縮刷版98年9月下旬号


【9月30日】 そうか存命だったらもうすぐ41歳だったのかとゆー事実にちょっと愕然としながら、「COMIC GON!」第3号「かがみ・あきら」特集関連でちょっと追加。何でも結構なビデオコレクターだったかがみさんの遺品とも言えるビデオを、ご両親の厚意でファンの人に何とプレゼントしてしまうんだとか。「但しベータ」ってのが時代を象徴していて良いですが、さて未だにベータのビデオってお店で買えるんでしょーか。秋葉原あたりの博物館に地下深くまで降りて取ってこなくちゃいけないんだったら、応募はちょっと考えてしまいますわ。

 あと、わが家のビデオの保管状態を見るにつけ、誇りどころかゴミだって下着だって平気でのっけてしまう堕落ぶりがもしもかがみさんと同じだったら、戴くビデオにもちょっとな躊躇が生まれてしまうけど、想像するに整理整頓はマメで仕事も選ばない真面目な人(それが命を削った、のか)らしーので、きっとビデオも整理されラベルには手書きの文字なんかが書かれたファンにはたまらない逸品になっているのだろー。何が入っているのかは不明、あるいは原田知世様さま様だったら嬉しいけれどさてどーだろー。ハンディがあったのなら下北沢な人たちが写っていたりするのかな。

 物理学者はジターリングがお好きなのはあの形状あの動きが理論家ダマシイを擽るからなのかは謎として、お仕事なので「トレインスポッティング」の原作者として一躍名を上げたアーヴィン・ウォルシュの「アシッドハウス」(青山出版社)を読む。ドラッグに暴力にフーリガンな男たちが織りなすドラマは、置き忘れてきた少年時代よかくあるべきだぜってな願望が入り入りで、どこかファンタジーの雰囲気漂う池田衣良さんの「池袋ウェストサイドパーク」(文藝春秋)とは違う、リアルなヨーロッパの都会の若者たちのナマナマしい生態が描かれているよーに映る。

 がしかし、何故か帯には「奇怪で物騒なファンタジー」と書かれていたりするのは、ドラッグに娼婦と日本では非合法とされているガジェットが盛り込まれ、日本人の危険な憧れを喚起するからなのだろーか。タイポグラフィックな作品あり上下の段組みで互いに関連するシーンが描かれる作品ありの実験的な作品もちらほら。一方でド真ん中なカーヴァーを猥雑にしたよーなうらさびしい不条理っぽい作品もあって、その作風の幅広さにただ圧倒される。短いくせに噛み応えたっぷりなアタリメのよーな短編集。水じゃなくってビールが欲しくなって着たぞ。

 そーかファション誌とかオンラインマガジンには出ても業界紙の新聞記者には会いたくないのかパイオニアLDCで「lain」をプロデュースした上田さんってなマイナーの苦悩を吐露する話は別にして、ついでに仕事の石原慎太郎さんが再び吼えた「宣戦布告『NO』と言える日本経済」(光文社)を読む。前作がアメリカの尊大さをたしなめしっかり言うべきことは言って行こうってな謙虚さにあふれた本だったのに比べると、今度の本は徹頭徹尾な反米親アジアの主張に溢れていて、ナショナリストは読んで心地よくかつ憤りに血管ブチ切れそーになるだろー。

 山一の倒産もインドネシアの通貨危機もジョージ・ソロスのヘッジファンドの脅威も国産ジェット機構想の崩壊もすべてがアメリカ・ユダヤ資本による陰謀と説くその構えっぷりは素晴らしい。主張に賛成できるか否かは別にして、けど愛国心を擽って義侠心を煽るその主張はきっと大勢の人を惹きつけるんだろーなー。じゃあ日本に物を作る力がまだ残っているかとゆーと、技術移転も進み欧米企業の進出もあってアジア各国が意気を上げ、その反対に日本は高い人件費に固定費でキュウキュウとして競争力は弱まっている。

 唯一残されたのがいわゆる「おたく」の産業で、アニメに漫画にゲームが米国欧州を問わず世界を席巻する様を、石原慎太郎が見て「なかなかやるなあ」なんて言うわけもなく、かくして危機感に煽られた日本人は鎖国じゃない大東亜共栄圏の構想に再び傾注し、いつか来た道を進み始めることになるんだろー。違うのは中国の急激な台頭とアメリカに歩調を合わせた外交政策。ソ連無き後の世界を2分する裏話でも進めているのか勘ぐれるほどの密着振りに、これはウカウカしていると日本と日本人、アジアの盟主を奪われNIESにも入れずただの3等国として死滅の道を歩むことになるー。とにかK読んでさて何をやるのか考えよー。トンデモにも3分の魂五分の理7分袖。

 こないだの「SF者オフ」の写真とかが入ったので興味のある人はスクロッて見てね。1枚は「若い根っこの会」の修改よろしく唄の本を読みながら車座になってダベる青年団を地でいく昼間のオフの模様。あの人この人その人が映っているけれど面倒なので関係者は自分で自分を確かめて下さい。僕はもちろん写ってませんだって撮ってたんだから。もう1枚は当日の入り口にかけられた謎の看板。その名も「SF者オフ」と書かれた文字に、書いた公民館(じゃないって別に)の人がいったい何をやる集団なのかと訝ったのは想像に難くない。

 「SF者オフ」の写真にたどり着く前に入っているのは28日に開かれたアニメ版「リカちゃん」の完成披露発表会での記念撮影。中央の大きな顔をした人があの有名な「香山リカ」さんですが別にサイコじゃないよーです。トモちゃんも良いけど若いローラースケートの女の子たちも汗の香りがイザムンムン。頬をすりすりしたくなったけど(どこに? 胸に!)、衆人環視では不可能なので写真を撮るだけに止める。センターの赤ランニングの娘、TMレボの人に似てる? よね??


【9月29日】 例の裁判は11月30日がブチかましたっぷりで格好良いかもって話は別にして、「lain」最終話「Layer.13 EGO」をナマで見る。1回見ただけではなかなかに理解が難しい作品であることは毎度のことだけど、ざっと嘗めてどーやらあんまりハッピーなエンディングではないよーに思い、ウェットな気持ちを抱いて布団にくるまれてぐーぐーと寝入る。最後の拠り所だったありすにも拒絶されたレインが、すべてを再構成して自分が存在しなかった世界、英利政美は自殺なんかせず天才を認めない会社に対して「やめてやるー」とブツブツ言いながら毎日会社へと通勤し(誰かさんみたい)、四方田千沙はロケットダイブなんかせずジト目を伏し目がちにして学校へと通い、メン・イン・ブラックな2人組は電力会社でリフトを操作して電柱に上って電線を修理し、岩倉家は父母娘の3人家族で玲音なんか始めからいなかった別のリアルワールドを作る。

 それで良いの? 納得できても納得しないレインの上に神様よろしく再登場する後藤隊長、じゃない父親に向かい合い、世界のイガイガから自分を守るために着ていた熊ちゃんパジャマのフードだけを取り払い、感情を露に涙を流すレインの姿に、超越者なんかになりたくない、1個の自我で在り続けたい、誰かに気にし続けられたい人の、人であるが所以の弱さと強さを合わせ見る。一種超越者としてワイヤードの空間から、「わたしはここにいるの」とささやくレインはしかし、相手があって初めて認識される客体の存在でしかない。歩道橋の上から「いつだって会えるよ」と微笑むレインは不幸せそーには見えないけれど、でもやっぱりどこかもの悲しい。

 世界の中心で声高にアイを叫んで己の居場所をこじ開けよーとした生き方が、自己の不在感に悩む大勢の現代人を惹きつけて300億円市場を産み出した過去と照らして、己を滅してなおささやかな存在感を漂わせるその奥ゆかしさ、いじましさが果たして大勢の共感を得られるんだろーかと悩みつつ、11月とかゆーゲーム版lainの発売を待つ間、第1話から最終話までをざっくりと見直しながら、この3カ月に亘って確実に存在したレインワールドをときほぐしていこーと思う。親父の存在にはやっぱり注目だな。

 「コミックゴン」の第3号は「かがみ・あきら」の特集が嬉しいけれど、まるで大泉実成さんは「消えたマンガ家」な、きっかけがあった取材を開始した誰それに会った彼それを見つけた証言が取れた行った見た聞いた解ったな文章構成のパターンはちょっとねえ、泊倫人さんあるいは伊藤(バカ)くんさん。当ページでもかねてからずーっと主張し続けていたよーに、内田善美さんと並んで取りあげてもらい、再評価のきっかけになればと思っていた漫画家だから、内田さんを最後に漫画家探しから足を洗った(のか?)大泉さんに代わって、誰でもいーから(俺でもよかったのか)どこでも構わないから、取りあげてもらったのは何であれ善哉と思うことにしよー。しかしよりによって、なあ。

 まず、どーしてかがみあきらさんを取りあげようと思ったのか、その根拠があんまり好きじゃない。最初「かがみあきら」だった表記が途中で「かがみあきらさん」に代わるよーに、筆者と対象との間には大泉さんが内田さんに抱いていた強烈なファン心理がない。まあファン心理があり過ぎたために大泉さんは、ファン心理とは別の好奇心を満足させられる「墓堀人」に徹しきれなかった部分もあったんだろーと思うけどね。

 だからといって働き過ぎによる過労死をクリエーターにありがちな表現に殉ずる「戦死」とイメージし、そのイメージが真実なのか否かを探ろーとしたとゆー今回の「かがみ探し」の動機は、本文後半で示される「漫画がいまのような形になったことの起源とその成り立ちの検証」という筆者のライフワークの中で、命を削ってまで仕事をする漫画家が少なくなったという1つの主観的な史観を成立させるための、単なる材料集めに見えてしまう。それはジャーナリストとしては支持できても、初期からの(「カリオストロの城大事典」の頃からだぜ)ファンとしてはどうにもしっくり来ない。しっくりなんかしたくない。

 だが、と客観的な立場に身を置けば、悪い仕事では決してない。かがみさんの没後、遺稿を集めた「かがみあきらコレクション」(実家のどこかにあったなー)を自費出版した青柳誠さんが「いま、かがみ君を取りあげるのって、時期尚早じゃないですか? もう少し彼の実績が振り返られて、彼がどういう位置づけの作家であるかはっきりしてからの方がいいんじゃないですか?」と言ったのは多分、あまりにも顧みられなかったこの10余年への反発心もあってのことだろー。ワゴンセールで100円均一の棚に「鏡の国のリトル」「サマースキャンダル」が並べられている有り様を現実に目にしているだけに、何故なんだどーしてなんだと憤る思いはファンなら誰しも共通に持っているだろー。

 たとえあきゃらさん(ご無沙汰でーす、取りあげられてますよー)がホームページを作ってかがみさんの業績を広めよーとしても、そして僕が思い入れもベトベトな「鏡の国のリトル」&「サマースキャンダル」の感想文を書いてページにアップしても、しょせんはマイナーなワイヤードの世界、リアルワールドで確固たる影響力を持つ紙媒体の影響力にはまだまだ及ばない。そんな世間に潜む気持ちをとにかく表舞台へ(表なのかゴンって?)へと引っ張り出そうとしてくれたことに、まずは感謝の言葉を贈ろう。これで本が値上がりすれば、手持ちの重複分をせどって金儲けも出来るか、なんて事は絶対にしないけれど、バカ高くなってしまうと読んでもらい人の手に届かなくなる可能性もあるので、早めに救出してSF者オフででも放出しよー。しかしやっぱりよりによって、なあ。


【9月28日】 最近本を出しまくっている感のある東城和実さんのページが出来ていたのでリンクをさせて戴きながらひたすら「ナムコクラシック2」。ハーフ50フルで100は切って接待ゴルフじゃーなかなかの成績を取っても、キャディさんには「さいていですね」と言われるのが何か悔しい。まだ現役だった時代(っても1年ちょっとしかやってなかったけど)はそれこそ「パー4」と言えば4打でグリーンの載せれば良いんだと思っていた(信じてたんじゃないよ、それがやっとだったんだよ)から、ダボどころかトリプルだって役満だよね、ってな意識があってなのにキャディさんに「トリプルかぁ」なんて嘆かれたり慰められたりすると、唇噛んでコントローラーを握りつぶしたくなる。よーやくフェードとドローの打ち方を覚えたので、フェアウェイキープは何とかなりそーであとは飛距離のタイミングと寄せの加減を覚えれば、どーにかシングルまでは上達できそー。今晩もまた明け方まで頑張ろうー。

 と思っても仕事なので寝て起きて会社へ。宅配分のスポーツ新聞は締め切りの関係で結果くらいしか入っておらず、仕方がないので駅でスポニチ買って試合の概要を読もうと思ってもやっぱりほとんど載っておらず、あのプレイはいったい依怙贔屓だったのか、それとも正当なものだったのかが解らずちょっと苛つく。PKでもアドバンテージってあるのか否か、それが問題だ。電車では途中まで読み差しの浅暮三文作「ダブ(エ)ストン街道」(講談社、1700円)をやっぱり途中まで読み差し。裸のクマが(当たり前だ)恥ずかしいからと蝶ネクタイをして現れるシーンなんかイメージ的に好きなんだけど、めくるめく奇矯な人々奇妙な物々が登場するの展開に、夕べのゲームが後を惹いているのか目が眩んで動けなくなる。後半以降はいったいどんな展開を見せるのか、それは乞うご期待(していーんだろーな?)。

 でもいろいろと本が出てしまっておまけに仕事の本も読まなきゃいけないので読了までにはまだしばらくかかりそうです。買ったのは1冊が暴力温泉芸者な中原昌也さんの「マリ&フィフィの虐殺ソングブック」(河出書房新社、1200円)でとにかくILLDOZERの装丁が死ぬほど格好良く、表紙のタイトルの緑と、ページの関係で薄いんだけどそこに配色されたキャッチィな青がとっても目に来る。それ以上にクるのが当然中身の小説、ってこれが果たして小説なのかと思うくらいに過激で奔放で自由で暗黒で爆発で暴走で発狂で悪臭。いやほんと何を言っても当てはまらないくらいに過去に類を見ないほどブチ抜けた話ばかりで、読んでいるとまるで悪夢から醒めてそこで展開された不条理な出来事を忘れないうちに反芻しているよーな、奇妙な気分になって来る。河出だから「J−文学」とやらの一派に十把な唐揚げだけど、はっきり言って違う。ので「ジェーブン? つまんねえよ」と思った方でも(何を読んだのカナ?)とりあえず読んで気持ち悪くなって下さい。ってなんか宣伝ばっかりしてるなー。

 後はJ.G.バラードの「殺す」(東京創元社、1300円)と友成純一さんの「電脳猟奇」(ぶんか社、1600円)を購入。後者はもしかして「ホラーウェイヴ」叢書始まって以来のちゃんと真っ当に「怖い」話になるんじゃないかと期待してるけど、題材がネットなのがちょっと心配。けど村崎百郎さんが推薦しているならやっぱりそれなりに「猟奇」で「鬼畜」なんだろー。前者か解説が「特殊翻訳家」にして「殺人愛好家」の柳下毅一郎さん。「ハンガーフォード殺人」についての解説にはその研究成果が発揮されていてとても役立つ。けどマイケル君ランボーよろしくM1カービン銃とかカラシニコフ(だったっけ? AK47突撃銃って)とか9ミリルガー拳銃とかを持ってなお、たったの15人しか殺せなかったのかと思うと、津山の30人殺しとか、韮山の奥の村での50人殺し(これはフィクションだけどね)の犯人ってのはよほど凄かったって事になるのかな。僕だったらキレて会社で銃を振り回せば確実に…ハッ、いかん暴力と猟奇と殺意が本から伝染ったかな。そもそもこんな本ばかり読もうとする気分が既にイッちゃってる証拠なのかな。

 平和な気持ちになるためタカラが帝国ホテルで開いたアニメ版「リカちゃん」の完成披露発表会に行く。ちょっと前にかの「タイタニック」のビデオ化を発表した3階の結構広い部屋にたっぷりの人が集まっていて、30年の歴史と5000万体近くを売った実績を持つ「リカちゃん」のバリューの重さを改めて感じる。テレビもカメラも凄かったし。発表会では期待半分不安半分だったアニメ版「スーパードール リカちゃん」の第1話を放映。いわゆるホームドラマな人形の世界観を大きく逸脱して、とゆーか超越して展開されるアニメのストーリーは、主人公は一応香山リカであり、お父さんはピエール(瀧じゃないっ!)でお母さんもいる一見平和な家庭だけど、実は女系のお母さんお婆ちゃんの過去に秘密があって、実は古代より伝わる文明の末裔って事になっているらしー。

 でもって冒頭からお婆ちゃんが古いアタシェケースの中に人形を3体、仕舞っている事実が披露されてそこからオープニングへと移り、そして孫の今は小学3年生、友枝小学校じゃない聖テレジア学園に通う香山リカちゃんが、同級生たちと一緒に博物館で開かれている古代文明の展覧会に向かうところへと物語は進んでいく。やがて展覧会場で謎の一味が襲って来て、あわやという場面で現れるのが「スーパードール リカちゃん」とゆーさっきの人形たち。宝塚バリの威勢の良さ立ち居振る舞いの美麗さで敵をやっつけ香山リカちゃんを助け出し、そして物語は香山リカを巡る争奪戦へと展開していくことになるのだった。はずだよな。これだけ読んで「いかにも」と思った人はまさにピンポン。そー実に「いかにも」な展開だけど、違うのはこれが「リカちゃん」とゆー120%の知名度を誇るキャラクターってことで、それだけに期待が大きい一方で、「私のリカちゃんと違うーっ」とか言って忌避されるんじゃないかとゆー不安もまた大きい。

 ただしあくまでも美少女ヒーロー&お姫さま者のアニメとして、そして別のもう1つの「リカちゃん」と割り切って楽しむ分にはツボにはまって見ていて実に安心できる作品であることは間違いない。杉井ギサブローとゆーベテランが監督を勤め、かつ監督自身が「ヒットする予感がある」とまで言い切るんだから、少なくとも番組の視聴率的にはそれほどの不安はないだろー。時間帯がちょーど「はれときどきぶた」をやっていた時間にスッポリはまるとゆー点が、吉凶のどっちに転ぶかそれだけは不安ではあるんだけどね。絵柄も動きも安定していて心配はいらなそー。美術スタッフが結構良いのか建物もアクセサリーも実にそれっぽさを出している。キャラクターデザインの熊谷哲矢さんって有名な人なのかな? 顔で目の下に髭がタテに入るのがちょっと最初は違和感あったけど、ぷにぷにしたホッペ感とか子どものアトム足(つまりビッグフット系な末広がりの足)とかが良い味になっていた。

rikaanime  アニメで香山リカを演じる河野由佳さんて実はあんまり良く知らない。これが初のアニメのアフレコってゆーからミラクルボイスな某日曜朝を想像しちゃったけど、9歳の女の子にしてはときどき大人びた声になってしまうくらいで後はとっても上手く演じられていた。慣れればまだまだ上手くなるはずで、その点で心配する必要はない。日曜朝に耐えられたんならもう天国みたいな物ですよ。スーパードールの方のリカちゃんを演じるのは桜井智さん。キャスト紹介で壇上に上がった桜井さんはアイドル上がりだけあって顔出し全然オッケーな美人でおまけに壇上でスーパードールのキメセリフを横に経っていた着ぐるみとタイミングを合わせて見せてくれる程のサービス振り。実際のアニメでも凛とした「ドールリカ」を見事に演じてくれていて、「お姉さまーん(はあと)」な女の子たちに人気が出そーな気がした。

 実は変身した「スーパードール リカ」がスパッツを履いているのが許せなかったんだけど、本編で例えば戦闘シーンでジャンプした時、普通の下着だったらたぶん下から煽るなんてことはしないのに(「CCさくら」ってスカート履かせてるけど見せないでしょ?)、スパッツだと平気で煽ってそれが結構ありゃこりゃ想起させてくれる。怪我の功名ってやつとはちょっと違うけど、スパッツもなかなか良いものです。スタッフの挨拶が終わった後でテーマ曲を歌っている新人グループ「Rooky」が登場して光GENJIよろしくインラインスケートで動き回りながら賑やかな唄を披露してくれた。年は14あたりから上が19とバラ付きがあって胸もペッタンからプックンまでバラけていたけど、目の前で躍動されるとやっぱりナマは良い物だと、シャッター押す指にもついつい力がこもってしまう。メンバーの1人が関西出身で関西弁で顔がまるでT.M.レボリューション。「ヘイ・ヘイ・ヘイ」あたりに出して西川と並べると結構楽しい事になるかも。肝心の唄はテンポよくノリが良いのでカラオケで早めにやると吉かも。デモテープもらったからさあ練習だ。聞きたい人はリクエスト葉書を送ってね(どこにだ?)。


【9月27日】 なるほどたれぱんだはクレーンで人気アイティムなのかと思いつつ、夜を徹してひたすらゴルフに勤しみ、苦節4時間の甲斐あって何とかシングルプレーヤーの地位へとたどり着く。クラブをどこまで振り挙げれば良いかを確かめインパクトの瞬間に回転するヘッドの調整を何とかやり終えて、どーにかボギー悪くてトリプルあたりでスコアを抑えることに成功。あとはさらにインパクトのタイミングを合わせかつ、落とし場所クラブの選択バンカーからの脱出方法を詰めればみるみる上達はほぼ確実との意を抱く。アンダーパーで回れる日もそー遠くない日の訪れよー。これほどまでに上達をを実感できるとは、やっぱりゴルフゲームはリアルなゴルフ場で芝刈りに息を散らし、山登りに汗だくとなり、砂場遊びに涙を流して挙げ句にオリンピックで100円玉を巻き上げられた経験を持つ、オヤジに向いたゲームなんだろーなー。ああ有り難や「ナムコクラシック2」様さま様。あとはキャディが鬱陶しくさえなければなあ。

 最終回だぜ「仮面天使ロゼッタ」は、前週に続いて清水厚さん監督による実相寺アングルな画面がオドロオドロしい感じを醸し出し、いつもの脳天機かつ頓狂な、言ってしまえば間抜けなロゼッタとは1味も2味も違う最終回ならではの緊張感ある展開を見せてくれた。半分までは。お空の星になってしまった父親ファラオンを探し見つからず最後は父を倒した加納竜演じるデュアトスに、挑み破れそれでも挑まんとする娘ロゼッタの、健気な姿に溢れる涙をふきふきしながらモニターに見入っていたあたりまでは、血の宿命に反発しつつも失ってしる父への愛情があふれてそれなりな感動を与えてくれる。最初とは言わないまでもせめて後半の6話分くらいをこの古(いにしえ)より続く抗争につぎ込んでいられたら、もっと緊張感がありかつドラマ性もある秀作特撮変身美少女ヒーロー物に成り得たのにと、少しばかり残念でならない。

 がしかし、次の瞬間空から再び現れたファラオンが、スケキヨよろしく逆さに地面に突き刺さるに至って、冗談な目は最後まで消えなかったかとその間抜けぶりに愛着を抱きつつも最後くらいは絞めろよとの思いも同時に抱き、フクザツな感情に囚われる。あっけなさ過ぎる敵デュアトスと父よりパワーを授かったロゼッタのバトルも何だかなあ、って感じ。これで面白さを出すんだったら、たとえマンネリと言われよーとも同じパターンを20話以上を続けて、一種伝統芸能化を周囲に納得させた上で、1本2本イレギュラーな話を混ぜて意外感を与えて、人々の記憶に無理矢理擦り込むくらいでないと、こーゆー番組って後世に語り継がれる事はないんじゃないかと思う。

 練り上げられた物語の上で緊張感あるドラマが繰り広げられた「lain」も、すべてが大張だった「VIRUS」も、毀誉褒貶は数あれど少なくない人たちの記憶にその記録を止めることが出来たんじゃないかな。じゃあ「仮面天使ロゼッタ」は? 確実に特撮のBOXを買う800人とかゆー人々の印象には残っただろうけど、たぶん記憶にはほとんど残らなかったんじゃなかろーか。お話自体は決してすべてが良かった訳じゃないけれど、「エコエコアザラク」が途中打ち切りの憂き目に会ってなおカルトな評判を得たのに比べると、同じ土曜深夜の枠を埋めた「エコエコ」以降の特撮物の何と記憶に残らないことか。これはまあ依怙贔屓が過ぎる見方かもしれないけれど、どちらにしてもちょっぴり煮詰まった感のある深夜枠、次に何が登場するかは知らないけれど、景気がまだ保っている今のうちに、最後っ屁よろしく記憶も記録も勝ち取れるだけの、作品を送り出してやって戴きたいぜテレ東&円谷。

 しかし何故に「佐伯日菜子」と印刷とは言えサインが入った葉書が届いたのか考えて、たぶん石丸電気でファンの集いに出たときのデータが渡ったか、徳間ホールでの「エコエコ闇の大祭」に出た時のデータが渡ったかしたんだろー佐伯さんの事務所に、との結論にたどり着く。届いた葉書は狭いながらも佐伯さんの近況がありゃこりゃあって、例えば10月にオリジナルカレンダーが発売で(買うか?)、10月4日からはスカイパーフェクTVで「佐伯日菜子のクレッセント・シアター」って番組が始まる予定。これはすでに先月号から載っているけど学研のアニメ雑誌「Looker」でコラムの連載が始まって(同じコラムの別ページには小中千昭さんのコラムもあるぞ、ちびちびレインのイラスト込みで)、さらには佐伯さんモデルな黒井ミサのフィギュア付きビデオが発売とか。こないなマメなファン対応に絆される気持ちが少し。「エコエコ」以降ちょっぴりご無沙汰していた佐伯賛だったけど、ちょっぴり復活させてみるか。


【9月26日】 実は先週の土曜日に古本屋で買ったばかりなんですよナムコの「未来忍者」を480円で、って話は本筋とはまったく関係ないから先に飛ばしてまるで表紙と帯が阿部和重さんの「インディビジュアル・プロテクション」だった石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク」(文藝春秋、1619円)は中身が実はヤング版馳星周さんだった、と言うのは当たらじとも近からずってところだけど、雰囲気的には馳さん描く新宿の暗黒街にもちょっと似た、不良少年(といっても昔で言う所のガクラン的不良とはまるで違う、すでに古い言い回しだけどチーマーって奴?)の集団であるボーイズたちが仕切る、池袋の街の様子を彼らの生態と絡めて描く、阿部さんの文学とは対極にある実にこなれたエンターテインメントであった、とさ。

 池袋で育った少年たちがやや長じて街に集まる少年たちを仕切る一段を形成するなかで、仲間になるでもなくかといってカタギの暮らしを送るでもない少年が、ちょっとした殺人事件の解決に力を貸したことから一種のなんでも屋として活動するようになり、少年やヤクザや同級生だった風俗嬢らから持ち込まれる事件を、不良少年たちへの情報網とおたく少年たちへの指導力を発揮しつつ、次から次へと解決していくってな話がつまった短編集。第1話の表題作こそぎこちなさが感じられたけど、続編に当たる第2話以降は構成も良くなり物語性も加わり人物に厚みが出てかつ謎解きの醍醐味も味わえるとゆー、表紙なんかから醸し出されるエッジな雰囲気とはまるで違う、さわやかじゃないけどジンと来るものがある”青春ミステリー”に仕上がっている。”裏”少年探偵団的、とでも言えばそっちの方が当てはまるかもしれないね。

 まあ主人公もそうだし不良の少年たちもヤクザも警官もモノ解りが良すぎて人をケツの穴まで毟ろうなんて悪辣さもなく、これが本当なら池袋って何てカッコ良い街なんだろー、池袋の少年たちって何って純粋なんだろーと思えて来るけれど、キレたりトんだりする少年たちの話がメディアを通じて流れて来るのを見聞きする限りにおいて、やはり少し綺麗に描かれ過ぎているよーな気がする。あるいは元少年の大人が終わってしまった少年の頃への憧憬を込めて想像した、一種のファンタジーに近い少年たちの饗宴って事になるんだろーか。作者が本当に実地に取材して描いた内容だとしたら、こうした憶測は迷惑なだけかもしれないけれど、しかし皆誰もが格好良すぎるんだよなー。

 元少年で不良に嫌悪を同じくらいの憧れを抱いている大人には受けるかも。あと主人公といっしょに活躍する電波少年ゲーム少年盗撮少年ら一種のオタクを活躍させるあたりが、表向きは嫌悪感や忌避感を抱きながらも、心のどこかで健全ではない仲間としていっしょに目立つ場所に立ちたいってなオタクの二律背反する心理を擽る可能性も少なからずある。阿部和重を流行っているからとかってブン投げた人でもこっちはストーリーとしてまとまりがあるから読んで決して無駄じゃない。ところでナイキの「エアマックス」に「例の九五年のマイケル・ジョーダン・モデル」なんてものがあるの? いや小説に出てくるんですがあたしも短いことナイキユーザーやってますがこんなん聞くの初めてだったりするんすよ。最先端に五月蝿そうなフリーのコピーライター様が描いた小説に、間違いなんてあるはずがないから、きっと池袋には存在してるんだろー。池袋署なんて大きな警察署に30そこそこのキャリアの若者が署長として赴任することだって、多分間違いないんだろー。よな。

 最近は「おまえは鉄道ファンか、電車大好き人間か」とムズがる艦長と「あなたは間違っている」と言い切る部下との間で「長野には新幹線がある」と論争の原因を作ったりしている田中麗奈ちゃんが主演した「がんばっていきまっしょい」の公式フォトブックを買う。タイトルは「伊予東高校 女子ボート部 漕艇日誌」(ワニブックス、1500円)で、中には撮影中のスチールの他に、クランクアップから1年が経って眉毛が細く綺麗になった最近の麗奈ちゃんの写真が載っていて、「まだまだっしょ」などと言いながらもじわじわと成長している様が伺える、実に貴重な写真集となっている。貴重なのはそれだけじゃーなく、将来においてお宝となる要素もふんだんにあってそっち方面で値上がりなんかを期待する人たちが購入に走ること請負だから、ファンなら見かけたら即ゲットするのが吉かも。グリーナウェイの映画にも出ている末は国際女優かもな真野きりなさんのファンもオッケー。表紙からして……だもん。こりゃ使えるぜ。

 目黒で開かれた「SF者オフ」とかゆー会合い出る。いわゆるファンダムとはあまり縁もないままに育ってしまった人たちが、ネットの普及でその鬱屈した情熱を披露し始めてからそうだねだいたい2年かな。今ではネット上にそれこそ100は下らない数のSF系のホームページが出来上がり、それぞれがメールでやりとりしながら一種の「ウェブファンダム」みたいなものを形成しつつある、その嚆矢となるイベントとして後世にに語り継がれるよーになる、かどーかは解らないけれど、まあちょっとは面白いイベントでした。

sfoff1  最初の昼の部で、町の公民館で青年団の人たちが集まっては村祭りの中身とか御輿の担ぎ手とかを決めるよーな畳敷きの部屋に集まり、ペットボトルをガンガンと並べて紙コップで適当に手酌でやりながら話し合ったのは、「SFとは何か」「どうしたらSFは売れるか」とかいった至極真っ当な内容で、実はほとんど海外のSFを読んだ経験のない身であり、かつ小説として面白ければとりあえずSFだろーがミステリーだろーが「はせせーしゅー」だろーが「あべかずしげ」だろーがオッケーな節操のカケラも無い身として、本を買い集めたり未来を憂れいて語り合えたりできる人たちの、「SF」に対する情熱の深さにとにかく圧倒され感動を覚える。オークションになって出てくる本は表紙に記憶はあるけれど実際に読んだかとゆーと実は食指が延びなかった本ばかり、にもかかわらず集まった人は多くが「面白かったね」「良かったよな」と相槌を打つ。こりゃちょっとかないませんて。

 ただ売れてないから出ない、とゆー現実を踏まえてではどーしたらもっと人々がSFを読むよーになるのか、となるとやはり明確な回答なり道筋は出てこず、京極夏彦さんにSFを書いて貰うとか、スニーカーなりコバルトなりとったヤングアダルトとハヤカワの青背あたりがスムースに繋がるよーな仕組みを作ってしまうとかして、とにかく裾のを広げ人口を増やしていくことが肝要かと、そんな話も出たけれどやっぱり決め手には欠ける。「SFマガジン」でSFを紹介したって人口が増えるはずもないから、例えばロック雑誌にSFコラムを設けさせるとか、「オムニ」みたく科学雑誌にSF小説を掲載させてしまうとかいった、カテゴリーの枠を越えてSFを紹介するメディアを増やし、少しでも一般での認知度をを挙げて抵抗感を消して行けば、未来においてきっと実を結ぶと思うけど、実際のところは良く解らない。

sfoff2  SFがなければそれ意外の面白い小説を読めば良いんだ、純文学だってミステリーだってノンフィクションだってアニメだって漫画だってスポーツだって、世の中に面白くないものなど無いのだよ、と割り切れるほど無節操ではない人たちだけに、集まって話しているとどんどんと現状への不満が溢れて来る。実際、過去の名作と呼ばれる作品が、マーケットの不足でほとんど絶版になっている状況を、若い人たちが怒るとゆーのも凄く解る。そんな時にネットの世界から出た集まりなんだから、ネット上にパブリックドメインなり有料でも良いからテキストあるいはPDFでもエキスパンドブックでも良いから海外SFのデジタルデータを専門に販売するサイトを作ってしまおーよ、とならない所が「本」とゆー形に思い入れのあるファン故の傾向なのか。パピレスに例えば絶版になった青背とかサンリオとかがどーんと載ったら、自分だったら買うだろーか?

 「PAANYA&ぐるみちこ」って方から謎めいたメールが届く。何でも8月から墨田区の八広ってところにギャラリィを開いて細腕未繁盛記を書いているそーで、そのオープニング企画として経済問題(っても借金対策だけど)から最近は政治問題(っても新井本出しただけだけど)にも守備範囲を広げつつある大川興業・大川豊総裁の小学校6年生時代の作品に、松本ハウスの最新作やら廊主(?)であるところのぐるみちこの編みぐるみ、んでもってPAANYANOジャンクが「ぐちゃぐちゃ」しているとか。こりゃ一体何だ? とは思うものの詳しい住所が解らないので気になる人は虱を潰して行きましょう。電話は03・3614・8868でいーのかな。木曜定休で正午から夜の8時までやっているとか。しかし何でまた俺に案内なんぞを寄こすかねえ。大川総裁と同種の人物だと思われたかねえ。


【9月25日】 「青の6号」を”ゲーム中によく見かける3D・CGムービー内に2次元キャラが違和感なく同居した映像”と紹介してあってすでに第1話を試写で見た身としてその主張にいささかの”違和感”を覚えた久保美鈴さんのコラムが載っている「SFマガジン」11月号を買う。その”違和感”はもちろん、3次元が3Dで2Dが2次元なのは何か使い分けの基準でもあるのだろーかと新聞で3DCGをド素人のデスクにも文句が出ないよー3次元CGを言い換えて使っている身として抱いた”素朴な疑問”とはまったく別のものですが。どっちにしても村田蓮華さんの描く女の子の顔が丸いので僕的にはオッケー。ほっぺクニクニしてやりたくなる生意気さがキュートなんですわ。10月25日発売予定、たぶん買う、かな。珍しいし。

 冒頭に「日本SF大会 CAPRICON1」のリポート。なぜあの暗黒星雲賞を最後まで争ったとにかく巨大な馬の像を出さない! と編集部に注文をつけつつ中身は至極真っ当かつ網羅的で4ページしかない割には適度にまとまっているので初めてでも安心、かね。「SFマガジン」にしては珍しく写真がちゃんと撮れてるし。し「SF創作講座」の聴講生を嘗めた写真でもう少し後ろまで入れれば帽子にサングラスの胡乱な髭野郎が映っていたのに残念。その隣りの隣りの隣りあたりがみのうらさん、だったかな。星雲賞の受賞コメントでは流石にとり・みきさんだ自画像(ハゲ+リボン・ヴァージョン)を寄せて下に一文も寄せている。冗談がさらに続いて真の「SF大賞」までをも受賞すれば面白いと思うんだけど、何せあっちはプロが選ぶ賞だから、かえって冗談を盛り上げるのを嫌うかも。まーじき発表やったかな。さてはて如何に。

 「家族に恵まれずどこか鬱屈した表舞台から外れた人生を送っている野郎が内的な欲求に負けてキレて爆発して云々」とゆースタイルの小説をこれから「はせせーしゅー」と呼ぼうかな、などと「漂流街」(徳間書店、1700円)を読みながら考える。別に他意はないんですが。オール讀物推理小説新人賞を受賞したとかゆー石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク」は帯の惹句が「今夜、池袋を生きのびろ!」で、なんだか阿部和重さんの「今、渋谷は戦争状態だ」とかってな(うろ覚え)帯の惹句にインスパイアされたよーな内容だけど、コピーライターとかゆー著者がねえ、そんな戴きますな事をする訳はないからきっと一種のシンクロニシティでしょー。「刺す少年、消える少女、潰し合うギャング団……。ストリートの『今』を鮮烈に刻む青春ミステリーのニュービート。」ってあるから、いわゆるノワール小説なジャンルとしての「はせせーしゅー」とは違うみたい。ってことは「あべかずしげ」? とりあえず週末あたりに読了の予定。しかしページの割に重たい本だねえ。物理的にだよ。

 江戸川乱歩賞を受賞した「果つる底なき」(講談社、1500円)を書いた池井戸潤さんは、いわゆる職業的経歴的にバリューのある人が受賞しやすいってな最近の傾向(それが意図的なものとはもちろん限らず結果として、とう意味)を地でいく人で、何しろ前職が三菱銀行行員ってんだから素晴らしい。まあ山田智彦さんだって銀行マンだし日銀出身で作家になった人も確かいたし、それに日銀元理事なんか今じゃあ池田理代子の旦那サマだ、ってこれはちょっと違うけど、ともかくも本職だった銀行マンが本職だった銀行を舞台に本職だった金融の話でミステリーを作った訳だ、ちょっとは金融業界をかじった人間として、これを読まずにいられよーか。いやいられたんだけどね、課題図書として送って来なければ。実際出た時もすぐに買わなかったし。

 中身はねえ。銀行のことが良く解る。ってんっでしょーか融通手形なんてよく倒産の原因に上げられる手法が実例(っても物語上での実例ってこと)を挙げて説明してあって、ダラダラと仕事していてその手のことをほとんど勉強しなかった元金融担当記者にもとっても勉強になった。会社ってこーやってツブれていくのね。けどお話の方は組織にも派閥にもおもねらない一匹狼の主人公の銀行マンが友人の死とその後にかけられた汚名を雪ぐために、活躍しまくるって展開で、最後に暴かれる意外な犯人像、の割にはてやんでえな位に人をボカスカ殺していく情け容赦の無さに、面白さは感じてもそれほどのリアリティは感じなかった。あるいはすでにこーゆー輩(犯人のこと)が登場しても不思議じゃないくらいに、金融とか企業の世界は爛れているってことなんだろーか。あまりに簡単に人が殺されてしまう今の時代を、ある意味映しているのかもしれんなー。「ラブ&ピース」よ今いづこ(いや今「トライガン」第4話見てたんで……)


【9月24日】 「ぎょうさん」は関西弁で、正しくはupdatedらしーのだけれど、それはさておき大日本印刷が本社の近所に新しく作ったビルで取材。入り口を突破して受付で用向きを告げてエレベーターで上へと上がろーとした瞬間に、目の前の壁にぶらさがっている得体の知れない物体が目に入る。赤やら緑やら黄色やらド派手な色を使ったでっかい雑巾、じゃない足拭きマット、でもない正しくは多分タペストリーなんだと思うけど、ロビーでも正面じゃなく隅のやや奥まった場所にかけてあるから、何だかちょっぴり沈んで見える。ちなみに作者はフランク・ステラ、そうあの抽象画だけしか描けないアメリカのアーティストで、最近では巨大なアルミを組み合わせた作品で有名な巨匠のタペストリーが何気なく(ってゆーか無造作に)飾ってあるあたりに、伝統のある会社の底力を見る。巨大な草鞋が1足分かけてあってもやっぱり伝統の会社のフトコロに深さを見るんだけどね。

 実は新しく出来たビルは壁のベニヤ板がペカペカで、全体にリーズナブルな普請だったりするんだけどそれは内緒にしておく。付き合いもあるし。仕事を終えてJRで秋葉原に回ってソフト屋さんなんかを散策、昨日あれだけ散財して反省したばかりなのにLDとDVDの新譜を山と買ってしまって自己嫌悪に気分は散々。自業自得なんだけどね。買ったのはDVDがいよいよリリースの始まったパイオニアLDC発売の「lain lif.01」。第1話と第2話をカップリングにしただけの大容量のDVDとしてはいささかもったいないタイトルだけど、ビデオもLDもいっしょだから仕方がないか。

 「lif.02」は第3話から第5話までの3話を収録で6800円らしーからちょっとはお得でもったいない感も減るかな。ちなみにDVD版にはアニメの設定資料が静止画で入っていたり、ウエザーブレイク前の遊びも「明日の天気はどっちかな」の絵とプラスどっかーんなイラストが入っていてそれはそれでお得。ライナーのABさんのちびちびレイン漫画は電波入ってて良いですねー。これはLDにもあるのかな。いや次巻が楽しみで仕方ないっす。

 ちなみにパイオニアLDCではアニメのDVDシリーズに本腰を上げて取り組むみたいで昔っから野田隆一前社長に嘆願して来たことがここに来て結実して善哉善哉。っても向こうの勝手な事情であり判断なんだけどね。予定ではまず10月23日に日本語版の方の「アミテージ・ザ・サード」が全4話入って4800円で発売、加えて「楽勝ハイパードール」全2話が3800円に「モルダイバー」が全6話で4800円。中古のLD屋で山と見掛けならがも手を出し控えていたタイトルだったけど、これなら買っても良いかな、ってーかまず絶対に買うね。11月25日以降も「グリーンレジェンド乱」に「THE八犬伝」に「機神兵団」、12月22日には「THE八犬伝 新章」に「幽幻会社」に「天地無用! 魎皇鬼 天の巻 eps.1−3」が発売の予定。どれも中古販売の特価でおなじみのタイトルだったりするけれど、DVDにしたからって盛り返しは可能かな。「エルハ」出せー。

 さてLD関係ではいよいよリリース開始となった「カードキャプターさくら」を買ってまったがや。いえねー、売場で山とつまれた初回限定ボックスからCLAMP描くところの桜と知世ちゃんが微笑みかけてくれているのを見るとついねー、財布から万札が飛んでいってしまったのだよクロウカードのよーにスーッと。幸いにして貧乏性じゃないNHK様の太っ腹のお陰で、第1巻は3話分の収録で第2巻以降はたぶん4話分を収録。一緒に買った「トライガン」が2話収録で全26話を買うと13巻にも及んでしまうから、それに比べれば置き場も薄く資源だって少なくて済むのに。ってことでこれから省資源化に取り組もうってなビデオ屋さんは、TVシリーズはできれば4話くらいづつ、1枚に収録してやって戴きたい。んでもって値段はお安めに。

 じゃらりと秋葉を荒らした後で神谷町からホテルオークラで開かれたコーエーの20周年記念パーティーへ。コーエーっても別にクレジット会社とは関係ないぞ、あの「信長の野望」で有名な光栄が20周年を記念して名称を変更したもので、ついでにロゴマークも新しくなって見るとどこか見覚えにあるデザイン、うーんうーんと考えて新宿の京王百貨店に雰囲気似てるかも、と思ってしまったのはどーやら僕だけではなかったみたい。スローガンは「ついにできたを。」。日本語にあんまりなってないあたりにデスクあたりが「どーゆー意味なんだ」と怒っていたけど、こっちだって知るもんか。まあ考えるにおそらくは「遂にすっげーソフトが出来たんだ、ってことを何時も言ってられるよーな会社にしよーぜ」って事なんだろー。これからしばらく社員は全員、手首に鉄球でもぶらさげて、スローガン養成ギプスで全身を縛られながら、コーチの指導のもとに連日連夜「ツイニデキタヲ」と唱え続けるんだ。んでもって正しく唱えると誉めてもらえるんだね。「ヨクデキマシタ!」って。

 主人がベース(かギター)で夫人がボーカルとゆーその名も確か「コーエーバンド」による、株式公開企業にして設立から20年も経過した立派な会社のパーティーにしては実に何とも”アットホーム”な余興で場内が賑わう中を(アンコールまでかかった)、見つけた角川歴彦さんあたりと適当に会話。ふーん「不夜城」はそんなにお客さん入ったですか。ちなみに「メンズウォーカー」は別にテコ入れだと騒がれるほど売れてないって事はなく、とすれば花田さんの役割はいったい何だろー、と思ったけど怖くて口にはできない。どーやら角川書店、最近あっちゃこっちゃから人を集めているみたいで、例えば山一証券をはじめ銀行メーカーetc、んな異業種からゲシゲシを人を集めて出版に止まらないコンテンツ絡みの事業へと、新しいリソースを投入していく事にするみたい。そこですかさず「僕も入れて」、とは流石にお願いできずニマニマしながら相槌を打つ。

 後ろの方からセガ・エンタープライゼスの入交社長がスクウェアの武市社長と握手している姿を写真に撮ってよと声がかかりパチリ! 間にナムコの中村会長が入ってますますアヤシイ写真になりました。さてどこに公開しましょーか。オラシオンの菊地会長やらギャガ・コミュニケーションズの藤村社長やらコナミの北上常務やらAVEXの依田社長やらソニー・ミュージックエンタテインメントの丸山社長やら(スーツ着てたぜ仰天)講談社の五十嵐局長(「ボンボン」人か?)やら、その他大勢の業界のえらい人たちを見掛けたけれど、角川さんへの売り込み活動(なのか?)に精いっぱいであんまり話せず。入交さんには「安くしといてくれないと買わないよ」と「ドリームキャスト」の値段をそれとなく探りを入れたけど、流石にボロは出さなかったなあ。バンダイの石上常務もいたので玩具の動向をチェック。えっ「さくら」は地上波も開始ですか! LD買っちゃったぜー、でもBOX付きだからいーや。

 しかし「コーエーバンド」も凄かったけど本当に凄かったのは司会のお姉さん。ふっくらした方でまずまる綺麗で、どこかのアナウンサーの人かなー、と思って眺めていたらパーティーが始まってまず自己紹介して吃驚仰天「声優の、小山ま美です」だってヒエーッ。最近あんまし声を聞かなかったけどこんな営業仕事もしていたのか。でもゲーム業界って実は案外声優さんの業界と親しいってゆーか仕事の付き合いも深いよーで、場内には青二プロダクションの人も歩いていたから、たぶんそっち方面のツテで頼んだんだろー。テレホンカードをお土産にもらって適当に退散。もしかして、と思って絵柄を見たけどゲームが絵柄になったちゃんとしたカードでちょっとがっかり。何を期待していかって? そりゃー社長と副社長が執務室で(以下抹消)。


【9月23日】 阿佐ヶ谷へ。演劇をナマで見るなんてえっと何時以来だろー、前の会社にいたころに岐阜で行われた劇団四季の象が出てくる(記憶曖昧、クマだったかも)作品を見たよーな覚えがあるし、大学生の頃は実家の近所に出来た劇団でシェークスピアの「リア王」が公演されたのを「なぷがじゃ」(ナゴヤプレイガイドジャーナルの略。まだあるのこの雑誌?)からもらったタダ券で見に行った記憶があるなあ、その前は高校の学祭でどっかの劇団の「ファンタスティックス」を見たっけかさらに遡ると小学校だかでの「劇団うりんこ」(名古屋で有名な児童劇団。みんな見たよね名古屋っ子!)でも有名な演目「ぞうれっしゃがやってきた」だったか。「ぞうさんとらさんきりんしかさんくまさんらいおんさーん」(順不同、な訳はないけど覚えてない)って唄が20年近以上経った今も頭に残っているぜ。刷り込みはコワイぜ。

 演劇の本場たる東京に(千葉だけど)出て来てからって言うもの、映画は行っても演劇は足を運んだ記憶がないぞミュージカルもそうだいわんや宝塚をや。いや別に演劇が嫌いな訳じゃなくって人気の劇団てチケット取るの大変そーだし値段も結構張るし一緒に行く人だっていない。まあ映画みたく1人で行けば良いだけの事なんだけどともかくも演劇だけはちょいと手を出すのを敬遠してたんだけど、今日の良き日に言祝ぎ言祝ぎ、見た演劇をもってして少しは劇場通いをしてみよーかってな気になって来た。

 っても自分で買った訳じゃなく、たまたま偶然それこそ突然かの高取英先生率いる「月蝕歌劇団」のスタッフの人が、何故か招待状を送ってくれたのが事のはじまりで、実は親の因果が孫子の代まで祟るよーなフクザツ怪奇なつながりがそのスタッフの人とはあったんだけど、ともかくも折角のお誘いそれも少女たちがぎょうさん(名古屋弁?)出てくる月蝕の舞台、おまけに出し物は少女漫画界のもはや大重鎮たる竹宮恵子さん原作の「疾風のまつりごと」だぁ、こいつぁ行かずにいられよーかと、疲れて棒のよーになったアレをほぐしてパンツの左側に寄せて、ズボンをはいてヅラ代わりの帽子を被って総武線と地下鉄東西線と中央線をどんどこ乗り継いで阿佐ヶ谷へと向かったのでありました。

 途中下車して中野ブロードウェイを散策、目指すは「まんだらけ」で狙うは新刊書店ではもはや見掛ける事かなわない原作本の「疾風のまつりごと」。なのにかの「まんだらけ」ですら膨大なコレクションから成る竹宮コーナーを設置していながらも、超メジャーな「風と木」「テラ」「イズァローン」「私地球」などはあっても肝心の「疾風」は見つからない。最近でっかく竹宮さんをフィーチャーした週刊誌の人からも担当者が結構探すのに苦労してたらしーとの話を聞いてはいたけれど、かの「まんだらけ」で無いとすれば後はいったいどこを探せば良いんだろー。やっぱり巨大な渋谷店か。ど下手な店員じゃないカラオケ(店員も下手はいる)を聞かされるのもツラいんで遠慮してたんだけど、これは1つ行ってみるしかないのかも。もちろん入り口で「プリンシェイク」も飲むけどね。

 さても適当に引き払って阿佐ヶ谷へ。時間もあったので駅前の古本屋に入って目敏く見つけた敷村良子さんの第4回坊っちゃん文学賞」受賞作にして近日公開絶賛確実な映画「がんばっていきまっしょい」の原作本を見つけたので400円でゲット。すでに試写で見た映画を思い出しながら読むと、映画は本編「がんばっていきまっしょい」と続編「イージー・オール」の合成であったことが解った。76頁にある「十六歳から十八歳までの約千日は、命が凝縮された眩しいほどの輝きを放つ、純粋で濃い時間なのだろう。その真ん中で右往左往している悦子には、なんでもない平凡な非治の繰り返しに思える。いつかこの時間が過去という扉の向こう側に閉じ込められた時、失ったものの素晴らしさに気がつくのかもしれない」とゆー文章が、その約千日をどう過ごしたのか思い出せない我が身に刺さってグッと来る。でもカーネル・サンダースは65歳からチキン屋始めて成功したって話も読んだばかりだし、間に合うのかもう遅いのかどっちなんだと悩む。

 ぎっくり腰になった悦子がボートの試合に出られず悶々として噛みしめる辛さは原作の方が倍増しくらいで、あるいはこっちに思い入れがある人は映画の悦ネエの描き方を甘いと見るかもしれないし、逆に映画の松山東女子ボート部の成果を辛いと見るかもしれない。ただ映画先だった身として言えば小説は映画のあの中位な(と「キネマ旬報」で誰かこう評してた)雰囲気もそのままに、滂沱な感動は与えてくれないけれども滲み出るようなホコホコを与えてくれる。裏返せば小説のテイストに惹かれた人は映画もオッケー。どっちが先でも良いけれど、どっちも見て読んで戴きたい話、ですね。田中麗奈のブルマはさておき。

 さあ「疾風のまつりごと」だ。柿落としとかゆー阿佐ヶ谷・ラピュタは中で滅びの呪文なんかをゆーと崩れ落ちそーな形を……してませんが逆さにしたカップヌードルの容器ってな雰囲気はあるはラピュタの形だったのかもしれない。ロボットももちろん歩いてませんが。招待チケットファン倶楽部その他な色分けで並んでいると入場が何故か1番最初になってしまってこいつぁ大盤振舞だぜ久々な演劇鑑賞者に、と思ったけれど最初に入ると席はどこでも相手いるんだけどどうしても隅から詰めてしまうため、結果として壁際になってしまいました。とはいえ映画と違ってどこから見たって楽しめる立体構成な舞台だから、始まってからは客席側と舞台の両方を使った場面なんかで顔をナナメにして両方を両目の視野に入れ、総体的に舞台を観賞できたのでかえって良かったかもしれない。靴は脱ぐんですねやっぱり。解らなかったなあ。

 ぎゅうぎゅう詰めになると聞いていたので隣り後ろに妙れな女性が座った時にはちょっとよからぬ期待もしたけど、案外とゆったりと見られたのは会場が広くなったから、なんでしょうか。そうこうするうちに場内が真っ暗となり、やがて椅子に座ったおっさんと赤い曼珠沙華(彼岸花)を持った女の子(古川万里)が登場してもんぺ姿の女の子たちが花一匁を歌って踊ってトンチンシャン。やがて時代を超越して生き続けるポーの一族のよーな(違う)制服姿の少年・喬(宇井千佳)にスカート履いてハイソックスでおかっぱ風な髪型の妹・鳩子(一ノ瀬めぐみ)を軸にして、浮浪児たちのリーダー格として悪さをしていた少女・螢(斉藤レイ)やら転向してきた喬・鳩子に悪さをしつつも気が気でならない少年・のぼる(小沢里沙)やら娘をさらって女郎屋に売り飛ばす女衒な鬼夜叉(美里流李)やらとの絡みが描かれる。

 一本の筋があるとしたら喬に鳩子らと鬼夜叉との対決に、少年・のぼるとの邂逅と別離って事になるのかな。さまざまな時代と空間を1つの舞台上に現出させ、喬・鳩子にまつわる幾つかのエピソードが、暗転を重ねる度に代わる代わる展開されていく演出は、ついていくのに最初はなかなか苦労したけどおおむね登場人物が解って来ると、後はいったい何が起こるのか、どこの場面になるのかを想像しつつのめり込んで見ることが出来た。キャラメルボックスがどうとかこうとか演劇ファンならきっとピンと来るイジリもあって息も抜けたし、2時間ほどの上演時間を退屈せずに過ごすことが出来ました。やっぱナマモノってのは良いですね。

 「セーラームーン」に「少女革命ウテナ」のミュージカルとかで有名らしい斉藤レイさんはやっぱりひときわ舞台で目立ってて、螢として男装の不良を演じていても、改心してスカート姿になっても芍薬牡丹など及ばない華麗さをいっぱいに放ってた。と思ったら由布子としてお嬢様まで演ってしまうその演技の幅たるや。唄はあんまり通らなかったんだけど、でも良いや、綺麗だから。それから驚きは鬼夜叉として極悪非道な人買いを演じた美里流李さんが別の場面でコミカルな女教師役も演っていた事。実は後でカーテンコール聞いてキャスト見るまで気付きませんでした。他にはのぼる役の小沢里沙さんが元気で良いですね。テコナ役の野口員代さんも留役の川上史津子さんも言葉がしっかりしてます。

 そんなこんなで見終わってから外に出て挨拶など。夕方の回もあって長いは出来ずまた明日以降も平日は午後の7時半から、土日は午後2時半と午後7時15分の2回づつで28日の千秋楽まで公演を控えているのでさっさと退散する。次回の出し物は月蝕歌劇団にとってはきっと看板とも言える作品「聖ミカエラ学園漂流記」ってことらしく、藤原カムイのマンガで読んでアニメのLDも持っている身として、これは是非行かねばと意を決する。実に7年とか8年ぶりとかの公演に折良く打ち当たるのもきっと何かの因縁だろー。時期は来年1月20日から24日で場所は大塚・萬スタジオ。1999年の世界滅亡を予告された年に神を闘う少女を果たして高取英はどう描くか。キャストも募集中らしーんで16歳くらいから23歳くらいまでの「女子高生らしく見える方」は応募してみちゃー如何でしょうか。「俺だって女子高生に見えるよな、化粧して毛臑それば」でも良いんですか?

 秋葉原に寄って久々にLD屋に寄ってシマッタ! 「吸血姫美夕」のLD−BOXが出ていてポスターにピンバッジ付とあって迷わず購入を決めてしまう。本当は壊れかけてときどき真っ暗になるテレビの替わりを買おうと思っていたのに。これはまるで髪を売って買った時計の銀鎖と時計の銀鎖を売って買った銀の櫛、みたいな関係ですな(違う断じて違う)。とはいえLD−BOXは12話分までを収録でTV未放映の第2話も収録されていてリテイクも入っていてそれなりに意味はある品物かも。回によってバラつきのあった絵が果たしてどの程度まで上がっているか、とか血糊とかってな暴力的な表現がどこまで元に戻されているか、とかって見所も結構あるみたい。これで年末には「美夕」と「ガンダム」のパート2を買うことが決定、他にも多分山と出るからボーナスはそれで吹っ飛ぶって訳、だがしかしボーナスがもらえるまで居続けることが出来るのかってのが実は最大の難問だったりするので、これはもう少し稼がんとかんがやと、心の中でかけ声をかけるのであった。「がんばっていきまっしょい!」「しょい」「もひとーつ、がんばっていきまっしょい!」「しょい」。


【9月22日】 針小棒大をモットーにした夜郎自大な記者が三百代言よろしく大法螺を吹くとしたら今日の発表はこんな見出しの記事になるだろう。曰く「セガ・エンタープライゼス、新世代家庭用ゲーム機『ドリームキャスト』の発売を延期!」。それとゆーのも当初からセガでは、「ドリームキャスト」の発売日を11月20日と言い続け、こないだ開かれた「ソニックアドベンチャー」でも「現時点では」との含みを残して11月20日の線を崩していなかった、にも関わらず今日の発表で明かとなった発売日は11月20日ではなく、もちろんそれ以前でもなかった。つまりは予防線をはっていたとは言え、当初の約束を外したという意味で「発売延期」とゆー語句を持ち出したって、何ら不思議はないし文句を言われる筋合いではないのである。うん。

 けどねえ。さすがに誇大妄想で自意識過剰な僕であっても、11月20日が11月27日へとずれ込んだくらいで「発売延期」と書くほどの勇気は持っちゃーいない。どっちにしたって明日の新聞は休みだから1日遅れで書くのもはばかられたので確認だけして見逃す事にしたけれど、大言壮語な某日経が果たしてどんなコジ付けでもって発売日の1週間延期を説明してくるのか。もしかしたら「更に遅れる見通しも」なんて書いて来るんじゃないかと、勝手にわくわくしてるんだけどさてどーなりましたでしょーか。とりあえず`10月6日あたりに値段も含めてでっかい発表会が控えているんで、そのあたりでなおいっそうの正確な情報が「DC」に関してお伝えできることでしょー。まさか実機を並べての大々的な発表会の場で、「さらに延期」は幾ら何でも発表はしないよね。多分。

 リリースにはいっしょに現在公表中の「DC」向けソフトのラインアップが書かれていて、じゃーっと見るとNECインターチャネルにNECホームエレクトロニクスが2タイトルづつ、11月24日の(ハード発売日前じゃん)のシミュレーションRPG「セブンスクロス」を手始めに、じゃくじゃくと発表していく予定。せからハドソンが例の「北へ−」に加えてアクションRPGの「エレメンタルギミックギア」ってソフトを来年春にも出す予定とか。大手ではあとセガの付かないバンダイが「機動戦士ガンダム」絡みのソフトで20周年をどっかーんと祝うとか祝わないとか。ついでだから大友ガンダムのCGもソフトに入れちゃって戴きたいもんですね。

 ほかにはピンクキッズから「はるかぜ戦隊Vフォース2」が来年中でジャパンコーポレーションって会社からは「虹色天使」ってなシミュレーションが来年4月、ボトムアップは「大相撲」とエンターテインメントGOLF」のスポーツ2タイトルで挑むみたいだしエス・エヌ・ケイは「ザ・キング・オブ・ファイターズ」、そして本家セガからは「セガラリー2」と「バーチャファイター3rd」の年末までの発売が、正式にアナウンスされましたでがしょ。「ソニク・アドベンチャー」を加えて出だしは「ラリー」に「バーチャ」が揃い中身はともかく話題性ではメガトン級の「D2」も冬の発売を控えていて、まあ何とかタマだけは揃いそーな予感。とくに実機デモ未見の「バーチャ」と「ラリー」がどれだけのクオリティを出しているのかが業界的には注目で、その意味でも来月6日のミーティングと、そして10日から始まる「東京ゲームショウ」からちょっと目が離せない。さてどないでがしょ。

 発表と言えば10月8日に控えているのがバンダイの「新・携帯ゲーム機」の発表会。でっかい会場を借りて行うだけあって、気合いの入れ方は十分で招待状なんか多分おそらくは実機を模した厚紙仕上げのプレート状になっている。渦巻きマークは入ってない(当たり前だ)。今時の携帯ゲーム機が果たして売れるのか否かは謎とゆーより暗雲どんよりだろーけど、ソフトさえ適当な所が揃えば某@ほどの惨敗は喫しなくても済むんじゃないかって楽観的な見方はしている。値段もきっと安いしね。心配なのはソニー・コンピューターエンタテインメントが春先に持ち出して来た例のPDAがそろそろ具体的なゲームを載せて登場して来そうってことで、あるいは発表会をぶつけて来るやもしれないと、バンダイの人々の恐々ぶりたるやまさに杞憂。だって2つが同時期に発表になれば、話題性は他のニュースに比べて抽んでる可能性は大。「このほかバンダイでは」扱いされる心配もあるけれど、それでもニュースに取りあげられる事には変わらない訳だから、仮に同時期発表でも心配せずに小判鮫やって、少しでもメディアへの露出を図りましょー。

 セガと言えば秋元康さんのCMが話題だけどその秋元さんとまんざら無関係でもない事務所にいる人から突然のファックス。読むとあの越前屋俵太さんが9月28日にロフトプラスワンでライブミーティングを開催するって内容で、幾ら何でも工業新聞には記事化は難しいと思いつつ、個人的には面白そうなイベントだと、あるいはこっそり出向く可能性をここに示唆しておく。ゲストがあのネネちゃんのご主人になった三代目魚武濱田成夫さん。体をはったいたずらとイジリで名を馳せた越前屋俵太に見かけ怖そうで実直そうな三代目魚武濱田成夫でさてはていかなトークが行われるのか興味津々。また外に出て遊んでなんぼの越前屋の、トークの才やいかばかりとの興味もあるから、それなりに楽しいイベントになるかもしれない。けどやっぱり何で僕ん所にリリース送って来たんだろ? 何故ですか高山さーん。


【9月21日】 バンダイから資料が届く。「お好きでしょー」と言われて袋から取り出して見るとおお何と! トレーディングカードとゆーには巨大な、ポストカードをさらに2周りくらい大きくしたカードの束、そして描かれているのは「カードキャプターさくら」&「仮面ライダー」であった。って別に桜と猛が同衾しれる訳じゃなく、それぞれが14枚の種類が異なるカードを束にしたもので、リリースを読むと「E−GRAPHICSカード」って名称の、ジャンボカードダス販売機向け新商品であった。四角く切り抜ける目がつけてあって、抜くとポストカードになるって仕組みは一種のトレーディングポストカードって事になりますか。最近はこんな巨大なカードでも取り出せる自販機があるのかと、ガシャポンくらいしかベンダーをやらなかった(それだけやってりゃ十分かも)不勉強な身を恥じる。でも大の大人がカードダスはなあ。

 なんて思っていたら驚くべきことにこの「E−GRAPHICSカード」、販売の対象は大学生以上の高学年なんだとか。そりゃー最近はせがた三四郎で大ブレイクな藤岡弘さん演じる「仮面ライダー」だったら、昔懐かしな大人まで含めて結構な需要が見込めそうだけど、少女漫画誌連載で中身もまるで少女向けな「さくら」のカードを、たとえ14種類あるカードの7種類が新作で、んでもって7種類に知世ちゃんが登場しているって事だけでは、大学教員はともかく大学生はやらんだろーと、思うんだけどさて実際はどーなのか。水着の知世ちゃんイラストもあるしなあ。

 一方「仮面ライダー」の方は1号ライダーの、それもごくごく初期の怪人を中心にピックアップ。蜘蛛男蠍男蝙蝠男を写真ででっかく紹介して枠には漢字でそれらの怪人の名前が書いて合ってレトローんな感じ。14種類しかないけれどもっともっと種類を増やしてメジャーな怪人はぜーんぶ抑えてやって戴きたい。「仮面ライダーV3」も是非ぜひ欲しいねえ、テレビバエにハサミジャガーが頭ん中でトラウマになってたりするんで、同時代な少年として。「さくら」と「ライダー」の後には「ガンダム」に「ナデシコ」が商品化の予定で値段はいずれも1枚100円。道ばたの集金マシーンがこれでまた増えそーだー。

 富士通に行く。インターネット上にネットワークゲームのサイトを集めて、課金とか掲示板とかチャットとかってサービスを付帯して提供しているアメリカの大きな会社と提携して、日本でも同じよーなサイトを立ち上げて日本語でサービスを開始するって内容だったけど、集められた記者のほとんどが通信関係の業界を担当している人たちで、ネットワークゲームの意味もバリューも仕組みもそんなに詳しくないみたいで、説明する方は結構四苦八苦していたし、ある程度の前知識があるこっちは、ちょっち物足りなくて結構疲れた。「ダイレクトX」とか「ダイレクトプレイ」とかって言葉を「固有名詞か?」なんて聞くんだもん。もっともこっちだって(ウィンドウズ者じゃないんで)正確なところは解らないんだけどね。一応言葉は知ってるってだけでもマシって事かな。

 さて肝心のサービスの方はと言えば、アメリカで80種類も提供しているのに日本では10種類くらいが最初の提供になるみたい。アメリカじゃあ「クエーク」に「ディアブロ」なんかもこのサイト上から提供しているらしーけど、日本じゃーすでに独自に楽しんでいる人が多いからね、改めて富士通のサイトに載せるって事があるんだろーか。あと日本のメーカーが開発したネットワークゲームの提供の歓迎ってらしーけど、メジャーどころはすでに自前でサーバー立ち上げつつあるしねえ。サーバーの設置とか増設とかユーザーへの課金とかユーザー管理とかって煩わしい事が嫌なメーカーなら、乗っかる意味はあるだろーから、我もと思う会社の優れたネットゲーが乗っかって、富士通のパワーで一般に広められて一挙両得、って上手くいくとは限らないのがこの世界。だけど先陣を切った意義は買いたいので、頑張って下さい担当者の人々。副業も(謎)。

 思えば朝日新聞だかに「同朋舎がマルチメディア雑誌創刊するんで社員募集」の広告を見て(その時から朝日は日曜版を皿目だったのだ、って自慢にならんわな)、早速同朋舎に電話して「何出すんですかー」と聞いて「ワイアードって雑誌を出すんですよー、来週発表しますからー」といわれて記者会見に行って記事にしてから幾星霜。月日はその間に女の1人も出来なかったかわりに腹は膨らみ額は輝きを増し、インターネットは3歳の子どもから100歳を越えるジジババまでが使いこなし、CD−ROMは手裏剣にもフリスビーにもコースターにもならないくらいに一般化して、にもかかわらずかくも世に蔓延る「デジタール」な人々物々を斬って叩いて舐めまくる雑誌「WIRED」がこの号をもって休刊とは、世の中は本当に不思議に満ちているとの思いを強くする。

 しかし休刊号だからと言ってこうまで思い切るとはねぇ。業界アンプラグドに集められた面々の凄さたるや、「業界をしたたかに生き抜く」とゆー言葉がこれ以上にないくらいにピッタリと当てはまる。いずれも黎明期からそれなりに業界で名を馳せ、死んだ沈んだ逃げた殺られたと言われながらも未だその権勢衰えない現実を見るにつけ、あるいはその実力を含めてもっと前向きに考えて見ても良いのかもと、思ったけど怖そーだからやっぱやめとく。列記すれば面々とは小林弘人(休刊しちゃったんで)元編集長を中心に飯野賢治高城剛服部桂伊藤譲一千葉麗子江並直美。このうち表の新聞でちゃーんとピンでインタビューした事があるのが、4年近く業界を観察してて実は江並さんだけってのは、もしかして僕ジャーナリストとして失格だったのかも、しれん、なー、とかね。

 83ページのNTTやらICCに関する記事は誉めるって記事の見本を見るよーでとてもとても勉強になります裏的に。あとは押井守さんの連載「21世紀のアニメロジー」がとっても含蓄に富んでいてヨイですね。「だから、ぼくは今回も与えられた予算を使い尽くし、赤字を出さないつもりだ」って一文なんか「G.R.M」にかけざるを得ない押井さんの決意が現れていてヨイですね。「使い果たす」だけは簡単に達成できそーですけど。しかしインフォバーンて会社の広告にある「来春3月、月刊誌創刊予定」ってのはマジなのか? ボケなのか?? 名称・登録申請中で価格は勉強中で内容・編集長の頭ン中。爆笑問題にも押井守さんにも会える雑誌ってことはつまりソレってことになるよーだけど、「ビーイング万年床’99’」ってことは「K」にいっしょについていくのか「I」。


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