縮刷版98年1月下旬号


【1月31日】 河原温、といっても下呂とか草津とかいった観光地に名物の川っぺりで楽しむ露天風呂のことでは決してなく、1960年代から活動を続ける現代美術のアーティストのことで、その大々的な回顧展が東京都現代美術館で開かれているとゆーので早速見に行く。回顧展とゆーからには、いつものMOTらしく地下から地上の2階分をフルにつかって作品を展示していると思いきや、エスカレーターで上がった3階の1フロアだけに作品を並べた小規模なもので、どーりでお値段も700円と、いつも公共の美術館にしてはバカ高い料金を取るMOTにしては、低料金のはずだと納得する。

 がしかし、並べられた作品は点数からは想像も出来ないくらいに濃密な時間が凝縮されたものばかりで、例えば100万年分の年号を過去から現在まで、もう100万年分の年号を現在から未来まで延々と書き連ねた10巻にも及ぶ書物だったり、過去30年に渡って送り続けた「I AM STILL ALIVE(私はまだ生きている)」とだけ書かれた電報だったり、同じく外国から送り続けた「I GOT UP AT・・・」とその日に起きた時間だけを書いた絵葉書だったり、その日に歩いた場所を赤線で記した白地図だったりと、特定の行為を繰り返す、それも延々と繰り返すことによって1つの様式美を形作りながら、その中から日付とか場所とかの差異を出すことで、遠大な時間と広大な空間を見る者に感じさせる作品に仕上がっている。お正月にまっさらの日記帳を下ろして、2月にははや真っ白な3日坊主にゃあ、絶対に無理な「芸術」だな。

 しかし入場料は安くてもカタログは14000円もしやがってちょっと仰天。普通は公共美術館の展覧会のカタログって高くても3000円くらいなんだけど、今回はどーやら海外で巡回して来た展覧会向けに作った国際版のものしか用意してないみたいで、冊数も限定1000部とあってこれくらいのお値段になったみたい。国際版だけに中身は全部英語で、MOTじゃあそのテキストの日本語部分だけを翻訳した別冊を作っていて、それがやっぱり2700円もするもんだから、足すと税込みで17000円を超えて、おかげて「プレイステーション」あるいは「森山大道」を買おーと思って取っておいた(2つに関連性はありません)お金がすっ飛ぶ。いや、やっぱ限定物は即ゲットな習性が染み着いてるもんで。

 あわせて5キロはありそーなカタログを抱えて、都バス都営地下鉄を乗り継いで岩本町から秋葉原へ。発売直後な「バイオハザード2」が店頭を華々しく飾っているいっぽうで、先週末あたりはそれ1色だった例のゲームの姿は消え去り、一部のお店にぐっと古びてしまったポスターが貼ってある程度の、薄いうすい扱いになっていた。店によっては未だに5500円近い値段を(それでも7000円からすれば大きなダンピング)付けている所もあるけれど、早い所だとすでに4000円を切っていて、このペースでいけば来週には3000円を切る店も出るんじゃないかと想像し、発売当日にプレミアを見込んで買い込んだ人たちの(俺だ)、地団駄踏んで悔しがる様を思って涙する。カタログの重さで手が痺れて来たので、いつもどーりに秋葉原デパートでイワシ缶買って帰途に着く。

 撮っておいた「星方武侠アウトロースター」の第4話を見る。相変わらずの高画質にサンライズの本気を感じる。原作の漫画を読んでないからどーゆー展開になるのか知らないけれど、オープニングに登場する3人の美女のうちの2人までが登場して、来週はそのうちの1人が直接カラんで来るよーで、そーやって身内にしながら海賊と軍隊と戦いながら、陰謀を暴くかお宝を見つけるかして行くんだろー。ファティマみたくポッドに収まって船を操縦するメルフィナがすっぽんぽんなのは嬉しいけれど、透明なポッドが1部分だけ素通しになっていないのが大きな疑問、とゆーか大きな不満。わざわざすっぽんぽんで入っているのに、メルフィナが胸に手をあてているのも潔くない。だからこれはサンライズ、LD化ん時には1つ大冒険してやっちゃーくれまいか。それだけで確実に1000枚は出荷が伸びるだろーと、無責任にも宣言しておこー。

 遂に放映なった「勇者王ガオガイガー」の最終回を見る。相変わらずの高テンションにサンライズが本気だったことを改めて感じる。倒せども倒せども我が暮らし楽にならず、そっと手を見る的に強い敵がどんどんと出てきて、その度に苦しみながらも倒していくパターンはどんなヒーロー物にもストーリーの盛り上げに欠かせない要素だけど、続けていくうちに敵は惑星最強から太陽系最強銀河最強宇宙最強、果ては全次元最強へと甚だしくインフレーションしていかざるを得ないのは自明だから、その辺りちゃんとわきまえて、もともとの放映期間をちゃんと守って、最高に盛り上がったところで終わらせるあたりに芸を見る。勇者たちのAIを積み替えたマシーンが合体したガオガイガーが、ボロボロになりながらもケリ入れパンチ入れして敵を倒していく場面に思わず涙。意外とあっけなく最強の敵を倒した後で、命はともかくガイまで復活したのは何故? それもすっぽんぽんで! と悩むよりもまあここは、ストレートに伝わる感動に身を委ね、飛び飛びだったけど楽しませてくれた1年に、上井草へと感謝の拍手を贈ろう。「ビーダマン」、うーむ見るべきか?


【1月30日】 「AMD Award」のオープニングで、オペラだかテクノだかが入り交じった歌を披露してくれた2人組の女性ユニットが、もらったチラシから「エキセントリック・オペラ」だと解って、レコード屋で一番新しいミニアルバムの「N・O・E・L」を購入する。舞台で見せてくれた、ピチピチな服装から盛り上がってちょっとはみ出ていたよーに見えた胸に惹かれたからじゃなく、刻まれるビートに澄んだ歌声の調和が、過去に類を見ない美しさを奏でていたからで、実際それは購入したCDからもビンビンに伝わって来て、1曲目が始まった瞬間からそこに広がるは別世界、まるで天上のクラブに迷い込んだよーな音の洪水に襲われて、心洗われる気持ちになった。こないだの舞台では1曲だけしか聴けなかったけど、機会があったらまたどこかで、ナマを見てみたい気になって来た。もちろんはみ出た胸といっしょに、ね。

 ようやっと萩原浩さんの「オロロ畑でつかまえて」(集英社)を読み始めたら、なんとまあオモシロイんだわこれが。超が4つくらい付く田舎の村が、起死回生の1策を打った結果の大騒動を、広告業界で働いた経験のある作者が、その経験を生かしかつ作品の構成にも折り込みつつ、ちょっとおかしく、ちょっとしみじみと、そしてほのぼのと描き出してくれていて、読後にとっても気持ちが良くなった。ありきたりの起承転結に、読み本の達人は物足りなさを感じるかもしれないけれど、無理に気取ってひねくるよりも、短く完結なこっちの方が、よほど人々を感心させられるんじゃなかろーか。欲をいえばもうちょっと、それこそ井上ひさしさんの「吉里吉里人」くらいの膨大な物語を、読ませて欲しいって気もあったし、書き込めばそれだけの物語を構築できるテーマでもあるけれど、短くたって感動は変わらず、むしろ強いインパクトで迫ってくる。ラストに控えていたさらなるドタバタが、ピリリと効いて一層の感動と微笑みをもたらす。快作

 いきなりのPメールが石ノ森章太郎さんの死去を告げ仰天、だってまだ時事通信のフラッシュも共同通信のピーコもテレビのニュース速報も入ってないんだぜ、いったいどこから聞いたんだろーこの人はと訝りつつも、しばし時事FAXの前で張り番をしていると、遅れることPメールより10分ほど手書きの第1報が入って来た。28日にすでに死亡していたとのことで、星新一さんほどではないけれど、伝わるまでに数日のタイムラグがあって、いったい何があったんだろーかと不思議に思う。死因その他詳しいことは帰宅時までほとんど入って来ず、ますます不思議の度合いが増す。病気をしていたとゆー話はとりたてて聞いたことがなかったけど、1度か2度、ソフトの記者会見の会場で本人を見た時には、それほどのエネルギッシュってな雰囲気は感じられず、長い間最前線を走って来て、いまもさらなる高みを目指して活動を続けていた人物だけに、疲れも相当の物があったんだろーと、そんな憶測を重ねつつあふれる哀しみに胸を焼く。

 思えば手塚治虫さんよりも、そして星新一さんよりも、僕らの世代は石ノ森章太郎さんに、SFの面白さを教えられることが多かった。番組のストーリーを理解できる歳になって見た「仮面ライダー」の圧倒的なまでの面白さ、ロボットにはなく人間が固有の感情である良心の存在を教えられた「人造人間キカイダー」の切なさ等など、テレビのヒーロー物を通して石ノ森さんのメッセージを深くふかく植え込まれた。そして何より「サイボーグ009」には、死の商人「黒い幽霊(ブラックゴースト)」がもたらす、世界の調和の破壊に敢然と挑む、9人の改造された者たちの活躍に、平和を勝ち取ることの難しさ、そして平和を持ち続けることの素晴らしさを教えられた。単行本の何巻だったかに入っていたベトナムでのエピソード、あれは生涯忘れ得ぬ戦争の悲惨さと戦争を弄ぶ者共への憎しみを、子供の心に強く印象づける作品だった。

 最近読んだメディアファクトリーから刊行中の単行本に、確か「009」の完結に向けた宣言と、フルCGアニメ作りへの意欲が語られていた記憶があって、個人的に大嫌いな「日本経済入門」をはじめとした大人向け学習漫画の巨匠としての活動から、いよいよ再び僕たちのところに石ノ森が帰って来てくれるんだと、期待して楽しみにしていたけれど、これでもうその宣言は、絶対に果たされることはなくなった。残念と言うより他に言葉はない。60歳。平均寿命から言えば遥かに若い年齢で迎えた死ではあるが、しかし40年にはなろーとゆーそのキャリアだけを見れば、決して夭逝などではない、そこいらじゅうで破綻を来しているニッポンのサラリーマンたちに比べて、遥かに高密度で高性能の生涯を送ったはずだと、賞賛と羨望の念を強く覚える。

 哀しいことは確かに哀しいけれど、一方では星新一さんの時にも書いたよーに、第1世代がリタイアをはじめても不思議でないほどに、漫画なりSFとゆージャンルは、長い間頑張って育まれて来た。そう捉えればむしろ石ノ森さんの死だって、誇らしいものに思えて来る。後は星さんなり石ノ森さんなり藤子・F・不二雄さんなりが築き上げた礎の上に、どれだけ大きく高いジャンルの塔を作り上げられるかにかかっていて、そーした意味でも僕らの世代、そしてさらに下の世代が、石ノ森さんたちが燃やした情熱を冷やさず、投じたエネルギーを食いつぶすのではなく、維持し増幅させるよーな活動を、創作でも評論でも閲読でも、とにかくずっとやっていきたいと、あらためて強く思う。謹んでご冥福をお祈りします。


【1月29日】 儲かってもうかって仕方がないと漏れ伝え聞く宝島社が珍しく記者発表を開くとゆーので東京国際フォーラムへと出向く。わざわざ発表するんだからきっと世界をシンカンさせるくらいの大発表、そうだね本社をニューヨークに移転するとか週刊誌ならぬ日刊紙を刊行するとか「このミス」英語版を米国で発行する(匿名座談会も付けるぞ)とかってなことを想像していたら、意外や会見場の看板に宝島社と並んでいた名前が「バンダイ」。そして「たまごっち」の文字。これはと思って資料を読み返すと何のことはない宝島社とバンダイがいっしょに「たまごっち」絡みのCD−ROMを開発して、それに宝島社がムックを付けて書店流通で流すってだけの話だった。ちょっぴり肩すかしを喰らった感じだけど、おまけで「天使っちのたまごっち」が1つづつ付いて来たから、世事に疎い参加者はラッキーって思ったかも。詳しい人だったら「おすっちの方がいーかなー」って思うだろーけど。誰だ「原人っちなら最高」なんて傷口に塩すり込む輩は(僕だぼくだ)。

 でもそれなりに会見にも意味があって、それは今後発売するCD−ROMの値段が何と1800円ってこと。CD−ROMに入っているのは、「たまごっち」から5体のキャラとそれから宝島社のオリジナルキャラ(はすみっちではないっす)で、そいつらが飯喰ってうんちして寝て起きて病気になって、デスクトップの上ですくすくと育っていくって内容のモロ「たまごっち」ってソフト。ただしこれまでに出たパソコン用の「たまごっち」とは違ってキャラが3DCGになっていて、資料としてもらった「おやじっち」なんて頭ちゃんと丸くて後ろ姿も結構鯔背(いなせ)。デモに出てきた「めすっち」に登場する兎みたいな女の子キャラも、くるりと回って後姿を見せても可愛らしさが微塵も減ぜず、むしろクビ傾げたり飛び跳ねたりって具合に可愛さが倍増している観すらあった。

 3Dポリゴンの「たまごっち」と言えば先日同じバンダイ・デジタルエンタテインメントから「ポリゴンで発見!!たまごっち」とゆーソフトがCD−ROM会社の「メディアカイト」から販売されるって発表があったばかりで、他にも電子メールを運ぶ時に付いていってくれるとか、インターネット上に「託児所」ってコーナーを作って世話を出来ない時に預かってもらうとか、やっぱり同じよーな機能が付いている。まったく同じかってゆーとちょっと分からないけど、メディアカイトの方が確か3800円もしたのに対して、宝島社の方はムック付いて1800円ともー爆裂的なお値打ち価格で、これじゃーたとえ機能に仮に制約があったとしても、宝島社の方を買っちゃうよーな気がすると、なんだか八方美人なプロモーション展開に、ここ1番に稼いでおこーってなバンダイの目論見がうかがえる。あると思うな来年は、ってことですか。

 バンダイの人がいたので昨日の「AMD Award」で部門賞の「HOT WIRED」チームに手渡された「ハイパーヨーヨー」ってのは金なのか銀なのか聞くと、去年の同じ表彰でその時は「リクルート」の人に贈った「金と銀のたまごっち」のよーには、色は塗ってなかったとゆー。なんだツマラン。とはいえ1つ5000円もする「ハイパーヨーヨー」では最高機種かつ超希少機種が何と1ダースも入っていて、昨日思ったお父さん社員のプレッシャー(圧力)がキツくなりそーとの予感を、、極めて実現性の強いものだとの確信に変える。今はちょっと品不足も極まっている「ハイパーヨーヨー」だけど、2月だかには新しい「プレイマックス社」とかゆー会社の、「DUNCUN」と「YOMEGA」との間の値段(1000円くらいかな)のものを投入する計画とかで、ちょっぴり品薄も緩和されることになりそー。それまで人気はもつかって、絶対に持たせるだろーね、少なくともヨーヨーの日(4月4日、だって)までは。

 北野安騎男さんの「グランド・ゼロ」読了、期待を持たせるわりにはカタルシスにかけるエンディングで、ちょととどー評価してよいのか判断をしかねている状況にある。続編が出る可能性があるってことなんだろーか、それともこのペシミスティックなエンディングが時代の気分なんだろーか。本では筒井康隆さんの書き下ろし長編「敵」を購入、気合いの入りまくった装丁にちょっとビビるが、導入部からして読み手をぐいぐいっと己が文体の中に引きずり込もうとするタクラミが感じられて、未だ筒井衰えずとの意を強くする。印象としては「残像に口紅を」に近いのかな、ただしSFとして読めるかどーかは謎、とゆーより多分無理。週末に気合い入れて読むとしよー、ってしまった仕事の本がヤマだったんだ、やっぱそっち、先、だよね?

 どーゆー基準かさっぱり分からないままに再刊されていた吾妻ひでおさんの「幕の内デスマッチ」(マガジンハウス)を購入。やっぱり昨今の「フィギュアブーム」をあてこんだものなんだろーかと想像するも、そんなん表紙には1文字も書いてないし書いてもよかった帯だって付いておらず、折角のグッドタイミングなのに惜しいなーって気になる。だいたい読んだ記憶があるんだけど、中に数話「えっ、こんなんあったっけ?」ってな疑問を持つエピソードがあって、こちらの記憶が島性健忘症あるいは「敵」になっているのか、単に収録し直しただけなのか判断に苦しむ今日この頃であった。あー僕もこんなフィギュア作りてーなー。ご飯とかシーツとかサボテンとかで。

 やって頂きました平井和正先生。「週刊SPA!」連載の「エッジな人々」で大槻ケンヂさんと対談してるけんだけど、およそアヤシゲさでは人後に落ちない大槻さんが、平井さんの語る言葉の前ではぜんぜん普通の人に思えてくる。もー言霊だけが自分の創作のすべてであると強くつよく訴え、決して無関係とは思えなかったりする「オウム」や「エヴァ」については、即座な感想は間違える元といってしばらく寝かせてから答えよーとする。最後なんて平井さんがある時期ハマっていた宗教団体のカリスマについて「言霊が来ない」と言って解答を拒否して見せる(本気か冗談かは不明、だけど)からもー大爆笑。それでも「月光魔術團」のよーに楽しく明るく快活でエロティックでバイオレンスな作品を急ピッチで執筆していることを考えると、言霊が来る来ないは別にして、稀代の物語師・平井和正未だ完璧に健在ってことが言えるだろー。でもちょっと面前とするのは怖いかな。


【1月28日】 もー1年半以上も昔の事になる夏のこと、富士通の懇親会場の隅の方で地味ーな兄ちゃんが何やらゲームソフトらしきもんをデモンストレーションしていたのを見つけて近く場よって目にも見たのが「エーベルージュ」との腐れ縁の始まりであった。ちょん、と拍子木。

 画面に踊る美少女たちの何とも甘い眼差しに、しばし釘付けとなった後で聞いた話がなんとまあ、あの世界に冠たる巨大企業の富士通が、あろーことが「育成シミュレーション」なんぞとゆーヤクザなゲームソフトを自社で製作するとゆーではないか。かの「プリンセスメーカー」を金字塔に仰ぎ見るこのジャンル、そうそう簡単には参入できんだろーと思いつつも、北爪宏幸さんを絵に起用して脚本はイタバシマサヒロさん、結構ツボを抑えた人選にあるいはなどと期待も抱いて、とまれ珍しいと早速帰って記事にしたのであった。

 あれから1年半。同じソフトがタカラからコンシューマー機向けに発売されて、文化放送でもかの三石琴乃三をパーソナリティーに番組が始まって、他にもグッズと書籍と海外展開と、まーそこそこにメディアミックス展開をしていたこのソフトを、さらにでっかくやっちまえってな意欲から、今日、ここに「ワーランド・プロジェクト」なるものが発足したと、朝まだ早い(早くない普通の人にとっては全然)富士通本社で新聞社向けに公表された。

 聞くと「エーベルージュ」を核として、ラジオドラマやらドラマCDやら漫画やらゲームを作るとゆー本格的なメディアミックスで、相手先も文化放送にユーメックスに角川書店にアスキーと、今が全盛なメディアミックスの仕掛け人たちが、ずらり名前を並べてる。これだけ揃えれば失敗するのが難しいってくらいな陣容で、ここにも富士通の本気を見た。

 と思って午後に開かれた本格的な発表会に出席していたプロデューサーの六川さんに聞いたら、どっちかってーと凄い陣容を巻き込むことで、会社にもー後戻り出来んのだとってことを分からせて、無理矢理プロジェクトを広げてしまおーってな戦略意図があったらしー。確かに最初の立ち上げ時だって、担当者が役員を説得するのに相当頑張ったって聞いてるし、その後もあの「フィンフィン」はしきりにテレビCMに登場するのに、「エーベルージュ」が宣伝されたって話はあんまり聞いたことがない。

 「世界の車窓から」はテレビの番組にまでなってるのに(じゃない初めから番組だよ、でもCD−ROMの宣伝はやってくれてるね)、「エーベルージュ」は見えないラジオ放送だ。そんな会社の不期待にも負けず、しこしこと頑張って来た成果が、そこそこの売り上げと、コミケで同人誌を作ってくれたりコスプレをやってくれるだけの固有のファンを確保できるゲームになって現れた。良かった良かった。

 次なる展開は、「トリフェルズ魔法学園物語」って「エーベルージュ」の初等部時代を学園ラブコメチックにした内容のドラマを、まずは文化放送で絶賛放送中とかの「三石琴乃のエーベルージュ伝説」でバリ流し、それからユーメックスでドラマCD出して角川から漫画出して最後にアスキーからゲーム出すって寸法。午後の会見には各社から人が出て、「エーベルージュ」及び「トリフェルズ学園物語」への期待を順々に語ってたけど、そんなこたあぁ既に届けられていたリリースですべて知ってた自分には、ほとんど耳に入っておらず、次に登場する人を、今や遅しを待ち受けていたのであった。会見場はほぼ満席の大盛況だったけど、んな人が結構多かったと思うな。

 期待を一身に受けて、登壇したのが我らが三石琴乃様さま様。とにかくスリムででも出るとこ出てて、これで声優さんはもったいないとゆー美しさを、最前列で拝める至福に感謝する。喋るとまるでミサトさんあるいは女メイズ、って当たり前なんだけどでもその声をご本人を眼前にして聞けるなんて、今日ほど工業新聞の記者やってて、良かったなんて思うかい。声優雑誌とかアニメ雑誌とかだったら、とっくにご対面出来てたはずなのにいと選んだ道の不幸を心の奥底で強く嘆く。

 しばし紹介の後で、三石さんとごいっしょに登壇したもう1人の女性こと豊口めぐみさんが、「三石琴乃のエーベルージュ伝説」の新しいテーマソング「瞳を閉じないで」をやっぱり眼前でご披露してくれて嬉しくて拝む。足細いなー。しかし「エーベルージュ」といえば昔も眼前で歌を披露してくれた人がいたっけなーと記憶をサルベージしてたどり着いた名前が「渡辺まほろ」。これを今富士通で言うとどんな反応が帰ってくるのか興味津々だったけど、武士は食わねど高楊枝、じゃなく情けでちょっと聞かずにおく。いや素晴らしい歌、だったんだけど。

 会見終了後に写真撮影があってカメラを取り出してパチリパチリ。いやもう仕事忘れてます。でもデジカメじゃないからページにはしばらくアップできませんので悪しからず。個人的に「楽しませて」頂くつもりですからファンの人が御勘弁。やがて三々五々と帰り始める人が出るなかで、六川さんとかいろいろと喋りながら物欲しそーな顔をしていたのが伝わったのか、富士通の人が「ではこちらへ」と奥の部屋へと案内してくれて、なんとなんとなんと三石さんの所へ連れていってくれた。

 「来年の景気は」「ファイナンスの予定は」などと工業新聞らしいボケかます余裕もなく、ただ「ファンです嬉しい有り難う頑張って」などと舞い上がって約2分、「お仕置きよ」とも言われずに三石さんとの濃密じゃない時間は過ぎ去ってしまったのであった。胡乱な奴だと思われただろーなーとちょい自己嫌悪。でも良かった一生の思いでだ。サインもらっといた方が良かったかなー。渡辺まほろの。

 恵比寿へと飛んで「マルチメディア・タイトル制作者連盟(AMD)」が年に1回開いている作品の表彰式に出席する。富士通に比べればまだまだインディペンデントに近い会社が会員のほとんどを占めているから、昨今の景気の低迷は相当にフトコロに響いているはずだけど、そこは武士の情け、じゃない食わねど高楊枝で、恵比寿ガーデンホールを借り切って照明音響凝りに凝った演出で、素晴らしいショーを見せてくれた。

 冒頭に2人のねーちゃんが登場して、ハイトーンボイスでオペラかテクノかって音楽を演ってくれてれたり、出席者が皆タキシードを着ていたり、プレゼンターが簡単なスピーチをしてから賞を渡したりって式次第は米国のアカデミー賞を意識したもの。もちろんまだまだ規模は及びもしないけど、夢はいつかかなうもので、日本の賞が世界レベルで認められるくらいの権威となって欲しーねー。

 ちなみにこの「AMD Award」、製作した会社ではなく制作した人に与える賞とゆーことで、MMCAの「マルチメディアグランプリ」とは大きく一線を画してる。一昨年は愛があれば大丈夫(社名だよ)の「ファンタスマゴリア」が授賞し、去年は任天堂の宮本茂御大が「スーパーマリオ64」で授賞したけど、今年からCESAの「ゲーム大賞」とのバッティングを防ぐ意味からパソコンゲーム中心へと衣替えし、ネットワーク・コンテンツを加えた独特の賞体系になっていた。

 最初に「ディアブロ」「ウルティマ」「ナミロム」「ポスペ」「リヴン」の5作品が優秀作品賞として紹介され、その後部門賞に特別賞を順々に紹介。「ポスペ」の八谷和彦さんて意外とちいっちゃい人だったんですねー。あと去年は「たまごっち」だったバンダイからの特別賞が、今年はやっぱりな「ハイパーヨーヨー」のスペシャルエディションで、もらった「Hot Wired」の人たち、きっと社内の息子持ったおじさんから、すっげーアプローチ(圧力)があることでしょー。そんなこんなで、先鋭的でアーティスティックな内容を持ったコンテンツが次々と賞を受けていくなかで、パッケージ部門のベストシナリオ賞を授賞する作品が紹介された瞬間、会場の空気が一瞬変わったのが分かった。

 それは壇上の巨大なスクリーンに映像が映し出された時。登場したのは我らが人型汎用決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン。高尚でハイブラウな作品が授賞する傾向が強いなかで、極めてオタクに近い分野の「新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド」が受賞作に選ばれたのは、やっぱり作品自体の魅力が相当にあったからなのか。ウィンドウズ持ってないから何とも言えないのが辛いけど、まーじき「セガサターン版」も出るみたいのでそれから判断してみよー。

 ちなみに授賞式には武田康廣取締役が出席、でも公の場に出る格好じゃなかったのがちょっと残念、やっぱ武田さんにはこーゆー場には、公の服装たる黄色い全身スーツにヘルメット、頭にボンボリ足には長靴の、あの「快傑のーてんき」の格好で登場して来て頂きたかった。真面目で気取った雰囲気のなかで、それが関西芸人の意気で粋だと思うんだがなー。

 式が終わった後でロビーでうろうろ。酒飲んだデジタローグの江波さんが雨宮監督の次回作は期待してねっと言ってたり、編集後記でタテがヨコだとケンカ売ってた(としか思えなかった)「WIRED」の小林編集長が、「旧週刊アスキー」の渡邊直樹編集長と話をしていて間を「現週刊アスキー」の福岡編集長が取り持っているって、まるで「噂の真相」の1行情報に出そーなシチュエーションが見られたりと、三石さんにはかなわないけどそれなりに面白いものを見られた。

 そうこうしていると、「プレス」のバッジを見て近寄って来た若者が1人、胸に「ガイナックス」の名札があって知り合いだったっけ、でもガイナにインタラクティブな知り合いっていない(こちらはそちらの名前知ってますくらいのもんだから)から、誰だっけかと頭を悩ませていたら、青年「ゲーム作りたいんですよねー」と言って、企画の持ち込み先ないかなーなどと聞いて来た。

 ってもこちとら世界に冠たる貧乏新聞社だ、おいそれと1億2億も出せるはずなく、仕方がないので会場にいたシナジー幾何学の粟田さんに、「さっき知り合ったけどどーですか」などと無茶な引き合わせをしてしまう。果たして陽の目を見るのだろーか。気になる人は『月刊もぴー星人』をのぞいてみてね。動向分かります。


【1月27日】 どろどろとした夜。気になること多いが気にしていてもしょうがない自業自得だと有卦に入りつつ、でらでらと闇の仕事にかかるが捗(はかど)らない。長くながく引き延ばす仕事ばかりしていた関係で、キレ味鋭い短い文章をどうしても書けず、ぼらぼらと朝が開けるまで悩み続けて風邪ひいてまんねん。

 朝方のニュースで影山民夫が焼死したと知って仰天、宗教活動はともかく小説家としては「トラブルバスター」が好きで全巻読んでたし、パーソナリティーとしてもタモリ倶楽部にてらっと出ては軽妙なトークを見せ、大昔の「俺たちひょうきん族」ではコメディアンのプロレスコーナーでアイマスクをして「フルハム三浦」のリングネームでウケと取っていたっけか。これはちょっと記憶が曖昧、でも何かにつけて面白いことをやってくれていた人だったので、いったい何があったのとひどく訝(いぶか)る。

 冗談を承知で例えば宗教家につきものの人体発火であろうとか、だとしたら近くに変電所があるはずだとか、ならば大槻教授を呼んでプラズマの解明としてもらえとか言えるけど、一方では根拠も証拠もないこととは言え自殺説もあがっていて、前年の伊丹十三監督の飛び降り自殺を思い浮かべつつ、不惑を超えた男たちの惑いっぱなし悩みっぱなしの人生に、いずれ遠からずその年齢へとたどり着き、現在への絶望に打ちひしがれ、さりとて未来への希望などカケラも抱けない状況に、閉塞観からフラフラと高い場所に登るとか、下がるに具合の良さそうな木の枝を探すとか、薬局薬店でお求めしてみるとか、地図をコンパスを持って富士の樹海へと入るとかしないとも限らないと、まああれやこれや考えつつ今日も陽が登るのを感じている。仕事が始まる。

 滅多なことは言うもんじゃねーやと、海よりも深く反省しながらマーカスの人から届いたメールを頼りに今敏さんのホームページの日記をのぞく。商売とゆー面から「パーフェクトブルー」とゆーアニメ作品が出来上がるまでを聞いた後で、ではクリエイティブの現場から人々がこの作品にどう取り組んでいったのかとゆー裏事情裏情報が分かって面白い。とにかく貧乏な所帯だったことが文章のそこかしこににじみ出て、それでなおかつあれだけのクオリティーの作品を作り出したクリエイティブスタッフの技術と才能と頑張りに、とにかく賞賛と感嘆の意を強く覚える。

 クリエイティブとしてのこだわりを感じたのは、「パーフェクトブルー」が劇場でかかると知った時の今さんたちの驚きで、はじめはビデオでスタートした作品である以上、テレビのせいぜいが29インチとかってな画面で見ることを前提に、クオリティーも物語も作ってあるために、それを劇場で見せるのは、かえってスタッフの恥をさらすような事になりかねないかと、怒りつつ心配しているのがクリエイターではない自分には肉感として理解できない。それほどビデオと劇場とは違うのか。安易に劇場公開を喜んでいた我が身を振り返り考える。

 もちろん商売の側にも理屈があって、それはとにかく1館でも劇場で公開しておけば、レンタルだろーとセルだろーとビデオの売り上げが全然違って来ると業界の人たちに聞かされていたからで、伝(つて)もないなかを苦労して劇場をおさえ、失敗のリスクを背負って興行を打つつもりで頑張ってる。それぞれの立場の違いによる作品へのスタンスの違いが、「パーフェクトブルー」の場合は作品を世に送り出したいとゆー気持ちで次元こそ違え同じベクトルを向いているから、まだ安心して見ていられる部分がある。今さんたちの気持ちの理由は、とりあえず劇場で見て考えよう。2月下旬にパルコスペースパート3で公開予定。

 メディアカイトって懐かしい会社からリリースが送られて来る。なんで懐かしいってそれは昔むかしのお話、あるところにオレンジ色のニクい奴がいて身の下の相談をしたいからって持ちかけられたのがアダルトCD−ROMのレビュー。真面目な僕がそんな事を受けられるはずもなく、それでもニクい奴の説得におされて知っていたKUKIさんの伝を頼って、ようやくたどり着いた会社こそがかのイエローボックスと、このメディアカイトなのであった。

 早速訪れたオフィスで次々と取り出される姉ちゃんのあられもない肢体が描かれたパッケージに、赤面しながらCD−ROMをトレイに入れて再生していた純真だったあの時代。慣れない文章に精神を、ほとばしるパトスに肉体をむしばまれながら、1年のお勤めを果たしたのだった。「美少女制服グランプリ」もここんちの販売だったなあ。ただのエッチイラスト集に過ぎなかったタイトルが、今はゲーム化とかも果たされて広がりを見せているのが面白い。「暗黒太極拳」だって頑張れるよ、ってまた墓穴。

 今日はもちろんそーしたアダルトなCD−ROMの話じゃなく、むしろ対極にある子供に楽しんでもらえるソフトをメディアカイトが発売することになったって内容で、それはバンダイ・デジタルエンタテインメントが開発した「ポリゴンだよ!!たまごっち」(こんな名だったっけ?)の販売を担当することになったってもので、まあ似合わない、じゃないまあ可愛らしいとすぐさま記事にして流す。これまでもアドベンチャーとか鶴ちゃんの画集とかを販売していたメディアカイトだけど、子供もねらえるタイトルってのはこれが初めてになるのかな。脱衣麻雀と同じカタログに乗ったらちょっと凄いぞ。

 「ポリたま」の中身は名前そのままに「新種発見たまごっち」のキャラが3Dポリゴンになって画面に登場するってものだけど、ただ育てるだけじゃなく、通信機能があって「たまごっち」にメールを運んでもらうとか(知恵がつくと面倒がるそーな)、出かける時は託児所(オン・ザ・ネット)で預かってもらうとかいった、パソコンならではの遊びも出来るそーな。「ポストペット」後に山と出そーなキャラクター利用のメールソフトと、思えばその1種ってことになるのか。あるいはちょっと(ずっと)高級な「たまぴっち」ってとこですか。ウィンドウズ95しかないのがツラいとこで、是非ともマック版の登場を願うぞ(キール議長風)。


【1月26日】 間もなく公開な長編アニメーション映画「パーフェクト・ブルー」。大友克洋さんに江口寿史さんらが関わって監督はこれが初作品とゆー今敏さんの、アニメファンならずとも「スッゲー」と思うトリオを擁した作品だけど、作っているのはバンダイビジュアルでもなければ角川書店でも東映動画でもスタジオぴえろでもなくレックスエンタテインメントってあんまり(ずぇーんずぇん)聞ーたことのない名前の会社で、またぞろアニメバブルにのっかって、商社あたりが関連会社でも作ってアニメ製作にでも乗り出したのかと思ってホームページを検索したら意外や意外、大阪にあるちょっとは知られた印刷会社の関係会社だってことが判明し、これは面白いと会社を探して担当者をつかまえて話を聞きに行く。

 新橋のとある雑居ビルにあるオフィスであれこれ。もともとは作家の竹内義和さんが原作の映像化を考えて話を持ち込んだのがきっかけで、大震災を挟んで竹内さんの交友関係から大友さんへと話がつながり、そこからプロデューサーに脚本に監督にとつながっていって、あれだけのスタッフを集めることが出来たらしー。ロボットも出てこなければ異世界を舞台にした話でもなく、今の日常生活をそのまま緻密にリアルに描写していった作品で、おまけに原作は相当にホラーというかスプラッターってな内容らしく、最初はスタッフも二の足を踏んだそーだけど、そこを監督なり脚本家なりがアニメに合った話へと変えて、あれやこれやで出来上がったのが去年の夏。そこからプロモーション期間を半年あまりかけて、よーやくの公開にこぎ着けたとゆーから公開直前まで予告編すらできないスレスレのスケジュールで作られる作品が多い中で、これも異例の余裕っぷりといえるみたい。

 とにかく母体が印刷会社なんでアニメ業界に伝(つて)なんて最初はまったくなく、作品づくりですら個人的人脈をたどって成し遂げたんだけど、もっと大変なプロモーションでも従来のセオリーには乗らないとゆーか乗れないとゆーか、もー手探り状態の中で進めて来たとのこと。すぐ側にあるアニメの総本山「アニメージュ」への飛び込みはゆーに及ばず、コミケでのゲリラコスプレとか20回以上に及ぶ試写とかを展開し、とにかくお金をかけずにプロモーションできそーな媒体を選んでお願いして回るとゆーのが主戦略で、その線上に浮かばなかった某工業新聞の情けなさはひとまず置いといて、とにかくジワジワと広まっていった認知度が初めて目で確認できたとゆーのが11月の「東京ファンタスティック映画祭」での満員御礼だったと、製作側のプロデューサーが話してくれた。主役の岩男潤子人気も多分にあったとは思うけど。

 で冬のコミケでの巨大ブースの出展につながる訳だけど、ここでも岩男人気が爆発して、企業ブース始まって以来の集客(リーフの2時間待ちってのは総数では多いかもしれんが)を達成して、これはもー手応えバッチリってのが今の状況。コミケで売るためにカレンダーやらCD−ROMやらをちょっと作りすぎちゃったのはご愛敬としても、今どきなかなかに腰の座った会社であると、ここに喧伝して広く告知につとめることにした次第。ただし小生、肝心の作品がいかな中身かをまったく知らないため、あくまでも姿勢に対する評価にとどめておかざるを得ないのが残念とゆーか何とゆーか。1月22日を過ぎてさーっと潮が引くよーに音沙汰がなくなり、ついでにさーっと血の気も引ーてしまったアレの例もないこともないから、記事は早いとこ2月下旬の公開までにまとめることにしよー。

 アレといえば「モデルグラフィックス」の3月号が巻末でフィギュアを大特集。企画から発表を経てグッズ類が盛り上がっていくプロセスが、しっかりとまとまった年表になっているのを見て、どーしてもう1カ月早く掲載してくれなかったの、これがあれば記事書くのももっと楽だったのにぃと恨み節が口をつく。噂の「暗黒太極拳」がまさに「暗黒太極拳」であったことを確認し、金沢と京都でストーキングをしたところまででひと休みとなっているだけに、今さら再び巨大グッズ市場の全貌を大盛り上げする訳にもいかないんだよね。年表の終わりが1月22日の本編であるゲームソフト発売となっていて、果たしてその後はいかな歴史が刻まれるのかを、今は固唾を呑んで見守っているところだけど、さて誰かちゃんと刻んでやってよ。

 とはいえ週末を挟んだ秋葉原ではリバティーの1階で今でも5600円台の先週と変わらない値段がついていて、在庫もどっちゃりって具合じゃないみたいだから、もしかしたらある程度はハケたのかもしれん。他の店を回って確認する暇がなく、ソフマップあたりがどーなっているのかは未見。サトームセンはどないじゃろ。ちなみにリバティーではサウンドノベル「街」は4780円で、あと1週間もすればさらにお得になりまーす今なら抗菌まな板ついてます状態になるかもしれんと、甚だ製作者には失礼な期待を抱いてしまっている私はゲーム会社の敵なのか。ましてや週末には200万本ソフト「バイオハザード」の続編投入で、再びな盛り上がりを見せる(かもしれない)秋葉原のゲームショップ、新作の棚からお引きとり願うソフトも少なからず出るだろーから、その折りにはどしゃんと値段も下がって、我がフトコロに相応しくなっていることを夢想するのであった。その前に「暗黒太極拳」片づけなくっちゃ。

 奇縁とゆーかリバティーで大友・江口な「老人Z」を1880円で発見して即ゲット。撮らないアニメ監督の北久保弘之さんの作品で、実は最近まで大友苦手だったりするので未見なんだけど、この値段ならセルしても損じゃないって気持ちになるのは、もしかしてセルビデオマーケットの拡大には値付けをもーちょい考える必要があるってことを、如実に示しているのではなかろーか、ってこれは極めて個人的な欲求に基づいた意見だけどね。安かったといえば昨日の「東京国際ブックフェア」で「ブックフェア」であるにも関わらず出展していた中古ビデオショップで購入した「ゴウカイザー」。ギャガから昔出た45分のビデオが何と500円(とゆーか2本で1000円)となっていて、アニメ関係者たちの深い悲しみを誘うのであった。いっしょに買ったのは村上龍さんの最後の監督作品(今んとここれ、だったっけまだ後にあったっけ、でもこれから撮れんじゃろ)「KYOKO」で、こちらはもちろん高岡早紀の乳揺らし目当て。値段はやっぱり涙を誘うけどね。


【1月25日】 もはやのっぴきならない所まで来ているのか「SFマガジン」。超分厚い1月号と2月号が続いて、やれやれやっと通常どおりに戻ったと思った3月号、書店で手に取りレジへと持って行って1000円札を財布から出そうとしていると、売り子のねーちゃんが「1100円です」なんてぬかしやがった。おいおいこんな薄い雑誌が1100円だって、値段間違えてるんじゃねーよと思って確認するとおおなんと、しっかり定価んところに1100円と書いてあるではないか。初めて購入した81年から17年で約倍ってことで、これはちょっとあんまりだぞと、苦境の噂耐えない「SFマガジン」の内情を思案する。

 確かに「ヒューゴー賞&ネビュラ賞」の特集に、97年を回顧する記事とそれからベストのコーナーが加わって、いつもよりはちょっとは膨れ上がっているけれど、だからといって去年までの870円がいきなり230円も上がる程には膨らんではなく、諸物価高騰かつ景気低迷のこの折、あまりな小部数を維持するにはもはや値上げしかなかったのだろーかと、ついつい妄想してしまった。もはや1冊しか残っていないSF専門誌だけに、高くても残してもらいたいってのが心境だけど、値上げして読者が離れてさらに値上げってな悪循環に陥らないとも限らないだけに、ちょっと先行きが心配。果たして真相はどーなんだろー。

 ”次”(何のだ)にまつわる謎の情報が飛び交うなかを己の欲望だけを拠り所に電車に乗って東京ビッグサイトで開催中の「ワンダーフェスティバル」へと向かう。コミケのような駅前まで続く大行列こそ出来ないけど、目当てのフィギュアは即完売ってケースが多いから、絶対ゲットな人は早朝から寒い中を並んで開場を待つんだそーな。こっちはフィギュアに関してはそれほど濃くもないから、午前も遅い時間の出勤であれば何か買おうかってなスタンス。目当てがあるとしたら現代アーティストの村上隆さんがデザインして原型をBOMEさんが作った「KO2(ココ)」ちゃんのイルクジバージョンだったけど、15,000円で50体限定が開場15分で売り切れてしまったそーで、到着した時にはすでに一昨日おいで状態だった。プレミア必至だったのにぃ、残念。

 でも現代アートの世界では村上隆さんの名前がいくら有名だからといって、何のキャラでもない言ってしまえばありきたりなアンミラ風胸でっかい姉ちゃんのフィギュアを、ワンフェスに来た人が買ったとはちょっと思えず、そこいら辺りの真相を探るべく、午後2時から開かれた、村上さんがライターのあさのまさひこさん、海洋堂の白井武志さん繰り広げたトークセッションを観賞する。もともとはBOMEさんの作品をやっぱり現代アートな中原浩大さんが、素組してちょろっとペイントしただけで「アートだっぁ」って態度で並べたことに村上さんがカチンと来て、だったら俺がオタクのフィギュアをアートの世界へとちゃんとした形で持ち込んでやると始めたのが「プロジェクトKO2」。その成果として1年ほど前に「1分の1KO2ちゃん」を完成させてワンフェスに展示したから、見たとゆー人も多いでしょう。

 その後1分の1フィギュアは何度かバージョンアップが図られて、あちらこちらの展覧会に種ピンされて主に海外の現代アートのコレクターがこぞって購入するほどの人気になったとか。日本はともかく海外のアートシーンでは成功したってことになるけれど、村上さんにとって問題だったは、いわゆるフィギュアなオタクの間で、今回のプロジェクトがどんな感じに受けとめられているかってことらしく、アートの権威を持ってフィギュアの上っ面をすくいあげているだけの部外者なのか、ちゃんとしたフィギュアとしてとらえてもらっているのかを確認するべく、今回の「ワンフェス」にガレージキットを引っ提げ、かつ現在進行中の新プロジェクトを持って臨んだとゆーのが事のいきさつ。結果は完売となった訳で、やっぱり一応の成功を見たってことなるけれど、じゃあ村上さんの作品だから売れたのか、純粋に可愛いキャラのフィギュアだから売れたのかってところになると、ちょっとやっぱり判然としない。BOMEさんの原型だから売れた、ってのが一番近いのかもしれず、この辺りさらに続くプロジェクトの中で、よりいっそう検証されることを期待したい。最終目標であるところのバルキリーみたく飛行機に変形する女の子のプロジェクトが登場するのはいつのことやら。

 面白かったのは、「KO2ちゃん」よりもフィギュアとしてはちょっと不細工な感じが否めない「HIROPONちゃん」をあさのさんが強く推していたことで、それは多分アートという外の世界からフィギュアの世界オタクの世界をのぞき見たときに覚える違和感やグロテスクな感じを、大きな胸からほとぼばしる乳で縄跳びとしている「HIROPNちゃん」が見事にカリカチュアライズしていて、オタクにとっての反面教師とゆーか近親憎悪を感じさせる素材として反発も覚えるけれど、それでも気にせずにはおられない衝撃を与えたかららしー。もっとも最初にオタクを刺激するよーなことをやってしまうと、結局中原さんの作品に村上さんが抱いた怒りを、今度はフィギュアの人たちが村上さんに抱くことになって、原型を作ってくれる人も協力してくれる人もなく、一人孤独の作業になっただろーから、最初のアプローチとしては”頑張ってオタクに近づく努力”を重ねた「KO2ちゃん」で良かったのかもしれない。

 ちなみにセッションでは、1月の頭にニューヨークのギャラリーで開かれたBOMEさんの作品展の作品展の報告が行われて、それによるとニューヨークではBOMEさんの作品は絶賛を受けたそーな。「ヴィレッジボイス」ってニューヨークのペーパーでは、綴じ込まれる「今週の1オシ」ってな感じのコーナーでそれこそ最大規模の扱いになっていて、これは村上さんに言わせれば、ニューヨークのアート関係者は全員見ろってことになるらしー。ただし、あさのさん白井さんが疑問を呈していたのは、果たしてBOMEさんのフィギュアだから人気になったのか、それとも日本から日本人が作った妙な物が来たからウケたのかが判然としなかったってことで、そのあたりをギャラリーの運営者であるハドソンに、あさのさんが鋭く突っ込んだインタビューが、来月発売の「モデルグラフィックス」に掲載されることになっている。美術もフィギュアも好きな身として、ちょっと中身に注目したい。しかしこーゆー快挙が「美術手帖」に載らない日本って・・・。

 夏のワンフェスで「星界の紋章」のラフィールとスポールを出品していた「H.B.Company」を覗くと、帽子に「”赤井度”が低い男」ってな看板を付けたお兄さんが座っていたので大笑い。それとゆーのも「モデルグラフィックス」の去年出た11月号に載った夏のワンフェスリポートで、水玉螢之丞さんがラフィールのことを可愛いんだけど赤井度が低いって評価していたのを読んでいたからで、原型製作師たるものやっぱり「女王様」の評価は堪えたんだろーなーなどと想像する。半分は自嘲とゆーか自慢なのかもしれないけれど。折角なので完全リニューアルされた「神林ミランダ」を購入、ここんちの顔が結構好きなんですよ。でも前のラフィール&スポールもまだ作ってないんだよなー、仕事暇になったら作ろう、って暇を出されたらどーしよー。

 などと考えて場内をウロウロしていたら大森望さんを見つけ、なんと水玉さんご本人を紹介してもらい超ラッキー。聞くと記事で書いたことが気になっていて「H.B.Company」のブースをのぞいたところ、「”赤井度”が低い」ってな看板を見て挨拶する気が萎えてしまったとか。もったいないことをしましたねー「H.B.Company」さん。水玉さんは自費購入品に朝貢品をワンフェスの巨大な袋3つ分も仕入れて至極ご満悦の様子。けどあれだけあちらこちにらに連載やらコーナーやらを持っていて、これだけのフィギュアをいつ作るんだろーかってな素朴な疑問を抱く。買った「エヴァ」関連のプラモ(含む「究極版」)も未だ手つかずの身にとって、やっぱり「賭けてる」人たちの熱意・集中力は羨望でもあり驚嘆でもある。頑張らねば見習わねば学ばねば。

 目移りがして仕方がなかった会場でも、これは欲しいと思ったのがマスプロだけどツクダホビーのコーナーに試作で出ていた「吸血姫美夕」のアクションフィギュア。思い出すとえっと確か着物バージョンとそれから制服バージョンがあったのかな、服装とか顔立ちなんかの雰囲気が結構出ていて、家に置いておくと夜な夜な笛吹きながら長沢美樹さんの声で夢に出て来てくれそーで、3月の発売時には是非とも購入せねばとチェックする。「吸血姫美夕」と言えば同じ東京ビッグサイトで開催中だった「東京国際ブックフェア」の秋田書店ブースで、ちょうど午後から漫画を描いている垣野内成美さんのサイン会が開かれていて、残念ながら整理券が入手できずサインはもらえなかったけど、サインする本人をちらと見られてちょっとラッキー。来年まで人気が続いて夏ワンフェスにはフィギュアがどんどが出てくると嬉しいな。でも着物の美夕ってパンツはいてるんだろーか。とりあえずはツクダの人形で確かめてみんべや。


【1月24日】 お洗濯、お洗濯、お洗濯、西武っ冬市。あっ間違えた、けど久々に週末に何事も起こってなかったのを良いことに、溜まっていた洗濯物を半分だけ片づける。残った半分はいつも面倒なので後回しにしているパンツ類とか柄物のシャツとかいろいろで、中にはもー2年以上もランドリー袋に放り込んだまま腐敗している衣類もあって、とりあえず本が多い関係で部屋が乾燥しているから、男おいどんなサルマタケもカビも銭苔も生えないけれど、いずれ風化して紙切れのよーにボロボロを崩れさっていくのだ。全自動洗濯機、やっぱ買おうかな。お洗濯、お洗濯、お洗濯、西武っ夏市。

 2日ぶりの秋葉原は土曜日だけあって大層な人出。早速あちらこちらのショップをチェックして暗黒太極拳(○○ゲーハンター談)なソフトがいかな状況に陥っているかを探って回る。えっとまずはソフマップ、初日は税込みで7000円だったのが今日は既に5900幾らってな値札になっていて吃驚、でもまだ序の口でリバティー1階のソフトショップは新品なのに5600幾らってな値段が付いていて、つまり2日で1400円ってなところ値下がりしたってことになる。メッセンオーはまだ6500円前後で、代わりにポスターだけじゃなくフィギュアのキーホルダーがオマケに付いてるってあったから、ファンなら例え1000円高くても、こっちを買うかもしれんとファン心理をくすぐる(ファン心理につけこむ)お店の戦略に拍手(悪態)を贈る(付く)。

 わざわざ秋葉原まで行ったのは何も自分が幾ら損したかを確認するためじゃない、そう今世紀における定番であり金字塔でありマスターピースであり家宝となることが決定している名作傑作快作映画、あの「20世紀ノスタルジア」のDVDを買いに行ったのだよニューロンばちばちぃ。新品ながらすでに値引きされているいつものお店に行くとあったあった「どろろ」のLD−B0Xが。いやこれも欲しいには違いないけれど今はちょっと買えないお金がない。目を転じてDVDの棚へ行き、月をバックに微笑むヒロスエのジャケットも美しく鮮やかな「20世紀ノスタルジア」DVD版を取りあげてして、僕はDVD持ってるんだぞヒロスエをMPEG2で見られるなどってな態度で得意げにレジに出してゲットした爆発するよー。

 テレカとか何かがついたLDに対して特典映像のDVDとそれぞれに特徴があって、ニーズによって選べるところがメディアが混在する今ならではの現象だけど、実際にDVDプレーヤーを持っている身にはあの簡便性、そしてコンパクトさがとても嬉しく、テレカの誘惑に負けないでDVDの方を買ってしまう。だって開けてポンでパッ、だもん。そんなメリットが次第に浸透しているのか、そばにある石丸電気のソフト1のDVD売場ではタイトルを何枚も手にしてレジへと持っていく人を結構見かけるよーになったし、棚に並ぶタイトル数が毎月10も20も増えていく最近の状況を踏まえて考えると、これは意外と「爆発するよー」なブームがDVDにも到来するかもしれん。これは都会のDVDタイトルを入手しやすい環境にいるものの錯覚だろーか。地方じゃDVDタイトルって、ちゃんとたくさん売ってますか。

 幾つもあるリバティーの1つに寄って中古ビデオ漁り。音楽ビデオのコーナーで種とこもさんと東京少年のライブのビデオを見つけて、懐かしくってなつかしくって買ってしまう。もう学生時代から良く聴いた彼女たちの音楽は、大メジャーなシーンで活躍するほどの普遍性があったかとゆーと謎だけど、少なくとも僕にはメロディーと、声と、それから決して超美人じゃないけど癖のある表情がなんか合ってたみたい。帰って早速見た種さんのライブビデオは、ナナメ下から1カットで撮り続けた「愛に映える雲」で始まって、タンクトップになった超ミニでボディコンなワンピースを来てちょっぴりお腹のでっぱりが目立つ種さんが、激しいアクションとともに「O・HA・YO」をメインにしたメドレーへと続き、へーこんな楽しく激しいライブ演ってたんだってことに驚かされる。

 最後の方なんってスパッツにランニングって格好でほとんどブルマー姿のバレー選手にしか見えない。こりゃナマで見たかったわなー。もう1つ、東京少年の方は解散を告げるMCに始まって最後のライブの模様を収録したビデオで、「れんがの学校」とか「サイレント・メビウス」とか「陽のあたる坂道」とかを聴きながら良いグループだったなあ、もう解散しちゃったんだなあ、などと何枚か持っているアルバムの背中をながめながら感慨に耽る。などと書いているうちに、種さんも笹野さんも確か京都の学校に通ってたんじゃなかったっけってなことを思い出す。だから京都方面に種ともこのファンが多いのか、って誰のことだ。

 日刊スポーツに例の「オルタカルチャー問題」に関する係争のニュース。けど小谷真理さんのことを「エヴァンゲリオンの評論で知られる」ってな具合に紹介しているとろこに、どこか権威(あるいはメジャーなもの)に寄り掛かからなくっちゃいけないメディアの体質を感じて気が滅入る。「日本SF大賞受賞者」じゃーいかんのか。あるいはフェミニズム関連の評論家とか。「エヴァ」が特徴を示す時の指針になりえるほどメジャー化したことを嫌がる訳じゃないけれど、小谷さんを捕まえて「エヴァ評論家」もないんじゃないかな。もっとも名前もないただの「翻訳家」としてしか紹介されていない山形浩生さんに比べればはるかに遥かにマシだけど。サドの紹介者たる澁澤龍彦にも匹敵するであろー業績を持つ(誉め殺し?)、バロウズにバーセルミにアッカーの紹介者、だぜ。

 こーゆー時に発行元は分かるとしても発売元の会社が提訴の対象となるのかがちょっと謎。仕組みを知り尽くしている訳じゃないけれど、発行と発売が別れている時って確か発売元は取次コードとかを使ってもらっているだけで、あと営業なんかもするのかな、けど中身については口を差し挟んでなんかないよね。それで訴えられるってことは、だったら取り次いだ会社とか売った書店とかってのも「罵詈雑言に満ちた悪質な虚偽の記述誹謗中傷」でいっぱいの悪書を世に頒布した罪に問われるってことに、果たしてなるのかならないのか。そのあたり、どーゆー論拠になっているのか、機会があったら聴いてみたいけどめんどくさいから遠慮しとく。

 とまれ司法の場へと引っぱり出された「オルタカルチャー問題」、これから果たして裁判で丁々発止とやりあうのか、それとも示談和解で沈静化するのか成りゆきに注目(ナリチュウ)したいところ。ヤジ馬の勝手な要望を言わせて貰えば、当事者は”現代の澁澤”(誉め殺し屋談)だ。サド論争を一種の遊び場ととらえて裁判所に文化人芸能人を呼び込んでどんちゃんどんちゃんやったよーに、ここはSF関係者無関係者を呼び込んで、冷え切ったSF界なれ合った文学界をシンカンさせるよーな一大係争を巻き起こしちゃってくれちゃって欲しい。でも敗訴したら慰謝料以上の裁判費用がかかりそーだから無理か。


【1月23日】 ひな鳥ってゆーとやっぱまだ子供の鳥のことをゆーんだと思うけど、だったら若鶏ってのはいったい何歳から何歳までのことをゆーのか悩みつつ、ドトールで最近凝ってるひな鳥の黄金焼き、だったっけかがサンドされたパンを食いつつ珈琲をガブ飲む。朝10時の三田、噂の慶応ボーイたちが小雨混じりの通りを闊歩する姿に筋違いな毒念波を送りつつ三田国際ビルへと向かい、○○ゲー作った会社の総帥に会いに行く。

 まあとりたてて用事はなくってあれやこれやと近況伺い。いわゆる美少女ゲームはコアなファンはいるけど広がりには限界があるってことで、これからはエデュテインメントに力を入れるってことを聞く。元がハード屋ながら勉強を怠らずたどり着いた結果がマーケットの状況を踏まえたタイトルの絞り込みで、ドンドンドンとお金積んでタイトルを集めている他社の動向に関心を持ちつつも、絞った分野で1番なところと組んでいくことにするんだとか。小憎らしいことに我が健筆(誉め殺しとも言う)を読んでおらず、鞄から1部取り出してたたきつけてお読みとヒールでくじる、ことはせずにとりあえず新聞を渡して引き上げる。お暇なら取ってね、キャンペーン期間中なんでサービス(どんなだ)しますわよ。

 てこてこと浜松町まで歩いて「SPA!」編集部に荷物を届けて隣の「女子高生ゴリコグッズ部」(にしてしまおー)をのぞくと誰もいなかったので早々に引き上げる。記者が汽車で帰社して去年のうちに終えていた日本郵船と大阪商船三井船舶の社長インタビューをでっち上げて出稿、たまにこーゆー真面目で大きな会社の記事を書くと、頭が爆発しそーになるから不思議なもので、これでよく半年間ももったものだと今さらながらに関心する。○○ゲーの記事なんて1時間もかからずに書けたのにぃ。

 あとはリリースの処理あれこれ。まずはファックスで届いていたリリースが、コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会、いわゆるCESAが去年から贈呈している「CESA大賞」へのノミネート作品リストで、やっぱりな「ファイナルファンタジー7」から「チョコボの不思議なダンジョン」に至るスクウェアの大半のソフトやら、なにやらかにやらがえっと54タイトル並んでいて、来月からの投票を待ち望んでいた。大抵のヒット作は入っていると思っていーけど、しかし54とは多すぎるよなー。ほんと迷っちゃう。

 去年の「サクラ大戦」の授賞を何の違和感も異論もなく応援絶賛してしまう通俗なゲームファンとしては、1番売れた「FF7」が順当に授賞したってやっぱり異論は無いけれど、さすがに順当過ぎるかなーと天の邪鬼に考えて、「FF7」を外してリストを上から下までながめた時、途端に”いっちーばーん”が見えなくなってしまうところに、”超”の付く話題作が案外少なかったことに気づく。それだけゲームのマーケットが広がって、それから人の好みが多様化して、まんべんなく空気のようにゲームが世の中に行き渡ったと考えればいーのかもしれん。さても「FF7」じゃツマランと、リストから天の邪鬼的に選ぶとしたら何が残るか、やっぱごくごく普通の日常、けれども滅多に触れることの出来ない日常を体験させてくれる画期的なあのソフト、ってことになるのかな。そう「電車でGO!」に。助教授さんも出てるし(出てないでてない)。

 夜中に玩具屋さんの広報さんがリリース持って到来。なんでもあのパパパパな超人気デュオの人形を売り出すってことで、写真を見るとよー似とるんだわ、これが。チリチリヘアにぼわーんとした目とか気怠そーなポーズとかがもうそっくり。ご愛用のジーンズもちゃんと本物の「EVIS GENES」が作っているそーで、レーヨンのタグとかステッチとか、小さいながらもちゃんと再現されていてこれはもうジーンズファンにもマストアイティムになるとこ間違いないだろー(なのか)。色落ちしちゃうから子供はダメで対象年齢は15歳以上だとか、でも15歳過ぎて人形買う人ってどんな人なんだろー。やっぱOLさん辺りかな。当たり前だけど2体セットになっていて、お値段はえっと1万4800円だったかな、1万セット限定。うのちゃん人形買い逃したけどこっちは欲しい、なっと。

 なんだか西炯子さんは新刊ラッシュで新書館から「さよならジュリエット」(505円)が登場、ギャグと切なさが溶け合った表題作ほかしんみりさせらえる話が中心で、そっち系が好きだったファンには嬉しい1冊かも。でも好きな女のために機械の体を手に入れるためにヤバい仕事に手を染めた男がたどり着いた結末を描く「あなたがいるなら」、これってしりあがり寿さんのアイディアぱくりじゃんと思うのは僕だけ? 設定を借りて切ない物語を組み立てた一種のカバーバージョンと好意的にとらえてもいーんだけど、ただししりあがり寿さんの方が単純な絵、単純な物語故に切なさとこみ上げてくる感動・哀しみも大きく、西炯子さんの方はどうにもエンディングだけがギャグとして浮いてるよーな気がして仕方がない。いやこれは元ネタ知ってるからなのかもしれない。初めて接した人はどう思うんだろー。


【1月22日】 そしてこの日が来た。故障と人身事故で各駅停車・快速とも全滅の総武線を見捨てて京成で八幡まで行き、都営地下鉄新宿線に乗り換えて一路我が身は岩本町へと向かう。改札を駆け抜け昭和通りをダッシュ、やがて見えて来た電気街を、ソフマップの青い袋に白い筒を指した男共がぞろぞろと闊歩する姿が目に入る。目的を同じくした同志たちよよくやったなどと訳の分からないつぶやきを心の内に秘めつつ、足は輝く青い看板の下で止まる。入って差し出す1万円札と白くて薄い箱状の物体。返されるおつりとそして同じく青い袋に差し込まれた白い筒、そうだよこれで僕も君たちの仲間入りができたんだと、軽くステップを踏みながら秋葉原の街を散策するのであった。ハイホー。

 ってな冗談は抜きにしても、とりあえず書いた以上は結果を確かめるべく訪れた秋葉原は、予想に違わずウイークデイだってのにそれも朝っぱらだってのに、男の子男のおっさんほかいろいろがゲームショップの店頭に行列を作り、予約券を粛々を引き替えてはポスターをもらっている姿がそこかしこで目に入った。せっかくなので写真を撮って歩きつつ、ついでにLD屋に寄って「少女革命ウテナ」のえっと6枚目と、それから「フォトン」の3枚目を買ってそのまま会社へ上がる。黒薔薇会編も佳境へと入って来ているだけに、楽しみな「ウテナ」は内容もそのままに金色の文字が美しい。「フォトン」は心配ご無用なタイトルで、ますます快調な爆裂度に楽しみで足下がフラつく。早く仕事、終わらねーかな。

 などと秋葉原を後にして、ふと手を見るとどーゆーわけかソフマップの袋が1つ、そしてご丁寧にも白い筒状のものがぴょこっと顔を出している。悩みつつうろたえつつも中をみて、そこに例のあのかのタイトルを発見し、ミイラ取りがミイラと化したことを知る。困ったもんだ。小川町から地下鉄丸の内線で大手町まで行き会社へ上がって撮った写真をプリント。話題のソフトに群がる人々の血みどろの様子を適当に記事にして出してしまう。昨日の今日でこれだけ大宣伝してやるのも珍しいけど、まあいい趣味で作ってる新聞だ(そうだったのか)、スノッブなマスコミ人が小馬鹿にして触れないギャルゲーを大々的にフィーチャーし、たとえ○○ゲーであろーと誉め続けたってバチは当たるまい。中身が浸透してくると誉めるに誉めれなくなる可能性だってある訳だし、今がやっぱ潮時でしょーか。

 経団連でNECと電通とニッポン放送とポニーキャニオンがそろって会見、ネットワークコミュニティを運営する新会社を設立するって発表で、これだけのメンツにインターネット放送局でも作るのかと思っていたらさにあらず、チャットとかメールとかを楽しめる一種のクローズド・ユーザー・グループをインターネット上に作って、女子中高生に使ってもらうって話だった。とりあえず無料だけどやがて有償になるサービス、お金を払ってまで参加したいんだろーかネットワークコミュニティにってな疑問があるけれど、オープンな場でいたずらに誹謗中傷で痛めつけられた経験のある女性なら、誰が誰だかはっきりしていて外からは入れないこーゆーサービスにも、需要が生まれることだろー。後はおまけのコンテンツにどれだけ特色が出せるかで、ニッポン放送とポニーキャニオンのお手並み拝見といきましょー。グループなのにウチはお呼びじゃないけどね。

 さて「フォトン」だ、今回も動くぞ動くぞキーネはますあますラブラブだしアウンはますます凶暴だちパパチャはどこまでおポンチだしラシャラは抜けててんでもってフォトンは「腹減った」しか言わない。物語が進んだかといえばほとんど進んでいないんだけど、インターミッションのお楽しみな恋の鞘当て合戦は、お約束のギャグも満載で飽きずに最後まで楽しむことができた。ポチちょっと可哀想。次巻は梶島ワールドお約束の温泉編。パンツ見せまくってニコニコなアウンにキーネが今度はパンツの中身もご披露してくれる(予想)とあって、これは絶対に買い逃せない。ああ1カ月が待ち遠しい。

 もう由紀恵様さま様と呼ぶしかない仲間由紀恵さんのファーストアルバム「遠い日のメロディー」をやっぱり買う、ああやっぱりだ。いの一番に聴いたのは「HAUNTEDじゃんくしょん」のオープニングテーマになっていた「心に私がふたりいる」。テレビとはちょっと違ったイントロながら、実際の歌が始まるともう頭はあの春の真夜中へと立ち返り、変形セーラー服が脳に焼き付いて離れない花子さんの悩ましい肢体が甦って興奮する。今や幻の「みすてないでデイジー」のエンディングとか、ロックマンのCMソングも入っているからほとんどノリは声優のアルバム、でも「ラブ&ポップ」の4人組ではダントツの美しさ悩ましさを全身(特にボディー)から発散していた仲間さん、ジャケットの写真に惹かれてグラビアクイーンのアルバムとして買う人も少なくないだろーから、そんな人が「HAUNTED」に「デイジー」に「トゥルーラブストーリー」に「ロックマン」を聴いてどんな感想を抱くのか、もう僕にはネイティブすぎてビンビンな歌をいったいどう思うのか、怖いけどちょっと聞いてみたい。


【1月21日】 どたばたにジタバタしてぐにょんぐにょんになって、それでも仕事(裏)をせねばと椅子に座ったまま気絶する。起きると朝であじゃぱー。仕方がないので会社へ出向いて新聞各紙で昨日のSCEの報道をチェック、どこか「子供の夢壊すゲーム会社の横暴」とかって記事を書いてないかと期待してたら意外と冷静に中古問題及び著作権問題について触れていて、やっぱりそれなりに微妙な問題をはらんでいるため、冷静に成らざるを得なかったのだろーかと推察する。冷静になり過ぎてややも過保護な記事を書き飛ばした某工業新聞に比べれば、それでもはるかにバランスが取れていたんだけどね。時間と人出と金のない身を嘆く。をを。

 隣の会社から送られて来たリリースを処理。ってつまり読売新聞ってことで、それによるとインターネット上で文芸作品を募集するコンテストを設立したとかで、6月に第1回目の作品を募集する。ミステリーでもSFでもエンターテインメントならオッケーで、分量は原稿用紙換算で500枚以内、国籍も年齢も性別も一切の制限はないけれど、ただし日本語に限るってところが世界に開けたインターネットぽくない。選考委員はえっと大原まり子さんに島田雅彦さんに阿刀多高さんに読売の文化部長さん。大原さんが入っているところに、SF者はちょっと応募してみたいって魅力を感じるかも。賞金は優秀作品が100万円でその下が確か10万円、でもって優秀作品は有償で公開したりファイルをネットで販売したりするそーな。つまりは読売ネット上に一種の出版社と流通会社を作ってしまったって訳で、さすがに世界1の会社はやることもでかいと感嘆する。電子メールの気安さで、何か書いてぶん流してみるか。ジャンクメール扱いされるのがオチだろーけど。

 飛び出してお台場のフジテレビへ。かの大傑作ゲーム(僕的)「サクラ大戦」をミュージカルにするとゆー発表で、御大・広井王子さんをはじめチャイドルな野村佑香さん、南青山少女歌劇団のなんとかさんにピンクの電話のよっちゃん、黒田アーサーそして我らがさくら、横山智佐さんが舞台上に登壇して、ミュージカルの期待と魅力を語ってくれた。出演者は広井さんとよっちゃんを除くと皆コスプレしていたのが嬉しくて、時間がなく写真撮影をすっぽかして帰らざるを得なかった我が身を怨む。明日のスポーツ新聞が楽しみだなあ、でも掲載してくれるかなあ。智佐さんはコスプレっても袴姿のまるで卒業式。でも嗣子さんみたく無地の着物で矢がすりではく、ハイカラさんファンでもある我が身はどっちがえーのーで引き裂かれる。

 発表では本編「サクラ大戦 君、死にたもうことなかれ」の発売日が4月4日に決定したとのリリースも出され、我が胸は春の桜の華散る頃に、あの歌あの声あの活躍を楽しめるのかとはや踊る。ミュージカルの発表会では一部作品の中身が上映されて、それによると部屋割りのマップは立体になり光武より形が新しくなるマシンはグレードアップされて動きが素早くなっていた。デモだから実際はどーか解らないけど、十文字に動くモノアイに、ザクともグフとも違うドムが出て来て、ジェットストリームアタックを展開した時の衝撃にも似た迫力を感じる。ミュージカルの出演者が演じる役柄は、花組にあこがれる新人たちだけど、ゲームの続編にもどーやら登場することになるらしー。さても楽しみなゲーム、本当にホントにちゃんと発売されるかな。

 ゲームといえば1月22日にいよいよ発売される稀代の○○ゲーの大盛り上げ記事を書き上げる。グッズもフィギュアもCDもカレンダーもテレカも画集も買ったことのない僕だけど、ギャルゲーだし前評判の高さは漏れ伝え聞いていたので、同日発売のサウンドノベルよりも大きく扱うことを独断して、100行近いでっかい記事に仕立て上げる。ゲームの中身を触ったことがない以上は絶賛も否定もしていないけれど、イケイケが多いゲーム業界の中でこれほどの前評判にも関わらず、案外に慎重だった多部○さんの売れ行き予想に経緯を表して、とりあえずイニシアル30万はハケるくらいの人気は見せるだろーと言っておく。外れても頭丸めないよ丸めれないし。さても明朝は秋葉原でいかな悶着が繰り広げられるのか。ブックフェアも楽しみだけどやっぱ秋葉をチェック、かな。

 日経産業新聞「デジタル時代を語る」になんと「明和電機」登場、でも肩書きがアーティストじゃなく「マルチタレント」になっているのは何故? どーして? ご本人たちの意向ってことはないだろーな。インタビューでの肩書きはちゃんと「社長」に「副社長」となっているけどね。最初の内はデジタルとかアナログとかISDNとかインターネットとか真っ当なことを喋っているのが、いかなる時でもパフォーマンスを押し通す彼ららしくなくって嫌。日経紙上で真っ当な顔しておかしな主張を押し通して、企業体のフリしてアーティストやってる意味があるんだろーになー。後のほうになると魚器を説明する下りで魚がオシッコで対話する話を混ぜてみて、ちょっとした明和らしさは出しているのがちょっと嬉しい。写真がド下手でちょっと哀しい。ウチは2年も前に明和出して局長に紛らわしいと怒られたけど、日経に出たって言えばそろそろ堂々とインタビューしても、大丈夫かな。

 突然にCESAが会見、中身は機能のSCEへの公正取引委員会からの勧告を受けて、中古問題を認めるよーな公取委の見解に釘を指す内容のもので、1日おいてから会見までして出す意味がまったくもって解らない。時期はともかく噂では近いと言われていたらしー公取委の勧告に、ある程度心構えをしておけば通産省あたりから中身を探って、会見するなりコメントを出すなり対応も考えていられたでしょーに。少なくとも発表のあった午後3時以降は中身もオープンになっているんだから、通産まで出向いて中身を聞くなりすれば、対応するコメントも出せたでしょー。対立する中古ソフトの団体が間髪おかずにコメントを出して来たことに比べると、その対応の遅さが際だっていて、たとえ正論であっても埋没してしまいかねないと、ちょっと先行きを心配する。まー夜中に新聞社(どこだ)に電話して、公取委が出したペーパーを見せてって言ってるくらいだもん、んでもって一国一城の一家言持つ人々が集う団体だもん、調整して段取りつけて纏めるまで時間がかかるのも当たり前だよな。


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