縮刷版98年6月上旬号


【6月10日】 BSAってソフトウエアの著作権についてギリギリとネジを巻いている団体の記者発表会に出る。成毛真マイクロソフト社長に浮川和宣ジャストシステム社長に原田永幸アップルコンピューター社長ほか錚々たる国内ソフト関連会社の代表者が居並ぶ横で、堂々と先人を切って演説を始めたのはミスター平成維新こと大前研一氏。ひとしりき自著が世界中で読まれていることを自慢しくさった後で、違法コピーってのは結局は教育的な問題で、例えばソフトを立ち上げた時に「このソフトは大前研一にライセンスされています」じゃない「このソフトは○×□▽にライセンスされています」の文字が出たとき、なんだか気持ちが悪くなる位に「恥」の心が醸成されていることが、ソフトの違法コピーをなくすために必要と、あの持ち前の軽妙な会話でとうとうとまくしたてていた。

 教育ったってお腹が減ったらそれを置いても食べなくっちゃいけないから、規模によっては相当に難しい事なんだろーとは思うけど、いくら法律ができたって破る人は出てくる訳だからやっぱり心にガッチリと、楔を打ち込むよーな教育は最低限必要なんじゃないかと思う。もっともゲームソフトで中古を買わない、って教育が延長線上に会社の経営を圧迫する、からクリエーターが貧乏になる、のでゲームも良いのができない、となればユーザーは結局損をする、ってな図式を頭に刷り込めば、果たして中古がなくなるのかどーか今は皆目検討が付かない。少なくとも自分の場合は働いて(嬉しくはないけど)独身だからお金があるので新品を買う、けど子供はやっぱりキツいんじゃないかと思う。経済と倫理の同居、これを成し遂げる為にはどれだけの教育が必要なんだろー。

 同じことはソフト会社にだって言えること。かのケン大前も最後にはちゃーんとソフト会社にもクギを差してくれた。それは「おためしソフトのように最初はタダとか気にいったら払ってとかいうのは辞めて欲しいし、最初は安くしてだんだん高くしていくのもやめてくれ。何故ってキャッチバーみたいだから」と成毛さん浮川さんを前に言ってのけたこと。たとえ営業政策上かような戦略をとらなくっちゃいけないと思っても、「売っている側が価値があると思っているなら価格じゃなく営業の努力で認めてもらえ」とは言い得て妙。とはいえこれはあくまでソフトにも価値があるってことを自ら崩すような真似は慎めってことだと思うので、やはりソフト会社よりは使い手側の認識を、「恥」の美徳の復活とともに、改める時期に来ているのかもしれんなあ。

 ソニーからエンタテインメント用のロボットの発表がある。てっきり本田技研工業の2足歩行ロボットでも真似して出すのかと思ったら、何のことはない犬にそっくりな4足歩行のロボットを作りましたってことで、これだったら八重洲地下街をピュウピュウ言いながら歩いている縫いぐるみ状の犬”ロボット”の方が可愛いぜって言いたくなる。実際動きは手足を曲げたり寝たり起きたり尻尾ふったりって程度。片足上げたらたぶんコケると思うし、チンチンだってお手だって多分不可能。歩きしゃがむ程度の動きで、果たしてエンタテインメントが勤まるのかと、そんな疑問が沸いてくる。

 とはいえ見るべきところはちゃーんとあって、それはハードウエアをモジュールにしていて足を車輪に交換するのにたいした工具はいらないそーで、さらには足を車輪に交換しても、CPUが認知して計算してぶっこけたりしないよーになっている。おまけにソフトウエアもモジュール化がされていて、入れ替えれば様々な動作をとらせることが可能とか。カメラで色やら動きを読みとり反応させることも可能だから、やりようによっては新しい遊びが生まれるかもしれない。とりあえず欲しいのは「動くプレステーション」だったりするんだけど。犬の腹ん中にPS仕込んで「ゲームやりてえ」ってゆーとすっくと立ち上がり「動け」ってゆーとゲーム画面が立ち上がる、とか。んでもってボスキャラにやられたりすると、犬型コントローラーの分際でプレイヤーに向かって飛びかかってくるんだ。

 アニメ誌をまとめ買い。あらゆる意味で評判の「ロストユニバース」を1押しアニメの証たる表紙に持ってくる精神はちょっと解らないが「ニュータイプ」(商業、って意味では良く解るけど)、それにも増して版形を改めて題字も変えていきなりポップになってしまった「アニメージュ」には驚いた。記事の中身は順番が変わった程度でコラム等にも変化はなく、それほどとまどわずに読めるんだけど、あの高踏なイメージがすっかり「B−magazine」してしまうと、買う方もちょっととまどってしまう。

 逆に「AX」は「カウボーイビバップ」をデザインして配置していてなかなかの出来(もちろん表紙が)。題字の部分まで入り込んでデザインできたらもちっとカッコ良く出来たかもしれんが、それは置いても12ページにわたっての「ビバップ」特集は今月発売のアニメ誌の中でもとくに読ませる記事、だったんじゃなかろーか。「AX」は他にも「フォトン」を大きく扱っていて、「DTエイトロン」のアミノテツロー監督へのインタビューもあったりして結構読む所があった。「lain」もちょっと変わった紹介だし、最初はともかく2号3号4号と、結構しっかりしてきたよーなのでこれは存外保つかもしれんぞと先行きへの関心がいや増して来る。しかし水玉螢之丞さんは大忙しだなあ。

 予想していたように「ジオブリーダーズ」のOVAは「アニメージュ」の評で毀誉褒貶。やはり原作を理解しているかいないかで大きな違いが出たみたいで、渡辺麻紀さんあさりよしとおさんが共に星2つの厳しい評価を下していた。キャラクターへの入れ込みと世界観への理解があってはじめて、ワールドとしての「ジオブリーダーズ」の1アイティムたるOVAを理解できるもの、らしーのでこちらとしても買った以上は原作を読んで少しでも理解に務めたい。ドラマCDはちょっと今は手が出ないけど。


【6月9日】 「ジオブリーダーズ」関連ページをあれこれ、サーチエンジンから適当に抜き出してまず「公認・綾金観光協会」へとたどりつき、そこにあった「綾金観光案内」のメニューを抜けて「ジオブリーダーズ趣味の部屋」へ。この間にAYAGANEがNOGOYAである確信を益々深めるが、そんな遅れて来た読者の蝸牛枝を這うがごとき探索行為なんぞ遥かに超越する事態に遭遇。なんと「ジオブリーダーズ謎と考察」に原作者の伊藤明弘さんご自身がアナグラムである旨明らかにしていているではありませんか。こーゆー時にどーゆー情報だってあるインターネットってすげーなーと思う。

 そこん家では漫画に出てくるケーキ屋さんが実は「サンジェール」であることも明らかになっていて、それがどーやら当たり前だけど名古屋市内にあると知り、NTTのエンジェルネットで検索し、ジャストネット内にあるゼンリンの地図閲覧サービスを使って所在地を確認して、伊藤さんがどーりで下八事を知っているくらいに天白区あたりに土地勘があるんだってことをようやくにして確認する。あの当たりはその昔、地下鉄の駅があった新瑞橋(あらたまばし)へと向かうバスの途中によく通った場所で、通りには「八方ジンギスカン」って大きな焼き肉屋さんがずーっとずっと建っていて、いつか入りたいなーと思っていたのを思い出した。今は確か潰れてしまっているけどね。

 後は昭和高校(山田正紀さんの母校。13群のカップリング先になる緑高校は太田忠司さんの母校だったりするが)とか中根の野々村病院(エロはないよ)とかが記憶にある地域に関連するキーワード。昭和高校横の道を山の方へと上っていくと突き当たる広い道を右折すれば「ふるふらふるーるなにがふーるいぬがおをふるわんだふる」で有名(地域限定ネタ)なケーキ屋の「フルール」があるんだけど、ケーキ屋は「ラ・ノア」あるいは「サンジュール」で間にあっているみたいなので、このフレンチーな(どこがだ)メロディーに乗ったCMソングは登場する兆しはない。それでも「いらんものは」と聞かれて即座に「米兵に売ろうーっ」と答えられる程度には(十分すぎるくらいに)名古屋人(なごやびと、いや昨日「ナスカ」見たもんで)の経歴を持つ者にとって、とても懐かしくなる漫画だったりするので、これからはこまめに背景なんかをチェックしながら読んでいこー。以下は余談。「ロレックスが安い」「名古屋清水口」とくれば?

 「ウテナ」のゲームを新しく始める。今度は「真宮寺サクラ」でプレー、勝ち気で強気な性格で押しまくったもんで最後はフラれまくって自らがデュエリストになってしまってFIN。いくらなんでもこれはバッドエンディングだろーと思うけど、黒薔薇編を通じての名場面とも言える、根室記念館で御影草時からゼルガデってない声で「もっと深く」と求められるシーンをゲームでも見られて結構楽しかったんで、まあいーかって納得する。ウテナと仲良くするだけじゃーダメみたいなんで、次は樹璃はもう見たから幹狙いで行くか。しかし相変わらず(ゲームだからな)こいつら、海老フライを冬冴が自賛したイタリア産の醤油で食ってやがる。せめてイチビキかサンジルシの「たまり」だったら納得するけどなー、ってまた地域限定になっちゃった。

 当然マストバイだぜ、っていきなり言われたって戸惑うばかりだろーけど、火曜日キオスクと聞けばほら、なんとなく解って来たでしょ、加えてグラビアと来ればはいオッケーですね、そう「週刊プレイボーイ」に好みのグラビアが載っていたってことなんですね。ここんととちょっちご無沙汰だったけど(前はえーっと、安達祐美だったかな)、今週ただいま絶賛発売中な「プレイボーイ」にはあの仲間由紀恵様さま様が自慢のボディをさらけだして頂いてくれちゃっている。ほらやっぱりマストバイでしょ。

 とか言って褒め称えている割には、朝の連ドラ「天うらら」なんで1度も見たことのない環境ホルモンまみれのワニの精巣のような薄いうすいファンだったりするんだけど、そんな薄さでも表紙になっている明らかにしないスリーサイズの胸元もクラクラなポーズから、顎を上げてキリッとした目で見つめられると、やはりついつい雑誌に手が伸びてしまう。まさに付いてるキャッチそのままに「必殺美少女」、だね。サンスポによればあの「機動戦艦ナデシコ」の劇場版にも再び声優として出演しているとかで、かの「HAUNTEDじゃんくしょん」で聞かせてくれた顔に似合わない素っ頓狂な声を再び楽しめるのかと、思いにわかに「ナデシコ」への興味が浮かんで来る。ルリルリのフィギュアにも揺れなかったのにぃ。でも生身の方に感じ入るだぁ、あたしもまだまだ健全だーな。


【6月8日】 市川市に新しく出来た「トイザらス」の物流センターを見に行く。地図でもらった場所に一番近い二俣新町から適当に当たりをつけて歩き始めたけれど、どれだけ進んでも一向に施設が見えてこない。もしやと思って地図を見直すと昔自転車で結構走って言った船橋海浜公園のすぐ側じゃーないか、ってことは歩くと相当距離あるぞってことに気付いて途端に足が萎えてくる。が、歩き始めた以上は引き返して車を疲労のも業腹なので、お腰に付けた「ポケットピカチュウ」のエサ稼ぎだと思い、大石圭さんの「出生率0」の主人公の1人で海を見に家を出た少年のよーにひたすら一直線の道を東京湾に向かってテクテクと歩く。曇りで良かったなあ。

 んでも20分くらいで到着してしまうのがボーイスカウトで鍛えた早足のなせる技、これで少しは引っ込んだかしらんと腹をさするがかえって筋肉が張って膨らんだよーな気がしないでもなく、これでは年末に一緒にやろうと誓った(誰とだ)レオタード姿での「レッツ・ダンス 死んでもいい’98」の披露もままならないと、林檎でダイエットを一瞬だけ誓う。さて到着した新しい物流センターは敷地面積がだいたい5万平方メートルで、建物自体も床面積で3階分あわせて3万平方メートルと、言われても予想がつかないくらいの広大さでそこからズヒズヒと玩具が運び出されては、巨大な「トイザらス」へと運び込まれる様を想像し、街の小さなおもちゃ屋さんが幾ら頑張ってもかなわねーなーと、街のちょっと大きな玩具屋でプラモデルやら人形やらを買っていた健全だった少年時代を思い出しつつ、社会構造の変化に愕然とする。

 もっともアメリカーンな人々にとってはそれが当然なよーで、何故か一介のおもちゃ屋さんの物流センターの始動式にやって来ていた米国大使館の駐日大使が、「流通を変えたパイオニアだー」と讃えていたのがリメンバー・パール・ハーバー、じゃないけど日本の慣習慣行法制度をたたき壊して進んで来た「トイザらス」の仕事に対する、アメリカ側の評価の程を見た。しかしオートメーションで動く倉庫は関東にある41店舗を面倒見るのに従業員は正社員で9人、作業員で40人とそれだけの人数しかいらないとか。幸いにして椎名誠さんみたく、品物を奪いに来る輩と闘う必要もないので武装もしておらず、ここだったら日々ずんずんと流れていく荷物を見ながら、怠惰な1日が送れるなーと怠惰に憧れる心がムズムズと疼く。

 帰りは元の同僚で今は産経の支局にいる人に駅まで乗せてもらったので速い速い。戻って原稿書いてあれこれやってたら、いきなり光栄が販売部門を譲渡するって案内があって兜倶楽部へとかけつける。いきんで入ると何のことはない関連会社の光栄ネットにエンタテインメント&エデュケイション事業本部からパソコンと家庭用ゲーム機向けのソフトの販売を移管するってだけの話で、息急ききってかけつけただけに一気に徒労感が強まる。とはいえ販売部門の移管にともない家庭用ではSCEIともセガとも一線を画して自前で流通していこうって事になっていて、デジキューブはちょっと違うから別にして、コナミエニックスと続く自主流通の波が、CESA幹部会社に続々と広がっている事に業界に起こっている変化の波を感じる。

 エニックスがやっているよーに「ドラゴンクエスト」とゆー超強力タイトルをバックに持ちながら取引条件で中古問題を織り込んでいく手法を、同じほどには強力なタイトルを持たない光栄が果たして取り得るのか否かが問題だけど、発表に来ていた人によれば検討中なれどやがてはそーなるだろーとの答え。販売についてはここん家は日本デクスターの販売網をそっくり受け継いでいるからそれなりにネットもあり、まあとりあえずは問題ないとゆーことらしー。しかしちょっち前に徳中SCEI社長を招いて大々的にPSソフト強化の発表会をやっておいて、すぐこれって身の振り方のダイナミックさはそのまま経営者のダイミックさと言って言えないこともなく、いつも元気いっぱいな副社長の顔を思い浮かべ、あの春の記者会見での蜜月ぶりはいったい何だんだろー、と世の無常さを切に感じる梅雨の寒空。

 夜の6時からとゆー新聞記者にとってはもやは深夜に近い(ちなみに朝の10時は早朝。新聞記者の1日はとてつもなく短いのだ)時間帯に発表会が開かれるというので新宿住友ビルをのぞく。地下に行くエスカレーターの横に見知った顔を見つけてここだろーと当たりを付け、潜った地下1階のホールで始まったのはカプコンの「バイオハザード戦略説明会」。この仰々しいタイトルに、少なくない数の人があの「ぐるぐる」への対応を想像して、深夜にも関わらず(だからそれは僕だけだって)大勢集まったけど、そんな思いをあっけなく袖にして発表されたは「ぶるぶる」への対応の方だった。「ぶるぶる」つまりプレイステーションのデュアルショックに対応した「バイオ1」のディレクターズカット版と、「バイオ2」を8月6日に出すってことですね。

 もちろんただ対応させるんじゃーツマランって事なのか、今度のバイオは「徹底対応」と唄っているだけあって、鉄砲を打てば震えるし、ゾンビに足を捕まれたり噛まれたりすれば震えるし、ゾンビが窓を蹴破って侵入してくればもちろんぶぶるっと震える。とにかくもー「ぶるぶる」づくしのソフトになってるそーで、「1」ではだいたい60カ所、「2」では実に140カ所ものの「ぶるぶる」場面が増えるとかで、それだけに値段も昔出したソフトの焼き直しとは違うぞってな意気込みを見せて、1は4800円、2に至ってはは6800円とゆー実にゴージャス且つマーベラスおまけにデリーシャスな値段を設定してくれちゃっている。なんとゆー豪毅さ。これで「1」は40万枚、「2」に至っては100万枚を売りたいって言うんだから、よほど商品に自信があるんだろー。

 実際「1」には裏技や隠し技を満載したコンプリート・ディスクをオマケに付けて、さらに音楽は新鋭・佐村河内守さん(これがすっげー良い男。声が子安武人ならまんま生徒会長が出来ちゃう)が70人もの大編成を駆使して録音したオーケストラサウンドを始めとして一新したのが入っていて、つい最近某バレーボールゲームをやるため「だけ」にプレイステーションを買った軟弱なブンヤの心にも、強くつよーく訴え掛ける部分があった。「2」は「2」で武器満載の状態からスタートできる「ルーキーモード」にアメリカ人並みに難しいプレイを経験できる「USAモード」、そしてシナリオや演出を排除してひたすら敵と闘いアイティムを集めていく「エクストリームバトルモード」が加わって、もう新しいゲームを1本ふやしちゃったぜ的なエックセレントな内容となっている。らしい、いやこれが本当に面白いのか理解がちょっと出来ないもんで。

 それだけのことを延々1時間半にわたって紹介するという、まさにゴージャスにしてマーベラスな発表会のトリをしめたのが常務の岡本吉起さん。流石にカプコンの顔役だけあり、またYOSHIKIとゆー名前がそーさせるのか自らを”ビジュアル系”と称して壇上に上がるや否や明かりを着けさせて自分の姿を満天下にしろしめしす。それまでの会見があまりにナイスだった反動からか、岡本さんはひとしきり「ぶるぶる」について話したあとでの新しいゲームの話を披露。それは先月の23日の「ぐるぐる」の発表会後のパーティーで、雑誌の取材に答えて「ゾンビがたくさん出てくるゲームを開発中」と答えたことの説明で、衆人を前に「『魔界村』です。アーサーがフルポリになります」と断言した。ついでに「うそ」とも断言したけど。

 ほんとーは何か別のシナリオに乗っ取った「バイオ」を、何か別のプラットフォーム向けに作っているらしいってことは明らかにしたから、噂されているアレが「ぶるぶる」じゃない「ぐるぐる」になるってことなんじゃないかと、まあそんな電波が会場内にいる人の頭を走る。加えて岡本さん自らが人手不足を訴えて、新しい人材が欲しいから是非とも1行2行記事に言葉を加えてねと、集まったマスコミに頼んだことが1つ。それは「バイトハザード3」という名称のアルバイト軍団を作って、何かの開発チームに入れてあげるってことでした。上手にやれば正社員への道も開けるぞってことらしーけど、アルバイトしているうちにあまりの忙しさに自らがゾンビと化す可能性もあるだろーから、あるいはこの「バイトハザード3」、東映と組んで大阪のエキスポランドで7月にオープンさせる「バイオハザード」お化け屋敷のゾンビ・アクター募集なのかもしれんと考えて、応募しよーかと一瞬思った考えをとりあえず心の棚に上げる。落ち武者役だったら、楽なんだけどなー。


【6月7日】 家にいると寝てしまって本が読めないので電車に載って街へと向かう途中でせっせと読書。群ようこさんの「ヤマダ一家の辛抱」を読みながら人づきあいって家庭でも地域でも会社でも大変だなーと同情する。僕はといえば家庭はないし地域もないに等しいし会社じゃヘンな奴と思われて誰もよって来ないから、これまたつきあいは無に等しい。それが決して楽しいことばかりとはいえないけれど、ヤマダさんのよーに隣近所の目を気にし、娘がグレたり誰かに恋したりするのに気をもませ、会社じゃー上司の顔色を窺ってその癖「自分がしっかりしなきゃ」と妙にはりきるその独りよがりぶりが、妙に切なくもの哀しい。これがニッポンのお父さんの大半の姿だと思うと、お父さんになんかなりたいもんかと思えてくる(なりたいと思ったからと言ってなれるもんでもなさそーだけど)。それでも世の大半のお兄さんがお父さんになるのは、やはり素晴らしい事が待っているからなんだろー。何だろー?

 来るべき娘の嫁ぐ日に果たしてどんな表情を見せるのか今から楽しみな浜松の助教授だが、そんな立派な家庭人でも「ご覧あそばせ ミッチーのベイビーセット」を買って楽しんでいるそーだから、ユーザーを選ばないところが流石に王子と強くその影響力に感嘆する。聞くとやはりあの危うい映像とホホエミにツーンと来る「死んでもいい’98」のビデオに、助教授も超カンドーしたとの事で、となれば後は年末の忘年会シーズンに向けて、衆人の前で「死んでもいい」の歌に合わせて踊りを披露すべく(もっちろんレオタードだぞ)、今から練習に励んで頂きたいとエールを送る。僕も練習しますから一緒に2人で踊りましょう。ボンボンを作ってくれたりバックダンサーをやってみたいゲーム会社の人、募集してまーす(嘘です嘘よ)。

 電車に乗って向かった先が秋葉原だったりするのがもの悲しいが、それはさておきソフマップに向かってゲーム機を何台も接続する時に必要なAVセレクターを購入。現状だったら2台分つなげれば良いところを、ビビビッと来て6台も繋げられる方を買ってしまう。これは何? 羽田からの渦巻き光線?? それとも京都の64ビーム??? いえいえ三田のFX電波とゆーのは多分気のせいだとは思うけど、前の2つについては実は案外可能性が高い。とりあえず分岐点は「ゼルダ」あたりの予定だけど、その頃には渦巻きの方もソフトのラインアップが出てくるだろーから、どっちが先になるのかは現時点ではちょっと未定。どっちもスカなソフトが山だったりすると、案外「SF」とかが繋がってるかも知れんなー。

 帰って「セガサターン」と「プレイステーション」をセレクターに接続。でスイッチを押してプレし始めたのは昨日からスタートした「プリズムコート」じゃなくって「少女革命ウテナ いつか革命される物語」だったりするのは単なる気分だと思って下さいFPS様。でオープニングから初めてゲームへと進んだ「ウテナ」だけど、これって女の子が主人公だと知らずに最初の名前で男名前を入力したら、後が結構酷(むご)い事になったなーと全国で発生したそんな人にちょっとだけ同情する。こっちは知っていたからもちろん女名前を入力。「神崎スミレ」だったりするのはご愛敬としても、やっぱり植物系じゃなきゃー気分、でませんからね。モロ花ってのもないんだけど本編には。

 でもってプレイしても最初なんで何がどーなるか良く解らず、とりあえず当然の事ながら樹璃さんゲットで(何が当然なんだ!?)プレイ、見事最後に有り難い贈り物を受けてエンディングを迎えることになる。本当はどーなるのがグッドなエンディングなのかは知らないけれど、とりあえずは幸せな気分になれたんで(何が幸せなんだ?!)オッケーとしよー。次はやっぱり当然にウテナ狙いでプレイだな。設定集には主人公がデュエリストの格好をするシーンも載っているのでそんなシーンも探さなきゃ。ミッキーも捨てがたいしなー。でも西園寺だけは絶対にいや(アスカの声で読んでね)。

 何故醤油なんだ、と海老フライの産地名古屋人(なごやびと)として心底怒りにうちふるえる。海老フライには醤油がないとダメだって? 牡蛎フライも醤油だって? どーして、フライは気分的にはやっぱりソースだろ、それもコーミソースの濃い口だろ、と大声で叫びだしたくなるけど、ここは千葉、あるいは巻頭ではフライは醤油で食べるものと決まっているのかもしれず、なのに大声で反地域的なことを叫ぼうものなら、普段付き合いのないとんとんからりっと隣組が押し寄せてきて、非地域民とのらく印を押されて獄門さらし首の憂き目にあいかねない。のでぐっとこらえて心の中で(海老フライにはソースなんだ海老ふりゃーはソースだぎゃ)と祈り続ける。タルタルソースも悪くないねえ。

 そこいらあたりは是非とも現役な愛知県民に描いて頂きたいものですと、名古屋在住の漫画家・伊藤明弘さんに勝手に心の中でお願いする。いや先週あたりからようやくコミックを読み始めて、こないだは第4巻も刊行された「ジオブリーダーズ」なんだけど、その事に気が付いたのがつい昨日くらいだったりするのが情けない。綾金市ってAYAGANE市ってNAGOYAと結構近かったりするんですね。そう思って作品を見返すと例えば1巻で地下下水道を抜けて化け猫を追い込もうとしている場所が「庄内川」で第4巻で事故による大渋滞が起こっている場所が「日光川大橋」だったりする。

 同じ第4巻でまやが雨の中を別の化け猫を探してさまよう場面で写っているのは名古屋ではおなじみの”菊地君の本屋”こと「ビレッジバンガード」の看板。他にも「下八事」をもじった「下七事」なんて超マイナーな(昭和区民と天白区民なら知ってるけど)バスの停留所の名前が出て来たりする当たり、あるいは伊藤さんそっち方面に強い方なのかと憶測してみたりもする。まやが捨てられていた神社は八事と塩釜口の裏手にある小高い丘の上の神社か? 街並みとか言葉とかにはいささかの名古屋弁も出てこないから、作品が持ってる軽快だったり重厚だったりするイメージはいささかも損なわれていないんだけど、折角だからお昼ご飯はカルボナーラばかりじゃなく、たまには「ヨコイ」の餡かけスパをどひゃーっと出してやって下さいな。「そーれ」でも良いけどね。


【6月6日】 に雨ざーざー降って来ないので近所を散歩。先月から本人の意志とは無関係な大人の事情で取り始めたサンケイスポーツを読むと芸能欄にミーナ様さま様の写真が載っていて、こんなマイナーな映画の主演女優が何故に写真入りで紹介されているのかと考える。週末に来日して記者会見するのはポニーキャニオンだったりするし(行くぞ! 公私混同でも行くぞ!!)、出演する番組も「笑っていいとも」に「オールナイトニッポン」だからこれは完全なフジサンケイシフト(他の局にも出るかもしんないけど紹介してないのはやっぱサンスポだから、やね)。ならば我が表新聞にも是非とも登場して頂きたいところだけど、面前にすると興奮しちゃって仕事にならないおっさんばっかの会社、身辺の安全が保証できないんでご遠慮願うと負け惜しみ。しかし胸、大きいなあ。

 しかしあらゆる方面に評判の輪が広がっているのか「ムトゥ 踊るマハラジャ」、発売なった「ゲーム批評」最新号でコナミの小島秀夫さんが自分のコラム「KOJIMA CINEMA」で大々的に取りあげて、その娯楽性と現在鋭意開発中な「メタルギアソリッド」との関連性を語っている。雑誌なんかに出ている開発画面を見る限り、とてもハードそーな印象の「メタルギア」と、極彩色で派手な「ムトゥ」とのどこが一緒? と悩むものの、そーいった表面的な部分ではない、マサラムービーに込められている「色気、勇気、勇敢さ、笑い、悲しみ、驚き、恐怖、怒り、憎悪、平安という9つの娯楽要素」が、「メタルギア」にも「入っているではありませんか」とゆーことで、一緒に並べて「メタルギア」にも期待してねって結んでる。

 なーんだ、じゃあ別に主人公は冒頭からキャット空中3回転をして登場もしないし、敵を倒す語とい首に巻いたタオルを掛け直しもしないし象とのバトルもなければ「スーパークリエーター小島秀夫!」の巨大文字が画面をぶんぶん飛び交うこともないのかと、一瞬抱いた的外れな妄想を打ち消したりもするけれど、あの「ムトゥ」に散りばめられた娯楽のエッセンスに感じ入る作家としての感性が、表面的な形はともかく詰め込まれているとしたら「メタルギア」、これまで「スナッチャー」も「ポリスノーツ」もやった事がなく、某渦巻きなパーティーで会長な人に手招きされて来た小島さんと名刺交換したくらいの縁しか持たない僕でも、なんだか期待が沸いて来た。あとはホントに9月に出るのか、だな。

 ごめんよシュガーアンドロケッツごめんよ山元さん。本当はお宅の”やるドラ”第1弾な「ダブルキャスト」をわが家の「プレイステーション」導入第1弾ソフトとしてプレイして、有り難くないだろーけど心の中で表彰してあげよーと思ってたんだけど、ここに来て妙にあちらこちら(紙でもネットでも)で見掛けるよーになった「プリズムコート」をやりたくって見てみたくって、遂に買ってしまったんだよ「プレイステーション」を嗚呼。中身なんて一切知らずただ中島敦子さんが絵を描くぞ、声が長沢美樹さんい冬馬由美さんに丹下桜さんに久川綾さんだぞ、ってなおよそゲーム性とは関係の薄い理由だけで、全銀河系の新聞でもっとも早く、もっとも大きく「プリズムコート」を記事にした我が表新聞、だけにその責任を取らざるを得なかったのですよ目指せ4000万台。

 今のところは合宿を終えて最初の試合をこなしたくらいしか進んでおらず、その奥深さの一端を味わったに過ぎないけれど、ファーストインプレッションから申し述べれば「何だこの絵は?」ってのが正直な感想。どこが中島敦子やねん、とジャケットと見比べてその違いにヘナヘナになった人も多いかも知れないと、新聞で6人がズラリと並ぶ写真を使って人心を誑(たぶら)かした我が身を反省する。前の監督の女先生が同じポーズでいきなりジャージになるイントロからしてのけぞりましたわ。監督(もちろん名前はリウイチ先生だあ)の部屋に下がったバレーボールが球じゃなく円にしか見えないとかいった感想もありますが、それはおいても頻繁に登場する(思わせぶりなセリフのあとでいきなり出てきたりする)ロード画面には、薄いゲーマーながらちょっと辟易させられます。アイキャッチが可愛いんで許すけど。

 しかし最新号の「ファミ通」で水玉螢之丞先生が大々的にフィーチャーしていたり、ネットで「ときメモ」あたりと比べて評価されていたりするところを見ると、ゲームとしての喜びはたっぷりと込められているらしー。実際9月の最初の練習試合で、励まし叱咤して相手の沼里女子に勝利したその瞬間、涙が川とあふれ出てきて(当社比90倍)喜びに胸振るわせたくらいだから、これが山あり谷ありな日常の練習をくぐり抜け、全国大会で見事勝利へとこぎ着けた瞬間には、涙は黒部第4ダムの決壊もさもあり、ってな勢いで溢れ出すこと確実だと、そんな予想に胸躍らせたりしている今日この頃ですわ。「ウテナ」もやんなくっちゃいけないし、PSはやってみたいゲームが山だしと、これからちょっと大変な予感。なに原稿? いやはや南友、ちょっと保証は出来ませんぜ。

 ☆よしみる原作・イラストで秋山瑞人著の「E.G.コンバット」(電撃文庫)を読了、絶賛する。学校を出て一気にエースとなって大尉にまで昇進した若干21歳の乙女が、ライバルの画策によって昔いた訓練校に教官として戻らされる羽目となり、おまけに受け持たされたのが訓練校ではドンジリの成績を疾走するグループとあってさあ大変、けれどもそこはエースの維持で、鍛え上げて鍛え抜いてやがては訓練校で1、2を争うチームに育て上げるって設定は、言ってしまえばよくあるありきたりな設定、昔懐かしい「銀河おさわがせ中隊」に最近では「AWOL」とか「スターシップトゥルーパーズ」とかで見たばかりだと思って敬遠する人も多いだろー。

 けど落ちこぼれがエース級へと育つストーリー自体の感動はもちろんのこと、実は作られたエースなんだと主人公の大尉が悩む描写とか、超能力やら超才能とかは抜きにして訓練と努力によって着実に実力がアップしていく設定とかにお約束から抜け出そーとする意志を見る。また地球外生命体の女性ばかりを狙った攻撃によって、地球には男、月には女と人類が性別によって分断されてしまったダイナミックな設定とか、戦闘をシミュレーションする場面でのあらゆる要素あらゆる技術をぶち込んだ綿密な描写とかにも、凡百の小説とは一線を画そーとする意地を見る。

 キャラ立ちし過ぎていたり、主人公のライバルが地球の危機をおいても親の権力に頼って主人公に七難八苦を与えたりする場面はやっぱりなー、と思うけど、そんなお約束はおいてもキレの良い文体心地よい脱線そしてハードコアな設定が、ヤングアダルトにしては長い300頁を越える話を一気に最後まで読ませてしまう。シリーズなのか1巻物なのかは現時点では不明ながら、よーやくにして活路を見出した落ちこぼれ部隊、生成晶の正体は? どーして女性ばかりを襲うのか?? 等など大量の謎を残しつつ、地球に迫る危機がますます深刻なものとなって行く展開は、否応なしに次の展開を期待させる。まともにやれば5巻10巻じゃー聞かないスケールだけど、とにかく今は「次」を読ませろとメディアワークスに念波を送る。届いた?


【6月5日】 「エヴァ」関係のコンテンツ満載で個人ページとしては異例のミリオンヒットを記録しなおも数字を延ばし続けているnaryさんの『GENESIS Q』からリンクを貼って頂いた関係で、『トリスアギオン』のページに山のよーなアクセスがあり感謝感激アメフラシ。厚く御礼申し上げます。もともとは(今もだけど)この「トリスアギオン」、電通の自分と多分そう歳の違わない1社員がひとりでやってるコンテンツで、個人的には話を聞かせてもらったというだけで、企画に絡んでもいなければ助言もしてないし、もちろんお金なんて1シリングももらってはいない。割と純粋に、見せられた絵とか企画の成り立ちとかに惹かれるとろこがあったんで、オフィシャルなページも立ち上がってないみたいだし、それならじゃあ1つ応援してみんべかと、主催者黙認(してねっ)の形でいわゆるファンページを立ち上げてたって具合。そういったバックグラウンドがあること知ってもなお、電通に踊らされてるんじゃなくって何か面白そうだって思える人は、応援してあげてやって下さいな。絵のお姉ちゃん、キレイでしょ。

 しかし流石に新聞に出た効能はあったよーで、社内の風当たりがちょっとは緩んで来たと聞いてちょっと安心。何せこの記事が出た当日は、下にかの成田豊・電通社長が新聞大会のパーティーで関本・NEC会長や神戸市長らといっしょに歓談している写真が入っていて、ゲラで見てこの紙面は確実に役員たちに回る、ってことは上にある「トリスアギオン」を電通が仕切ってるってちょっと大袈裟な記事も絶対に目に入ると確信し、もしかしたら勇み足を止められるかもしれないって心配した。結局どーやら杞憂に終わったよーで、むしろ社内的にある程度認知(といっても承認ではないみたい)されてほんの1ミリくらいは実現に向けて進んだよーな感じ。とはいえすべてが27日と28日お朗読劇の成否にかかっている状況は変わりがないので、未来を期待する人は気が向けば、横山智佐さんかぶりつき(まだそんな状況、なのかな?)を楽しんでやって下さいな。あたしゃどーすんべか。

 「ご覧あそばせ」のビデオを見る。見てしまって意外にミッチー歌が上手いんだってことに気付く。そりゃーちょっと宇宙人入ってたり王子入ってたりして手のヒラふりひら衣装もホラハラってな感じだけど、肝心の歌の方はまあ結構聞けるレベルで、踊りの方もまあ結構見られるレベルで、それがどーしてTMレボリューションの西川的なメジャーシーンをかけ上らないのかというと、やっぱり王子だからと言うより他にない。ノリがノリ過ぎていてやっぱり皆さん身を惹いてしまうよーですね。男はもちろん女性の方もフリーズしかかってサブい思いにあれは何? と思ったくらいないっちゃてるぶりは、ヒットにはちょっと不利みい。

 でも王子は王子なので下々の事など気にせずに、ホホエミを絶やさずポーズも逃さず、これからも頑張って王子って頂きたいものですな。ビデオでは最後に入っているシングルにもなった「死んでもいい’98」がちょー最高。まるで昔のテレビ番組から抜け出して来たみたいなスクールメイツをバックに、レオタード姿のミッチーが手をふる腰をグリグリとグラインドさせながら唄い踊るその姿の何と王子なことよ。歌に被る踊りを揶揄したまるで「やってTRY」の乱一世のよーなボヤきぶりが、ビデオのまばゆいばかりの錯誤ぶりと裏表のよーに逆シンクロしていて、一段の笑いを誘う。カラオケいったらやっぱ皆さん、これ入れて踊り付きで唄って頂きたいもんですね。あたしも王子だけど遠慮してナレーション、やったげます。

 ヤングアダルトでお厚いのを何冊か購入。まずはサークル文庫の「ノストラダムスの後継者」は大林憲司さんだけど、表紙と口絵とイラストが美樹本晴彦さんてのが「マクロス」見て育った世代(30代、かなあ)にはやっぱりズーンと来るのです。とはいえカバーなんかはセル画風に仕上げてあってちょっと美樹本さんに見えないのが謎、あるいは神様じゃない世代には吉と出るかもしれない。「書信バトラーズ」って副題が、何だか「本好きにはたまらな」そーな内容を伺わせますね。それから原作とイラストが☆よしみるさんで著者が秋山瑞人さんってちょっと変わった組み合わせの「E.Gコンバット」を電撃文庫で購入、こちらも美少女ってるキャラが表紙でいかにも感が漂っているけど、読み出すと設定とかなかなかにミリタリーで結構読みでがありそーな感じ。週末のオカズですね。

 驚きの「しおりワイン」が某社から(ってバレバレやね)から届いて仰天。たぶんあの返礼だと思ってありがたく頂戴する。ラベルに藤崎が描かれた「こなみるく」で売れたら今のワインブームもこれありで結構売れそーな品物だけど、口がねがメルシャンだったりする当たりにあるいは中身への信頼感がぐぐっと落ちる。かといって飲むにはしのびないのでしばらくはテーブルに置いて眺めるだけにしておこー。そーいえば前にもらった「ときめきせんべい」も賞味期限オッケーなのがまだあったな。せんべいにワインで藤崎づくし、ってのも週末にとっとオツな楽しみかも。1人で夜中にワンルームで、って条件さえつかなければだけど。ぐしゅーん。
【6月4日】 ちょっと左手で稼いだと思うと安心してすぐに使ってしまうのが悪い癖。ふらり立ち寄ったレコード屋で先月27日の発売なのに売り切れたのか生産数が少なかったのかどこに行っても見つからなかった”王子”ことミッチーこと、及川光博のビデオ「ご覧あそばれ ミッチーのベイビーセット」を発見してついつい購入してしまう。なぜって僕も王子だからさ・・・・ご免なさい。言ってしまえば理由の8割は後のプレミアムなんかを狙っての購入だけど、残りの2割は実はこーゆー我を忘れて自分を捨てて、妄想の世界にノメり込む事のできる人ってついつい応援したくなるからなんだよね。

 フィギュアでは流行のブリスターパックに入っているのはビデオ「ご覧あそばせ」とシングル「死んでもいい’98」とそしてほんまもんのフィギュア「ミッチロイドTo−7」。予想していたより出来があんまり良くなくって、これならバンダイかバンプレストのガシャポン作ってる原型師さんとかに依頼して、もっと精緻でより耽美な人形を作ってもらえば良かったのにぃ、と残念にも思うけどともかくも恥ずかしげもなく自分の人形をオマケに付ける、その真から”王子的”に正しい行動に強くつよく心打たれる。ドッキン。

 そしてブリスターパックが付いている下の台紙がまた凄い。白泉社は「メロディー」で活躍中(なのかな)の岡野史佳さんが描くレースがフリフリヒラヒラな、その誠に”王子的”ミッチーのイラストがでっかく描かれ、彼がいかに王子なのかを証明するかの如き双六「王子の証ゲーム」が付いていて、コマを辿っていくうちにズンズンと自分が王子様になって、そのまま会社に行っても取材先に行っても王子様っぷりをかましたくなっている自分に気付く。といっても容姿が王子にはほど遠いのがシクシクなので、それは将来の課題としてとりあえずは裏面にある写真を参考に、手のヒラのしぐさだけでも真似しようと誓う。ってことで妙な手のヒラの動きをさせている仕草をみても、それは王子への道なんだと笑って見過ごしてやって下さい。

 大日本印刷が銀座で運営している「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」に行って山本容子さんの展覧会を見る。オペラか何かの舞台を参考にしつらえたギャラリー内の調度の上に、音楽を題材にした山本さんの作品が並べられ、ふだん本とかの装丁で見るのとはまた違った、ちょっぴりハイソな雰囲気を作品から受ける。クリーム色の台紙の上に描き出された人物とか動物とかの色の何と鮮やかなことよ。銅版画とかでこんな綺麗な多色刷りが出来るのかー、と昔見た暗いくらーい銅版画のイメージとは違った山本さんの軽やかな作風にしばし見ほれる。

 ご本人も歩いていたけど遠目でチェックして会場内をうろうろ。地階にはラスコーの壁画を真似た空間に大きなおおきな版画が飾られていて、賑やかな1階とは違った静かで厳粛な雰囲気を味わえる。誰もいない時に1時間くらい、真ん中に椅子を持ち込んで座って眺めていたいね。受付で山本さんが美術と衣装と担当して演出を加藤直さん音楽を一柳慧さんが担当するオペラ「モモ」の案内をもらってちょっち惹かれる。モモや塩田美奈子さん、上演は12月4日と6日で場所は神奈川県民大ホール。どんな舞台になるのかなあ。

 角川書店から発売中の「VIRUS」(1200円、たけーぞ)のフィルムブックを買う。表紙のサージが上半身裸でちょっちセクシー、んでもってエリカ知念も久々なメロン胸を重そうに腕で支えて物憂げな表情を見せてくれて背筋をゾクゾクさせてくれる。さらに帯に隠れた下部に描かれているのはミラン−ドナの妖しい姿。赤い目にマニュキアの塗られた赤い爪が、本編第5話で描かれた「肯定しなさい」な本編でも1、2を争う名場面を思い出させてくれる。この回は足でEXドライバーを操縦するLDだけの名場面もあったっけ。

 LD版と放映版とビデオ版の違いがほかにも説明してあって、その筆頭がエリカが番組内で最初にヴァリアブルギアを装着するシーン。曰く「ビデオ版でははっきり、LD版ではすべてを見て取ることができる(なにが?)」とあって、そーいやー確かにLD版ではすべてを見る事ができたなー、とこぼれるヨダレをズルリとふき取る。似た場面でもうすこしペッタンコが好きな人には第7話がオススメ。あのミレイちゃんが電脳空間でケーブルに絡まれた姿でぶら下がっているシーンでは、TV版の着衣姿がLD版では何と服がなくなっているんだあああ。だからつまり、ってことですね。


【6月3日】 東京マルイの「モーゼルミリタリー712」完成。昔作ったプラモデルと違ってグリップの中に金属塊が入り、銃身にも火薬でも大丈夫なように金属パイプが入って手に持つとズシリと重い。火薬を込めて撃てばブローバックも楽しめるらしーんだけど、狭いワンルームでバンバンんなもん撃ってたら、警察呼ばれるのがオチだから(唯でさえ胡散臭いしホントに臭いし・・・)遠慮して、とりあえずはマガジンの出し入れと撃鉄を起こしては引き金を引いて撃鉄が落ちる動作を楽しむに止める。2つあれば「ジオブリーダーズ」の梅崎真紀お得意の両手撃ちを真似できるんだがなー。でも作るの結構面どいから、次はマルシンの完成品を買おうか。ハマっていくハマっていくズブズブズブ。

 日販週報をベラベラめくり、桑田二郎さんの「走れ!エイトマン」(筑摩書房)とゆー題名に目が止まる。エイトマンで原作者の平井和正ともども栄耀栄華を極めた漫画家が、主題歌歌手の殺人事件に本人の自殺未遂を経て一線から遠のきいったい今何をやっているかまでを、赤裸々に綴った本とゆーことで、昭和の漫画史をたどる上できっと最重要の位置を占める本になることだろー。関係ないけど昨日の続きで「鉄人28号」の歌を唄えるか否かとゆー自問に、「エイトマン」を当てはめるとこれもオッケーなんだけど、リアルタイムで番組を見た記憶がないくこれも「鉄人」同様に後から再放送あるいは懐かしアニメの主題歌全集で、覚えた口なんだろーと考える。「エイトマン」はどーですか?

 ミステリーファンは西澤保彦さんの「猟死の果て」(立風書房)が6月下旬に発売の予定。「卒業を間近に控えた名門女子高生が全裸で殺された」という宣伝文句に、いつもながらなSFチックな作品とは違うハードでコアな雰囲気を感じるけど、さて実際はどーなのか。それからこの夏話題のマサラ・ムービー「ムトゥ踊るマハラジャ」の魅力を紹介者である江戸木純さんが自ら筆を取って語り尽くす『「ムトゥ踊るマハラジャ」のすべて』が6月中旬に待望のリリース。発売元がジャパン・ミックスってのが謎だけど、豊満なミーナのポートレートや名実ともにスーパースターのラジニカーントの活躍が、極彩色の写真できっと存分に紹介されているだろー。ファンなら必読。読み終わったらそのままカレーを食べに行こー。

 涙なーみだの直木賞作家・浅田次郎の「見知らぬ妻」をSPA!っと読む。「鉄道員」に負けず劣らず泣ける話が多いけど、どこかにわざとらしさ、あざとさを感じてしまうのはこちらがスレているからなのか、それとも主題が「鉄道員」で頻繁に語られた「死」ではなく、「愛」が中心だからなのか。「死」ならいつか必ず絶対に訪れる現象であり、それ故に自身も他人も含めてその死に実感のこもった哀しみを想起し得る。が「愛」は経験によって格差が出るし、年齢によっても受ける印象がまるで違う。愛に疎くかつまだ若い(髪型は浅田さんにも負けてないけど)僕にとって、大人の愛ばかりが綴られた「見知らぬ妻」はちょっとまだ早すぎた気がする。とはいえこの僕が、10年経っても愛を知って楽しめるよーになるとはちょっと思えないんだけどね。哀しいけどさ。

 頭といえば今週の「SPA!」は表紙のドリフターズになんだかとっても親近感を覚える。理由は解るよね。しかし最年長のいかりや長介と最年少の志村けんがともに光輝く人だってのには、年齢でもない才能でもないもちろん顔の善し悪しでもない、一切に関わらず無情に訪れるホルモンと遺伝の攻撃に心からの憤りを覚える。ほんに世の中理不尽だあ。記事ではマスコミの理不尽なバッシングに叩かれた側が反論する特集が出色。「天にツバ」と銘打つだけあって身内に巨大なメディアグループを抱える身ながらも、あえてその罪を暴き叩く構図に硬派への転身を図る「SPA!」の覚悟の程が見える。

 がしかし。叩かれるほどマスコミって世間にまだまだ信用があるんだなーってのが読んで感じた印象で、つまりは巨大なシステムの中で己にあてはめられた役割を粛々とこなすメディア、ってな構図を言われなくても「創」とか「噂の真相」とかを読んで、何となく感じてしまっている人たちには、今さらなにって感じの記事って気もするね。いみじくみ溝畑さんがヒゲを剃ったら赤トンボ、じゃないそっくりになる日下三蔵氏が紹介している「三本の矢」(榊東行、早川書房)の中で、政策の遂行に利用されるメディアの姿が描かれていて、メディアの権威なんてガラスの城砂上の楼閣だってことが一般にも伝わり初めているんだけどね。もちろん一般週刊誌で特集した意味は極めて大きいから、次週以降にどんな特集を畳み掛けてくれるのかに、期待し成果を望みたい。関係ないけど6頁のヒロスエ、襟刳りから手つっこんでかき回してー。


【6月2日】 相変わらずの文字だけで構成してある色気も何もない「トリスアギオン」のページに初日から結構なアクセスで感謝感激雨霰。と言ってもこっちができるのはここまでで、後は読んだ人が面白いコンテンツかどーかを判断して、乗るか降りるかを決める事になるでしょー。読み返して思ったのは冒頭の「はじめに」の部分がえらく(名古屋弁)文学的でメルヘンチックなこと。普通の企画書って読んだことがないから、こういう文章をつけるのかどうかは知らないけれど、それらしい事柄をそれらしく語ってそれらしく思わせる能力は、まず企画書ありきな代理店生活では欠かせない能力なのかもしれない。聞くと電通で今は何をしているんだろーかの藤原伊織さんが文章チェックなんかしてくれたとか。なるほどそれなら文学的でメルヘンチックでも納得できるなあ。同じ社員作家の新井満さんだったら・・・やっぱ冒頭で力士が土俵入りだあ。

 メディコム・トイから楽しみな新製品リリースが到着、開けると前に見たことのあるつげ義春さんの「ねじ式」とことこ人形で、なんだ間違えたのかなと思って写真を良く見ると何かが違う。考えてまずその顔色の悪さに気付き、それからパンツの色が赤いことに気が付く。前に出ていたのはもうちょっと顔色良かったはずだよなー、と思って確かめるためにリリースを読んで納得、そうですこれは石井輝男監督による劇場映画バージョンの「ねじ式」フィギュアだったのです。何でも浅野忠信さんが映画ではいているパンツが赤色だそーな。顔色のついては本当に紫ががっているのかは不明だけど。とりあえずは公開している劇場での販売が中心になるそーで、つげファンならお帰りにおひとつお求めになるのが吉でしょう。凶かもな。

 リリースのもう1つがメディコム・トイ初のブリスターパック入りフィギュア「鉄人28号」。正太郎くん人形も付いて値段はえっと2980円くらいだったかな、そんなお値打ち商品であるにも関わらず、鉄人のディティールたるやまるでアニメの世界から抜け出して来たかのよーな精緻さで、手を上げたポーズを見るにつけ、頭の中には「ビルーのまちーにガオー!」「よるーのハイウェーにガオー!」ってな懐かしのテーマソングが聞こえて来る。えっ聞いたことがないから浮かんでこない?

 うーんそーかそーなんだよな、今の人たちって鉄人といえばやっぱり「鉄人28号FX」の方なんだよな(それも知らないか)。けど思うに最初のアニメの「鉄人28号」を知ってる世代って、いったどのくらいからなんだろーか。ほかに「パピイ」とか「ソラン」とか「スーパージェッター」とか。いつの間にか再放送をやらなくなったけど、子供の(大昔だ)頃って結構再放送、やってたからなあ。テーマソング頭に刷り込まれてるんだよなー。それはさておき「鉄人」もメディコムならではの優れ物。ブリスターの第2弾は何なんだろー。期待できそーだなー。

 諸田玲子さんて人の「まやかし草紙」(新潮社、1600円)を読み始める。平安朝を舞台に母親の死の謎を探る娘と出生の秘密を隠しながら復讐を誓う少年の物語、なのかなとりあえず読み始めたばかりなのでどんな展開になるのかはまだ未定。冒頭あたりを読んでいる限りでは平安物によくある陰陽師物とはちょっと違うよーで、どちらかと言えばミステリーの趣に近いけど、帯には「時代小説界に超新星!」とあるから、ジャンルミックスのエンターテインメント、といった定義(定義にもならんがこれだけ曖昧だと)が当てはまるのかもしれない。とまれ面白そうな展開に、今晩あたりは再び時差ボケ(つまりは寝不足)の原因を作ることになりそー。

 読みかけが多くて困るけど、もう1冊の読みかけが光原百合さんって人の「時計を忘れて森へ行こう」(東京創元社、1600円)。「クイーンの13」のシリーズの1冊として発売されている以上はおそらくはミステリーなんだけど、第1話を読んだ雰囲気はトリックとかバリバリの新本格物とは趣を事にする、登場する人の心を忖度しては真実を推理して解決していく北村薫風のミステリーって印象を受けた。心理状態の推理が相手にとっても優しくて、それがハマれば心地よい気分になれるけど、人を信じられない時に読むと、これは結構キツいかも知れない。場所と気持ちを選ぶ物語なのかも。とにかく表紙がおおた慶文さんが描く美少女ってのが良い。つまりはそれだけで買ってみた所もあるけれど、とりえずは正解、のよーな気がする。夜につとつとと読んでいこー。


【6月1日】 さらに続きの萩尾望都情報。ロフトプラスワンのトークライブでデビュー時代の事について聞かれていた時、かつて講談社に持ち込んでボツにされた作品群が小学館の今は「プチフラワー」編集長に出世した山本さんに拾われて、めでたく掲載の運びになったとか。「小学3年生が読者の『なかよし』では無理もないこと」とその場はフォローを入れていた萩尾さんだったけど、佐藤監督が「その編集覚えてますか」と聞いたらすかざす「名刺は持ってます」と答えたあたりに、何やら根深い物を見る。3つ子の魂踊り忘れず、漫画家の編集ってのも大変な仕事だなあ。

 今回のトークショウのメンバーはCD−ROMの発売にちなんでのことで、当然ファンなら皆購入済みだから佐藤さんがカバンから豪華版の方を撮り出した時にもたいして悲鳴は起こらなかったけど、にわかに始まったオークションには一転狂喜乱舞のおたけびが。何せ目の前で萩尾さんと佐藤監督と夢枕バクさんがCD−ROMにサインしてくれるとあって、12800円の定価の品物が5000円スタートでたちどころに2万3万と競りあがり、結局3万円で落札された。知っていれば財布にお金をいれてきたのに、でもサインくらいならそのうち(何時なんだ?)もらえばいいか、と思った次の瞬間「じゃあ絵も描きます」と萩尾さんが言って、ふたたび会場は興奮のるつぼへと変わる。

 希望により描き始めた萩尾さん、見ている間に着々と仕上がっていく美麗なイラストを、CCDカメラで見ながら会場から漏れるはため息ばかり。髪をペン入れし、服を描いてサインが入った瞬間には、目の前でその超絶的な職人技を見せてもらったことへの感謝の拍手が巻き起こった。しばらく後で始まったテレホンカードがもらえるクイズでは、猫の名前から萩尾さんの年齢、デビュー作のタイトルまで難易度さまざまな問題が出てファンが続々と「ポーの一族」やら「残酷な神が支配する」やらのイラストが描かれたテレかをゲット。うらやましいとは思いつつも、即座に答えが浮かばないあたりに自分のファンとしての薄さを見る。もっと「サンクトゥス」見て勉強せねば。

 3時までかかって新聞を更新して疲れて眠る。モーゼルは手つかずのまま放置され未だ完成を見ず。明日こそは。翌日、といっても同じ日の午前6時に起床してざっとネットを回るも昨日のロフトプラスワンに関する報告はみのうらさん家くらいしか見つからず、大勢いた割にはネット率は存外低かったのかもと考える。早起きしたのはネットを回るだけじゃなく、実はやりのこしの(謎めいた)(秘密の)仕事を片付けるためで、ほとんど徹夜明けに近いハイな頭でちゃこちゃこと原稿をやっつけ、冷静になって見直してから一部手直しをしてメール。これでとりあえずは完了し、あとは月末の発売を待つことにする。ちょっとやばい内容、でももっとやばいことを毎日書いている訳だし、今さら何やったって平気だい、ボーナス至急の15日が過ぎればさ。

 電通に呼び出されてフクロ叩きにあう。曰く「売れてない新聞に出す広告はない」「せめてもう少し認知度が高ければねえ」「紙、もったいないんじゃない?」。「わかりました。だったらもっとアニメと漫画とゲームの記事を増やします」、と答えた僕は提示されたアニメでも漫画でもゲームでもある企画書に目を通し、押しいただいて平身低頭して記事化を約束する。強いものには巻かれろ、重い物には潰されろ、それが処世術ってヤツだから・・・と言うのはまったくもっての冗談であって、実際は立場からして逆、どちらかとゆーとこっちが出かけこそすれ話を聞いてあげるとゆーもので、天下の電通に物を訪ねられるとゆー経験になんだかこそばゆい気がしてくる。

 といっても別に秋元某の如き何億円もの予算をもらってドでかく薄い(紙1枚、とか)企画書をでっち上げるなんてことはなく、予算ゼロの状況で走っているある企画について面白いと思ったらどこでも(つまりここでも)紹介して下さいってな、天下の電通にしては何とも貧乏なお願いだった。その企画の名前は「トリスアギオン」。このタイアップとメディアミックスとマーチャンダイジグが全盛の時代に、ビッグネームに頼らずメディアミックスも仕掛けずに、商売っ気を抜きにした楽しい作品を作れないかと考えた電通の多分若い人が、伝(つて)もなく金もない中をアニメのスタジオとか社内の詳しい人とかを回って賛同者を集めて、どうにか形を作っていった電通オリジナルのコンテンツ、ってことらしー。

 商売っ気抜きとは言っても主人公は美少女でメカもちゃんと出てくるけれど、コンセプトはもう少し硬派。世界で起こる災害に営利を伴わず出かけいっては人々を助ける未来版「国境なき医師団」、あるいはアニメ版「サンダーバード」若しくは「ER」といったイメージは、閉塞感にあふれている昨今の世界情勢の中で、どこかに救いを求めている人たちの気持ちを十分に惹きつける要素はある。最初この企画を持ち込んだのが、ノンリニア編集の第1人者として押井守さんとか岩井俊二さんの作品に参加している掛須秀一さん。割と世話好きな方だそーで、そこからスピリッツで話題の書道漫画「ラブレター」の原作をしているじんのひろあきさんに話が繋がり、コンセプトがより明確な物になっていった。

 1人で何億何十億もの商売をしているよーなイメージがある電通。けれども実際はテレビや雑誌やラジオの”場所取り”は得意であっても、オリジナルでコンテンツを立ち上げるだけのノウハウもなければリスクを背負う準備もない。「トリスアギオン」も社内的には未だオーソライズされていない企画で、これをどーにかして認めさせてせめてアニメに、いずれは映画に漫画にゲームに小説にと広げて行きたいってな希望をかなえるための第1歩として選んだのが、6月27日と28日に渋谷の公園通り劇場を使って公演する「リーディングドラマ」つまりは朗読劇だった。出演するのは今が旬の声優にしえエッセイストにして最近ではせがた三四郎との共演で公共放送にて顔出しもした横山智佐さん。最近は声優からの脱皮を意識して仕事をし、電通が枠取りしている「渋谷でチュッ」にも出演しない横山さんが「トリスアギオン」の企画にはオッケーと言って出演を快諾してくれた。

 ところが悲しいかな板がついて蒲鉾になってしまった貧乏が、派手な告知を許さずこれまでに広告が出た媒体は産経新聞の東京版の夕刊のみ。5月24日に発売になった前売り券は告知不足がたたって未だ売れ残りが山といった状態で、このままでは掛須さんじんのさんの尽力も、企画に賛同してキャラやらメカやらの設定を寄せてくれた若手のクリエーターの努力も、そしてタイトルを描いてくれた押井守さんの厚意も全てが水泡に帰す恐れが極めて高い。などと言われてしまって黙っていられないのが僕の多分甘すぎるところで、何はともあれ企画を広く知らしめなくてはと、ここに勝手に企画書を丸写しにして「トリスアギオン」のページを作ってしまった次第。売れたチケットの枚数を聞く限り、今買えば当日は多分、かぶり付きで横山さんの朗読を聞ける可能性が大。アニメになるのもゲームや漫画や映画になるのもすべてがこの2日間の公演の成果にかかっているので、お金が余ってしょうがないってな横山ファンは除いてみてもバチは当たらないと思うぞ。ファンじゃないとツラいかもしれんけど。


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