やらタカラの「ビーダマン」やらバンダイの「ハイパーヨーヨー」とった非ゲームな玩具もまだまだ人気で集まった子供たちを見ていると玩具の未来もこれでなかなか明るいじゃんと思えたりする。「ミニ4駆」だって「チョロQ」だって楽しんでいる子供たちの姿がある以上はまだまだ息の長い商品なんだろー。いずれにしてもゲームや玩具が本来誰のものであるのかを、ユーザーである子供たちがその熱中ぶりで見せてくれるイベントとして、業界を担当する人間として行く価値は十分にあったし、オフィスで政治やってるゲーム会社の偉い人たちも行ってその熱中ぶりを絶対に見るべきだと言いたくもなる。

 最新の玩具が実際に変えてゲームにだって触れてしまってアトラクションも楽しいイベントが無料、なのに新作ソフトの紹介なんて情報誌なみで限定グッズを買うのに何時間も並ばなければならない、かろうじて各ブースでプレミアグッズがもらえたりするのが嬉しいイベントで1000円以上もの入場料を取る、そんな状況をいつまで世間が正しいと見てくれるのかどうかを、2日開催が定着して全国展開もしている「次世代ワールドホビー展」の賑わいのなかで考える。せめて利益が出ているのなら、それを主催者ではなくユーザーに、直接だろうと間接だろうと還元してこそのイベントじゃんと、思ってもみたけれどさていったいどうなるか。とりあえずは3月にどういった運営がなされるのかを見てみよー。僕は「おもちゃショー」に行くけど。


【1月23日】 そういう訳で(どういう訳だ?)講談社の文庫情報誌の「IN POCKET」を買って読んで自分がやっちまった事のあまりの畏れ多さに改めてブルブルと身震いが来て、チビりこそしないけどすっげービビる。

 サイン会には始まる4時間前から並ばないといけないくらいに高い高い人気を持つ「あの」京極夏彦さんが、水木しげるさんと並んで師を仰ぎ「築地の先生」と読んで慕い書斎の入り口にかける扁額の記号を依頼しておられる人であり、かつ高橋克彦さんやら違いの解る狂言師こと和泉元彌さんやテレビ朝日の偉い人が最大級の賛辞を贈る稀代のディレッタントだっと、知っていたらおいそれとは依頼なんて受けられなかっただろー。ボクハナンテコトヲシテシマッタンダ。

 もしもだよ、もしも書いたのが京極さんだったらインパクトはこっちが爆竹ならあっちはセカンド・インパクト、帯の1本に名前がドン、と出るだけてアピール度は段違いにに跳ね上がって売れ行きだって大いに変わってしまうだろうにと、そう思うと何だか申し訳ない気に重圧で押しつぶされて「たれぱんだ」になってしまう。関係ないけど「たれぱんだ」が好物の「すあま」って東京地区じゃーとこで売ってるんですか。

 もとい、とはいえ書いちまった以上、出ちまった以上は何であってもどうであっても売らねばならんし売れねばならんので、見かけたら平台なら1番手前へと引っぱり出し、棚だったら他の本を抜いても面にして置くくらいの地道な活動を書店でこっそりやっていこう。とりあえず船橋西武のリブロは平台の1番前でちゃんと販売されていたのが嬉しい嬉しい。明日にでも買い占めてスリップを本社へと返させよう。明石散人「謎 ジパング」(講談社文庫、648円)はまだまだ好評(らしい)発売中でーす。ふひぃ。

 秋葉原では案の定「ポケットステーション」はどの店でも売り切れ。まーどっちにみ買ったところですぐに遊べるソフトもないから「ファイナルファンタジー8」が出るあたりまでに白でもクリアでも買えればオッケーって事なんですが。それより意外は(意外じゃないんだけど)あのアスキーの「トゥルーラブストーリー2」が軒並みあちらこちらで売り切れになってしまっていること。ヤマギワのソフト館なんて壁にでっかい絵がかかってるくらいだし、相当の前評判もあったから売り切れも当然ってことでしょーか。

 単なる我が目の曇りまくりと言えば言えるけど、発売時のあの絵だけを見て「あかんわ」と嘆息したのが嬉しくハズレて大ヒット、歴史に残る作品となって続編の発売が街に待ち望まれていたタイトルならではの売れ行きを、ちゃんと見せているのは素晴らしい。火星が何とかとは大違い。、「ビートマニア」のコントローラーがバカみたいに売れて「トゥルーラブストーリー2」も予定をクリアできれば泡沫、じゃない断末魔、じゃない期末の(全然違うやんけ)決算も何とかなって、アスキーもホッと一息付けるでしょー。これほどまでなのを納得できたんで、さあ封印してある(埋まってる)最初の奴でもやりますか。

 散財は続くよどこまでも。行き着けのお店で「カウボーイビバップ」の第2巻をフェイ・ヴァレンタインのジャケットにクラクラっと来て即座に購入、それからボックス付きの「カードキャプターさくら」のLDを知世ちゃんさくらちゃんの姿にヘラヘラとして即座に購入、ついでにDVDにしては珍しくボックスの付いた「ガサラキ」の第1巻も得点にフラフラと惑わされて買ってしまう。これだからまったく財布が底抜けだってーの。でも「オーフェン」買わないあたりが理性でしょ、って言うとボクメツされちゃうのか?

 家に帰って見た「ビバップ」はビシャスととの因縁に地球が滅茶苦茶になったゲートの事故の描写とかがあって、これなくして何が「ビバップ」だったんだと、中途半端に飛び飛びのテレビ放映を見せられた事への虎ノ門への怒りが沸々と立ち登る。偉いぞ元赤坂。しかしやっぱりフェイは良いわー、小中さんに倣って買っちゃおーかなボークスのフェイ、って一瞬だけ思ったけど、流石に散財は続かないので徒歩で御徒町へと向かう途中のディスカウントショップの店頭で1000円の値段で売られていた「サクラ大戦」は李紅蘭のドールを買うに止める、って止めたことにならねーよ。

 でもねえ植毛の額がちょっと広めなのと眼鏡がすぐにズリ落ちてしまうの事に目をつぶれば、スリットも深く入ったチャイナ服といーめくったところにしっかと見えるVゾーンNホワイトといー、なかなかな出来なんですよこれがまた。前に買ったソフビのチャイナな紅蘭と、ソリッドモデルな戦闘服の紅蘭と合わせて都合3種類の紅蘭様さま様が枕元で添い寝してくれる、我がベッドでどーです貴女も一緒に添い寝してみませんか。みませんね。当然です。ならば「スーパードール リカ」と「同 イズミ」ならどーですか。どーでもないですね。あたぼうです。はあ。「たれぱんだ」なら……(もーやめい!)

 やって来ました大塚は萬スタジオで見たは「月蝕歌劇団」が久々に贈る代表作「聖ミカエラ学園漂流記」。アニメは見てるしマンガもその存在は知ってはいても、本来が戯曲として書かれた「ミカエラ学園」の元来な舞台での様を見ずしては、その魅力その迫力その説得力の10分の1も味わえていないといっても過言ではない。のであの悪魔的なストーリーがいったい本来元来な舞台とゆー空間で、どんなイメージで演じられるのかをその目にしっかと焼き付けに行く。前回にも増して制作の人にはお世話になりました。

 真っ暗から始まった舞台は「阿佐ヶ谷ラピュタ」ではダメだった蝋燭にマッチの月蝕ならではの演出が採り入れられて、なるほどこれが月蝕本来の姿かと、暗い舞台で拙い明かりの中を踊り唄う女性たちの姿に感動と官能の目眩を覚える。物語はおおむねOVAと同じでミカエラ学園に来た転校生の美村亜維子がシスターやら同級生やらとの諍いを経てその正体を明かし、神殺しへと赴き歴史を変えてしまって幕を閉じる。途中の裏切りへと至る説明がOVAより少なく見ていなかったら解らなかったかもしれないけれど、集まっている人は納得していたみたいなんであれでちゃんと解ったんでしょー。

 援助交際が云々言われている時代にあって貞淑さを求められる女子高生の叛乱がどれほどの意味を持つのかが個人的には謎で、過去幾度かの舞台化の度に時代い合わせて設定をいじって来たらしー高取英さんの手腕に関心があったけど、全体のトーンはアニメと同じで女子高生たちは部分的にはドラッグをやったり援助交際をやったりと現代を採り入れてはいても、全体では虐げられ抑圧されてそこからの脱出を目指す設定に変化はなく、解放されきっている(ように見える)女性たちがどう感じたのかを聞いてみたい気がしてならない。でも客は圧倒的に男が多かったからなー。目当てはやっぱり美少女たちの立ち回りか? だったらオレと一緒だな。中森明夫さんとかも見たのかな? だったら何書くか注目だな。

 役者では主演の亜維子が前作「疾風のまつりごと」で鳩子を演じた一ノ瀬めぐみだったけど、明日の千秋楽を前に疲れもあるのか歌が外れてセリフも前へと出てこず、後半からエンディングへと至るシリアスにして1番の見せ所で神を殺して少女十字軍を率いるに値する迫力とメリハリがもうちょっと欲しかったかな。シスター役の美里流季はベテランだからなのかメリハリもあって流石。雲の上甚五郎一座の踊り子やってた麻田麻夕が顔的に1番好きでしたね。アニメでは準主役級の池田理佳をほな美りんが演じていたけどアニメほど目立ってなかったのが残念。少ない眼鏡っ娘だったのにぃ。


【1月22日】 SUEZEN食わぬは男の恥、なので角川書店から出たSUEZENさんの新作「パーコレイション」を読む。細身なのに胸はそれなりに出ている目がとんがった美人なやんちゃの主人公、黒葛野藍ちゃん16歳がとっても最高なのでそれだけで買った価値があったもんだけどマンガだから食えないのが残念無念。おまけにマンガの中で藍ちゃん食べちゃう兄ちゃんの目がキラキラと美形に浮きまくってる顔が、何だかしりあがり寿さん描くヒゲのOL薮内笹子っぽくってそこだけ嗤ってしまう。

 お話は雑木林が消えて言い伝えが風化していく郊外で少女が不思議な出来事と哀しい別れを経て成長していく様が描かれたシットリ慕情でツンと来る。巻末に貞本吉行さん大塚康生さんを加えた対談も載ってファンには嬉しい1品。表紙のアニメーションしてる藍ちゃんのグラマな肢体に惚れたら買いだ。

 東西線の原木中山と行徳の間に新しく出来る駅で作られている巨大な建造物は流行りの「ワーナー・マイカル」らしー。3月とかのオープンに本当に間に合うの? って思えるくらいに外壁すら未だ完成してないけど、そこは100年経っても教会の尖塔1つ完成させられずにいるスペインはバルセロナのサグラダ・ファミリアとは大違いな日本のゼネコンさん、残りの日数で一気呵成に片づけて無理にでも間に合わせてしまうんだろー。

 あそこん家(ワーナー・マイカルのことね)は封切り映画でも夜は安く見られるのが特徴だから、会社帰りに寄ってひとっ風呂、じゃないひとっ映画見てから帰ればハッピーな映画ファン生活が送れると、今からオープンがちょっと楽しみ。もっともワーナーマイカルでかかるよーな金だけ大映画なんてここんとこ見てないし見たくもないのがちょとと難点。だからこそ半額だかな値段で見られるレイトショーが有り難いって意見もあるね。アル○ゲドンとかゴ○ラとか。

 適当に仕事。スタジオぴえろが何を考えてか「魔法少女もの」のアニメを使ったCD−ROMを作って東芝EMIから発売することになったってな記事を書く。なにしろ1つは最終回を大学から2時間もかかる家へと急いで帰ってギリギリ見られてその内容に心が泣いたとゆー暖かい思い出に彩られた我がエバーグリーンな「魔法の天使 クリィミーマミ」が登場するソフトだ。おまけに声にはあの優ちゃん&マミを演じた太田貴子ちゃんがいったい何年ぶりになるんだ、ってな感じ々のアフレコだ。これを買わずにられよーぞ、初版の1500本にはマウスパッドもついてるし、とは思ったけれど対応してるのがウィンドウズなんで見送るしかないのが辛いツライ。同時発売の「ファンシーララ」のデスクトップアクセサリーは、どうでもいーや。マミのLD−BOXに涙した30過ぎたお兄さま方は、27日にはパソコンショップに並ぼーな。

 小島聖でも買おーかと寄った本屋で見かけた裕木奈江さんの写真集を買ってしまう私は莫迦ですか? 否定はしません。「UNRELEASED FILMES NAE YUKI」ってタイトルのバウハウスから出た写真集は、帯に漢字で裕木奈江と書いてなければ誰も気付かず新しいアート系な写真集だと思ってしまうくらいに地味な体裁。もちろん表紙にだって顔写真は入っておらず、かろーじて帯にうっすらとヌードで横たわっている裕木奈江の姿があるだけで、どーしてこれほどまでに地味でひっそりとヌードになるのかと、あれほど叩かれまくった出たがりんりんなイメージと正反対の奥ゆかしさにちょっと訝る。

 脱いで話題作りだ復活だと思われるのが嫌だったってんなら戦略は正解。だって本当だったら「あの人がついに」的な活字が踊る中で週刊誌に独占ヌードが載ったって不思議じゃないくらいのバリューはまだ残っているのに(残ってるのか?)、さっき本屋で見るまでそんな写真集が出ることを知らなかったんだからね。朝のワイドショーとかでやってたのかなー? 少なくとも毎日読んでる「サンケイスポーツ」では見なかったぞ。

 さても中身は半分だけ地面に埋まった奈江ちゃんが上半身はもちろん素っ裸で何故か日焼けして真っ黒になって髪振り乱している野生のエルザな写真とか、後ろからとったスッポンポンだけど黒いブッシュは見えない写真とかがあってヘアだけ期待なさもしい本能の人には残念な出来。かろうじて1枚、帯と同じ構図の写真にらしき物が移っているけど土でゴワゴワになってるみたいでソソりません。アートっぽさではアレブレな雰囲気がちょっと良いかも、物語らしきものもあるし。けどやっぱり地味なんでよほどのファン(推定1320人)しか買わないんでレア化は必至なんでさあ走れ。

 発表しよう「ターンAガンダム」だ。何がって4月くらいから始まる富野由悠季さんが久々に監督する新しい「ガンダム」のタイトルがだ。バンダイが東京ビッグサイトで開いた春夏商戦向けの新作玩具展示会で集まった人たちに初披露したのがそのタイトルと新しいガンダムの形。なるほど確か去年の夏に横浜パシフィコで開かれたイベントで、新作のことをコードネームで「Aプロジェクト」とかって読んでいた記憶があるけれど、つまりはそこんところで使われた「A」をひっくり返したロゴをドドーンとやって、「ターンA」って読ませることになったらしー、うん合理的。でもちょっと長いんで個人的には「逆A」とこれから当分呼ぶことにする。をを「逆シャア」みたいで格好いーじゃん、と近くにいた広報の人にいったら嫌がってた。人の嫌がることをしろ、ってのが我がポリシーなんであきらめな。

 しかしモビルスーツのガンダムがいわゆる服飾デザイン的な「逆A」かってーとまるで違って、シド・ミードがデザインしたところの新しいガンダムは言うなればローマの甲冑ってとこですか。なんだかお椀を伏せたよーなヘルメットみたいに丸い頭部に円形の胴体がついたって感じのデザインが、安田朗さん描くキャラクターデザインの後にドドーンとスクリーンに登場した時にはお兄さんちょっと頭を抱えてしまいました。でも聞くと立体になったらもうちょっとスリムで格好も良くなるそーなので、実際に登場するまでは判断を留保させて戴きます。物語についてもナレーションでごちゃごちゃ言ってたよーだけど聞こえなかったけどそれも始まれば解るでしょー。玩具ショーあたりに期待だな、プラモデルも含めて具体的な商品を見られるかもしれないって意味で。

 目立った新商品ではやっぱり「たれぱんだ」が吸盤マスコットとかおみくじスタンプとかおはじき風マスコットとかゴチャゴチャ。あとは魔法少女物の新作で雰囲気だけなら「魔法使いタイ」にちょっと似た雰囲気のある3人魔女っ娘(当然1人は眼鏡っ娘ヒューヒュー!)の登場する「おジャ魔女どれみ」とか、桃天使風ともプリティサミー風とも見える和風デザインなのにミニスカな衣装を着た変身美少女ヒーロー物な「神風怪盗ジャンヌ」とかにアニメとしての期待が大。商品は「ジャンヌ」のフィギュアがあってまーそれなりな出来でした。

 男児向けには懐かしの「ロボコン」が「燃えろロボコン」として1月31日からテレビ朝日系で朝8時に放映スタート! 玩具は最新タイプの奴に加えて74年に発売された超合金も復刻の予定でファンなら2つ買え。番組で注目はかつての「ロビンちゃん」に相当する「ロビーナちゃん」のカワユサで、デモってた番組にチラリ写った姿だけでおじさんショックのパーでした。かつて憧れたロビンちゃんが長じて島田歌穂となって現れた姿を見て時の流れに目を遠くしたロビイストでも、現役なロビーナちゃんだったら時の不自由さに嘆くとこなく存分に今美しさを堪能できるはずでしょー。なんだか日曜日の朝が楽しみになって来たぞー。早起きは大変だけど頑張るぞー。


【1月21日】 地下鉄日比谷線霞ヶ関駅にいるホーム担当の奥田さんは背もスラリとしてポッチャリ顔の色白の和風美人なんだけど、それはともかく教育テレビに刺激されて半身だけ浸かる入り方で風呂で読書、去年のうちに出ていたらしー賀東招二さんは「戦うボーイ・ミーツ・ガール」の続編ってーか番外編みたいな「放っておけない一匹狼?」(富士見書房、520円)を最初から最後までズドドドドっと一気読み、うん確かに汗はかいたし体もホコホコと暖まってちょっとは痩せたかもしれない。ただし辛いのは我が不毛な(下じゃない上がだ)肉体が滂沱と流れる汗をせき止められず、読書中の目にジグジグを入って痛みに目を焼いてしまうこと。こーなれば今晩はシャンプーハットを被って入るしかねーと半分泣きつつ敵討ちに燃える。

 なるほど長編だった「戦うボーイ・ミーツ・ガール」で、シリアスな戦闘場面にギャグが追いつかずどこか虚ろな印象を受けてしまったことに比べると、短編は異様なシチュエーションの上で繰り広げられるドタバタってな雰囲気がオチも含めてバチっと決まっていて読みやすいし面白い。キャラクターも生徒会長やら自分をふった元恋人の家へと山のよーに店屋物を送る姉ちゃんやらと立ちまくっててメリハリがある。四季童子さんのイラストも千鳥かなめの表情も喜怒哀楽いっぱいで崖下へと転落していくシーンなんかは迫力たっぷりでクラスメートの常盤恭子は眼鏡っ娘炸裂で結構なことこの上ない。次作がどーなってるのかはともかうも、シリーズとしてジットリ味がにじみ出して来たとこなんで頑張って続けさせてやって下さいな。

 「ヤングジャンプ」のグラビアの榎本加奈子がすさまじいのは周知の事実として、電子出版の論議があちらこちらで喧(かまびすし)いのでここは職権を濫用させて戴いて、「電子書店パピレス」をやっているフジオンラインシステムへと取材に行く。東池袋のアニメイトとかK−BOOKSなんかが並んだ通りを大塚方面へと抜けて大通りに面したビルの6階に1フロアだけの事務所があって、向かい合って並んだパソコンに若い婦女子が向かって一身にカチャカチャやってる様にちょっとだけ羨ましさを覚える。でも取材の間中一切の私語を交わさなかったのは仕事に集中していたからなのか、単に気を回してくれたからなのかは謎。ずーっと黙したままだとそれはそれで結構ブキミだったりするねけれどさて。

 代表の人は当たり前のことながら婦女子じゃなくっておっさんで、もともと会社が立ち上がった当時から電話なんかで話していたし去年の「SFセミナー」では名刺交換もしていたから改まっての挨拶なんかせず、雑談っぽく話しながら横目でチラチラと書棚を覗いてそこに並んだ絶版な本の山に結構グラリと来る。ヨコジュン系が結構あったし森奈津子さんの文庫がだいたいあったし加えて津原やすみなるヤングアダルト作家の文庫もズラリとならんでちょっと壮観。津原泰水なるホラー作家の「妖都」は流石になかったね。後は出版芸術社の「ふしぎ文学館」がシリーズで全部とか、ってこれってもー絶版になってるの?

 とりあえず聞きたかったのは最近始めた漫画のPDFでの販売に関連してデータをどっから取ってるかって点で、てっきりデジタル大好きな松本零士さんが原稿からのスキャンでも認めたのかと思っていたら、意外や飽きた書店の単行本からとっているんだとか。それでも確かに雑誌から直接スキャンするよりは何倍も綺麗で、リブレットの小さなモニターでもちろん拡大してだけど見ても線はしっかりと出ているし、フキダシの中の漢字のルビもちゃんと読めたから、大きなモニターでしっかりした解像度で見れば見られないこともない、ってーかちゃんと見られるものでした。それなりに売れてるってーけどさて誰が買っているんだろーか。個人的にはやっぱりニッポンのマンガさいコーでースな外国人なんかに受けそーだと思うんだけど。品揃えさえしっかりしてれば。

 どれくらい売れるのかって驚くなかれここん家は毎月1万冊以上を売っているのだよ1冊での累計じゃー多いので6000冊ってのもあって古くからスタートしてとりあえずメジャーな「電子書店」だけの実績はあると納得する。でも儲かってるかってーとそーならないのが宣伝コストに製作コストに運転コストのかかる電子出版。作家さんが例えば自前でサイトを立ち上げて「印税10割よ」なんてホクホクと自作の販売を始めたとして、さてその事をどうやったら読者に伝えられるのか、マスなメディアが取材して報道すればそこそこは伝わるけれど全国の何万もの本屋に並ぶのと比べると露出はたぶん少ない。したがって本屋ほどには売れず結果として実入りはそれほど変わらなかったりする、なんて事が起こりかねない。

 ましてや報道も取りあげないマイナーな作家の半分自費出版な本がインターネットで出ても情報が伝わらなければ誰も知らないままで終わってしまう。大手の「電子書店」にデータを上げれば宣伝とかもしてくれるし客も集めてくれるけど、当然ながらそれにコストはかかっている訳でかくして「印税10割」の夢は狸の皮と消えてしまう寸法だ。とりえずは今のまだネットで自費出版ってな活動がもの珍しがられる時期にどばーっとちゃっちゃう人が先駆者としてタダで報道してもらえるから勝ちなのかも、O原さんとか。ほかにもいろいろと話を聞いたけれどそのうちに記事にでもするからそうなったら読んでちょ、もっとも自費出版以上に売ってない紙の新聞だったりするんだけどね。

 放蕩の第2弾で秋葉原へと寄って「新世紀エヴァンゲリオン」のヤットデタマンな第7巻とこっちは早かった「lain」(文化庁だかの賞をとったみたいでお目出たい)の第5巻ってないずれも最終の巻を購入、エヴァはポスターがもらえてラッキーだけどあのラストの壮絶な印象とはかけ離れたレイちゃんだったりするのが何だか。でも一緒にパン食ってパン見せた「世界の中心でアイを叫んだけもの」も入っているから良いのか。ジャケット裏の1コマ紹介もゴッツンコの場面だしなー。25日には「ガサラキ」に「ビバップ」のDVDも発売で放蕩の第3段が待ち受けていてあぶく銭もたちどころに雲散の予感。実は今朝方手元に何故か封筒が見たらず探したら間違えてゴミ袋に突っ込んであるのを発見して冷や汗をかいたんだけど、見つかっても消えてしまうことには変わりない。散財万歳。


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