縮刷版98年3月上旬号


【3月10日】 千葉繁怪演の神魔・トンビを筆頭に、冷羽の父ちゃんの奇術師に学帽の白塗り兄ちゃんと、出てくるすべてのキャラが気合い入りまくりだった前回に比べると、ヤラレ役のエキストラ的キャラがいつもどーりの絵に戻っていてちょっとガッカリ、でも冷羽と美夕のバトルが始まれば絵なんてお構いなしの大活劇、とりわけ松風と2つの声を使い分けていた緒方恵美さんの熱演ぶりには頭が下がるとゆーかやっぱり緒方さんて女性なんだと解るとゆーか。物語は実んとこ良く解らない展開で、たかだか守護神魔に過ぎない冷羽がどーして監視者と同等の実力を持っているんだろーとか、ラヴァに切られた肩口から紙吹雪が散っていたのに父ちゃんみたく死んでしまわないのはどーしてなんだろーとか、考えればキリがないけどまずはひとまず冷羽編(んなもんあったのか)も終わって、いよいよ残りはあと3話。雑誌によれば最終話は平野俊貴さん入魂の1作だそーで、半年の月曜深夜を楽しませてくれたお礼を言いつつ、衝撃のラストシーンを期して待とう。夏はLDだ。

 でアニメ雑誌なんだけど、毎月10日に一斉に発売される「アニメージュ」「ニュータイプ」「アニメディア」に続く、第4の雑誌が今月から登場、その名も「AX」はゲームといーコミックといーサブカルチャーにはとことん弱いソニー・マガジンズが何を思ってか創刊した初のアニメ情報誌。中綴じのまるで「ニュータイプ」な版形の雑誌をペラリとめくるとなーんだ中身もほとんど「ニュータイプ」、とまで言い切ることはできないけれど、クリエーターらによるイラスト付きのコラムなんか、まんま「ニュータイプ」あるいは「アニメージュ」って気がしないでもない。おっと「B−CLUB」でも同じか。アニメ雑誌には欠かせない要素ってことなんだと、人選はともかく一応の納得はしておこー。

 しかしもうちょい台割りをスッキリとさせられんかったんだろーか。なんだかそこいら中にモノクロの設定資料が散らばっていて、どれがイチオシなのかさっぱり解らんし、新作のページ放映中のページビデオソフトのページゲームのページの配置の規則性が今ひとつ馴染めず、どこいら当たりに行けばどんな情報があるのかを1読ではなかなか理解できない。あるいは「アニメージュ」「ニュータイプ」を読んでいることの反動なのかもしれないけれど、せめて広井王子さんと雨宮慶太さんの対談くらいカラーページは巻頭とかそこいらあたりい持って来て、本分を2色ページに分載するとかにしてくれー。中綴じの真ん中でもないページにいきなり対談の冒頭だけ見開きで載せられても困るぜ。その前のページに「ヴァージンフリート」の広告なんか載ってるのを見ると、イカニモって気がしないでもないけれど。

 唐突と言えば他にも飯塚雅弓さんが前後の脈絡もなくやっぱり真ん中付近に見開きだけで出ていたり、こないだ秋葉原で発表のあったおたっきぃ佐々木さん製作総指揮のゲームソフト「ヴェクトライダーズ」絡みの記事がなおいっそう脈絡なく出ていたりして、タイトルロゴもなにもない見開きの記事に知らない人はこれは何だときっと戸惑う事だろー。とゆーより知らない人に知らせようとする意図すら感じられないから、読み飛ばされるのがオチってことで。他の2誌ではあんまり見かけなかった、「パーフェクトブルー」なマッドハウス制作の「アレクサンダー」を「AXプロジェクト」として大々的に取りあげているのは差別化って点では良いのかも。僕的には深井国ってるこーゆーキャラにはほとんど全く興味がないので、カラーでの見開きに島状な掲載の設定資料もやっぱり全然有り難くないけど、高そーなクオリティーに作品としてはちょっち興味あり。脚本も「パーブル」の村井さだゆきさんだし。秋がちょっと楽しみ。

 バンダイビジュアルから何故か案内が届いていたのでソニービルで開かれたアニメ「青の6号」の発表会に行く。エレベーターでブエナ・ビスタホームエンタテインメントの星野代表と乗り合わせて何故にと訝るもあのにこやかな表情に撹乱されてちょっと聞けず。かの「トイストーリー」を取り扱った会社だけに、「青の6号」の最大のウリにさせられているフルデジタルって手法に興味があったのかな。それにしてはプロモーションとしれ見せられた映像は、セルは使っていないけど見た目には普通のセル的な絵と代わらない2次元の部分と、ポリゴンぐりぐりな3次元の部分との見た目の格差が大きくて、セルこそ命な昔ながらのアニメ野郎にや1度ではちょっとその良さを理解することが難しかった。タイトルロゴは思いっきりカッコ良いけれど。

 生物的な匂いのするセル的な絵に比べると、3次元CGの絵は動きはどこかやっぱり計算されてるって感じが見てとれるし、潜水艦なんかの立体物はCGの緻密さ正確さを受けた存在感はあっても、動きに躍動感とかスピード感とか重量感が感じられず、ドルビーサラウンドの立派過ぎる音がなくなった時、見た目の綺麗さだけじゃない機械に対して使うのは不適切かもしれないけれど人間味ってやつを、観客に感じさせてくれるのか今はまだ未知数の所が多い。もちろんこれは昔ながらのセルアニメで育った人間としての感想で、ゲームの3DCG部分とかに感動できるもっと若い人たちには、存在感もスピード感も重量感も人間味もある物に見えたかもしれない。これは感覚の差であって、どちらに優劣があるとゆーものでは決してないので悪しからず。だいいち絵は絵でしかなく「青の6号」は作品である以上物語とゆー要素を抜いて語ることなんで出来はしない。すべては2次元と3次元の合成がなされアフレコも音響も加わった完成品を見てから。10月25日にLDとビデオをそれにDVDまで出すそーだから、評価はそれからとゆーことにしよー。

 しかし不思議な会見。バンダイビジュアルと東芝EMIとGONZOの製作側代表3人が陣取る向かって左半分が、いかにもなリーマン風の出で立ちだったのと比べると、監督の前田真宏さんを筆頭に草ナギ琢仁さん、河森正治さん、鈴木朗さん、村田蓮爾さんらクリエーター陣はそろって格好がゴルチェ系。首から上はいつもながらのぶっとい眉で顔の半分がうっすらな青の河森さんだって、首から下は柄の入ったタートルネックにジャケットだったりして、ブラッシーも真っ青な白い頭の草ナギさん、ニュータイプでも60年代のスキーヤーみたいな格好を披露してくれている前田さんほか、こんなオシャレな人たちがアニメ作っていーのかよって、そんな思いを抱いてしまった。村田さんは体系髪型にちょっと米良系、入っていたかもしれないな。

 「噂の真相」4月号を読んで月に吼える。86ページから掲載されているマスコミの給料比較を見れば、いかに毎日産経が他紙に比べてひっでー給料か解るでしょー。おまけにそれでもハイヤーが使えたり超過勤手当が厚い本紙に比べると、傍系の工業新聞なんかさらに輪をかけて××だったりするので、どーして未だに6畳一間のアパートに済んでいるのか、どーして未だにLC575なんか使っているのか、どーして未だに独身なのか(これは個人に帰結する話だが)が一目瞭然に解って頂けたことでしょー。何なに日経BPは35歳で年収が900万円から1000万円だとー。うーむ、おたく1人いりません?


【3月9日】 情報によれば2メートルくらいの距離ではホップアップシステムは関係ないそーなので、狭い部屋の中で射的代わりに遊ぶだけならハイグレードでなくてもホップアップシステムが付いてなくても良いってことで、今度は「ワルサーP38」なんかが欲しいなー、なんて思う私はやっぱり「ルパン3世」ファンだったりする。本当はルパンより好きな次元大介の銃が実は何だかはっきりしなくって、多分マグナムなんだろーけど「44マグナム」つまりは「S&W M29」じゃない「357マグナム」の方だとしたら、モデルはいったい何になって弾の出るタイプのはあるんだろーかと悩む。少なくとも東京マルイの低価格シリーズにはリボルバーは入ってないからなー。

 さらに本当に欲しいのは昔懐かしい「モーゼル」の、それもマガジン付きじゃないクリップに指した弾を上からジャジャッっと押し込むタイプだったりする。何でまたそんな古い拳銃が好きなのかってゆーと、それは横山光輝さんの「狼の星座」で馬賊(バゾク、ってもゲゲーベンの娘ではない)が馬上から馬賊撃ちって振り下ろしながら撃つ方を見せていたのが、子供心にカッコ良く見えたたってことになるけれど、東京マルイのシリーズには「モーゼル」は入っていないし、BB弾丸をそーやって押し込むなんて不可能だし。いやリボルバータイプのガスガンのよーにBB弾を薬莢の中に4発詰めたやつをクリップに指して押し込むって手もあるか。どっか安く作ってくれないかなー、いっぱい集めて「狼の星座」ごっこやるんだ(って誰も知らないって今どき「狼の星座」なんて)。

 来週に開幕するおもちゃショーの出展概要の発表があるとかでバンダイに行く。期待のプラモデル関係はライフエンターテインメント事業本部のホビー事業部が担当ってことになっていたけれど、少なくともおもちゃショーには目新しそーな出展はなし。既に「モデルグラフィックス」誌上なんかで明らかになっている、「ガンダムW」のオリジナル・ビデオ・アニメ「エンドレスワルツ」に登場する5体のガンダムのうち2種類と、トールギス3とサーペントカスタムの計4種類が144分の1サイズで発売されることが決まっていて、カラーコピーのチラシで勇姿を見せていてくれた。チラシに登場しているガンダムは「ゼロカスタム」と「ヘビーアームズ」での2つ。「ゼロカスタム」なんてちゃんとポリキャップ使って羽根が動いて大気圏突入型になるそーな。

 どーして「ゼロカスタム」と「ヘビーアームズ」だけなの? 「ナタク」は? 「サンドロック」は? 「デスサイズヘル」は? とお嘆きの特に五飛ファンなんか怒りに震えつつ思っているだろーけど、それらが2つに続いて出るかどーかは解りません。流石に経済記者の分際で常務の人に「デスサイズヘル出すんですか」ってなアレな質問は出来ないし。100分の1での「サンドロック」の不織布使ったりな手間掛けぶりを見ていると、安いシリーズで出すのはなかなか大変じゃねーかとも思えるし。でもまーバンダイの事だから、いずれはちゃんと出すでしょー。常務は無理でも事業部長あたりにプッシュしよー。

 しかし常務にいくらプッシュしても、超合金は復活できてもジャンボマシンダーの復活はちょっと無理みたい。曰く「仮に復活させるんなら30万体は売れないと」。すでに存在しない金型ってゆーのか射出成型の枠ってゆーのか、それを作ると5000万円とかかかってしまって限定30000体とかじゃー採算がとれないらしー。それに超合金だったらお部屋のインテリアにおひとつ、ってな展開もアリだけど(ないない少なくとも真っ当なご家庭ではない)、ジャンボマシンダーじゃー床の間に飾るには大きすぎるし仏壇では位牌と場所の取り合いになるしで、今時の狭いわが家ではちょっと置き場に困ってしまう。30万人の署名を集めればあるいは可能かもしれんので、是非と思われんかたはやってみたら・・・・やめといた方がいいか。

 代わりっちゃーなんだけど、「新世紀エヴァンゲリオン 究極版」が5万だか何万だか売れたってのに気を良くして、いわゆる「スーパーロボット」物でもあーいった大型な商品を出したいなーってことを言っていた。例えば「マジンガーZ」とか「勇者(超者じゃないぞ)ライディーン」とか「ゲキガンガー3」とか。いや「ゲキガンガー3」はこっちで作った嘘としても、超合金魂の「マジンガーZ」の受け方を見ていると、「マジンガー」のでっかいプラモデルたっぷりなギミック付きなら、存外買うおじさんは多いかもしれんと思ってみたりするけれど、さてもデフォルメが重要なスーパーロボットを、3次元のプラモに置き換えることが出来るのか否か。4月以降に発表予定の新作ガンダムでのプラモ展開と合わせてちょっとナリチュー(「成りゆきに注目したい」の略)。

 ちなみに新作は不明でも、旧作のそれも初代「機動戦士ガンダム」がいよいよLD−BOX化されるってのは本当の話で、すでにネットあたりに情報は流れていたけれど、今日バンダイビジュアルから正式に決まったってな連絡が入っていて、うおーっと社内で大声を上げたら白い目で見られた。そんな会社ってなんかツマんない(普通だってそれが)。ちなみに発売はパート1が8月でパート2が12月。ちゃんとボーナスシーズンにぶつけて来てくれるとろこが、良い(元)子のためのバンダイビジュアルらしくって好き。取材はなかなか取らないけれど、とりあえずこの快挙だけは誉めて遣わす。

 しかしそーと決まれば、たとえ景気が悪くて首になる瀬戸際であっても、あるいは待遇に不満があってフトコロに辞表と捨てぜりふを抱えつつ毎週日曜日の朝日新聞は欠かさない人であっても、ボーナスをもらうまでは是が非でも会社にしがみついて、リーマンの特権を活かさなければと思うだろー。思ってるんだよ。フリーの人は8月と12月の振り込みを当てにして5月とか6月、9月とか10月の仕事をちょっと増やして「その日」に備えなくっちゃ。ね。もっともその前に「サンダーバード」のDVDボックスも出たりするんだけど・・・。ああ財布が軽くなる。

 玩具事業部では「たまごっち」関係でキャラクター物を中心に展開していく予定とか。例えば中村玉緒さんを起用したその名もモロな「玉緒っち」とか、「ドラえもん」の形をしていてもちろん「ドラえもん」を育てる「ドラえもんっち」とかが本当に発売される予定。「キティっち」とか「バイオハザっち」とか「パラッパラっち」とか「ピカチュっち」でも出来そーな気がするけれど、流石に「ソニックっち」だけは意地でもバンダイ、出さないだろーなー。ほかには「デジタルモンスター」がバージョン4まで出るみたいで、あとタカラが出していた「ガイオガイガー」のよーなスーパーロボット物がなくなってしまった関係で、今度は自社でやることも検討中とか。

 問題は「セーラームーン」以来のヒット不足に悩んでいる女児玩具で、「だったら」とここで怠惰で不勉強な経済記者ってな仮面を外して、相手の企業をとことん勉強し尽くした熱心な記者ってなモードに切り替えて「カードキャプターさくらは?」と常務の人に聞いたら、「あれはどっちかっていうと男の子向きだから」との答え。ならば「クレヨン王国は」と聞くと「玩具は全然ダメなんだよね、番組は良いみたいだけど」との答えが返って来た。「ファンファンファーマシーは」「みいふぁぷうは」「アッコちゃんは」なんて突っ込んでいたら、周囲の勉強に不熱心な経済記者がみるみる引いていくのが見えて、ザマーミロと思ったけども本当のところはどーなんだろー。いーんだ、世間は解ってくれなくっても。


【3月8日】 反省を込めてちゃんと午前中に起きて東京都現代美術館へと向かう。イタリアの現代芸術作品がまとめて展示してあるとゆーことで、さぞやイタリアーンな極彩色の、スタイリッシュな作品が多いと思っていたらさにあらず、アメリカーンなポップアートの喧しいまでの饒舌さから対極にあるシンプルで寡黙な作品が多くって、仕事の忙しさ理不尽さにささくれ立った気持ちを落ちつかせてくれた。椅子にこしかけていたコンパニオンのお姉さんたちが、暑い室温にも関わらず揃って膝掛けをしていたのも気持ちが高ぶらなかった要因か。理不尽な怒りはちょっとだけ湧いて来たけれど。

 デザインのお国柄だけあって、一つひとつの作品のフォルムがとても洗練されていたことが、飛び出して来るよーなパワーを感じさせなかった要因かもしれない。けれども決して内にこもった自己完結型の作品にはなっておらず、素材によって描き出された形象、それが置かれた空間を通して観客に何かを語りかけて来る。心地よい時間を過ごせる展覧会。個人的には針金を組み合わせて上に小さなシンバルが付いたりぶら下がったりしている作品とか、幾何学的な図柄にロウを塗りたくった作品とかが結構好き。でもロウの作品って夏場なんか溶けちゃわないんだろーか。冷房の無いご家庭では、ご鑑賞できません、なんてPL上の注意書きが付いてたりして。

 美術館までは東西線の木場から歩いたけど、今度は美術館から都営地下鉄の新宿線の菊川駅までテコテコ。時間的にはあんまり違わず15分も歩けば着いてしまう距離。普段はそれすら面倒でバスに乗ってしまうんだけど、さすがに出っ張ってきたお腹が気になって歩くことにした次第。途中で砂糖たっぷりの缶珈琲を飲んでしまえばお仕舞いだったりするので、飲むのも缶入りブラックにして朝食を抜いた空腹をごまかす。ちょっとは体重減ったかな。「街」のデブチン美子の気持ちがちょっとだけ解る。でも食べ物のことを考えたって僕は目は寄らない。白目を剥くだけだ。

 都営新宿線で新宿3丁目で降りてさくらやホビー館へ。向かいにある「ピカデリー3」で上映中の「パーフェクトブルー」は相変わらずの盛況のよーで、整理券がないと立ち見って状況にやって来たアベックが憤慨していた。渋谷もやっぱり似たよーな状況なんだろーか。早くもちょっと大きな小屋に移した方が興行側も儲かって良ーかも。機会があればもう1度見たいと思ってたけど、これじゃーちょっとキツいかな。とまれ今日は映画が目的ではなく、「さくらやホビー館」の3階でエアガンを物色、もちろんアレとコレとソレを討つ(こっちの字で良いんです)ための武器として買う・・・・訳ではないけれど、心情的には似たよーなもんだ。

 そんなにお金がある訳でもないので買うのは東京マルイの超低価格シリーズ。何せ一番安いので1500円くらいからあるんだから驚きで、それが結構な命中精度を誇っているとかでビギナーのエアガンファンが続々と買っていく。例えばどうみたって10歳くらいにしか見えない、プラスティックの水鉄砲の方が似合いそーなガキのお子さまが、父親だか母親といっしょに来ては棚を物色して挙げ句に「ヘッケラー&コック」だとか「スタームルガー」だとか「シグ」だとかいった、「コルト」と「S&W」しか知らない(それも「ピースメーカー」に「ガバメント」に「M29」だったりする。飛葉ちゃんの「ウッズマン」も知ってるか)オールドな鉄砲ファンには見当もつかない種類の鉄砲を見比べて買っていくからちょっと吃驚。いくらヴァーチャルなゲームからリアルなヨーヨーだとかキャスト(ガレキじゃなくって釣りの方)へと関心が移っているとは言え、エアガンが子供の間で流行っているとは聞いたことがない。

 しかし売場に集まるお子さまなガキの買い物具合を見ていると、中には電動エアガンのサブマシンガンを何万円も出して買っていくお婆ちゃま連れのお坊ちゃんがいたりして、やっぱり世の中気が付かない所で大きな変化が始まっているみたい。小学校の授業にサバイバルゲームなんてあったのか? 間違えた先生はハンドガンで打ち抜かれサブマシンガンで蜂の巣にされても文句言えないのか?? 女の子はスカートの中にPPKみたいな小型のハンドガンをくくりつけているのか??? こりゃー是非とも小学校に先入して、ホビーの流行の最先端がどーなっているのかを確かめなくてはなるまい。それがエンターテインメント担当記者の使命だ。別に小学生のブルマー姿を盗み撮りに行く訳じゃないぞ。

 貧乏なのでサブマシンガンは買えないが、それでも大人の意地を見せてちょっとだけ高いホップアップシステム搭載のハイグレードモデル「コルト DOUBLE EAGLE」を購入。コルトと言えば大昔どっかのプラモデルシリーズで始めて買った拳銃が、リボルバーの基本中の基本である「コルト シングルアクションアーミー」だったりして、以来「S&W」より何となく好きだったりするメーカーだけど、「ガバメント」に続くオートマチックだったと思う「ダブルイーグル」は、誕生から50年は経っていると思った「ガバメント」より洗練されつつも、どこか「ガバメント」の面影を残した、車で言えば新型「ロードスター」ってゆーか、スカイラインの「R31」に対する「R32」って感じの、発展ぶりを感じさせてくれる。

 早速クッキーの缶を開けて口に紙を張って的を書き(顔ではないぞ、誰の顔ってことではもちろんないぞ)、2メートルくらい離れた場所から呪詛と罵倒の呪文を頭のどこかに思い浮かべつつ、バシバシバシッと弾を放つと、場所が近いからなのか真っ直ぐ遠くまで飛ぶホップアップシステムが効いているのか、結構な確立で真ん中に当たる。ズレ手も真ん中から直径10センチは外さず、僕って結構良い腕してるじゃん、卒業してヤクザな道に進まずちゃんと合格した愛知県警に入っていたら拳銃で1等賞くらい取ってたかもしれんなー、などと益体もないことを考える。火薬の反動もないプラスティックの銃で2メートル先の的外してどないすんねんな。

 それしにしても性能が良いのか当たった的を破ってBB弾が当たった缶の裏側に、くっきりと弾の跡が付いている。裏側から見ると膨らんでいて、何度も繰り返し当てているとそのうちブチ抜けるんじゃないかと思えてくる。2000円台の玩具のよーなエアガンが、これだけの威力を示しているのならさらに効果なガスガンとか電動エアガンの威力たるや、詰まったコーラの缶くらい平気でブチ抜くかもしれん。ましてやそれが小学生の間で流行っているとは、これで日本の未来は安泰だ、じゃないちょっぴり恐ろしい気がしてくる。

 エアガンを小学生が遊ぼうとも、バタフライナイフを携帯しよーとも一向に全然構わないんだけど、ルールをちゃんと守らせれるか、ってところに親の役割が浮かんできて、無理解な上に無関心な親ばかりでは、いつかヤバいことになるやもしれんと悩む。などと言ってる前に社会人にあるまじき社内でエアガン振り回し、なんて事態が大人になりきれない人間ばかりの世の中で、真っ先に起きないとも限らないんだけどね。おい、こっち見るなよ、撃つぞ。


【3月7日】 お「街」かねな「街」情報、と言っても未だに2日目あたりをウロウロしていて脱け出せない。先に終わった傭兵とヤクザに続いて、ようやくにして作家と俳優とデブと刑事の2日目を終了、残りは金曜日と学生とゆーことにまでなったけど、学生はどこまでやってもキャベツ教の伝道師、金曜日は売れないミュージシャンになってしまう。まずいなあ、ただでさえ飽きっぽい性格が、行き詰まったゲームのなかでムクムクと頭を持ち上げて来て、だいたいの所は分かったと放り出しかねない寸前まで来ている。攻略見るのも癪だし、かといって1晩も2晩もかけるのは業腹だし。誰のどこか不味かったのか調べる気力も付き果て、翌朝の再チャレンジを期してとりあえず床に着く。

 がしかし、目覚めるとすでに朝はどこから来るのかな、トンネルくぐって土の下、モグラの国から来るかしら。違う朝はすでに遠くの国へと過ぎ去って、時計は無情にも午後の3時を刻んでいた。貴重な週末の半日がこれでパー、仕方がないのでご飯を仕入れに近所のデパートを散策、ガーデニングブームの延長で流行って来たのかスコーンやらベーグルやらを売っている店で全粒粉のベーグルを3枚買ってサラダを買ってビールを買ってソーセージを買い込む。玩具売場に回って新製品が入っていないかをチェック、ついでにプラモデルの山を見ると1つだけ妙に古ぼけた箱があることに気付く。手にとって箱書きを見るとおおこれは。懐かしの「重戦機エルガイム」に登場していた金色に輝くヘビーメタル「オージェ」の可動モデルではないか。とても再発物には見えない古さに、あるいはプレミアムが付いているかもしれないと思うものの、持ち合わせがなく購入はあきらめ、山の下の方へと潜らせてしばらく様子を見ることにする。

 本屋へ回ってノベルズの棚へ。1冊ビキニとゆーかボンデージの姉ちゃんが髑髏の上でシナを付くっているイラストの本が目に入り、寄ると大きく「SMスナイパー」の文字、いかんなあ普通の本屋でこんな大人の夜のお友達な本を置いちゃあと、教育的配慮を施すために手にとり中身を立ち読みし、目次からいったいどんな「S」とか「M」とかがあるのかを探る。なになに「怪獣対策会議」、うーんきっと怪獣みたいなイジメられ方をする話なんだろーな、えっと「惑星ハニー」こりゃきっと甘く淫靡な話だね、うん「それゆけ薔薇姫」いかにもトゲトゲで痛そーなタイトルじゃないか、「パンダにバックドロップを」うーん獣姦モノかあ・・・・と並ぶタイトルの下にある、筆者の名前に見かけたのが「岡本賢一」の名。どこかで聞いたことがある名、と考えてハタと気が付く「パスカル穫ったSFの人じゃん!」。

 で慌てて再び表紙を見返すと、お約束にも「SMスナイパー」は「SFスナイパー」の誤りであった、とか。いつまでも手に持っていると同じ誤解を周囲の人に抱かれると、周囲にあった別のノベルズを一緒に手にとり、それでもレジのお姉さんに間違えられる可能性を心配しつつ、お金を払って袋にしまいって勇んで家へと持ち帰り、取り出して表紙の文字やら後書きなどを確認し、「SFスナイパー」がその筋では結構知られているとゆーファンジン「パラドックス」に掲載されたSF作品のアンソロジーであることを知る。うーたくややこしい名前を付けんなよ。

 「SFマガジン」と「SMマガジン」「SMスナイパー」が本屋で間違えられて一緒に並べてあったという話は、SFとゆーマイナーなジャンルを、それでもこよなく愛しているという、ちょっとばかりひねくれた、ややもすれば自虐的なニュアンスで語られているが、幸いにして政令指定都市に育った身には、いかな場末の本屋でも、レジのオバサンに白い目でみられたとかゆー経験は一切無い。あるいは一種の都市伝説として、SFファンの間に伝えられているのかとも思っているが、実際に「SFスナイパー」なんて本が、かつて「SMスナイパー」を出していたミリオン出版から出されると、現実問題として今も健在の「SMスナイパー」と、並べで売られる可能性があるのではと、心配しつつも伝説がな一層強固な物となる楽しみを感じてる。「SMスナイパー」より売れなかったらSFの名折れなので、みなさん恥ずかしがらずに買いましょう。

 もはや処置なしの「パーフェクトブルー」症候群、映画の中で少ないセル枚数を必至に動いていたCHAMの唄と踊りにほだされて、レコード店で「パーフェクトブルー」のサントラ集を買ってしまう。冒頭から流れるのはフリフリスカートに膝上ソックスがとってもキュートだった3人CHAMの唄っていた「愛の天使」。そこそこの人気はあったものの、オリコンにランキングされることなんて無かったマイナーなアイドルグループの唄として相応しいよーに、今敏監督が作曲家の人に「あんまり売れてなさそうな感じで」と頼んだだけのことはあって、赤面するよーなアイドルアイドルした歌詞と曲に仕上がっていて、聞く者のお尻をムズムズとさせてくれる。2曲目に入っている2人になったCHAMが唄った「一人でも平気」も、冒頭の叫びやら合いの手のうめきやらが時代を採り入れよーとしてベタベタになってしまった歌謡曲、って雰囲気を実によく出してくれていた。カラオケ出は是非ともフリ付きで唄いたいので今敏監督あるいはレックスエンタテインメントには、ミュージッククリップの発売を願うぞ。


【3月6日】 「星方武侠アウトロースター」はとりたてて動きの無い回。醤油やら味醂や味噌やらた塩やらえらく日本風の調味料のビンが行き交ってとても未来の宇宙船の中には見えないけれど、それが不思議な生活感を醸し出しているから良しとする。格納庫からジムが押し出した塩ってあれ10キログラムの袋入りだよね、それを軽々と小脇に抱えてスタスタと歩いていったメルフィナってやっぱりそーとーな力持ち、なんだろーか。ジーンの命を狙っている筈の鈴鹿がいつの間にか仲間になって朝御飯まで一緒に食べていのに、やっぱ何故って聞いちゃいけないんだろーか。初代「ルパン3世」の五右衛門は一応いっしょに笑うってお約束なパターンで一応仲間入りの儀式を棲ましたけれど、鈴鹿はその辺りどーなってたってか。ヒマなんで録画、見直すか。来週はエイシャもご登場の様子で、一気に話も転がり始めそー。さても楽しみな木曜深夜です。

 月曜日が休刊で土曜日も日曜日も出さない場合の金曜日は出稿がないので比較的ヒマ。ってことで午前中を使って新宿の「ピカデリー3」に「パーフェクトブルー」を見に行く。前に製作したレックスエンタテインメントに取材に行った関係で、その時に書いた「大ヒット間違いなし」記事の事後フォローってことで、まあ半分は仕事って言い訳をしておこー。11時の開場の30分前につくと、一応開館はしていたものの切符売り場の前でちょっとした行列、後についてしばらく歩き、よーやく入った劇場の何とまあ小さな事、みすぼらしいことよ。これじゃーGAGAとかブエナビスタの試写室の方がスクリーンも椅子も立派だぜ。こんなことならパイプ組んだ上の仮設椅子でも「パルコパート3」に行けば良かったかなと少し悔やむ。

 前から3列目か4列目中央付近に陣取って、30分ほど幕が開くまでの時間を「動画王」を読んで潰す。侵略SF特集と銘打ってあるも半分以上が特撮ヒーロー物に海外の特撮映画の記事で、これのどこが「動画王」やねんと放り投げたくなる気持ちもあったけど、特撮も別に嫌いじゃないので次への糧にして戴きたいと苦言を呈してとりあえず許す。本分は思い入れたっぷりのライターさんが思い入れたっぷりの文章を書き連ねた、賛同できれば楽しく否定的なら苦笑の漏れるエッセイ風の記事ばかり。笑いつつ怒りつつとりあえずは読み通す。イラストはハマーン様が大きく描かれているので許す。「Zガンダム」はハマーン様が出ているとゆーだけで如何な悪評があっても全然オッケーなんすよ、あたしゃ。

 「太陽の牙ダグラム」の敵役にあたるラコックの肩書きが「高等弁務官」だからといって珍妙とコキおろしていたのには参った。そうか緒方貞子さんは珍妙な肩書きの敵だったのか。あるていど現代の政治状況やら社会情勢やらを踏まえた設定をしただけなんだと思うけど。もっとも「チェアマン」とか「オーナー」とか「コミッショナー」とか「代表取締役相談役」とか「署長」とか「エグゼクティブプロデューサー」とかって肩書きの敵の首領が出てこられたら、やっぱり興醒めするけれど。「わが輩は××星系から地球を征服にやってきた先遣隊のプロデューサーなるぞ」なんてマントはためかせて言われても、ねえ。

 そーこーしているうちに60人くらい入る場内はほぼ満席。春休みに入っているとはいえ平日のそれも第1回目にこれだけの観客を集めるってことは、やっぱり相当な期待がかかっているってことなんだろーか。チャイムが鳴って東宝本社の2階にある試写室よりも小さいんじゃねーかと思われるスクリーンで、いよいよ始まった「パーフェクトブルー」は紛うことなき傑作アニメーション、であった。第1に出演者の髪の毛がほとんど黒い、これって現代のアニメでは実に斬新な手法なんじゃなかろーか。と冗談はおいても、現代の街と人と社会と暮らしを実にリアルに再現しつつ、リアルと幻想が入り組み交錯していくとゆー、実写ではともすれば陳腐だたりグロテスクであったりするストーリーを、アニメならではの絵と動きによって見事に再現してくれていた。

 竹内義和さんのストレートなストーカー物だった原作を、よくぞここまで入り組んだ物語に書き換えたものよとまずは脚本の村井さだゆきさんに脱帽、そしてリアルな夢とシュールな現実が交錯する入り組んだストーリーをよくぞ映像にまとめあげたものよと監督の今敏さんに2度脱帽。アイドルのパンツがチラでもモロでも見えるとか、腰クイクイなレイプシーンが猥雑だとか、アニメ初じゃねーかと思われるヘアヌードが登場するとかいった下世話な話題で盛り上がることも可能だけど、やっぱり最後はあれだけの複雑な物語、意外な結末、そしてちょっとだけ哀しいけれど感動のラストシーンを見せてくれたことに、たとえビデオ用として制作したためクオリティー面で不本意だった劇場公開であったとしても、素直にパチパチと拍手を贈ろう。映画に1番欠かせないお金を英断と熱意で拠出したレックスエンタテインメントにも。早くDVD、出ないかなー。

 お約束にもTシャツを購入、それも「CHAM」の3人が並んでプリントしてある1番アニメアニメしたやつ。何時着るんだってちょっとこの年では恥ずかしいこと大だけど、着ていておかしくない場を考えて、いつか披露してみせよー。例えばゲームの発表会とか、SFセミナーとかSF大会とかワンフェスとかコミケとか結婚式とか葬式とか。流石に午後にやった唯一の仕事であるところの、トッパン・フォームズの東京証券取引所第1部上場記念記者会見では着れなかったけど。ゲームの記者会見といえばその高邁な思想とクオリティ、そして情報の網羅性によってゲーム界の朝日新聞とも日経新聞とも勝手に読んでいる「ファミ通」に、再び胡乱な丁髷野郎が登場。冒頭のニュースのページの、光栄の新作ソフト発表開場でうつむきながらメモとってる丁髷が僕だったりするのだが、顔は見えないから歩いていてもきっとサインは求められないだろー。

 うーん「エンダーのゲーム」だったとは驚きだぜい、久々に見た「大運動会」がいきなりな侵略SFになっていて吃驚。きっと「動画王」も気付いていなかったんだろーなー。状況が良く分かっていないのか、キョトンとしながら目をキョロキョロさせている神崎あかりが妙に抜けててそこが可愛かったりするのだが、そうは言ってもコスモビューティー来るべき宇宙人の襲来に備えて仲間を集めに世界を転戦、やっぱりなメンバーを集めていよいよ次回からの最終戦に備えるのであった。ってこれやっぱりマジな展開だったのか、いやー途中全然見なかったもんで、あるいは夢オチな設定かと思っていたんだよねー。まあ良いせいぜい大風呂敷広げて果ては銀河を股にかけての「大運動会」を見せてくれい。


【3月5日】 キミは赤道小「街」っ! と山下久美子が唄っていたのはもう何年前のことになるんだろーかと遠い目をしながら「街」をやる。ぼーっとした頭にはストーリーが全くと言って良いほど入って来ず、怠惰に流していたらやっぱりなバッドエンディングになってしまってさらに気が遠くなる。ようやっとヤクザの2日目を終わって役者の2日目に映ったら、ヤクザの2日目で経験しなかった事態によってあっとゆーまに役者の2日目が終わってしまった。これってなんかおかしーよーな気がするんだけど、パラレルワールドだと思って納得するしかないのかなー。謎。作家は相変わらず蜜柑の上で寝っぱなしで回復の兆し無く、きっとどこかで間違えたんだと辿ってやりなおしてまた蜜柑、いい加減に蜜柑が嫌いになって来た。刑事の音楽も良いけど作家の音楽も良いなあ。難波弘之最高、サントラ買うか?

 簡単だよ、キャラ萌えになってしまえばどんな脱力なアニメだって、毎週楽しく見られるんだと「AWOL」で萌えそーなキャラを探して、レイチェルに萌えることに決めてようやっと「AWOL」を見る目的が出来た。レイチェルってのはオープニングにアップから弾くおかっぱ頭のお姉ちゃんのことで、本編に登場しない第1話からオープニングでなんだか気にはなっていたけど、お話が始まって毎週のよーに登場するよーになって、何となくあの髪型あの唇あの目あの腰あの足に、惹かれるものを感じはじめることにした。お話自体はこれから敵ソロモンの本拠地に侵入戦をしかける段階まで来ていて、少しは緊張感が出てきたみたい。これでレイチェルが死んでしまうともう見る意味がなくなってしまうので、どーか最後まで(ってもあと少しか)活躍しなくてもいーから画面の隅っこにでも登場させてやって戴きたい。

 柳原望の「まるいち的風景」(白泉社)を買う。友だちとゆーか子供とゆーかペットに近い記憶もプログラムも真っ白なロボット「まるいち」は、飼い主とゆーか持ち主の行動を真似てその行動を記憶して成長していくことができる。そんな「まるいち」を、人は自分の欲望のはけ口や悪意を実現するマペットとして使うこともあるけれど、それは結局人が自分の心に秘めている、押し込めている思いをさらけだし、求め叫んでいることのあらわれに過ぎない。出すものを出した後に浄化され癒されるとゆー物語に、背伸びしたり突っ張ったりして言いたいことの1つも言えないシャイな人間は、きっとホノボノとした気持ちにさせられるだろー。あー俺も1つ欲しいぞ「まるいち」。誰かワンフェスで等身大「まるいち」作んないかなー。3万でも買うぞ。

 吉村明美さんの「今でも夢に見る」(小学館)を買う。少女漫画ばっかりやな、それが「ハイパーヨーヨー」といっしょにアタッシェケースの中に入っているのだけは、絶対に官憲に見られてはならないきっとおかしいヤツだと赤丸要チェック入れられるから。で「今でも夢に見る」は表題作と「一夜」の2本がカップリングになった中編集で、どちらも人との出会いによって励まされ支えられて生きていく少女が描かれていて、表に出ず出会いとは縁遠い身になかなか切ない思いを抱かせる。明治のミルクチョコレートで女の子を手懐けられるとは思わなかったぞ「一夜」。ノッポで馬面で眼鏡かけててひょっとこ口で性格ちょっと悪そーなのに美人ってな「今でも夢に見る」の市丸徳子さんっていーですねー。誰かワンフェスで・・・・(こればっかりや)。

 青山スパイラルでシナジー幾何学の発表会。あの奇才でデビッド・リンチをエグゼクティブ・プロデューサーに迎えてデジタルコンテンツやら映画やらの企画を立ち上げるって内容は、そのスケールの大きさもあって結構な関心を集めたみたいで、会場には用意された椅子に座りきれないほどの来場者が集まった。きょうび大きな企画はスポンサーがないと作れないってことを示してか、会場の前の方に容易された来賓席には投資会社のマルチメディア・ファイナンス社長を務めている山科誠・バンダイ会長を筆頭に、たぶん銀行関係あるいは金融関係らしき人がいて、その重用ぶりに才能だけでは食べていかれない時代の厳しさを見る思いがする。プレスより重用されてるのってのにムッとしてちゃいかんのだよね。プレスは金くれないもんね。

 発表もやっぱり金の話から始まって、当然のごとく冒頭に山科さんが挨拶に登壇。自分のところのマルチメディア・ファイナンスが何をしている会社なのかを見せると言って、いきなり「パラサイト・イヴ」とそれから「きけわだつみの声」の映画の場面を流したのには驚いた。もしかして次に流れるのはあの「北京原人」か、だとしたらその投資の判断にどこか常人では理解し難い基準があるのかなんて、別の投資者の心を揺さぶるのではないかと心配したけど、無用な興奮は避けよーとしたのか、単にマルチメディア・ファイナンスの投資がなかったのか、流れたのは先の2本だけだった。あるいは上映することで感動に更なる投資を喚起したかもしれないと・・・考えるのは止めておこう。ウパ。

 デビッド・リンチがシナジー幾何学と組んだのは、かのベストセラーソフト「GADGET」のアメリカ版をリンチが見たことがきっかけらしく、洗脳やら無意味な機械群やらが登場する暗いくらーい世界観が、やっぱりリンチも大好きだったのかななんて想像してみる。集まった人たちに、企画の根っこできっかけになった「GADGET」を作った庄野晴彦さんの世界観を理解してもらおーと、来年春公開とゆーフルCG映画の最新作「アンダーワールド」の予告編を披露。前に一部分だけ見たことがあったけど、人物が入って物語が少しだけ見えて来て、それなりに期待をかけられそーだってことが分かって来た。人物に関するグラフィックは、動き造形その他とてもリアルな人には見えない。けれども庄野さんの描くところのキャラクター性がたっぷりと入っているから、慣れてしまえばそれなりにずっと見ていられる。背景やら小道具やらのリアルさは正直凄い。水が波打つ光景なんてどーやって描いているのやら。手に持ったルガーP−08の質感重量感なんてどーやって表現しているのやら。グラフィック良し音楽良しな「アンダーワールド」、後はシナリオだけなんだけど、さてはて?

 肝心のリンチ作品の方も、インタラクティブコンテンツおよび映画に関しては来年の夏以降の登場になるみたい。何年も前から米国と綿密な打ち合わせを繰り返しつつ出資者を集めてKDDなど協賛企業も集めていった粟田政憲・シナジー幾何学代表取締役の尽力には頭の下がる思いがする。どーりで広報に取材をお願いしても返事が来ないはずだぜきっと相当に忙しかったんだ、と好意的に理解しておこー。アウトオブ眼中、じゃないよな。もっとも現時点ではあくまで映画やデジタルコンテンツのデベロップメントについて契約が結ばれたってだけの段階で、これが映画として本当に撮影されて劇場公開されるまでには、更なる高いたかいハードルが控えているから、忙しさは益々募って取材どころじゃないだろー。しかしこれだけのハードルを常時越えて来る向こうのコンテンツってのは、通されたフィルターの数だけやっぱりそれなりに凄いんだろーね。だから「タイタニック」なんて脅威的な作品が生まれるんだろーね。でもいくら10億ドルを稼いだからって、今回の企画が成功するかどーかで、「タイタニック」を引き合いに出すのは止した方がいーんじゃないかな、だって「タイタニック」は沈んだ船なんだから。


【3月4日】 ちょっとした「街」がい。が積み重なっているのか2日目に入ってバッドエンディングになる確立がさらに上がったよーな気がする。美青年はキャベツ教の伝道師になってしまうし金曜日は月曜日とミュージシャンになってそのまま消滅、作家は蜜柑に埋もれてからいっこうに復活の兆しをみせず、刑事はえーっとどうだったかな、多分たいしたことにはなっていない。どこかでついつい間違えた行動をとってしまった結果が、一見無関係な誰かの暮らしに多大な影響を与えているってゆーことを、きっとゲームは教えてくれているんだろー。なんて深いゲームなんだ。

 例えば自分の生活で、ついつい乗り過ごした電車で本当だったら家は金持ちで性格は温厚な一人娘の超美人を、たいしたことのない危機から救って見初められて目出たく婿養子、ってな運命が待ち受けていたのかもしれないと考えると、その人に幸せを与えることができなかったんだなーって、妄想の中で悔やんでみたりもするし、次の人に譲ってしまった宝くじが、1等前後賞付き1億4000万円をもたらした結果、悲惨な金の奪い合いから一家離散に至ってしまったこともあるかもしれんと、空想の中で反省してみたりもする。仕方がない、そーいった不幸はすべて僕が引き受けるから、家付きの美人は電車の中で待ってなさい、当選する宝くじはちゃんと僕に買われなさい。

 すごいぞ濃いぞ今週の「SPA!」は、何といっても「ブレンパワード」で久々のテレビシリーズを手がける富野由悠季さんにザンボット本が大ヒットな氷川竜介さんがインタビューした「エッジな人々」の記事が載っていて、それから大森望さんに開田あやさんにおたっきい佐々木さんらが回答者になった「厳選!このアニメがすごい!」ってな企画も載っている。デジタルハーレムなんて美少女ゲームの表現規制についての記事だから、使用前使用後じゃない修正前修正後のほとんどモロってな画像が何点も載っていて、とても一般週刊誌とは思えない、人によっては十分使用に耐えうるページに仕上がっている。誰だい富野さんのページを使ってるのかいなんて言った人は。まあ考えようによっては使えないことは・・・・うーんやっぱり絶対に使えない。

 「このアニ」は最近話題の「999」に「ジャイアントロボ」に20周年なった「ガンダム」を巻頭から3連ちゃんで並べてみる、どこか企画物っぽい展開、でもまあ今時のアニメを紹介するとやっぱりこー並ぶってのが普通だろーね。今さら「びっくりしたニャ」な「長靴をはいた猫」でもないし、ましてや「蓮如物語」でもありえない(こーゆーアニメが作られているのです)。前出の方々が答えた今見るべきアニメもウケ狙いやニッチ狙いがほとんどなく、割かし王道な線に収まっていた。大森さんの「コナン」「マクロス」「ナデシコ」は3つの時代を端的にとらえた点で30代の今でもアニメ野郎なら良く分かるセレクト。あやさんの「クレヨンしんちゃん劇場版」に「ウテナ」に「パトレイバー劇場版」も結構本線をいってるんじゃなかろーか。

 おた佐々は「ジャイアントロボ」「エヴァンゲリオン」「ビューティフル・ドリーマー」とやっぱりなセレクトで、これに「カリオストロ」が加われば、大森さんの3本とあやさんの3本に足して本筋王道なベスト10がほぼ出そろう。ただし現在放映中のアニメを誰も紹介していないのが難と言えば難なところ。チャンネルひねって今是非見ろって言ってやった方が手っ取り早いのに、それをしなかったのは作品がなかったからなのいか、敢えて旧作名作からセレクトさせたのか。しかるに今なら「大運動会」「YAT安心!宇宙旅行」「あずきちゃん」「吸血姫美夕」「エルハザード」「AWOL」「アウトロースター」「はれときどきぶた」「クレヨン王国」なんかがあって、ほかにCSでの再放送やらBSでの新作やらが加わって、ってことは放映されてるアニメは全部見ろってことじゃんか。やっぱ僕に選ばせないで良かったねえ。

 ソニー・ミュージックエンタテインメントの渋谷の事務所に言って「天誅」についてあれこれ。最初はただの忍者格ゲーかと認識していたら、実際は忍者アドベンチャー的な要素が強い作品らしー。なるほど闇から闇へとはいずりまわって任務を遂げようと張り切る忍者の行動は、決してバトルが目的じゃない。極力騒ぎを起こさずこっそり城へと忍び込んでは、ボスキャラ(ってことはお殿さまか?)を倒すことに意義がある。確かに城下町にいる時から「殿様どこだー」なんて大騒ぎしてたら、狙われていることに気が付いて殿様だってさっさと逃げちまうだろーからね。

 さりとてやっぱり刀で敵を切り裂き手裏剣を投げつけてやりたい衝動にかられてしまうのが男の子。3Dポリゴンのマップの上で3Dポリゴンのキャラクターをぶんぶんと振り回して敵を切り倒していく快感に、誰もがついつい身を委ねてしまうのだろー。デモして見せてくれた人なんか、登場して来る犬はわざわざ近づいていって切り殺し、熊なんて火薬をつかって爆破してしまう。血を流して倒れる犬や、火薬の残り火がブスブスいっている熊の姿のなんとまあ面白いことか。これだけで時代が5代将軍の頃ではないことが分かるな。でも猫は斬り殺せなくなっているそーで、やっぱり多少の配慮はあったんだろー、日本愛猫協会とかに。本当だったら首は飛ぶし手足だってバラバラになる予定だったこのゲーム、夏の例の事件に配慮して流石に首飛ばしだけは止めたそーで、その辺りが復活してくるであろー海外版には、ちょっと期待してみたくなる。「クーロンズ・ゲート」の海外版がお流れになってしまっただけに、こっちはちゃんと年内に出るといーね。


【3月3日】 ちょほいと「街」ねぇ、と小林旭がいったかどーかは分からないけどともかく「街」をプレイする。2日目に入るとバッドエンドでもヒントが出ず、どこでどー間違えたのかが分からずともかく選択肢までたどり直して別の選択肢に乗り換えて、順に送っていっても結局同じバッドエンディングへとたどり着いてしまう。つまりは別の誰かの選択が間違っていたため、別の人の人生に影響を与えてしまい、挙げ句にアフリカかどっかで太った女がウエディングドレス姿で機関銃を撃つ羽目になってしまったのだろー。うーん難しい奥が深い、がやりがいがあるのでしばらくは1日30分から1時間、ツラツラツーララと「街」を流してみることにする。

 しかし難波弘之さんはフトコロが深い。8人がそれぞれにそれぞれのイメージでちゃんとテーマ音楽がつけてあって、やりこんで行くに連れて音楽が鳴り出した途端にあああいつってな顔が思い浮かぶよーになって来る。8人の中では雨宮桂馬のドンドコ音楽が結構好き、だったりするかな。難波さんの音楽ではアニメ「アミテージ・ザ・サード ポリマトリックス」のサントラが結構好きで、気が滅入った真夜中に聞いていると沸々と怒りが湧いてきてそれがエネルギーになって立ち直るきっかけを与えてくれる、っていったいどんな音楽なんだ。大昔で言えばセンスオブワンダーてユニットの確か3枚目に当たる「飛行船の上のシンセサイザー弾き」を、ラジオでエアチェックして結構聞いていたっけか。思えば15年は軽く経っているその時代から比べても、相変わらずの長髪美形の難波弘之さんって、本人が音楽以上に不思議がったりするね。「街」もサントラ、買おーかな。

 アメリカ人と話す。っても英語じゃない英語なんて話せないからちゃんと通訳が入って、アメリカのエンターテインメントソフトの事情についてあれこれと聞く。アメリカってーとコンソールつまりは「プレイステーション」や「NINTENDO64」のよーな専用機よりパソコンの方が人気あったりするんじゃなかろーか、ってな先入観を持っていたりしたんだけど、最近の数字ではコンソール向けのゲームソフトが30%とか40%とかってすっげー勢いで伸びているのとは対称的に、PC向けはそれでも多いとはえい10%とかって伸びしかないらしー。ネットワークゲームについても「ウルティマ」「ディアブロ」以外は存外難しい状態らしく、最先端の人たちが「次はPCネットゲーだぜ」って喋っているのをそのまま聞いて、「そーか次はPCネットゲーか」なんて具合に記事にして良いものかどーか、ちょっと心配になって来る。

 可能性はあるけれど、まだまだ時間がかかるだろーってなのがそのアメリカ人の考え方。もしもマーケットがあるのならば、コンソールメーカーつまりはソニーや任天堂だって、マーケティングの結果を踏まえてネットワーク対応型のマシンを投入するなり機能を付加して来るだろー。まずマーケティングありきな彼らが早急に乗り出そーとしないのは、あるいはネットワークゲームを求めるユーザーよりも安価で高性能の現在のマシーンで十分に楽しんでもらえるソフトを供給できると考えているとゆーことになるのか。とすればネットワーク対応を高らかに謳うセガ・エンタープライゼスの「カタナ」は結構難しいことになりかねない。それもまー値段次第ってとこで、既存の32ビットや64ビットマシンと遜色の無い値段で機能は高いって物だったのなら、んでもってソフトの品揃えもネットゲー含めてバッチリだったら、受ける可能性はあるんだろー。さてE3あたりでどんな展開を表明してくるのか、アメリカ人ならずとも刮目して待ちたい。

 パレスホテルに回って「リカちゃん」とおしゃべり、は出来なかったけど代わりにフジテレビジョンの佐藤里香アナウンサーのおしゃべりや、元COCOとかゆー中嶋美智代さんの挨拶なんかを聞きながら、フランス料理の残骸を貪り喰う。何でも今年が日本とフランスの交流を促進しよーってな年にあたっていることを記念して、タカラが人気商品の「リカちゃん」でフランス関連企画をどっかーんと展開することになったそーで、そのお披露目がパレスホテルで開かれたって訳。前に内覧会の会場でも幾つか企画が発表されていたけれど、マスコミを集めての本格的な披露では、一段とブラッシュアップされたフランス風な「リカちゃん」が並ぶとゆー話で、これは見逃せないと駆けつけた。

 遅れていきなりのパーティーに突入して、見回すと例えば「マリクレール」の衣裳を着た「リカちゃん」とか銀メダル付き限定500体12000円の「リカちゃん」とかモッズヘアがヘアデザインをしたスクール水着姿の「リカちゃん」の集団とかが並んでいて、アナウンサーも含めてリカちゃんづくしの会場に、おたくなフィギュアマニアの集まるショップとはちょっと違う(当たり前だ)、清らかなフィギュアファンたちの熱い視線に下から見上げたりスカートをめくりたいってな衝動をぎゅっと押さえつけて、清らかなフリして人形を見て歩く。「CGリカちゃん」の絵柄が書かれてメッセージに「ボンジュールわたしリカちゃん」とかって出るPHSはキャンペーンのプレゼント用。ゲットすればプレミア間違いなしの逸品だけに、「たまぴっち」から「キティ」へとキャラクターを渡り歩く(「ドラえもん」はどーしたんだろー)西葛西在住のPHSライターも、きっときっと欲しがるだろー。頑張って当てなさい。

 おみやげは凄いぞ「リカちゃん」だ、こんなおっさんに寄こして服剥かれたり逆さに吊されたり亀甲に縛られたりしないんだろーって、渡す方も心配しなかったんだろーかと思いつつ、それらの様を思い浮かべてほくそ笑む。思えばレジに運んでいくのが恥ずかしく、遂に手に入れられなかった「リカちゃん」を合法的に手に入れられた、これが最初で多分最後の機会だ。あーしてこーしてそーしてと、妄想ばかりが頭に浮かんで離れない。会社に置いておくと子供のいる人にとられるかもしれないと、「ハートマン」の皮のアタッシェケースに入れてそのまま取材に行く。途中で行き倒れになって鞄を開けられた時になんて思われるかって考えると、心配だけどちょっぴり興奮、だからやっぱり危ないヤツって言われるんだろーね。

 「リカちゃん」抱えて教会へ。っても別に結婚式なんかあげないぞ(当たり前だ)、あの「ディアブロ」がプレイステーション向けに移植されて夏に発売されるってことで、エレクトロニック・アーツが品川のホテル・ラフォーレの25階にあるスカイチャペルで記者発表をしたって訳。いくら雰囲気づくりって言われても、真新しい教会じゃーあんまり雰囲気でてなくちょっとスベった感じがしたけれど、作品が作品だけにゲーム雑誌から大勢の人たちが出席していて、狭い会場は熱気がムンムン、お陰で発表が始まると同時に気を失い、気が付いたらプレゼンも終わって質疑応答に移ろーかって時間になっていた。あーよく寝た。社長の人に挨拶して「ディアブロTシャツ」もらって帰社、「リカちゃん」「ディアブロTシャツ」そして「ハイパーヨーヨー」の入ったアタッシェを持つコム・デ・ギャルソンのスーツ着た丁髷の正体は如何に。なおのこと行き倒れは出来ないねー。

 シリーズ最高傑作。と言い切っても良いほどに絵でも物語でも異色異質な雰囲気を醸し出していたのが「吸血姫美夕」の第21話。母親と2人で暮らす少女・美夕が監視者として目覚めるまでを描き、同時に冷羽が美夕に恨みを抱くきっかけとなった事件を描く重要なエピソードが、芝居がかった演出を交えつつレトロな小道具を使いつつ、奇妙な違和感の中に哀しく展開されていて一時たりとも画面から目が離せない。千葉繁演じる神魔・トンビが秀逸で、守護神魔の奇術師を演じた大塚明夫も絵ともどもカッコ良い。

 そして冷羽の緒方恵美。村芝居の壇上で「かかさま、かかさま」と拙くしゃべるその可愛さ可憐さ、そして目の前で殺害された奇術師の父親が死に際に「美夕」と喋ったそのことに、恨み節を述べる声の底冷えのする冷たさが、うじうじとした男の子や宝塚風にカッコ良く決めてくれる女の子とは違う、緒方恵美の幅の広さを感じさせてくれる。次回はいよいよ美夕と冷羽の最終決戦、哀しい2人のたどり着く運命や如何に。ますます目が離せない、と恵比寿のスポンサーに向かって言っておこー。


【3月2日】 ジャック・ダニエルズをあおりゆで卵を喰いながら「街」をプレイする。バーボンにゆで卵とはまた何ともカッコ悪い取り合わせだが、意外ややってみると旨いのである、がそれは味覚がポン酢な僕の言うことだから決してホテルの最上階にある見晴らしのよいバーで決してバーテンさんに「バーボンと固茹で」なんて頼まないよーに。でもいつかやってみたいから誰かホテルの最上階にある見晴らしの良いバーに連れてって下さい。

 ってな冗談はさておき「街」は2日目に突入、慣れて来たのかどうして行き詰まったのかを推測して誰と合わなければ話は先に進むのかを推定、それを頭に入れつつ別の人の時に慎重に選択肢を選ぶことで、早くも外人部隊の2日目を終えることができた。物語もどうにか転がって来たよーだけど、とにかく2日目なんてまだまだイントロ、とにかく1人づつ物語を片づけて早く3日目、4日目、そして5日目へとたどり着いて物語り終わりにたどり着きたい、けど「悠久幻想曲」も途中なんだよーな、うーん休みが欲しい(一生休んでなって声が聞こえる・・・)。

 「じゅげむ」は吃驚「街」巻頭から大特集だ。全世界街普及促進協議会大幹部(なのか)の筆だけあって思い入れたっぷりな大特集、これがもう1カ月早く出ていれば先週発売になった「ファミ通」の週刊売れ行きランキングから早くも退場となってしまう憂き目はなかったのにぃ、などと「街」発売当日にでっかく「センチメンタルグラフティ」の紹介記事を書いてしまったことを脇にどけて残念がる。いやだって「センチ」はモケイのお店で散々っぱらキャラクターを目にして訴えかけて来るものがあったけど、「街」なんて作った会社も作った人もソフトとしての期待度も超弩級とはいえ、登場人物はオタクにヤクザなオヤジばっかりそれも実写ばかりで、何となく不思議なソフトってな印象しかなく、取材に二の足を踏んでいた。

 ゲーム会社には、そんな先入観を打ち破るよーなプロモーションなりパブリック・リレーションを展開して戴きたかったところだけど、マイナーな工業新聞にはリリースが1枚ファックスで送られて来る程度だったから情報がほとんど入らなかったし、それくらいにしか相手にされてないところに無理に取材に行くのも、なんだか申し訳ないと思って遠慮した。まあ取材に行ったからといって売れ行きに影響が出たかどーかは分からないけど。これだけ面白いにも関わらず、ランキングの下位に甘んじている状況を、「じゅげむ」の記事だったら打破するきっかけになるんではなかろーか。発売元も、決して短期間に売りまくってお仕舞いってな内容のソフトじゃないから、ここは長期戦と腰を据え、1年でも2年でもかけて売っていくスタンスを貫いてはいかが。そこかしこに蔓延(はびこ)っているおたくな記者をダマしてノセて、ロングセラーとか言って100行くらいの紹介記事書かせりゃ、あと10万本は上乗せできまっせ。

 「人生、山あり谷あり」。そこが人生の分かれ道とゆーキャッチコピーが今も耳に残っている「人生ゲーム」がいよいよ今年の秋に日本版発売30周年を迎えるとかで、タカラが30周年記念事業の概要をリリースとして送って来た。もともとアメリカにあったボードゲームを日本語化して作られた初代は、12年以上に亘って製造されて根強いファン層を築いたけれど、古くなる内容に売れ行きもダウンしたのか大幅なテコ入れを図ったのが80年代に入ってからで、そこから新しいデザイン新しい内容新しい風俗を適宜採り入れていくよーなスタイルに変更、やがて「平成版」やら「関西版」やら畳1枚分もある「大人生ゲーム」やら、いろいろな「人生ゲーム」ファミリーが出来て人気も安定期へと入り、今に至っている。まさに「山あり谷あり」なゲーム、ってことですね。

 30周年で新しく出すのは「X」と名付けられたバージョン。聞くとプレーヤーが女子高生になりかわって波瀾に富んだ人生を体験するとゆー内容で、道の途中にはルーズソックスに紺ラルフにPHSに携帯と、まるでラブ&ポップな世界が描き出されているとか。やっぱここはプレーヤー、たとえ男でもプレイする時にはセーラー服を着てルーズソックス履いて女子高生言葉使いながら(よく知らないけ)ルーレットを回してやって戴きたい。あと記念事業では初代「人生ゲーム」の復刻も行うとかで、30代の昔は「人生ゲーム」で遊んだって人たちに、アピールするところ大でしょう。発売は「X」が春で初代は夏とまだちょっと間があるから、待ちきれない人は「人生ゲーム」の盤面に超ラッキーなことばかり描かれたマウスパッドで、マッチ棒を消しゴムに刺した車を作って楽しも。をを「作ったゲームソフトが大ヒット、5万ドルもらう」だと。「街2」のこと・・・な訳ない・・・?

 長く絶版となっていた竹内義和さんの「パーフェクトブルー」が映画化を記念してか「パーフェクトブルー1998」としてメタモル出版から復刻されていたので買う。なるほどアイドルへのストーカーを描いた作品は、当時としては結構衝撃的な内容だったかもしれないけれど、ストーカーって言葉が日常語と化して猟奇も変態もごくごく普通になってしまい、ましてやアイドルが清純派を脱してセクシー派へと転向することが当たり前になって、さらにアイドルファンもアイドルファンとしてアイドルに熱中している自分に熱中している、メタな構造が顕在化してしまった世紀末において、それほど恐さを感じないのは仕方のないことかもしれない。ただしアイドルに熱中するあまり同化願望を膨らませ、挙げ句に驚くべき行動に出るストーカー兄ちゃんの描写は肉の痛みに道溢れていて今でも十二分に通用する。映画でどう描かれているのか、映画とどう違うのか。早く見に行きたいよー。


【3月1日】 「街」子と化す。長谷川町子とはもちろん全く関係ないが、しかしつくづく因果なゲームだと思うよ、それは人と人とは意外なところで関係していてひょんな因が、後で大変な果となって返って来るってゆーことを、ゲームが如実に語っているから。ある日ふと何の気もなしに放り投げた缶珈琲の空き缶が、やがて東京を破滅に追いやることだって可能性としてはゼロじゃなく、地球の裏で羽ばたいた蜂鳥の起こした風邪が、やがて大暴風雨となって東京を沈めることだって無いわけじゃ・・・無いか。まあ良い、とりあえず登場する人々のめぐる因果は糸車を解きほぐし、ようやくにして第1日目を全員分終了することが出来た。さあ第2日目だ、明日はどんなことがあるだろう仁義礼智忠心孝悌いざとなったら玉を出せ、だ(この文の意味わかればやっぱりオヤジですね)。今夜も眠れない。

 いつまでも萩尾望都さんのCD−ROMが見られないのは業腹なので、OSを7.1からいきなり8にアップすると、途端に狂い始めやがった我がマック、コンフリクトにエラーの連続で果ては目×マックのご登場と、もはや行き着くところまでいじくり回した挙げ句、新規インストールでなんとか正常な動きを取り戻しているように見えるところまでたどり着いた。ただしPPP系は相変わらずちょっとおかしく、メモリーもラムチャージャーがイカれてしまって20メガの実装レベルまでダウン、2つ3つソフトを立ち上げるととたんに凍り付く体たらくに、再起動再起動再起動を繰り返しつつなんとかセットアップを完了してネットにつなぐと、すべてのメールとすべてのネスケのブックマーク(エロ多数)が消えていた。

 こりゃまたどーしたもんだと悩むけど、まあ良い別のディスクに移した分が多分どっかに残っているだろう。ともかくもメモリーだけは何とかせんといかんと思い、日曜出勤の帰りに地下鉄を淡路町で降り、日曜日なのに明かりの着くフロアのある白泉社の前を通って(そーか白泉社って今いちばん秋葉に近い出版社なんだ)、秋葉のラオックスMAC館に寄ってOS8に対応したシステムソフトの「ラムチャージャー8」を購入、入れておおよそ以前のレベルまで回復した、みたい。しかしマックだしばらくすると蝿男みたくグチュグチュと崩れ始めて最後は虎のバターになってしまうんだ。夏のボーナスはちょっと妖しいけれど、やっぱG3買おーかなー。

 秋葉原の電気店街といえば年末だかにスクール水着の女子高生がへらへらしながらフラダンスっぽい手つきで立ち並んでいたポスターを作って電脳シティー・アキバに集う全世界からの来訪者たちを官能の渦に叩き込んだけれど、その評判に気を良くしたのか今度は3人の女子高生が逆さまになってサッカーボールを蹴ろーとしているポスターを作った。オーバーヘッドキックのポーズだからひょっとしてスカートまくれ上がってくっきりな「白」を期待する人も大勢(大勢だ)いるだろーけど、残念なことに本当にひっくり返っている訳じゃなく、もちろんスカートもまくれあがっていない。

 いないけれどもミニスカートからのぞく極太な足が、流行の紺のハイソックスに包まれている姿やっぱり生唾ごっくんで、大手町に貼ってある巨大なポスターを真夜中にコッソリかっぱらってしまいたいって衝動に、かられて痛くてしょーがない。パンパンなんだよね、前が。とゆーのは1割冗談としても、前のスクール水着でフラダンスといー今度のオーバーヘッドキックといー、秋葉原電気街にはよほど素晴らしい広告クリエーターが付いたに違いない。女子高生をズラリ並べるだけならそこいらの商店街のチラシだって出来るけど、南の島で全員をスクール水着で立たせよーなんて発想は、よほど秋葉原に集う男の子たちの心を分かっていなくっちゃ出来やしない。

 あのポスターを見たいがために、用もないのに秋葉に通った青年がどれだけ(ここだけ?)いたか。巨大な駅貼りのポスターは、電車の社内吊りも結局手に入れられなかったけど、マンダラケで売っていたらきっと買うぞ、うーん3000円までなら出してもいーかな。そして今度はセーラー服でオーバーヘッドキックだ、おまけにポスターの右下に小さくちゃんと書いてあるんだ「オーバーヘッドキックをする女子高生のみなさん」と。ああこの頓狂なセンス! このひねくれた感性!! そーかそーくるかそこまでゆーかと、思わず脱帽してしまいました。次はいったいどんなセンスを披露してくれるのか。終わった長野五輪にちなんで水着でカーリング? セーラー服でモーグルそれもコザックジャンプ?? 楽しみにしてまっせ。

 コミック版の「VIRUS」(角川書店)を購入、ユナイト双児さんの絵は本編のイメージをこわばった腕とかメロンみたいな胸とか土手った股間とかまで見事に映してくれていて、そこいら辺りが妙に強調されたレイアウトともども本編の「VIRUS」のテイスト(本編よりずっと眺めていられるだけ有り難い、かも)を味わえる。ただし物語は本編とは大きく違っていて、「ウィルスバスター・サージ」とゆーサブタイトルが付きながらも物語はほとんどエリカが主人公。でもってエリカには生き別れの姉がいたり、実は複雑な出生をしていたりと、それはそれで面白いけどやっぱり本編を見た後では感心の度合いがちょっと落ちる。

 生き別れの姉がいて複雑な出生って単行本の前半2話と後半2話で載った本が違うため設定まで違って来ているのもちょっと問題。もちろん描いている人の責任ではなくそーゆー要求をした出版社の責任なんだろーけど、広がりすぎて収拾着かなくなった「天地無用」とは違い、割とこじんまりしたメディアミックスしかしていない作品でこの実状ってのは、確かアニメが流行ってるって状況を紹介する番組で、角川のアニメ関係のエラい人自らがメディアミックス云々て話していたことがあっただけに、この状況はちと解せない。ここは再び大張監督自らが映画化の道へと乗り出して、露出しただで爆発せずに終わったメディアミックスの掉尾を華々しく飾る作品を、どっかーんと出して来てもらいたいけど、映画ってやっぱお金がかかるしなー。まずはLDでの補完、期待してまーす。


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