縮刷版99年11月下旬号


【11月30日】 アレだけあちこちで「でじこでじこ」と言い続けた責任ってのもあるから一応は真夜中の眠たい目をコスりながら「ワンダフル」で始まった「デ・ジ・キャラット」を見る、うーんビームは発射するはゲマちゃんに角突き刺してトナカイにするわとチカラ入りまくったオープニングに比べて、この本編のザラ付き感は一体何だろー。短いんだし安いんだろーからこんなもんかとは思うけど第1回目だけあって妙に説明的な展開で「でじこ」の狡猾ぶり凶悪ぶりが断片しか見えず単なるカワイ系キャラアニメにしか見えず本質を理解する前に客が引いてしまわないかと、心配する辺りに未だこりないで「でじこ」ってる自分が見えてイヤになる。サクサクと訳解らず突き進む展開はこれが桜井調って奴ですか、よく知らないけれど映画の「アキ電」の喋りがこんなんぽかったよーな。しっかし胸のあの鈴にあんなヒミツがあったとは。「ドラ○もん」のポケットじゃないが何だって入っちゃうのか恐ろしい、って今晩も近づく第2回目にビデオの録画ボタン押さえつつスタートを待ってる自分がもっと怖い。

 買いました「ヤングキングアワーズ」は表紙に「カムナ」って字が見えて一瞬血の気がスーッと引く、もしかして漫画化でもされたのか? と思ってよくよく見直すと「カムナガラ」って文字で話はありがちだけど奇妙な生き物の襲来に自らの力が目覚めてそれと転校して来た美少女に見られて抱きつかれる、って内容できっとこの後は前世だか転生前だかの因縁に結ばれながらも襲いかかる謎めいた敵と戦いつつ、地球の危機だかに立ち向かって行くんだろー。物語はともかくそんな設定の中で揺れる人間ドラマとか、人間存在について考えさせられる従来にないビジョンを見せてくれたら有り難いかも、でなければやっぱり圧倒的なシーンが必須でしょう、パンツとか(それは違う)。

 パンツは「ジオブリーダーズ」の方で新入社員の柊巳晴ちゃんがスクーターの上で足ぶん回して存分に見せてくれてるからじゅーぶん。恐怖に涙は滲ませても漏らさずカツヤクしているのは神楽綜合警備の新入りでもさすがに社員ですねー。S1・2・3号が直進している地図は思い出せばおそらくは池下あたりから川名方面へと向かっている道路の上じゃないかと思うけど綾金市内をカッ飛んでたのはもー10年以上も前になるから地図よく覚えていない。でもこの道筋には何か記憶があるぞだって「153号線」ってば実家のある平針から原植田塩釜口八事入中を抜けて栄へと向かう時のあたしのホームコース、だったから、自転車とかケンメリでカッ飛ぶ時の。にしてもいきなり登場の「毎朝新聞」印のヘリやらナージェンカの八百屋やらってな「ファイルXちび猫奪還」ネタって、ちゃんと漫画版でちもフォローされてたの? 多分して無かったとは思うけどしかし映像と漫画を無関係に分け隔てなくリンクさせるどころかストレートに通してしまう連動ぶりは、未だマイナーでかつ熱烈なファンがいるからこその技なんだろー、ってことでやっぱり買うんだろーなDVD版「ファイルX」。何ぃ「ジオブリ2」だとぉ!

 牧野修さんの「忌まわしい匣」(集英社、1950円)が課題図書とゆー冬に似合わない恐怖を押しつけられる日々を粛々とこなす。読み返すと読んだ記憶のある「SFマガジン」所収の短編とか読んでないから記憶にないけど牧野さんらしー井上雅彦さんアンソロジー所収の短編とかをまとめて読むと、やっぱりこの人フツーじゃないってことがよく解る、いや本人がって訳じゃなくって作風が。本人については面識ないから知らない、ってゆーか意識して会ったとこがないから解らない、あるいは「マウンテン」に居たボーズの人だったのかな、口血まみれにしてクロネコの生け作りとか食べてた(ウソです)。短編を1つの流れで括ろうとするための冒頭と幕間とラストに置かれた短編もまたシミジミと恐怖させてくれる逸品、無理に筋を通そうとしてるって気もしないでもないけれど、連作風に締めつつバラエティー豊かな恐怖のカタチを見せてくれるって点でこーゆー構成も面白いかな、良いアイディアです。

 OCNのCMが大っキライで何がって「映画に失礼だよーっ!」と怒るレンタルビデオの店員が振り向いて「ボクのホームページを見て」とか言う展開の鬱陶しさ重苦しさ。自分の主張に徹底的に拘っていても、集まって来る人がそれなりに鍛えられた人なんで別に軋轢は生まれず、かえって「良い情報をありがとう」とカンシャされるホームページの社会が、一般の薄かったりヌルかったりする濃度も幅も様々な人が生きている普通の社会と擦れ合った時に生じる摩擦の最も不幸なケースを、CMによって見せつけられているよーな気がしてちょい滅入る。オレもあんなヤツなのかなー。似た傾向の店員を別の業界に拡げて例えば本屋の場合だと、ナポレオン文庫と青背の早川SF文庫を一緒にレジに持っていったら「SFに失礼じゃないか」とかって怒るんだ、ほか「ヤングアダルトに」「本格ミステリに」「ホラーに」等など適用可能、その都度振り返る店員の顔が浮かぶ貴方はそれでじゅーぶんネットにドップラー、でしょう。


【11月29日】 書いてあることの10日に1回も知っている事があるかどーかとゆーのに読んで頂いて申し訳ないやら有り難いやらな方よりのご案内にて、大和証券のテレビCMでイエオーと唄ってるっちゅーか吠えてる感じの声はやっぱり元「PINK」の福岡ユタカさんで加えてこんなオフィシャルページまである事も判明、リアルオーディオで聞けるアコースティックっぽいライブな声の吠えっぷりに「ををユタカさんだー」ってな久々の感動を覚える。そーだった高橋洋子さんのエヴァをリスペクトした感じのソロアルバムでプロデュースまでしていたんだって事を知り、あの福岡ユタカが「残酷な天使のテーゼ」をどープロデュースしているのかってな興味も沸々、バックでエッオー! とかって雄叫び入れてんのかなー、聞いてみよ。12月には佐賀町エギジビットスペースでコンサートも予定されているみたいで、あの雄叫びをナマで聞ける貴重な機会にちょっと心ひかれます、でもあのお顔を間近で見るってのも何がナニでなんだからなー。

 いよいよ刊行みたいで何よりと、12月の日本出版販売から届いた刊行予定を読んでアスペクトの欄に「かがみのうた」(神野おきな)の名前を見て思う。おやこの「グローランサー」の筆者の海法紀充さんてのはアメコミの海法紀光さんの生き別れの双子の兄の弟さんなのかな。メディアワークスからは期待な「ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕」(上遠野浩平)が登場の予定だそれから筑摩書房のちくま文庫ではとり・みきさんの「ときめきブレーン」が2日に発売ってあるけどこれってどんな本だったっけ? ちょい記憶飛んでます。今月のあまりの大量出版に疲れたのか角川春樹事務所のハルキ文庫ではSFっぽいのはあんまりないけど、変わりに書籍の方から謎めいたタイトルの「平成ゾンビ集 世にも恐ろし巷談」ってなタイトルの福田和也さんの本が出るけどこれってどこかの連載まとめた奴なのかな。年末だってのに年末だからなのか山と出る本に本屋さん頑張って。あたしも読みますからによって。

 頭にノってるのか目算があっての事なのか小学館から「アッパー・コロコロコミック」な世代を狙ったらしーコンセプトの「コミックGOTTA」ってな雑誌がクリスマスに創刊の予定。「中学生のための情報まんが誌」とゆキャプションを読めば瞭然で、「『コロコロ』のノウハウを活かし、いま中学生に流行っている物・事・人をフォローしブームの火付け役となる」事を目的としたゲームとか玩具とかを漫画に絡めて紹介してく雑誌ってことになってるんだろー、「超速スピナー・中学生編」とか「ポケットモンスター・アダルト」とかってな漫画も連載される、のかどーかは知らないけれど。にしてもイメージキャラクターが「ロンドンブーツ」ってのはなあ、確かに乗ってるキャラクターだけど、2人を「名誉編集長」に迎えてってあたりに何がなにやら妖しげな雲行きも漂う。中学生ってロンブー、好きなん? どっかの雑誌にそろそろ漫画のラインアップも出てるだろーから調べて喜ぶか笑うか悩むかしてみよー。

 これはちょっと悩む「須賀敦子全集」全8巻の河出書房新社の3月10日刊行。もちろん買い揃えることに間違いはないんだけど、病床でも最後の最後まで自著に筆を入れ続けるほど推敲に推敲を重ねるタイプの作家だったから、無くなった後に出た本に感じたイマイチ度を、過去どの本にも未収録だった作品でも感じることになるんだろーかと思うと、珠玉の文章に抱いた感動が殺がれる可能性も想像できて心配になってしまう。手紙とかミニコミ誌には資料としての価値があるから別として、それでもこーゆー全集が果たして編まれるべきなのか、それとも著者の意志を尊重して未推敲の物は世に出さないのが正解なのか、とりわけ自分の文章にこだわるタイプの作家な人に聞いてみたいところだばー。編集委員が丸谷才一さんに池澤夏樹さんほかってのがこれまた謎めいてるねえ。1冊4800円から5800円。揃えると部屋がまたまた狭くなるぅ。

 スクウェアが「ファイナルファンタジー9」の発売を来期以降に延期したと発表、これで今期の業績は売上高がたったの250億円で経常利益は15億円で税引き利益は14億円でどれもが大幅な減収減益だった前期を上回っての減収減益となってしまう。理由が何でも「ドラゴンクエスト7」が来年2月当たりへとズレ込んだ結果、最大の販売数量を確保できなくなる可能性があるってなことで言葉だけ取れば「ドラクエ」に最初から白旗を上げて身を引いたって事のよーにも見えるけど、本当だったら23日に開かれていなくっちゃいけなかった「FF9」の発表会が来年の1月へとズレ込んだ辺りからすでに開発の遅れなんかが噂されていたから、ここに来てその遅れが一段の鮮明化して真っ当には1−3月でも発売出来る状況にはならなかったんだろーと取ってとれなくもない。逃げたか、遅れたか。どっちにしても42円の予想だった配当が17円50銭へと大幅減配となる事態に、ヴィーナス・フォートな大株主さんがそろそろ雷でも落としそうな気がして来たなー。「えーがやめれー」とかってな声もいっしょに。

 面白いんだろーか「ハリー・ポッターと賢者の石」(J・K・ローリング、松岡佑子訳、静山社、1900円)を買う。2001年夏のワーナーが映画化とか全世界で800万部のベストセラーとか9歳から108歳までのファンタジーとか、帯に踊る文字の勇ましいことと言ったら無いけれど、いったいどーゆー話なのかが解らない辺りが心配でもあり読む楽しみでもあるってところ、でしょーか。フィリップ・プルマンの「黄金の羅針盤」といー90年代に入って書かれた新しいファンタジーの邦訳が相次ぎどれもがヒットしそーな予感ってのは、この世知辛い世の中に人がファンタジーを求めているからなのか「指輪物語」で育った人たちが多くなってファンタジーに思い入れを深めて紹介しているからなのか何なのか。ヤングアダルトってなファンタジックな作品が増えている中での”どファンタジー”がどれだけ受けるのかって気もしないでもないけれど、そーしたヤングアダルトをよく読む中高生とは違って昔懐かしいカンドーを今ってな大人が読むだろーから大丈夫、なんだろー。字大きいから読みやすいし。


【11月28日】 家で美術の日、ってのは「新・日曜美術館」を見る位の他愛のない道楽だけど、立石大河亜さんを大々的に取りあげるってのも珍しいのでついつい朝から見入ってしまう。芸術家なのか漫画家なのかイラストレーターなのかあんまり知らずにいた人だけど、最初はアートでそれから漫画もやって最後はアートから彫刻も手がけようとしていた人と判明。けれどもその作風は去年だか一昨年だかに佐倉市立美術館で見た明治大正昭和の人物風俗を大きなカンバスに描きまくった連作と同様に、あらゆる情報を等価に平面へと詰め込んで、絵の中の世界とこちら側の現実の世界との境界を無関係にしてしまうスタイルが昔から続いていたものだってことが解る。漫画のよーなコマ割りをしてある作品は実物にはお目にかかったことがないけれど、チラと出てきた漫画家時代の作品より面白かったのは漫画じゃなくアートなんだからとこっちが1歩身を引き甘く採点してしまったからなのか。O美術館で展覧会やってるみたいなんで暇見て行こう大崎へ。

 夜は夜とて「情熱大陸」に彫刻家の舟越桂さんが出演、これまであんまり紹介されていなかった、実際の彫刻作品を木から削りだして彩色して完成へと持っていく所がすべて紹介されていたのが印象深く、意外や早い楠のカタマリからの顔の部分を削り出す作業(数時間で顔っぽくなる)から細かい作業を経て彩色、目入れ、胴体作りへと流れていく作業の中に、彫刻家としてこだわる部分のポイントが幾つか垣間みえて面白かった。人間の眼とも言える目(って当たり前だな)はエンピツで光彩を入れること時代はたいした時間をかけてなくって、その後のエナメルに何度も浸して輝きを出す作業に数日かけていたことが解る。

 あと最初のデッサンに沿って作ってみても、物足りないと思った場合は何が問題かを考えて、考え抜いた挙げ句に膨らんだ肩の部分に石の塔を建てる事を決めたプロセスとか、最初は白く塗った胴体部分が強すぎるからと青っぽくし、その結果を見て今度はティッシュが布切れに残った塗料を使って顔の部分に影を入れて最後の仕上げを行う当たりの作家としてのコダワリぶりとか。なるほど作家本人が「これで良し」と言ったからかもしれないけれど、前の白い胴体明るい顔の時よりも全体に重く静かな雰囲気が「雲の庭」って作品に出ていて、1カ月とゆー従来の半分の期間で作った物であっても過去のどの作品にも比して劣らずむしろ新しいチャレンジ(肩の石)が成果となって出ていると、思うのは単純に舟越桂の作品が好きだからなんだろーか。アトリエでの作業中を密着した映像は撮ったスタッフも認めた舟越さんもなかなかの度胸。エアジョーダン履いて半ズボンで作業する舟越さんの顔立ちに惹かれた女性ファンもきっと多いんじゃなかろーか、嗚呼また作品の値が上がる。

 秋葉原へと出陣、ここでも見られるデジタル漫画を本にまとめた鬼頭莫宏さんの「辰奈1905 トミコローツ戦記」(ビブロス、1239円)に鬼頭さんがサインをしてくれる催しへと出かける。いったいどれくらいの人が集まるのかと心配したけど、始まる30分前くらいに8階段のコミックスのフロアに兄ちゃんたちが集まり出して店員の誘導が始まらずちょっとごった返したけれど、どうにか整列してサイン会はスタート、116番まで来るのに2時のスタートで4、50分はかかったから結構1人1人に丁寧な受け答えをしてたんだろーね。

 最後尾で予想では180番くらい? 或いは200番くらいにまで達していただろーから終了は1時間半から2時間くらいはかかったんじゃなかろーか。さて鬼頭さんご本人は繊細な雰囲気の絵柄とは違ってごくごく普通の兄ちゃんで、1人1人に「ありがとうございます」と明るくお礼を言う”好青年”って印象。机の上にフィギュアとドールの多分「シューニン」が置かれていたけどあれって製品? それとも誰かのプレゼント? 今度のワンフェスあたりに出て来そうなんで「ホシ丸」ともどもチェックします。あっ「ホシ丸リュック」してる人がいるぞウラヤマしーっ。

 重たい気持ちを引きずって会社から帰宅すると妻が台所から小走りに出てきて「今日はシチューとステーキと焼き肉とチャーシューとモツ鍋よ」と言う。そうか今日は娘の幼稚園の合格発表だったんだと気付き、「合格したのか」と聞くと笑顔で「違うわ」と答える。なのにどうしてと問いただすと、「失敗作だったから処分しちゃった、ご馳走はそれで作ったの」と妻。そう言えば3年前に最初の娘が幼稚園受験に失敗した夜も、同じように肉料理を食べさせられたんだった。翌日には培養所へと行ってタンク内にキープしてあった新生児を引き取り教育し直したが今度も失敗。「やっぱり胎教からやらなくっちゃダメなのかしら」。

 そう言って食後、妻が久々にベッドの方へと私を引っ張って行こうとしたので、その前に私が今日、3度目の課長昇進試験に落ちたことを告げたら、妻は「そうなの」と気に止めるそぶりを見せない。とり急ぎ務めは果たしたものの、浅い眠りのまま明け方になり、食事をとってから会社に行こうとしたら妻が電話で「ええ、明日にでも届けて下さい」と話している。「何を育てているんだい」と聞いたら、返って来た言葉が「貴方に決まっているじゃない」。どうやら今度は僕も一緒にリセットされるみたいだなあ、なんて食事に混ぜられていたクスリの効き目で朦朧とした意識の中で考える。僕はどんな料理になるのかなあ。培養所から届いたちょっぴり若返った僕は僕を美味しく食べてくれるのかなあ。

 なんて不謹慎にも最近の”お受験騒動”の中で考えてしまったけれど、3歳位の子供の失敗が、それこそ自分と家族の人生のすべてを狂わせてしまっても平気なくらいの事をしでかすだけのインパクトを持ち得てるってのが、子供がおらずもちろん肉料理の得意な妻なんてのもいない僕には実感として伝わって来ず、だったら失敗した自分の子供をリセットしてしまって新しい子供を作って再教育した方が、より有意義だし他にも迷惑はかからないから万々歳じゃん、なんてイケナイことを考えてしまったけど、流石にそこまでの「リセット文化」は広まっていないようで、むしろ「自分の子は可愛い」という意識でもって他人の子供を処分してしまった気持ちが見える分、まだまだ世間的な感覚は言うほどに捻れてはいないんじゃないかと思えるけれど、だからと言って処分されてしまった親にとってみれば堪らない話だから、なんで酷い事を書きやがるこの鬼畜生めと憤る方々には、あくまでも命が軽々しくなってしまっている世間を揶揄する妄想としての記述だと、伏してお許し願いたい。


【11月27日】 間違えるって事に関しては、実は間違いと嘘と大袈裟で紛らわしい記事ばっかりだったりする当ページ、だからホンダがトヨタなら実は大した違いじゃねーやと思う今日このごろですが、「CUT」様におかれましては他1人しか指摘がなかったってのも、一部に極めて熱く注目する人がいる2足歩行ロボットなのに、メーカー名までは案外と気にされてないって事であり、なるほどネビュラ賞がSF好きの人たちに知られていても、その元となった”人物”が知られてないってのも解るよーな気がする。ちょっと違う。ちなみに星雲賞は彫刻家の高村光雲の息子で高村星雲って名前の大正モダンチョキチョキズな時代に空想科学小説雑誌を主宰していたモダン・ボーイの名前にちなんで昭和2年に創設されたもの、ではないらしー。SFで個人名の賞ってのはやっぱり小松左京賞が最初になるのかな。

 サンケイスポーツ「ほんのインタビュー」に「カムナビ」(角川書店)で梅原克文さんが登場、見出しからしてすさまじくって朝から目が点になる。曰く「精密なウソを楽しませる”手品師”」。ここでいう精密さって言葉の元になっているのが、梅原さんの「精密に組み立てたウソを楽しんでもらいたい」ってコメントで、その前提として「現実感を出すには細部にリアリティーを持たせるのがコツ。映画でいえば小道具に凝るわけですよ」とゆーコメントも出している、ウーム。個人的な「カムナビ」印象は人物造形も洒脱な会話も科学考証もすべて吹っ飛ばして1つのアイディアを成り立たせるためにただひらすら物語を繰り出し、一気呵成にラストまで持って行くチカラワザ、であってそこだけは評価したい所で水鏡子さんが「THATTA ONLINE」に書いている「みだれめも 第115回」での所感に近いんで、作家が「カムナビ」のどこかで追究していたらしー「細部のリアリティー」を読み込めなかった自分がフガイ無い、なんて思いはしないけどそれにしても相変わらず言ってくれるぜ梅原さん、新聞のシメの言葉を引用して僕も言おう「次はどんな鮮やかなマジックを見せてくれますか?」。

 渋谷のモロ星人退治を控えて新宿へ、紀伊国屋書店で索引に企画を担当した「STUDIO HARD MX」のリキ入りまくり度を見た「アニメヒロイン画報」(竹書房、2500円)を買う。これで”戦う女性”ってなテーマで括ろうかって思ってた「電撃アニマガ」向けの本紹介コーナーに1本筋を通せるって感じ、本当は”戦う美少女”にしたかったんだけど1部に48歳のばあさんは用済みだとかばあさんはしつこいだとかって言われた博士よりさらに歳取ってそーなヒロインが登場してるんで少女は無理と路線変更、でも気分は少女なら永遠に少女と自称少女は言うだろーから”少女”と言って良いのかな。魔法少女でも団体戦の1メンバーでもなくピン立ちした変身戦闘美少女バってのはページを手繰ると「キューティーハニー」が初期って当たりになるのかな、乗り込み型巨大ロボットでも先陣を切った永井豪さんの偉大さここにも。

 渋谷へ、時間が余ってたんで「ゲームファンタジア」で「たれぱんだ」を釣る。クリスマス仕様でマントを羽織ってたり帽子を被ってたりするのを2つゲット、でもおんぶ型のは分厚すぎてクレーンが旨くかからず取れずちょっと残念、次こそは。横にあった「飲茶セット」は重くって大きくってゲットできず、横に箱を抱えた人がいて狩ろうかと思ったけど狩られる可能性が高いから断念し、出てハチ公前広場へと向かい時間までを待つ。しつらえられたステージに司会の人が登場して「スペースチャンネル5」のピーアールを始めると同時に、それまでただのガラス越しに内部がのぞけるビルの壁面だった新ビル「Q−FRONT」に3面マルチモニターが登場して舞台の模様を流し始め、これが発表会で言ってた素通しになる松下製の新しいモニターの威力かと納得する。

 とは言え両脇にSONYだかのご立派過ぎる壁面ビジョンがあって、そこで流されている映像のクリアさと比べると、隙間を広く取りつつも目の残像効果を利用して裏が素通しになるくらいの少ないランプ数で映像をちゃんと映し出そうとしている分、「Q−FRONT」のビジョンはクリアさにちょっと劣るよーな気がしないでもない。理由を知ってれば関心も出来るだろーけれど、人間ってそこまで事情に関心がないから単純に見比べて「ダメじゃん」と思われるだろーことは必至で、カバーするにはコンピューターから映像を出力できるらしー点を生かしてデジタルな映像をガンガン流してゲームもリアルタイムでプレイさせ、あとは縦長でマルチスクリーンも可能な特徴をガンガンとアピールしていくのが善いのかも。

 そんな試金石となるのか「スペースチャンネル5」のリアルタイムプレイをスクランブル交差点越しに観賞、水口さんが初めての披露を申し訳なさそうにやっていたけど、流石に開発者だけあって上手で最初のステージをちゃんと最後までプレイして捕まった人たちをガンガン救出してシチョーリツも100%に近い所まで上がってた。昨日の決算説明会の会場でチラリと遊んだ自分の成績は簡単なフリ写しも出来ずあっとゆー間にシチョーリツが10%を切って「うららちゃん」もうつむき加減で歩いてたんで、上手い人を見るとホント尊敬しちゃいます、ってこれまだ初歩の初歩だぜ、ラストまでプレイすると一体どれくらいに複雑な動きを要求されるんだろー。モロ星人は4体登場で生うららちゃんと一緒に踊っていたけど、初秋の「東京ゲームショウ」では暑さにバテバテで裏で体の中身をぶちまけていたモロたちも、冬も近い街頭では頑張ってちゃんと10分以上を踊ってました。征服時期を冬にしたのはこれが理由か。

 おお大川功会長がいるぞ、と周囲を見渡しセガの会長が普段着でイベントの様子を見守っている姿を発見して仰天、昨日の決算説明会でセガって会社への思い入れをキビしくもハゲしい口調で話まくっていただけに、その裏付けをちゃんと行動で見せているあたりは言行一致ぶりが感じられて単なる投資屋さんじゃーないんだなってな気をちょっとだけ抱く、まーこーゆー最前線での反響を掴むってことが投資への確度を増す意味で重要ってこともあるんですが。会長がいるならやっぱり来なくっちゃいけない入交昭一郎社長もタートルネックのセーターにブレザーの出で立ちで参集、頑張ってました。聞くと小田急だかを挟んで光ケーブルを使って「セガラリー」を対戦する実験を経ての参集で、年末にかけてイベントもひっきりなしの書き入れ時だけに休まる暇なんてとてもとてもないんだろー、人前から離れていつも見せてる笑顔を引っ込めた時の顔、疲れてるのかちょっとコワいしー。

 折角なんでいろいろ取材、分社化による影響つまりは「セガって看板が好きなんだー」ってな気持ちで入って来たクリエーターが昨日発表の分社化によって気分を大きくスポイルされやしないかってな疑問があったけど、「コナミのKCE大阪の店頭公開で社長とかが何億円も稼いだでしょ、あれを見て自分たちもってな気になっててモチベーションは高い」とか。セガ100%子会社となる開発会社だからそのまま公開したって社長には1銭も入らないんだろーけれど、そのうちストックオプションなりのインセンティブを与える戦略を取るってことになるのかな。

 もー1点売らんかななソフト作りにかまける一方でコストもかけられない体制が未来への有意義な投資を不可能にしないかってな点は、「そういった部門はCRI(CSK総合研究所、かな)が受け持って、開発した技術を子会社にも提供していく」とのこと。鈴木裕さんの旧AM2研なんかはこっちの方に移って新しい技術に取り組むとかって入交社長は言ってたから、「シェンムー」のこれでもかってな作り込みの技術はまんま他にも適用されてくんだろーな。何が出るやら来年のセガ。「次はどんな鮮やかなマジックを見せてくれますか?」って言葉はこっちの方が相応しい、かも。


【11月26日】 ウイッすエクセルっす「エクセルサーガ」は視聴率強化週間ってことで女性に水着に幼女ってな男の子向けアイティム3段構えな展開、加えて時折挟まれるショートアニメではヘアヌードにパンチラも披露されかかって見ていた人の目をテレビ画面から引き離さない効果を恐らくタップリと発揮しただろー、但し後でリモコン投げたことも必至だけど、「邪魔だナベシン!」って叫びながら。ってのはアイキャッチ替わりのタオルはらりにスカートぶわっ、のシーンでは肝心の瞬間にナベシンの顔が入りやがったから。死ねナベシン、あっ死んだよやっぱりなあ。

 蒲腐博士の顔すら見せない徹底した女性オンリーの展開の中で唯一入った男がこのナベシンとおまけにペドロ(大宇宙の意志は女性なんだろーな、ペドロを好いちょるし)くらいだったから、よけいに邪魔さ加減が目立って怒りが沸点を越えたのよ。まあ恨みを買ってでも注目を集めようって戦法はこの回に限って視聴率をアップさせただろーから「実験は成功」なんだろー。幼女の殺し屋ってのは本編になくイマイチ解らない展開、ご都合良すぎるエンディングも本編とシンクロせずちょっと疑問、でもハッちゃんの達磨浮き見られたから良いか、あとエッちゃんのスクール水着も拝めたし。ハッちゃんの減らないトマトジュースを飲んだ彼っていったいどーなったんだろー? ヘモグロビンたっぷりのトマトジュースに何が混じってたんだろー?

 何故か見続けている「ブルージェンダー」はやっぱりマリーンのお尻が最高、ってのは脇の避けて淡々とした物語の中でいろいろと明かになっていく地球の事情が、さてはて今後をいったいどーゆー決着に持っていくのかを悩ませる、あまりに強大な敵(遺伝子、だもんな)なんで孫悟空モドキなもみあげ兄ちゃんじゃーちょっと荷が重いだろーし。でもサタン相手にアル中の警備員が戦って勝つくらいなんだからしょせんは現実世界の「ブルージェンダー」、霊能力を使わなくたって良いからきっと大丈夫だろー。遊牧民の姉ちゃんと浩二のチョメチョメ(死語)は果たしてあったのか、あったんだろーな裸で寝てたし、ってところにバギーで追いついて来たマリーンがさて、どこまでキレちゃってくれるかってのが次週以降の楽しみ。しかし絵、やっぱり毎回ちょっとづつ違う。

 ターボ積んだ「AE86レビン」って何じゃい? と合間に「頭文字D」をながめつつ「SFマガジン」最新号は表紙が鶴田謙二さんでいよいよもって「SFマガジン」本気で若い衆へと売りにかかったかと感じる。連載も恩田陸さんが続いているところに清水義範さんが加わって読む所が多くなったし、って普段は何読んでるんだオレ? 水玉連載に決まってるじゃんオレ! けどねえ裏表紙がいきなり「アミューズメントメディア総合学院」ってのがねえ、いつかの脱力なCMじゃないのは良いけれど、数ある講師陣の中でもビジュアルに迫力のあり過ぎる聖咲奇さんってあたりもツルケン好きな若手をひっくり返した途端に1歩か100歩、退かせてしまいそー。でも決してコワい人じゃありません、恵比寿の学校からときどき近所の玩具屋にいってマルサンだかのソフビや「スター・ウォーズ」のフィギュアとかを漁ってそーな人だから。講師だと前に会った破裏拳竜さんもいてこの人はビジュアルだけならそこいらの男はかなわないから、まだ講師やってるんだったら来月あたり出してみては如何、ゴジラの着ぐるみは着せないで。

 「DASACONへの回答です」ってのは単純に新し目の人が多い「DASACON」系の人も紹介してあげましたよってな親切心だと考えるのは可能? それとも無理? それはどーでも良しとしつつ真夜中のCMであまりに入り込んでキモチ良さそーに唄っていた姿に絆(ほだ)されて、角松敏生さんが中山ミポリンだかに贈った「You’re My Only Shainin’ Star」をセルフカバーしているマキシングルを買って聞き、妄想の中で自分も角松になって体のたくらせて悦に入る、よーまおーりしゃーにすたー。ナルぶりはともかく角松さんのメロディラインと声室は昔から割と好きでバラード物は良く聞くんですが自分で唄ったことはあまりねー、カラオケにあんまり入ってなかったから、昔は。

 最近は(ちゅーか3年ほど)行ってないからどーなってるかは不明、聞かせらればお聞かせしたいんですが。聞きたくない? 聞きたくねえ! あと角松さんをケンメリのステレオで良く聞いていた時代と言えば実家にいたころで、同じケンメリの中で今は全然誰も知らない「PINK」ってユニットをよく聞いていたっけ。福岡ユタカさんのビジュアル的にはやや難ありながらも不思議な声が好きだったけど、最近大和証券か何かのCMで良く似た声によるスキャットっぽい歌が流れていて、なんだか耳に懐かしさが募るんです。もしも福岡さんだったら善き哉善き哉、ちゃんと仕事していたんだねー。って話もやっぱり本筋とは無関係で、元に戻って待望のセガ・エンタープライゼス事業戦略説明会をのぞく、をを背広姿だ編集長。

 アミューズメント施設運営の分社化は効率性って意味から理解可能だったけど、ソフト開発部隊をそれぞれ何研とかって単位ごとに分社化してしまう英断は、さてはてクリエーターの「セガ魂」をどこまでスポイルするんだろーかと考える。或いはすでに「セガ魂」なんてものはなく、寄らば大樹なんて考えを微塵ももたず働ける場所が面白いからいる、ってな人がセガにもいっぱいいて、分社化されたってヘーキさ裕さんがいれば、ってことになってるのかな。例えば任天堂の宮本茂さんがあれだけ稼いでも任天堂の社員であり続けるのはやっぱり莫大な開発費を使ってハードと表裏一体になってソフト作りが出来るからだろーと思うから、そーゆーことが難しくなる独立法人化ってのが果たしてクリエーターの意欲を減退させるだけじゃなく、次代に不可欠な新しい発想をリスクを省みず育てるってな部分を阻害する可能性もありやしないか、ってな疑問も浮かぶ。どーなるか、まずはお手並み拝見。した途端に終わってるかもしれないけど。

 大川功さん独壇場の演説会となった後半は、とにかくインターネットへの愛を語り倒しで家でしこしこコンピュータ相手にRPGとかってやってたってツマらん、これからは人間相手なネットアークゲームだってな世間のコアなゲームファンを敵に回しても幅広いフィールドでの勝利を目指す確信に満ちた発言に、昔からセガでしこしこゲームを作って来た人がさてどー思ったか。思っても詮無いし現実的に業績立ち直ってるから認めざるを得ないのかな。アーケードへの傾注も批判してて「どーなんだ」と聞いて返って来た「大丈夫です、セガのアーケードは世界一ィィィィィ」ってな内部の言葉に乗った挙げ句の沈没寸前を内心いたくご立腹のご様子で、その挙げ句に「滅茶苦茶になってしまってケツ吹いてやってる」と断言したあたりの自身の程も、やっぱり結果を出しているから如何とも反論し難いか。

 10年前にセガを買った理由が今のソフトの時代、ネットの時代をも見越したことだったと言うに及んで歴史は勝利したものの為にあるってな格言を今作ったりしたけれど、とにかくも来年度中に世界で1200万台近くにまで「ドリームキャスト」を売り上げる覚悟を自信とともに示したのにも驚いたけど、現実問題としてクリスマス商戦に足りないくらいの受注状況があるらしく、「プレイステーション2」が発表になってなおのこと、200ドルを切る手頃なハードへの注目がソフトラインアップの豊富さとともに集まっているのかと想像する。ここいらあたりのビジネスモデルを見た上で、きっと任天堂の「ドルフィン」も出て来ることになるんだろー、価格と性能の折り合いも付けた上で。明日は渋谷で「スペースチャンネル5」の壁面モニターを使った大イベントが開かれる予定、ナマうららちゃんとかいたら見たいけどモロ成人だったフクロだ、別に良いでしょ? 宇宙人なんだから。


【11月25日】 何でか解らないけど神戸に住んでいて「にっぽん 虫の眼紀行」(法蔵館、2000円)って本も書いてる毛丹青さんて人からときどきのぞいてるっぞってメールが届いて、のぞき返したらもの凄く手の込んだデザインのカッコ良いサイトだったんで仰天、中身の方も莫言さん崔健さんほか現代中国を代表するクリエーターの人たちへの言及もあったりして役にも立つし勉強にもなる、のかな、まだ詳しくは読んでないから不明だけど。1962年生まれってことは毛沢東主席が亡くなったあたりで10歳くらいってことになるのかな、当然の事ながら「文化大革命」とか「紅衛兵」とかってな世代じゃなく、かといって90年代に火が着いた改革・開放の熱気に乗るには歳を取りすぎている狭間の世代の社会や文化に対する感性ってなかなかに興味がありますね、放出されないで内部で熟したエネルギーが思索にどう反映されるか、とか。ちょっと読み継いでいこー。

 五反田のイマジカで「大幽霊、バーキッツヴィルに現る」を見る、ほら前に「大怪獣、東京に現る」って怪獣の出てこない怪獣映画があったでしょ、それの2番煎じみたいな映画で特撮とかに予算がかけられないもんだから、幽霊が登場して大騒ぎする場面を撮影しないで幽霊が人々を襲っているよーに見せかけてて、それがなかなかに効果を上げてるんだよね。テントをザワザワと揺する場面なんてきっとスタッフがニタニタしながらテントの外から突っついてるんだろーね。想像すると恐怖もスーッと引っ込むけど、でもやっぱお金の無い時には創意と工夫と人海戦術で乗り切るのが大学映研の王道ってもの、フィルムもお金がかかるから全編を回せず途中にビデオ撮りを挟んで節約するのも悪くはないけど、シロウトさんだから手振れが酷くって目眩に倒れる人が出るのもやっぱ学園祭の名物だもんね、よく頑張りました。

 って違うこれはれっきとした商業映画だった。何って勿論「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のことで、700万円だかしか使ってないのに200億円以上を稼ぎ出した空前にして多分絶後の映画として、この冬に日本でも鳴り物入りで公開されることになっていて、その試写がイマジカであったんで見に行ったって事ですわ。印象としては「大幽霊、バーキッツヴィルに現る」と大差はなく、うまくやったなって気持ちが事情が解っているだけに(ドキュメンタリーじゃないってこと)先に立ってしまうけど、それでも道に迷った3人が仲違いを始めたりする展開とか、1人が強がって主導権を取ろうと粋がって挙げ句に破滅していく心理描写とか、見ていて気持ちの揺れがこっちの気持ちにシンクロして、苛立ちと恐怖に結構ピリピリと身を震わせてくれる。

 字幕がついてそれに眼を集中させていたせいか、あるいはフィルムの場面はちゃんと手振れもなく撮れているせいか船酔いのよーな気分にはならず一安心、でも試写室で普通だったら前列から中列くらいから埋まっていくのが、この映画に限ってはやっぱり情報が行き渡っているせいか後ろから埋まっていくのが奇妙ってゆーか不思議な現象。ここにも公開で遅れた日本の情報面は抱負だけどその分「(理由はともあれ)バタバタと人が倒れる恐ろしい映画」ってな面での面白味に欠けてしまうのが残念かも、宣伝的にも。残したり置いて来たフィルムやビデオをまとめて保管しておいてくれるあたり、なかなかに親切な魔女だったりするけれど、そーいった点への突っ込みとか謎解きってのは日本のサイトでも始まっているのかな? 英語じゃータップリあるんだろーけど読めないから、怖くって(ウソ)。プレスが袋とじになっているのも凝ってて悪くはないけど、でもここに来ている人は皆さん事情を知ってるんだから今さらって気もしないでもない、劇場パンフとして売るのかな、だったら良いのか、開ける時には血染めのナイフなんかが似合いまーす。

 日本経済新聞の最終面に突発連載っぽく始まったポストモダンな批評を批判し物語性を尊び始めた作家、批評家が出てきたってな記事にちょっと惹かれる。久間十義さん野場合はポストモダンの時代をくぐり抜け、それで脚光を浴びつつも今は昔の「物語」路線に回帰しつつあるってな話としていて、また平野啓一郎さんの場合は始めからポストモダンなんてものは置き去りにして、純粋に文体への傾倒、そして物語を紡ぐってな立場を主張している。自分が未だに「ポストモダン」って言葉を理解できず、脱構築とかってな手法による批評を面白いと思えないって能力的な問題に根ざした怨念めいたものも多分にあって、こーした意見に賛成したい部分もあるんだけど、だからと言って小説を文体なり物語性なりで捉えるだけってのも進歩がなく、どーなっていくんだろーかとあれこれ悩む。ってなことを言っていたら脱構築な小谷真理さんの新刊「おこげのススメ カルト的男性論」(青土社、1900円)って本も出たりしてなお混乱、しかしこのタイトルは、なあ。

 有名なんだろーかTONOさんて漫画家の「ダスクストーリィ 黄昏物語」(集英社、741円)って単行本を買う。幽霊がなぜか見えてしまう少年を主人公にこちらでは両親の離婚に揺れる同級生が心に封じ込めた悩みを解決し、あちらでは死んでしまった後もプールに居残りやってくる少年少女に親切にしていた幽霊のちょっとした哀しみを救ってあげたりと、なかなかに心揺り動かされる物語を見せてくれる。涙あふれる、と言っても良いかな。幽霊を信じるかって言われれば信じない性質で、ってゆーか人間が絶対の存在としてその心に作り出してしまったのが幽霊だってな考えなんで、ふと振り返って自分の後ろに悩んでいる少女の幽霊がいるかどーかは知らないけれど、こーゆーことがあっても良いな、あったら良いなってな気持ちには存分にさせてくれた点で最近読んだ漫画の中でも最大級に嬉しい1冊と言えるかも。でもやっぱりトラはネコに見えるよなー。

 待望久しいシュワちゃんの新作映画は、どう考えたって2000年目が来ただけに過ぎず、新たな1000年紀が訪れるのは20001年からのよーな気がするんだけど、皆が騒いでいるから乗っちゃえば良いかってな気分に最近なって、2000年1月1日をもってスタートすると言ってしまおう新しい「ミレニアム」を記念するかのよーな「エンド・オブ・デイズ」(監督ピーター・ハイアムズ)って作品。今の「ミレニアム」最後の瞬間に甦ったサタンが定められた女性を交合(セックスだね)すると人類は滅びて悪魔の時代がやってくるって設定で、その対象に選ばれた女性を何故かシュワちゃんが護ることになり、並の天使だったら裸足で逃げ出しそーな大魔王サタンを相手に、単なるアル中の筋肉野郎が戦いを挑み鉄砲撃ちまくり拳をたたきつけまくる。

 サタンなんだから、大魔王なんだから記憶を読むくらいお手のものだろーし、死体を甦らせるのだってお茶の子なんだから、シュワちゃんなんてとっととブチ殺して脳味噌から情報吸い上げ、女の居場所を聞き出せば良いのにとか思ったけど、そこはそれ、サタンの甘言にも負けず信念を貫き通すナイスガイを演じさせなきゃストーリーが盛り上がらないから仕方がない。だいたいがシュワちゃんにかまけているくらいなら、さっさと女性を連れだし監禁してヤっちゃえば良かったのにそれもしないでサタンは一体何やってたんだよ全くさあ、っな疑問もやっぱり盛り上がりを付けるためだから無視だ無視。ヘリコプターでの追跡に銃撃戦に肉弾戦とアクション場面の見所はたっぷり、だいいちシュワちゃんが二枚目に見えるってのが最大の特徴かも、なんか顔が細面で無精髭なんか生やしててカッコ良いんだよ、歯列とか矯正したのかな、ゴリラ顔じゃないんだよ、もしかしてCGI? んな訳ないか。新春公開。


【11月24日】 和道さんは「ときめきメモリアル2」で「かずみち!」「かずみちくーん」「か・ず・み・ち・」などと呼んでもらっているんだろーかと、「SPA!」最新号「デジタルハーレム」の「ときめも2」特集を読みながら思ったものの、何故か自宅にすでにサンプルのある「ときめも2」をハマるのが怖くって未だに「PS」へとたたき込めない自分が言えた義理じゃねーやと反省、月末はどーやら暇も出来そーだし、2年の年月を注ぎ込んだとかゆー「エモーショナル・ヴォイス・システム」の成果を、我が名前をキャラクターに呼ばせるおとで存分に堪能してみよー、しっかし過去にあだ名で呼ばれたことの無い自分をどんなあだ名で呼んでくれるんだろーか? 「かずみちくん」のあだ名は何だった?

 それにしても今回は流石にメジャーなタイトルとして仕掛け先行の部分がない訳じゃないけど、本来はほとんど口コミのレベルでじわじわと広まりキャラクターにプレーヤーが血肉を注ぎ込むことで大きく化けた「ときメモ」とは対局に行くよーに、思いっきりあざとくもあからさまにわざとらしい仕掛けが爆裂している「中森文化新聞」における「長崎萌」大プッシュは、3週だか4週だかの連続掲載を経て先週いよいよ明らかになった写真集の発売に続き、今週はこともあろーにトップの篠山紀信さんによる「ニュースな女たち」への登場となってもうヘゲヘゲ。どこぞの弱小出版社が写真集をビニールパックで出すならまだしも、新潮社が25日なんてタイミングもばっちりの時期に出すことを事情通の中森さんが知らず「大捜索」なんてやったんだったら、これはもー世界から神の存在すら予感させる奇跡を紹介しまくる番組に応募したって遜色ないくらいの事件ってことになる。そーなのか? どーなんだ!

 あるいは単純に仕掛けなんだと憶測しても、連動している媒体がほとんど皆無で「SPA!」誌上だけでの盛り上がりに過ぎない点がどーにも見ていて寒々しい。マッチポンプは乗る人たちがいてメタでも何でも成立するんだろーけれど、引っ張り上げよーとしている対象が別に復活してもらおーとも全然嬉しくない人だったりする点でまず乗れない。これが「少女隊」だったから「十兵衛ちゃん」には乗れたんだよ。最後の正当派アイドル? 記憶にぜんぜんないのは単純にこっちがアイドル離れしていたからなんだけど、それにしてもな印象のなさはつまりその程度の人だったんじゃないかってな気がして、だから復活だと騒いでもどこまで行くのかまず疑問が頭をよぎる。プロデューサーの威光を浴びせ舞台裏までをさらけ出した存在を「アイドル」として受け入れるくらいの素地は今の音楽マーケットにはあるけれど、そこに「探索」「発見」「復活」といった程度のドラマがどこまで成功するのか、興味を持って眺めていこー、ヤジウマ的興味だけどね。

 秋葉原に新しくオープンする「ゲーマーズ本店」の一足はやいお披露目があったんでのぞく。山とメディアワークスの社員が来ていたのは最近の密着ぶりからいたしかたのないところか、でも「電撃アニマガ」は見ないなー、校了間際で修羅場ってるんだろーなー。8階立ての7階でパーティーをやっているとかで、皆がエレベーターの前に行列を作っているのを横目に階段を使っ7階まで昇ったらそのまま天国へと昇っていきそーになったのは歳だから、でしょー或いは地獄へと落ちそーになったとも言いますが。パーティ会場では木谷社長の人が挨拶の行列に1人で対応して近寄れなかったんで混雑の中を散策、宮川武って名札の人を見かけたのはもしかして原型師の宮川さんだったんだろーか。あと漫画家の八房龍之助さん、らしき名札の名字だけ「八房」とのぞいてた人が電撃な人たちと歩いてて、黒いマント姿がいかにもでちょっと目頭を押さえる、人間そこまでやんないと。

 実はそこまでやった写真が遠からず「SPA!」に掲載される可能性があったりするけど、そんな我が身を可能にした「でじこ」グッズの数が開店前日って割にはそれほどスペースとってなくって拍子抜け。玩具にしてもコミックにしても攻略本にしてもゲームにしても、玩具なら「ボークス」コミックなら「K−BOOKS」に「とらの穴」、攻略本なら「ラオックスゲーム館」で十分揃うしゲームも同様ほか「メッセサンオー」「ソフマップ」とライバル目白押しの秋葉原地区に、デパートを出す意味が実はどれだけあるんだろーかと考えて、場所的にもほとんど秋葉原のはずれに近くそこまで人を引き寄せるだけの要素にちょい乏しいんじゃないかって結論に至る。ここで例えば圧倒的な「でじこ」グッズを揃えるなり、店員を全員「でじこ」にするなり話し言葉を「にょ」で統一するなりして、「でじこパーク」として存在感を示すなりすれば、目当ての人が数はどーでも深く集まるんだろーけれど。コスプレ喫茶にデュエル施設の設置で多少はそれでも差別化できるかな。まずはお手並み拝見、戦い終わって立っているのはさあどこだ?


【11月23日】 休みでも午前中にちゃんを目を覚ます才能が勤め人として組織の枠組みとゆープレッシャーを受けつつも安定した年収が約束されるのかどーかは今後の課題として、もそもそと起き出して浜松町で開かれている「ドールショウ3」へと向かう。タカラの見えない関節がぐにょぐにょ曲がってハッピーな「ニューボディ21」が何時までも下着姿なのは申し訳ないのと「ゲーム批評」の最新玩具をおっさんが触って吃驚な記事用に何か仕込みが出来ないかってな下心があって行ったんだけど、会場となった都立産業貿易センタービルに到着して会場に入って見回すと、フツーの親子連れから人形好きってな幅広い年齢の女性からコミケワンフェスにもたくさんいる兄ちゃん系までが混然となった不思議な客層なのが興味深い。

 女児玩具としての「リカちゃん」「バービー」に代表される着せ替え人形から派生したファンと、キャラクターへの関心がコスプレ、フィギュア作り、ドール作りへと発展していったファンと、人形でも何でも女の子のパンツが見たいファン(自分だ)とがそれぞれに形成する円周が触れあい重なった部分が集まっているイベント、って言ったら合ってるかな。全体に落ちついてたし見ていて微笑ましいし、手芸工芸としても卓越してる。奇異な目で十把一絡げに「オタク系イベント」と見る人も、行って見ればちょっとは考え変えるかも。とは言っても居並ぶ「レイアース」の「海ちゃん21人衆」は強力だったけど。頭ってあれはドールで売って奴をまんますげかえただけなのかなー、如何にも外国人っぽい「NB21」のヘッドも「海ちゃん」に取り替えてみたくなったなー、秋葉あたりの安売り店に3人セットで前に3000円とかででいたのを買っておけばよかったなー。いや壮観でした。

 チラシとかパンフレットとかの表紙を描いていた青木光恵さんのブースで小形さんを見つつ会場をフラフラ。全体にフリフリヒラヒラ系のゴージャスなドレスが多く、腕と技の競い合いって点ではどこもなかなかに見応えがあったけど、膝関節がなく胸がゴージャスな「NB21」に膝下で広がるフレアなスカートを履かせても意味がないし、だいいち顔が合わないんで残念にもちょっとパス、あと皮っぽい素材のは高くて財布にシビアだったんで、適当に回っているうちに見つけた「ドール・ドール」ってところで肩のところがない胸でひっかけるっぽいワンピースに上着がセットの服を2500円で買う。別にニットのとっくりセーターとスカートの上下セットもあって胸の突き出し具合を妄想して気が惹かれたけれど諦める。後でしまったと思う。帰りがけに秋葉原の「ボークス」で黒いローヒールのパンプスを買って履かせて服を着せて見ると、金髪でピンクの口紅なお姉さんに違和感なく収まっていい感じ。上からのぞくと胸の谷間の隙間からお腹まで見通せるゴージャスぶりにお兄さん興奮してしまいました、が、やっぱりこーゆーのってやっぱ肩紐なしのブラを着せるべきなのかなー。

 「書泉ブックタワー」でここでも見られるデジタル漫画を本にまとめた鬼頭莫宏さんの「辰奈1905 トミコローツ戦記」(ビブロス、1239円)を追加購入、サイン会の番号は116番だからもう結構な人数分がハケているってことが分かる。200人も集まるとサイン会って結構盛況に見えるから、今の時点でこの数なら当日分も合わせて決して1人に5分もかけて間を取っても15分で行列が途絶えるなんて事はないでしょー。ほかに久方ぶりに出た「KaNa 2」(爲我井徹原作、相良直哉漫画、ワニブックス、950円)を購入、ををやっぱ女は怒ると恐ろしい、って訳でもないけど哀ちゃんが獣人、じゃない鬼と化して戦い仲間を殺さざるを得なかった場面の内面の哀しみを知りつつもなお、迫力のビジュアルに一歩引いてしまった祐二の慚愧と恐怖に撹乱された気持ちを思うと胸が痛む。でもホッペ引っ張ってもらわれやがったんで同情はしない。あっ違うこれはオマケ漫画だった。今回はすぱげってぃを食べる場面がなかったのが残念、すぱげってぃを頬張ってる哀ちゃんのフィギュアって出ないんでしょーか。鬼顔で? それはちょっとウーン。

 初めての作家さんを買うのは気分と偶然の目出たいドッキングがあって初めて成り立つ物で、表紙には一つ目でシルルハットの奇妙な怪物、裏表紙には何とも楚々として若々しく瑞々しい女性の絵が、淡いタッチの色と優しいトーンの線で描かれていたのに妙に惹かれて堀池さだひろさんって人の「ジ・ガレガレ」(アスペクト、820円)を購入、これが大正解で温暖化したのか夏ばかりが続く22世紀の未来のどこか田舎にある街と舞台に、今はもう見える人も少なくなってしまった奇妙な生き物「ジ・ガレガレ」とその仲間たちが繰り広げる饗宴を通して、人間の優しさや流れる時間の残酷さ、命の尊さなんかを見せてくれる。拙い漫画読みとしての引き出しからは鶴田謙二さんと須藤真さんとの共通点を思い浮かべて、だから好きになれたのかと考えてみた。範子せんせーのワンピースからのぞく胸の単純な線なのに感じるヤワラカサにクラクラ来たってのもありますが。将来が期待出来る新人、ちゅーよりもっと活躍させなきゃいけない人、解ったらアスキーはガンガンと売出しなさい例え会社がツブれても。


【11月22日】 やっぱネットって凄いなぁ、これほどまでなページが出来ていることを今日まで知らずにいたのは、「ヴァンデミエールの翼」から「なるたる」へと連なりずっとファンで「ワンフェス」では「ほし丸」フィギュアまで買った人間としては不徳のいたすところではあるけれど、かくもメジャー(だと僕的には信じている)な鬼頭莫宏さんの描いたデジタルコミックが豪華にも連載されてタダで読めたなんて、ネットの奥深さにはほとほと驚く。どーして誰か早く教えてくれなかったの? ってな気分になってしまいちょっと悔しいけど、ともかくもその成果がよーやくにして「辰奈1905 トミコローツ戦記」(ビブロス、1239円)として本にまとまり刊行されました(パチパチ)。おまけにサイン会まであるじゃん、本きょう買っちゃったよしょーがねーなーまた買うか、あっとこの日は水戸で村上隆さんのイベントもあるんだ村上さんと鬼頭さんとどっちが大事ってそんなもん決まってるじゃん、って訳で頑張って整理券ゲットして来週は書泉ブックタワーにGO! だな。

 ををディレクターを務めている井口尊仁さんはCD−ROM華やかかりし時代(なんてものがあったのか)にCD−ROMを批評したりプロデュースしたりして結構活躍していた人として記憶に残っているけれど、その後のメディアの停滞がやっぱり響いていたのかもともとはCD−ROMコミックとして出す予定だったものがネットでの連載になり、結果としてアナログな本とゆー形にしてまとまったとか。とは言っても今は「プレイステーション」上で動くコミックとかも出ている訳だし来年には「プレイステーション2」だって出る訳だし、高画質であの繊細な絵が動かないまでも音声とかサウンドとかをバックにモニターに現れるところを是非とも見てみたい気がするなー、どっかやりませんか? 博報堂とか電通とかコンテンツ集めにやっきとなっている代理店とかどーですか、これはなかなかなタイトルですよ、でもイジくり回され挙げ句にマイルド化カフェオレ化されたら嫌だしなー、そっとしておきたい気持ち半分、メジャーに出したい気持ち半分、娘を持つ親の気持ちって、こんなん?(違う!)

 時代からして今世紀初頭の舞台は日本っぽいけどパラレルワールドなのか分裂し群雄が割拠した日本で、トミコローツってゆー2足歩行なんだけどロボットっぽくない不思議なマシーンを操縦して戦う少年やら少女を主役に進んでいく物語、らしーけど読んでないから感想面はちょっと没、綺麗でシンプルになったあびゅうきょ的とも福神町を手がけている藤原カムイ的アプローチとも言えて言えないこともなさそーだけど、キャラクターの線はまさしく「なるたる」な鬼頭さんで、そこにCGっぽいマシンの絵が重なり醸し出す雰囲気がちょっと不思議、あと漫画だけど左から右へと読む形式なのが「天からトルテ」っぽい、ってのはちょっと違うか、違和感がない訳じゃないけど慣れればどーってゆーこともなく読めるのが人間の柔軟性を著しているよーで面白い。「戦う少女」って文脈で次号の「電アニ」メインに加えて紹介しても良さそー、ってか趣味のページなんで紹介しますとも、他の人は例えば戦国時代モビルスーツな高瀬彼方さんの「天魔の羅刹兵 一の巻」と並べるってのも手ですよー、どーですか、盛り上げませんか皆さん、さあ。

 阿部和重さんの「インディビジュアル・プロジェクション」の表紙でその存在を知った常盤響さんの写真集が新潮社から絶賛なのか発売中で早速買う。その表紙に使われた写真も治められた「Sloppy Girls」(1900円)は、ソフトなカバーにポップな演出の女の子ばかりがゾロゾロと並んで傍目にはB級アイドル写真集っぽく見えるけど、そーしたモデルを用いて写し出されているあっけらかんとあからさまにあざとい(3Aだな)写真が逆に写真家の立ち位置を浮かび上がらせ、単純に女体を楽しもうとする読み手の意図を混乱させる。興奮させまっせエロいでっしゃろどーでっか、ってなポーズの付け方煽り方をしていながらも淫靡さよりは明るさが先に立つのはモデル選びのセンスかファッション小道具のセンスが何なんだろーか。イヤラシいのにベトつかないのはどこに秘訣があるんだろーか。研究の余地大いにありそーな予感、けどやっぱりむっちりな女体へと目が向かってしまうところが男の子の悲しさよ。やっぱ一筋縄ではいかない人です常盤響単なる野球好きではあーりません。

 謎めいた仕事のために新宿でブツブツ。「えここ」を押す声に「でじこ」は敗れたものの「ピーガル」とともに被り物3羽烏として押し込んだんで、そのうち出るどっかの雑誌の記事を見て下さいな「でじこ」ってる僕も見られます、ほとんど病気なおっさんの媚態が。流れてご飯なんかを食べつつ歓談、そーですかコジャレ大帝は返上しますかってな話に「だったら何と呼ぼうか」と考えたけど釣り師とかってな意味不明な呼び名はお気に召さなかったよーなのであれこれと考えてみますから頑張って釣って下さいな。帰途に尽きつつ鈴木その子ちゃんの本とかをペラペラ、ガングロを白くするのってホントは単純に靴墨を落としてるんじゃないんですか浅草キッド様? 何か黒がドーランっぽいんだよなー、でもリアルなガングロさんに知り合いがいないんでホンモノを見極める目がないだけなのかも、誰か触らせて下さいなそのガングロな肌に、えこれガングロじゃないジグロなの御免なさいゾマホンさん。さても明日は「ドールショウ」、我がニューボディ用の服とか買いにウロ付く予定なんでいい年をした大人がなんて言わないで下さい。すげ替えようの首とかは売ってるのかなあ。


【11月21日】 「有線放送大賞」に出ていた「モーニング娘。」が「LOVEマシーン」を唄っているのを録画してスローで見るとミエルミエルで超ラッキー、年末にかけて色々な歌番組に出て来るだろーから頑張って録画してチェックしよー。てなニヤけた頭で寝たのが悪かったらしく夜中に見た夢が天罰てきめんなホラーで、明かりの消えたエレベーターホールに立ち降りてくるエレベーターを待っていた筈がいきなり便所になって大用の扉が並び中から「ニャー」と猫の鳴き声がして逃げだしふりむくといきなり1つが「バン」と明き、ってところで目が覚めて心臓がドキドキ、背骨がギシギシ、汗ジトジトの寝起きを迎える。原因は不明、かつ意味するところも不明だけど、たとえば実際に古いくみ取り式のトイレで中から猫のか細い鳴き声が聞こえて来たらどーします? 開けて助けるそれとも逃げる? 聴かなかった事にするってのが猫アンソロジーを最近まとめて読んだ感想、だけどそんな感想を抱いた罪悪感が実は見せた夢だとしたら、読んだ皆さんの今晩はきっと同じ恐怖が届くはず、期待して、床に就こう。

 それはさておきこんなイベントがあったんで潜り込む、「リーディングドラマ」ってゆーのはもう1年と半年くらい前に、吉本興業が運営してた今は無き渋谷の劇場で横山智佐さんを主演に開かれた「トリスアギオン」で用いられた朗読と映像のコラボレーションみたいな演目で、実ん所は今回のこの「ゼルカーヴァ(zelkova)」ってイベントも「トリスアギオン」と仕切りがいっしょでその縁もあって連絡が来たんで行けました、ありがとうD、Hなんてけっ飛ばせ、勝手に沈んでいるけれど、おーじゃまじゃまじゃま。但し今回はバックが解体間近と噂はされても越後屋以来の伝統は未だ保持する大財閥「三井」をバックに開かれただけあって、会場も豪華ならセットも豪華で音楽も生演奏とこれまた豪華、これで出演も大御所だったら長蛇の列が出来るところを、幸いにして仲間由紀恵さんは美人の誉れ高いとは行っても声優さんほど熱狂的なファンがいる訳でもなくアイドルほど知名度がある訳でもなく、当日でも何とか潜り込むことに成功する。

 3脚の椅子を中央に置き向かって右側に楽器、左側にもう1脚の椅子を置いてバックにスクリーンを配置したセットから、登場するはマント姿のおっさんが1人、左手側の椅子へと座り重々しくもスタートした朗読は、前の2脚に少年と少女が座り、町の教会に生えている1本のけやきを巡って少年と少女の会話が繰り広げられ、少年の祖父が樹木の医者として知られていたこそ、16年前にそのけやきが火事になったこと、それを少年そ祖父が治そうと努力したことなどが明かされる。やがて登場した仲間さん演じる教育実習生。実は彼女には秘密があって、少女は彼女が16年前の火事でけやきの洞に入り込んで生き残った少女ではないかと疑い、彼女が再びけやきを燃やそうとしているのではと少年に讒言する。少年はけれども信じず、祖父の後をついで樹木の医者になろうとしてけやきを訪れ教育実習の先生がうずくまっている姿を見る。

 環境と開発の相反する問題の狭間に立つけやきを巡る過去と現在の物語の結末、それはこの演目が再びお披露目されるだろー日を願ってここでは振れずにおくけれど、どちらにも明確な軍配を上げずにただ人間という存在が持つ意志を喚起する方向へと持っていったのは、スポンサーである環境に配慮しつつも環境とておろそかには出来ない大三井への配慮があったかどーかは別にして、宮崎駿監督の「もののけ姫」から最近では黒沢清監督の「カリスマ」へと続く似たテーマの映画でもともに明言されなかったのと同様に、偽善にも合理的にもならずより正解に近似の道を示す上で仕方がなかったことなんだろー。「ぼくはここにいてもいんだ」とは言わないまでも自我を確認した仲間さんに向かって「おめでとう」って拍手を贈りつつ、釈然としない気持ちと「これで良いんだ」という納得の複雑に入り交じった感情を抱いて席を立つ。朗読したおっさんって誰? 時に静かで時に激しく鳴り響いたメロディアスな音楽は松谷卓さんってソニー系で話題の人らしい、CD。今度聴いてみっか。

 そそくさと退散して「ルミネ1」の方の青山ブックセンターで本探し、吉野朔実さんの絵本っぽい「プレゼントをあげる」(大和書房、1300円)は突然届けられた住所間違いの宅配便から出てきたドライフラワーの中に詰め込まれた使い古しの手袋から端を発した奇妙な恋物語が淡く切なく暖かい。もらったプレゼントのほとんど皆無な人間には理解の及ぶ範囲がちょっとせまかったけど、それが苦になる物だからといってだったらもらわなかった方が良かったかとゆーとそーでもない、フクザツな恋の諸相が面白い。ひょんな出会いが生む新しい恋ってシチュエーションは夢物語なファンタジー、ってーか自分にとってはほとんど遠未来のSFに等しいものだけど、それでもやっぱり夢みます、届いた間違い宅配便を取りに美女が現れ我が家の扉を叩き一緒にお茶を飲む日を、メルヘンだなあ。

 サイン会の整理券をもらえるってことで、今朝の「朝日新聞」にもインタビューが出ていた「ピチカート・ファイヴ」の野宮真貴さんが書いた「おしゃれ手帖 Cahie de la Mode」(PARCO出版、16219円)も買う。整理券の番号が9番ってのは渋谷じゃ人気でも新宿じゃ教祖じゃないってことなの「ピチカート」? ちなみにサイン会は15日の夕方ですねファンは要チェキ。本では昔ソロでデビューしその名も「野宮”ロマン”真貴」なんて芸名で勝つ度していたって話に爆笑、その後は「ポータブル・ロック」を経て「ピチカート」へと至るんだけど、「ポータブル」時代のスチールが今からはとても想像できないくらいにグラマラスで、ついでに顔もふっくらしていてデビュー直後の「EPO」より元気そうな出で立ちにはちょっと吃驚、それこそホンモノの「バービー」と遜色の無い歳なのにこのスリムさ派手さは開き直りかそれとも達観かと、思い我が身に重ねて人間落ちついたらアカンと叱咤する。金ラメシャツに紫ヘアで会社行くか。


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