縮刷版97年9月上旬号


【9月10日】 でらでらと朝の出勤を延ばして「ポンキッキーズ」を見終わり、「おはようナイスデイ」の予告が始まってどこかで聞いたことのある音楽が。「ちゃっちゃら、ちゃらーちゃっちゃっ、ちゃっちゃら」。文字で書くなんだかまったく分からないけれど、これは「YAT安心!宇宙旅行」でヤットダムが宇宙旅行に出発る場面とか、予告編とかで確かかかっていた音楽ですね。テレビ朝日だとよく「南国少年パプワくん」のBGMが番宣の番組でかかっていることがあって、懐かしー(ほんと懐かしい)気持ちになることがあるけれど、現役バリバリのアニメのBGM(それも多局の)を使うのって、なんか気が咎めないのかなー。誰も見てねーよなって思ったら、甘いよ。

 「パプワくん」と言えば、作者の柴田亜美さんが「ファンロード」に連載していた実録4コマ漫画をまとめた「勇者への道」(ラポートコミックス、720円)を購入。立ち読みしてどーやら編集いぢめがネタになっていると分かって興味が湧き、「パプワくん」だって持ってない薄い薄い柴田ファン(アニメが好きだったって程度の)なのに、ついフラフラと買ってしまった。出てくる編集は「月刊ジャンプ」に「Vジャンプ」に「なかよし」に「アニメージュ」あたりが中心。「なかよし」系がスーツ着ていたりするのは会社の方針なのかそれとも属人的なものなのか。集英社に徳間書店もそれぞに会社や媒体のカラーが出ているよーで、なるほどこーゆー人たちの集合体によって、雑誌は作られているんだなーと勉強する。やっぱ徹夜があるのか。30越えてやる仕事じゃーないかもなー。

 漫画のなかの自画像は、熱血風だったり狸だったりしてバラバラだけど、各章のタイトル下につけられたカットの自画像は全体に統一されていて、それが妙にナイスバディでちょっぴり三白目だけど妙に可愛く見えてしまって我ながら見境がなくなったと天を仰いで呆然とする。実物はどんななんだろーか。サインペンで描くとゆーのは柴田さんに限らず最近の漫画家さんには結構大勢いるみたいで、例えばふくやまけいこさんなんかはデビューした辺りからずっとサインペンで描いているし、とり・みきさんもサインペンが中心みたい。漫画家になるってゆーと「Gペン」「かぶらペン」に開明墨汁を使いこなせなくちゃいけないんだって思っている人、今でも結構いるんだろーね。僕もどヘタな財界人の似顔絵を新聞のために描かされた時(商業紙で似顔絵を描いたってこたあおらあプロの似顔絵描きだったんだ、いや冗談ですよ)、やっぱりペン軸とペン先買ったもんなあ。サインペン使えばもっと楽だったかもしれないなあ。

 未だ現役バリバリで公開中の「もののけ姫」とは違って、「夏エヴァ」はたぶん2番館、3番館扱いってことになっているんだろーけど、封切りから約2カ月が経った今も、雑誌では相変わらず「エヴァ」の記事がマストアイティムになっているみたい。記事として掲載することで「だったら買おうか」なんて考える読者が、きっと30万人(推定、ホントは妄想)はいるだろーから、雑誌にとってはおいしい企画なんだろーね。ホント久しぶりに買っちゃったもんね「COMIC BOX」をさ。表紙から口絵から廈門潤さんのイラストが爆発、とくに記事面の友成純一さんの文章につけられた、プラグスーツ姿の綾波なんて、もう色っぽくってそのままアニメで動き出してくれないかなって思った程の出来だからね。ちょっち怒り肩で顔歪んでるよーな気がしないでもないけれど。

 友成さんの次のページでは、「エヴァ」といえばこの人な大森望さんが、「パンツ脱ぎ崇拝」的な「ユリイカ」あたりが得意としているアカデミックな反応をいなして、「おれエヴァでいこう」的論調を展開している。今はなき(まだあるよ)「RONZA」の映画コーナーでも展開していた論のよーな気はするけれど、スペースの広さではこっちの方が圧倒的で、読者も当然のよーに「エヴァ」に面識のある人たちが中心なためか、展開されている論は内容が多いだけじゃなく全体に直裁的で中身も濃い。直裁的といえば冒頭の「フィフス・エレメント」の感想もドクゼツが冴えて「こんなにスゴいんだったら」と別な意味で見にいかなくちゃって気にさせられた。

 これほど凄い評論が毎号掲載されているんだったら「COMIC BOX」も毎号買うんだけどなー、っていや違う、やっぱ「エヴァ」が扱われているから買っただけか。「エヴァ」に関する文中で、大森さんは「春エヴァ」「夏エヴァ」と言っているけど、この使い分けっていつ頃から使われるよーになったんだろーか。岡田斗司夫さんも使っているし、もはやデファクトスタンダードになったってところでしょうか。このまま定着して歴史教科書なんかに「大阪冬の陣・夏の陣」並みに「夏エヴァ・冬エヴァ」って言葉が載る、ってことは流石にないよね。いや、うーん、あったりするかも。

 「噂の真相」は「エヴァ」に感心を持っていてあらゆるメディアをチェックしている人なら、なんとなく聞いていたよーな風説の集大成って感じ。庵野秀明監督の功績を、さまざなな風説をぶつけることで減殺しよーとしているんだけど、たとえ様々な人のアイディアが結合されて生まれた作品であっても、あるいは偶然が重なって生まれたブームであっても、やっぱり庵野秀明とゆー人の才能がなくしては生まれ得なかった作品だってこと、大勢の人を動かした事実は、認めないわけにはいかないから、庵野監督について描かれた部分については、記事を読んでも「だからどうした」という感想しか浮かんでこない。

 ガイナックスの「朝日パソコン」や「週刊アスキー」に対して示した反応は、立場によっては理解できるし反発もできるから可否を断言するのは難しい。悪口や間違い書かれりゃ嫌だろーけど、でも批判は(揶揄っぽい手法も含めて)認められるべきで、そのあたり書く側と規制する側に、「良い物を作る」ことを目標とした意思の疎通が、もっともっとあってもいーよーな気がする。権力をかさに着るのも、売らんかな主義が透けて見えるのも、どっちも気持ち悪いもんね。

 おや「SPA!」も今どき「エヴァ」か。「NO」といえない女が「綾波レイ症候群」とは初めて聞いた。レイがゲンドウの理不尽要求に「NO」といわないのは、ゲンドウに嫌われたくないからというよりも、ゲンドウの要求を受けるのが自分の存在理由と信じているからであって、慈愛とか同情とか嫌われたくないからといった感情的なものに起因しているとは思えない。愛されたい、嫌われたくないからってゆー理由はどっちかってゆーとシンジに近いし、自分を認めてもらうとゆー自立的な意思から突っ張るとゆー意味ではアスカに近い。あえてレイと結びつけるのは、無理矢理なこじつけっぽい企画だと思うけど、でも使われているスチールの質が高いからいーか。いーんだ。いー加減。


【9月9日】 正しい火曜日は「ナースエンジェル りりかそSOS」で始まる。のである。東京では。看護婦姿の正義の味方が悪の組織と闘うその設定のあざとさに、最初は拒否反応を示して見ていられなかったんだけど、今では変身から戦闘シーンへと続くクライマックスは、一種の「お約束」として受け入れることができるようになり、むしろクライマックスシーンに至る段取りの部分で、どんなドラマが展開されているかを、落ちついて観察できるよーになった。幾つになっても勉強はぢゅうよう、ですね。

 作画や演出についてもじっくりと見る心のゆとりができ、たとえば今日のエピソードで、ぎょっとしたりりかの目がまん丸になったまま5秒ほど静止していたりしても、それを演出として楽しめるくらいにはなった。「こどものおもちゃ」に比べれば、まだまだおとなしいけどね。LD−BOXを買ってじっくり見直せば、もっといろいろな発見が出来るかもしれななー、って考えるようになったら立派なドロ沼。はまってしまってもう永遠に抜け出せない・・・・。

 地下鉄にサッポロの缶コーヒー「JACK」の広告が張り出されていて、そうか松田優作が登場しているCMはこの缶コーヒーだったのかと初めて理解する。テレビで初めてCMを見た時、木村拓哉が真似してそーなセリフを集めたためか、本当は格好良いはずなのに、パロディにしか聞こえなくなってしまっていて愕然とするが、これで松田優作に興味を持った人が、ちゃんと「探偵物語」(劇場版じゃないぞ)やら「家族ゲーム」やら「甦る金狼」やら「ブラックレイン」やらを見てくれれば、本当の格好良さが伝わるだろーから、再評価のためのプロモーションと思って我慢しよー。でもホントにパロディにしか聞こえないんだよなー。もしかして木村拓哉が喋ってない? あるいは竹中直人とかが。

 不思議なのは缶コーヒーの商品名の頭文字がどーして「J」なのかってこと。それも麦酒会社が作る缶コーヒーが。たしかアサヒは「JO」でしょ、んでもってキリンが「Jive」だ。サントリーは「BOSS」だから独自路線を行ってるけど、もとより独自路線の好きな会社なのでここは除外。けどコーヒーってったら「ブラック」「ブラウン」がすぐに思い浮かぶから、やぱり「B」の方が似合いそうな気がする。

 じゃあってことで「JACK」を「B」にしてみると「BACK」になるし、「Jive」は「Bive」になってしまう。スペルこそ違え「バック」に「バイブ」では、ちょっと商品の傾向が「大人のおもちゃ」的になってしまう。「L」なら「LACK」に「Live」だから「B」よりは商品っぽいけれど、やっぱりコーヒーとはイメージ違うかな。結局「J」に落ちつくってことで。しかし不思議だなあ、教えてくれ電通博報堂。

 「999」の日とゆーことであちらこちらで「銀河鉄道999」にちなんだ商品が発売された様子。地下鉄でも記念切符を発売したよーで、おたくなグッズだけにきっと行列が出来ていることだろーと、テレビ局がこぞってカメラを出したよーだけど、営団地下鉄が進めた銀座駅には4人とかそこらしか客が来ておらず、「ドラクエ的」「コミケ的」行列を来たいしていたテレビはガクっときたそーな。いくら大昔の作品だからってファンはまだまだたくさんいるだろーし、アニメファンじゃなくても鉄道ファンも買うだろーから、売れた駅では売れたみたいだけど、しかし銀座じゃーちょいセレクト違いだったかも。ちなみに営団地下鉄の「999」切符は完売御礼。やっぱりいるところにはいたんだねー。

 GAGAコミュニケーションズで取材。「マスク」に「セブン」でばりばり言わせていた洋画配給がここに来てちょっと寂しく、ややしゅんとしていたGAGAだけど、ちょっと元気のなくなった米ニューラインシネマとの丸買い契約がようやく終わって、昔みたいに目利きがセレクトして買い付けられるよーになったから、持ち前の機動力を活かしてきっとまた面白い映画をひっくり探して来てくれるでしょー。いくら元気が良いからって、それが永遠に続くほど映像ビジネスは甘くはないってことを再認識しただけでも、意味があったってことでしょう。社長がへこたれずに突っ張る初台の某社にも、世間の常識に照らし合わせて我が身を振り返るだけの余裕が欲しいものです。

 年末から来年にかけてのラインアップでは、とにかくフィギュアが話題な「スポーン」がイチオシ。全米ですでに公開になっているよーだけど、いったいどれくらいの評価を受けているんだろーか。タイミングからすれば秋にも欲しいところだけど、生憎劇場は超ヒット作が珍しく、本当に珍しくばんばんと出ていてGAGAが自由に番組を流すだけの余裕はないみたい。来年まで果たして保つのか「スポーン」人気は。スターウォーズみたく一瞬の花火で終わらないとも限らず、やっぱ映画って生き物なんだなーと再認識する。

 ほかには例えばウェズリー・スナイブスにナスターシャ・キンスキーの「ワン・ナイト・スタンド」とか、ジョニー・デップ監督の「ブレイヴ」なんかが面白そう。デビッド・フィンチャーの「ゲーム」に説明無用な「マスク2」は多分相当行くでしょー。傾向はアレだけど、「自分をオンアの子だと信じ込んでしまった”思いこみ少年”の夢の物語」とゆー「マ・ヴィ・アン・ローズ」にあたしゃ興味があります。

 江戸川乱歩賞受賞作の野沢尚「破線のマリス」(講談社、1500円)を購入、すでに脚本家として一家を成している野沢さんでも小説を書いて応募するのかと、乱歩賞のステイタスの高さに改めて驚嘆する。藤原伊織さんだって「ダックスフントのワープ」で賞をもらったことのある、一面ではしっかとした「プロ」だったけど、野沢さんはまさに現役バリバリな脚本家だからね。公開中の「私たちが好きだったこと」も確か脚本を担当してたっけ。けれどもやっぱり勝手が違うのか、どこか読んでいて引っかかる。凝って凝りまくって倒置やら省略やらほのめかしやら、なにやらかにやらを駆使した結果なのか、頭にスラスラと文章が入ってこない。まあ慣れれば気にならなくなるし、よーはなにが描かれているかが大切だから、最終評価が読み終えた後ってことで。でも32ページの「遠藤俳優さんのお宅ですか?」は酷い誤植だね。気づかなかったのかねえ、編集部は。


【9月8日】 「スレイヤーズ」の再放送は先週で終わってしまっていたらしく、朝8時のテレビ東京は火曜日に再放送中の「ナースエンジェルりりかSOS」が流れていた。「スレイヤーズNEXT」が始まるかなって期待していたんだけど、世間はそんなに甘くはなかったか。「りりか」は本放送中には1度か2度しか見たことがなかった番組だけど、最近どどどっと出版されたアニメ評論誌で妙に評判が良いので、朝の再放送は時間があれが極力見るよーにしている。今のところは依然としてお約束なダークジョーカーVSナースエンジェルのバトルモードで、とりたてて凄みは感じないけれど、最終回が近づくにつれてどんどんと暗く盛り上がっていくのだろー。でも朝っぱらからそんな思いテーマを見ちゃっていーんだろーか? どっと落ち込んで会社に行きたくなくなるなんてこと、もしかしたらあるかもね。

 どっちにしろ9月って月は年間を通じて妙に落ち込む月。暑い夏が終わって涼しい秋が来るってことをどーして喜ばないんだって、汗っかきで夏が大嫌いな人には怒られるかもしれないけれど、長い夏休みが終わって学校に行かなくっちゃいけなくなる9月は、学校が面白くなかった子供にとってキツい月だったとゆー記憶がまず先に立ち、大人になった今も、ずどんと気持ちを落ち込ませてくれる。体育館に火をつけたくなる気持ちも分からんでもないね。9月が楽しかったってのは、高校3年の受験を控えた大事な時期に盲腸で10日ばかり入院した時くらいだろーか。8月31日に腹が痛くなって夜中に病院にかけこみ盲腸と判明、翌9月1日に手術して2、3日は痛みに七転八倒してたけど、4日目からは病院内をふらふら歩いては雑誌や本を読みふけり、世間の学生が学校にテストにと追われていた時に、ぼーっと時間を潰すことができてとっても心休まった。また休みてーなー。

 病院内に持ち込んだラジオで毎晩楽しみに聞いていたのが、NHKのFMで流れていた新井素子さん原作のラジオドラマ「二分割幽霊奇綺譚」。あの妙ちきりんなテーマ音楽に始まって、「にぶんかつゆうれいきたん」とタイトルをコールする声、そしてドラマへと続くその一連の流れは、放送からもう10年以上が経った今も、なんとなくうっすらと覚えている。でもキャストは島津冴子さんと緑魔子さんしか覚えていないなー。この2人の声はやっぱ強力だからなー。この前だったかこの後だったかに再放送があって、どうして録音しておかなかったと今にして思えば悔やまれる。ちなみにNHKFMのラジオドラマといえば、今日から神林長平さんの「完璧な涙」が2週間の予定でスタート。SF小説のドラマ化なんて民放じゃあ絶対に不可能なプログラムに、NHKが存在している意味を強く感じる。ついでにAMの「ラジオSFコーナー」も復活してくれないかなー。

 SF小説のドラマ化は不可能でもアニメやゲームのドラマ化はますます盛んになる一方。文化放送でアニメやゲームの情報を伝えたり、アニメやゲームの世界をベースとしたドラマを放送するラジオ番組「超機動放送アニゲマスター」が10月12日から始まるとかで、その制作発表に潜り込む。文化放送のディレクターにして女装コスプレが大好きとゆー「おたっきぃ佐々木」が、金魚鉢のガラスを超えてパーソナリティーとして登場する大型生ラジオ番組。会見には女装していないおた佐々と、ナビゲーター役を隔週で務める声優の池澤春菜さんと菊池志穂さんが現れて、番組の特徴なんかをあれこれ喋ってくれた。

 毎週日曜日の午後6時半から8時半とゆー、超国民的アニメや超国民的大河ドラマとバッティングする時間に放送するなんて無謀なことをやるもんだと、超国民的アニメの裏番組としてテレビ東京で放映されて視聴率的には惨敗した「天地無用!」(でもこれで天地にイッちゃた人がここに1人)の故事をひきながら考えるが、チャンネル争いの起きないラジオだから、その点は安心していーんだろー。むしろ日曜のゴールデンタイムにラジオを聞くなんて習慣が、今のアニメ・ゲーム・声優ファンにあるかってことがちょっと疑問。昔みたいに「週刊ラジオアニメック」とか「アニメトピア」とかしかアニメ番組がなかった時代ならいざしらず、連日連夜アニメ・ゲーム関連番組が放映されているご時世に、果たして日曜日までファンを惹きつけることが出来るのか。その辺りちょっと研究してみる余地がある。

 それにしても、アニメ・声優番組のディレクターながら、ワニブックスから「フッ完全おたくマニュアル」なんて本も出し、今度はラジオのメインパーソナリティーと、ますます活動の幅を広げている「おたっきぃ佐々木」について、プレスリリースに「いまや業界の星、オタクのリーダーとなったおたっきぃ佐々木(佐々木伸)」と書かれていたのには仰天。上には上には上には上には・・・・・上がいる、それが「オタク」の世界とゆーもので、そんな世界を相手にして、たとえ番宣のためであっても、あるいはてらいであっても、「リーダー」言い切れる自信とゆーのには、驚きを通り越してとにかく感心させられる。嫉妬の炎も影でチロチロと燃えているんだけどね。知識の広さは認めるし、行動力もあるから、「おた佐々」って名前が東京あたりで知られているのはよく分かる。でも果たして全国的に有名なんだろーか。九州で「ばってん荒川」より知られているんだろーか。誰か教えて下さい。

 おっと時間だ。ラジオをつけて「完璧な涙」を聞く・・・・・・泣く。ああ。おお。神林長平がどーしてこーなるんだああああああ。怒りの手紙は渋谷区神南NHK「僕の(わたしの)神林を守って」係まで。しくしく。


【9月7日】 日曜日も早起きせねばならんのか。今日から始まった「夢のクレヨン王国」をなんの気なしに見てしまったのが命とり、主人公の「シルバー王女」の可愛いしぐさに絆(ほだ)されて、これから始まる旅の行方を見守ってやらなくちゃならんなと、オジサン心がむくむくむくっと湧いて来た。ハマるかってゆーと「チャチャ」とか「モモ」とかのよーには1発でハマれる要素はなかったけど、とりあえずシルバー王女のキャラがオッケー、んでもって王女役の徳光由香さん(「雀帝 バトルコスプレイヤー 」のユウを演っている人らしいけど知らないなあ)もオッケーだったから、それだけでも見ている意味がある。問題はデジタルで彩色したためか色がとにかくどぎつく、朝っぱらから目がチカチカとしてくるところかな。まあ色設計の人が機械に慣れてくればなんとかなるでしょう。目が慣れてしまってそのままって可能性もあるけれど。

 意を決して「オタクアミーゴスin森下」に行く。先月から「コミケ」に「ワンフェス」と来た夏のオタクロードの掉尾を飾るイベントってことになるのかな。富士の裾野でフラフラしていたオタクへの道を、ようやくちょっとだけ上がることができました。しかし自分のことをとりあえず棚に上げて言うけれど、暑い中を日曜日の昼間ったからよく集まるもんだよ男の子たち。およそ250人は入ろうかという区民会館のホールのおよそ9割が男子とゆーこの事態に、ただでさえ小子化に直面しているニッポンの将来が、ますます不安にならないでもないわなあ。会場でナンパしようにも、いったいどこで誰をどうすればいいのか迷うくらいの密度の薄さに、綺麗な女性が結構な数いた「コミケ」のコスプレ場とかを思い浮かべて、なんだか遠い目になってしまった。

 けれども「オタアミ」の会場で披露された某アダルトビデオによると、「コミケ」のコスプレをナンパするには相手がいったいなにのコスプレをしているのかを1発で当てるくらいの力量が必要とか。その某アダルトビデオのスタッフは、とりあえず奇妙なことをしている女の子たちがいっぱいいるからを懐かしの晴海へとゴー。手当たり次第に声をかけては「私が何をやっているのかわかります?」「単行本の表紙とかになっているキャラですよ。何やってるのなんていわれても私にだってプライドがありますし」とか説教をくらってスゴスゴと退散していた。先だってのコミケじゃあ、確かにアンシーとかウテナとかセーラームーンとかいったアニメ系はほぼわかったけど、ゲーム系がとんとダメだったので、ゲットにはまだまだ勉強が必要と反省させられることしきり、でした。

 「コミケ」ネタでは東京理科大あたりの学生が作った自主制作作品に晴海会場の模様が登場。けれども被るナレーションが「ガス室とは知らずにならぶ人々」(ドームに入っていく来場者ね)とか「街角に立つ売春婦」(コスプレ姉ちゃん)とか「家財道具を持ち歩く人」(キャリーバッグもってあるく女性)って具合。まあ歴史誤解ネタとして誰でも思いつきそうなアイディアだけど、それを映像として実現するのがパワーってことで、やっぱり感心させられる。自主制作物では「日本の巨匠シリーズ」が場内大うけ。たとえば小津安二郎の「ゴジラ」と、それに畳み掛けるように続く小津安二郎の「サイコ」なんて・・・・ってこれは中身はちょっと言えない。その衝撃度を味わうには実物を見るに限ります。同じ作者の円谷英二の「エレファントマン」も超最高。あと「江戸川ファイト イス人間第1号」もちょっと長めでナレーションも入っているけれど、バカバカしさでは一発芸に劣らない。主演の人間椅子の末路にはただただ涙。次は「江戸川ファイト 二銭銅貨」を見たいなあ。

 ラストは韓国で話題(だったのか?)の特撮スーパーヒーロー物「ファイティングマン」のダイジェスト上映。ダイジェストっても元が2時間半はあるテレビ番組だけに、上映時も延々と30分以上続いて会場ちょっとダレる。いやダレていたのは僕だけか。これで結構会場内に笑いが起こっていたからなあ。「アイアンキング」の浜田光夫以上に冴えない主人公に、これでもかとゆーくらいダメを雄す底抜けな変身シーン、研究所とは名ばかりのチープなセット、色を塗って天井をブチ抜いただけの悪役カー、寸止めも型もないセメントな格闘シーンに笑えない訳じゃないけれど、そんなシーンの間に流れる場面が無駄に長くって、それをちゃんと端折らずに流すものだから、いくら珍奇なるもんを見る慈愛の目で眺めていても、我慢に限界が来てしまった。もう歳なのかなあ。せっかくだからもっとトークを聞きたかったなあ。生きていれば合宿も行こう。


【9月6日】 「エコエコアザラク、エコエコザメラク」。というわけで「闇のエコエコ大祭」の日がやってまいりました。招待状はどーやらキネマ旬報経由のものだったよーで、たまに買った雑誌の応募に当たるとは、なんたる僥倖と招待状を握りしめてほくそ笑む。キネ旬買ってる人は「エコエコ」なんて行かないか。それとも雑誌自体が売れてないとか。雑誌のイベント募集に当たるなんで、ナゴヤ・プレイガイドジャーナル(通称「なぷがじゃ」)の映画館「宮裏太陽」ご招待券くらいだもんなあ。

 ついに放映かなわなかった第19話以降、第26話までの一挙上映とゆー体力勝負のイベントは、実に高校時代に立ち見で見た「ゴジラ」「モスラ」「ラドン」の3本プラス東宝特撮映画予告編大全集の一挙上映以来。先週に続いての佐伯日菜子様ご光臨に加えて、どんな役だったのかさっぱり思い出せない今村理恵さんも登場してのトークショーも予定されていて、まあ賑やかなイベントになるんではなかろーか。先週のイベントの客層は、ものの見事に男が9割9分で、非情にも非常に汗くさかった記憶があるが、石丸よりも広い会場に群集う、男の体臭たるやいかに、ってなもんで今から戦々恐々です。って僕も発生源の1人なんだけど、おもに足からの。

 ってなもんで無事イベントは終了。まずは1言、「今日という日は伝説が作られた日として永遠に歴史に残ることでしょう」。未公開だったエピソードはとにかく凄い。これがこれまで放映されなかったのは、日本のドラマ界にとっても、日本の特撮界にとっても、大いなる損失でありました。終幕に向けて1歩1歩刻まれていく黒井ミサの哀しい運命は、見ているものの胸をかきむしる。引き裂く。ミサの家族の秘密が明かとなり、妹である黒井アンリとの悲劇に満ちた邂逅を経て、エンディング、雑踏へと消える黒井ミサの姿がスクリーンから消えた時、会場から拍手が沸き起こったのも至極当然の成りゆきと言えるだろう。キャストに、そしてスタッフに、さらには遅い時間の放映で、かつ途中で中段という憂き目にあいながらも応援し続けたファンたちに、今はただ「ありがとう」というより他はない。

 イベントはまず佐伯日菜子さんとアンリ役の今村理恵さんの登場で開幕。黒いジャケットに裾がキュッとすぼまったスカート、そしてレース編みのストッキングとゆー出で立ちに髪をアップにした日菜子さんは、先週石丸電器のイベントで見た時のラフな格好ともまた違う、清楚かつ荘厳なイメージを醸し出していた。でもしゃべり口調は丁寧で、笑うと目尻に皺がより、黒い長袖のセーラー服姿で、眉根に皺を寄せてひたすらにカメラを睨み付ける役柄としての黒井ミサの出で立ち表情との、あまりのギャップにやや戸惑う。でも素敵。理恵さんはワンピース姿。後で見た映像ではロングヘアーだったのが、ばっさりとショートになっていて、なんだか鈴木蘭々っぽい雰囲気だった。目鼻立ちも蘭々以上にくっきりくっきりでとっても綺麗。でも喋りは日菜子さんよりしゃっきりしていて、大人っぽかった。これからが楽しみな人ですね。

 次いで第19話から22話までを一挙上映。とくに第19話は3話連続のエピソードの最終話で、これがなかったため目の前からごちそうと取りあげられた気分を、結局3カ月間も味わうことになった。やっと出たごちそうは他に類を見ない正餐、それも血が滴るような極上の。写真に写った7人の女子高生が次々と奇怪な死に方をしていくエピソードだっただけに、お上(ってテレビ局のことだけど)の逆鱗に触れたのかもしれないけれど、最後まで見れば納得したよねえ。やっぱり血糊べったりだったって。この辺りなのかな、次第にミサを付けねらう怪しい影が見え始めたのは。

 インターミッションを経てブラウン・シュガーとゆー名前のソロアーティスト(美人。そして歌が抜群に上手い)のコンサート。カラオケにスタンドマイク一本で唄う姿には最初哀愁が漂ったけど、唄い始めるとその歌唱力で周囲を圧倒、チープさをまったく感じさせなかった。それから2人の女優に監督連と脚本家を交えたトークがスタート。ボケかます日菜子さんにひたすらトークから逃げる監督連と会場は笑いの渦に包まれて、淡々と終了いたしました。シリーズ途中から加わった、フトモモからナイフを取り出すシチュエーションが、パワーアップのために加わったんだろう漫画原作を仕事にしている梶研吾さんの熱意の賜だったことを初めて知る。ありがとう。本当にありがとう。

 またも休憩を経て、再開された上映会はビデオでは未収録になるとゆー「最後の晩餐」から。コミカルとゆーか普通の女子高生している黒井ミサがあるいは普段の佐伯日菜子さんを表しているのかもしれない。来春公開とゆー劇場版も、結構女子高生している黒井ミサが登場するとゆーことだから、普段着に近い佐伯日菜子さんをまた見られるかも。どっちにしたってそんな日菜子さんに再開できるのは、年末にLD−BOXの後半が出る12月26日以降、こっちには収録される第23話を見るか、開けて映画を見る時までないんだけどね。ちょっと残念、待ち遠しいぞー。

 ラスト3話はミサとアンリをめぐるエピソード。設定自体は決して目新しいものではなけれど、激しいアクションをこなし、毎度ぞくぞくさせられる「目」も演技もたっぷりと披露する日菜子さんに、この日初めて日の目を見た黒井アンリ役の今村理恵さんとの出会いと別れに、誰もがきっと涙することでありましょう。いやホント冗談ではなく。これはもちろんビデオに入るから、9月末にはレンタルショップにゴーだ。終演後の抽選会で、ビデオの全巻セットのプレゼントがあったけど、流石に当選しなかった。抽選会後に原作者の古賀新一さんが登場したのには驚いた、いやあもうおじいさんなんですねえ。会場で声をかけてくれた人、ありがとうございます。やっぱ頭縛ってたまぴっち持ってりゃあバレるわな。これからもご愛顧願います。

 ウィリアム・ギブスンの「あいどる」(角川書店、浅倉久志訳、1900円)を購入、なんかこれまで読んだすべてのギブスン作品より面白そうな予感がしてる、っておいおまえギブスン作品なんて通して読んだことないじゃんか、そうですすいません「ニューロマンサー」は途中で挫折しました「ヴァーチャルライト」は本棚の飾りです。やっぱ日本が舞台でバーチャルアイドル物だと琴線に触れる部分が多くて感情移入がしやすいんだよね。ってことでギブスンさんには日本に移住してもらって日本を舞台にした日本人のための小説を、これからずっと書いてもらいましょう。あるいは夏とかに巡業して日本だけで小説を発表するとか、ってギブスンは「ベンチャーズ」じゃねーぞ。


【9月5日】 早起きして仕事に行く。朝の8時半に来て下さいという、およそ新聞記者には不向きな時間帯を指定した人がいて、滅多に会える人ではないので頑張って満員電車で女子高生のお尻を触らないよーに踏ん張りながら、東西線から銀座線を乗り継いで外苑前へとたどり着く。時間が時間なので女子高生がやたらと多く、それがシートにすわってだらーっと寝こけている様を見られて、早起きもまんざら捨てたもんじゃないとほくそ笑む。でも気づかれてにらまれて額に汗がジトリと滲む。焦っ。

 神宮前の奥まった瀟洒なオフィスにある「ビルドアップエンターテイメント」に岡部暢哉さんを尋ねる。入り口に積まれた、エステバリスだったかバルキリーだったかのプラモデルが前に訪ねた時より増えていた。「河童」のクリーチャーとかCGとかをやっている会社で、「サクラ大戦」でもCGの部分を担当していて、その技術力の高さには定評がある、ってところが一般的な評価か。かつてはワンフェスで鳴らした岡部さんも、今はアメリカと日本を3週間くらいのスパンで行ったり来たりしていて、とにかく忙しい日々を送っている。明日アメリカに帰るとゆーので、無理にお願いして朝に時間をとってもらっていた。

 こっちはともかく向こうも朝が早いのは変わりがないけれど、まあ岡部さんのことだから、たぶん徹也で暴れ回ってていそのまま出社して来るだろーと思っていたら、案の定前の夜に、ジンを5本か6本平らげて、それから歌舞伎町で一旗上げて帰って来た後だったらしー。コンビニで買って来たおにぎりをパクつきながら、あれこれアメリカのエンターテインメントの事情と日本のエンターテインメント事情とかを取材。とにかく強面な印象があって、名前と情実で動く日本では大変だろーなー、だからアメリカに行ったのかなーと思っていたけど、最近は「まるくなった」そーで、ひっきりなしの仕事の量が、そんな言葉を証明しているんだろーね。

 ちょっぴり休んで、すぐ側にあるワーナーミュージックの映像部門にあたるワーナービジョン・ジャパンに行く。エリック・クラプトンのビデオが好調とかで受け付け前に山と積んであったけど、あとでのぞいたらみんな空のケースだった。まあディスプレーに本物を置く必要もないか。新製品などの情報をあれこれ収拾、前にブエナビスタでマーケティングを担当していた人なので、あっちの事情も探りをいれると、良いタイトルがなくって結構大変だろーなー、だからジブリを欲しがったんだろーなーと推測していた。確かに長編で投入するのが「ポカホンタス」に「ノートルダムの鐘」に「ヘラクレス」じゃー大変だわな。「DVDもやらざるをえんだろーね」と言っていたら、夕方本当に「ディズニーがDVD参入」の記事が出ていてシンクロニシティーを感じる。まさか知ってた? いや偶然でしょう。日本のそれも部外者が、そこまでディープにコミットできる類(たぐい)の話でもなさそーだしね。

 外苑前から神宮前へと歩き、デジタローグギャラリーで開催中の「エキスパンドブック横丁」をのぞく。素人さんの電子出版物を販売するイベントなんだけど、すでにプロといえる人も作品を出していて、いよいよ電子出版の自費出版にプロも踏み切り始めたかと感慨にひたる。でも値段が3000円以上もするのは勘違いも甚だしい。すでにあるデータだったら安くするってのが普通だろ。時代小説だったからもしかして手書きの原稿をデジタル化してもらったか? だからコストがかかったのか? そう考えるとすべてが電子化されるには、やっぱり時間がかかりそーだな。

 津野海太郎さんの作品が出ていたので購入、ほかには「ときどきコルサコフ症候群」とかゆーアンソロジーを。500円だからって、やっぱ中身を見ないで買うのって、相当に神経が圧迫される。これも電子出版の普及を阻害する要因だよなー。これからやろうってゆー人に進言。ジャケットを格好良くシンプルにしてはいけません。ちょっとでも中身がわかるよーなコメントなり文章をつけてくれた方が買う方は安心しますよ。あとコミケではこうしたエキスパンドブックとかの販売は可能なんだろーか。コストはちょっとだけかかるけど、20枚コピーして400円なら1枚フロッピーに入れたってそれほど価格に違いはないよなー。んでもってデータ量は圧倒的に上だし、エキスパンドブックの形式なら縦書きも図像とのリンクも思いのままだし。冬はよく観察してみよー。

 パイオニアLDCに行って広報の人に「華原朋美をなんとかしてくれ」とお願いする、ってことは流石に控えてレコード業界の最近の近況をあれこれと聞く。ここんちもDVDを発売することになっていて、10月には「クリフハンガー」や「スターゲイト」とかが予定されている。でもオーサリングの途中で本当に10月に出るのかは未定とか。11月には「アミテージ・ザ・サード」と「天地無用!in LOVE」も発売の予定、でもすでにLDとかで持っている人が多そうだし、どれだけ売れるのかちょっと心配。確かにコンパクトではあるんだけどね。どうせだったら「天地無用! 魎皇鬼」をBOXで出してくれよーってお願いするけど、こっちは流石にまだみたい。ほかにも業界のヤバい話を仕入れたけれど、結論としてはソニーはやっぱり強いってことに落ちつく。ポニーキャニオンはボニー・ピンクとエレカシ次第ってこと。しかしどっちもマイナーだなあ。


【9月4日】 早起きしてビデオで「少女革命ウテナ」を見る。時間と空間が錯綜して、妄想なのか現実なのか現在なのか過去なのかが判然としないまま、いつもどおりの決闘を経てそして、衝撃というか驚きのエンディングへと向かう展開に、目を離した瞬間に置いていかれるかもしれないとの不安が、背中からじわじわと立ち上って、ビデオだというのに止めて息を抜く余裕をまったく与えてくれなかった。止まった根室教授の時間が動き出したことで、思いによって形作られていた根室記念館も消えてしまい、彼に関する記憶も消失してしまったということか。そもそもが黒薔薇編はすべて根室教授の妄想(あるいは残留思念)だったのか。謎はますます深まる。

 などとSFずれした解説に身を入れる以前に、動きはそれほどでもないけれど、というより止め絵が依然として大いにもかかわらず、画面の圧倒的な美しさに飲まれてしまって、もう外へと出られない。とはいえ、地下室の火葬場へと向かい告白する型にはまった展開がなくなって、次はどんな形式を見せてくれるのか。そこにどうやってハメてくれるのか。とりあえずはインターミッションにお約束な七実様爆裂の次回を箸休めに、以後の展開を想像するとしよう。

 ついでに「MAZE爆熱時空」をビデオで見る。朝っぱらから濃い展開。でも夜に見るぼーっとした時間のなかの「MAZE」と違って、すっきりした頭で集中して見ると、普段は見えなかった動きの良さとか表情の変化とかが見えて面白い。本当だったらLD買ってつけ加えられたエッチなシーンとともに、じっくりと見たいところだけど、生憎そっちまで回るお金がないのです。「ウテナ」も出るしそれに月末には「エコエコアザラク」のBOXを予約しちゃってるから。もちろん「エヴァ」の第3巻も買う予定で、このままアニメのソフトばっかりを買い続けたら、ただでさえ狭い部屋がますます狭くなってしまう。だから「MAZE」も「HAUNTED」もおあずけ。えっ「デイジー」? なんですかそれ?

 シャツにアイロンかけてズボンに折り目をつけて仕事へと向かう。日米航空交渉と並んで運輸業界で懸案事項となっている、日本の港湾荷役業務の労使慣行となっている「事前協議制度」の改善をめぐる交渉が、昨日の夜から断続的に続けられていて、そのウオッチに1日中追われてしまった。いったいどんな交渉でなにが問題になっているかは省かせてもらいます。実は僕だってよくわかってないんだけど。まあ簡単に言うと、港で荷物を上げ下げする人たちが労働組合を作っていて、そんな人たちの生活に関わるような業務上の変更を、荷物を運んで来た船会社が考えている時には、業界団体の日本港運教会を間に挟んで事前に協議を行いなさいって決まり事が、外国の船会社にはどうにも訳がわからないものとうつって、改めろって求めていた話ね。よけいわからなくなったか。

 でまあ、今日の昼過ぎまでに決まらないと、アメリカが制裁を発動するってぎりぎりの期限になっていて、それじゃあまずいってことで運輸省と船会社が夜を徹して協議をしたんだけど、結局今日は合意しなかった。1日運輸省にはりついて、それもすべてのあらゆるメディアの担当記者がべったりとはりついて、同じ人を見て同じ話を聞いて同じような記事を書いている。これってとってもなんだか不毛なんだけど、でも落とせないから仕方がないってところに、日本のメディアの特性と、そして欠点を見るような気がする。うち? うちはほら怠惰でマヌケだからべったりとはりついて他社と同じことをやりますよ。それが1番安心、ってそれが1番ヤバいことなんだけどね。メディアにとって。

 もう「ベンゲル様」と呼ぶしかない、名古屋グランパスエイト前監督のアーセン・ベンゲルが書いた「勝者のエスプリ」(NHK出版、1500円)を買う。もう徹頭徹尾ベンゲル節が炸裂する、呼んでいてホント頭が良くなりそうな本。1列目にストイコビッチ、2列目にデュリックス、3列目にトーレスと各列に1人づつしか外国人を置かずに闘った理由がちゃんと解説されていたり、教育の大切さが滔々と説かれていたりして、呼んでいてサッカープレーヤーとして実にタメになる。実践できるかとゆーとこれは話が別だけど。

 面白いのは人のモチベーションは17、18歳あたりで形成されるってことを実験の結果をバックに話していることで、それを言うなら帰宅部としてだらだらと日常をただ無為に、本だけ読んでいれば幸せって感じで過ごしていた自分の17、18歳のモチベーションが、今に至るまで続いていることにハッとさせられる。ナマケモノなだけ? 叩き直せば変わる? いえいえ「ベンゲル様」のご託宣ですもん、もう変われないんだから、そのまま無為に本だけ読んで過ごしましょう。

 濃い1日は「はれときどきぶた」で締めだ。おお「ウテナ」の樹璃に「MAZE」の女メイズに続いてここにも三石琴乃さんが出演しているぞ。お姉さまな樹璃に弱っちいけど芯は強くて時々爆発するメイズを演じて、それからちょっぴり間抜けな和子先生と、異なる役柄をそれぞれのタイプでちゃんと演じているぞ。こうなると「セーラームーン」の月野うさぎが一番違う声だったなあと思えてくるけれど、最近こっち系の役柄をあまり見ないのは、もしかしたら声変わりでもしたのかな。シナリオのヒネり具合にテンポのよい畳み掛けは相変わらず健在、それを則安役の南央美さんがじっつに上手く演じていて、聞いていて全然飽きない。詳しくないのでわからないけれど、たぶん功労者なアフレコ演出の明田川進とアフレコ演出助手の明田川仁って、いったいどんな関係なんだろー。今度会うからSVWの白川さんに聞いてみよー。


【9月3日】 早起きして天王州へ。2時間くらいかかるかなと思ったら、意外や東京駅と浜松町での乗り継ぎがスムーズに行って、1時間ちょっとで着いてしまった。これだったら天王州にある企業にだって通えるぞと一瞬思ったけど、アポイントメントを取っている時間が10時だから、一般的な感覚からいえばこれは大変な重役出勤で、つまりは重役になるまでは天王州の会社には移れないって結論にたどりついた。もちろん天王州にある会社に入れたかってことと、それ以上に天王州にある会社で重役になれるかってことは、まったくもって空想上の産物でしかないんだけど。考えるのだって烏滸がましい? 反論はいたしません。

 時間がちょっとあったのでコーヒー屋で「少年マガジン」を読む。おお山田まりやだ、グラビアに登場してピンナップもあって、はち切れんばかりの(はち切れればいーのに、1億人のお願い)巨大なバストと、それとは不釣り合いに幼い顔との組み合わせを、朝のつんつんくる股間といっしょに存分に楽しむことができた。満員電車の中で広げなくてよかったなあ。しかし「少年マガジン」、しっかりまとまってはいるんだけど、「少年ジャンプ」の600万部突破を引っ張った「北斗の拳」や「ドラゴンボール」や「スラムダンク」や「幽々白書」といった、アニメも巻き込んで圧倒的な凄みを発揮する作品が、まだあまりないよーな気がしないでもない。それでも500万部だったっけ、それだけの部数を刊行できるってのは他の少年誌に元気がないってことなのかなー。もう2年近く読んでないなー、「少年ジャンプ」も。

 重役になるのはおろか入社どころか近寄るのだってはばかられる「日本航空」様で取材。とっても運輸省担当っぽい午前中を過ごす。14階の会議室フロアで少し待っている間に、窓の向こうに広がるお台場の建物群を東京湾沿いにながめていて、10年前、いやほんの5年前でいーからそこにはいったいどんな景色が広がっていたんだろーかと思いを馳せる。船の科学館はあっただろーけど、周囲はきっと広々とした大平原、草木も生えない平ぺったい地面だったに違いない。そこが今では豊島園も羨むトレンディースポット。つくづく人の感性の移り変わりはつかめないとゆーことを実感し、そんな感性を先取りしていく人々の存在に憧れ嫉妬する。

 こーなったら次のスポットを予想するしかないんだけど、東京近郊にそんな場所がまだ残っているだろーか。「ザウス」1つではいかんともし難かった船橋の「ララポート」近隣に、日本で初となる「フットロッカー」が出来て、ほかに「ナイキタウン」とか「ナンジャタウン」とか「マルチプレックスシアター」とかが加われば、確実に次代のトレンディースポットになるんだがなー。おっと「オートレース場」を忘れちゃいけない、森旦行をどんどん呼んで走らせるんだ。キムタクを公営競馬に呼んで「船橋競馬場」で走らせればさらに完璧。市長、ジャニーズ事務所と交渉して実現して下さい。

 「マルチプレックス」では日本で草分けな「ワーナー・マイカル」に話を聞きに行く。入り口にダースベーダーのPOPが立ち、受け付けには何に使うのかわからないけど巨大な「R2D2」が立っていて、やっぱり映画関連の会社だなー、それも外国の香りのする会社だなー、日本の映画会社とは違うなーと改めて実感する。バックスバニーだったかな、ダンガリーシャツ着てネクタイぶら下げてたし。目黒にあるブエナ・ビスタ・ホームエンタテインメントもミッキーが椅子に座ってたから、やっぱり自分たちのキャラクターを大事に、そして有効に使う術を心得ているんだね。

 これに比べると、銀座にある(ってたいてい銀座にあるけれど)某社なんて、ポスターこそべたべたと貼ってあるけれど、POPなんてほとんど立っていないし、人形だって1匹もいない。なにせこの会社、試写室に向かって歩いていく廊下が、なぜかオフィスの中を突っ切っているくらいだからなー。社員を人間POPを考えればいーんだけど、あいにくと普通のおやじが普通の背広着て歩いているだけだから、ちっとも華やかさが感じられない。そーだ女性社員は全員「キューティーハニーF」のコスプレさせて、若手の男性社員は戦隊物の衣裳を着せるんだ。おっさんは全員「北京原人」ってしまったどの会社かバレちったい。でもそれくらいしないと年末大変なことになるよ。きっと。

 ますます快調な「ワーナー・マイカル」と感覚では死っていても、記事を書くなら是非1度は足を踏み入れてくれっ、それでこそ実感のある記事が書けるんだって広報の人の要請を聞き入れるならば、一番近いところで新百合ケ丘に行かなくてはいけないんだろーなー。もらった予定表を見ると「夏エヴァ」と「もののけ姫」がかかっているから、来週あたりにでもどっちか見にいこー。近くの「イトーヨーカ堂」でも「夏エヴァ」ややるけれど、音響とはひどそーだしなー。無理なら来月12日から開かれる「しんゆり芸術フェスティバル」を見に行くことにしよー。

 このフェスティバル、「豚と軍艦」や「うなぎ」や「弾丸ランナー」や「鉄塔武蔵野線」や「月とキャベツ」や「渚のシンドバッド」ってあん、およそハリウッド的どっかーんな映画ばかりをかけている「マルチプレックス」とは思えないプログラムが並んでいて、ファンには結構たまらない企画かもしれない。広報の人は「ゆくゆくは『しんゆり映画祭』を開くんだあ」とぶち上げてくれちゃってたけど、今の勢いを見ると存外に夢ではないとも思えてくる。いずれ日本中で映画が再評価され再興していくのは結構なこと。欲を言えばもっと近いところでやって欲しいってことで、やっぱ「ララポート」に「マルチプレックス」を切望する。


【9月2日】 富ヶ谷にあるCD−ROM会社で取材。中島みゆきさんのデビュー以来の340曲あまりを収録したCD−ROMが近く発売されるとゆー話を、社長の人と副社長の人に聞く。どちらも髭面だけど社長は口髭で副社長は熊髭。先代の社長で今は確か会長の人も口髭だったから、きっと髭がないとエラくなれない会社なんだろー。まるでイランかサウジアラビアかエジプトの会社みたい。とゆーのは冗談としても、先の森高千里さんの「渡良瀬橋」以来ますます快調に音楽系のCD−ROMを発売しているこの会社、レコード会社がマルチメディアに右往左往している中で着実にアーティストの感心と顧客の関心を集めていて、マーケットがついてくれば音楽関連コンテンツの世界で相当な規模で事業を展開できるんじゃないかって、そんな気がしてる。

 パッケージにこだわるか、ネットワークにこだわるか、デジタルの世界では2つを別の道のよーにとらえる向きもあるけれど、この会社では見かけはパッケージながら、実はネットともシームレスにつながっていて、ユーザーがそれと意識せずに、膨大な情報も最新の情報もハンドリングできるよーな環境づくりを目指すらしー。すでに初めているインターネット事業も、どんどんと拡大していく方針とかで、足下にあるインターネットでは超々有名な会社とも、どんどんとお仕事をしていくと口髭社長熊髭副社長は話しておられました。「いやあいい会社が引っ越して来てくれました」とも話していたから、代々木上原駅前の小さな部屋から富ヶ谷のビルに引っ越しを決めた人、もっと誇っていーですよ。

 「財界展望」をべらべらと立ち読み。防衛庁なんかと取引のある情報システム会社が、実はポルノ事業をひた隠しにして店頭公開したって告発記事を読み、これって業界じゃー周知の事実じゃなかったのって驚く。某オレンジ色なニクい夕刊紙でアダルトCD−ROMのレビューを1年間にわたって連載してた時(ってそんなことをやっていたのかオレ)に、当該のポルノな会社にサンプルの提供をお願いに行ったら、会社の人から実はうちは情報システム会社の系列で、エッチ系のウェブサイトも運営しているんで、取材に行ったら面白いですよと教えてもらった。後に本体の方にも、「デビュタント」ってゆーCD−ROMとネットワークを使ったアイドル育成プロジェクトの話を聞きに行ったけど、その時はもう別組織にしましたと教えられて、取引相手が防衛庁とかになると、いろいろと配慮が大変なんだなあと思った記憶がある。

 記事を読んで解らなくなったことが幾つかあって、それは店頭公開企業がポルノっぽいことをやっていたことを黙っていたのが、そんなにいけないことなのかってのが1つ。それからそもそも関連会社がポルノってゆーほどに過激な内容のものを提供していたのかってことが1つ。レビューを書くために何本かタイトルを見たけれど、こんなものをポルノなんて言ったら本当のポルノの会社が怒るよなあ。ヘアだってろくすっぽ写っていないCD−ROMがポルノと糾弾されるのなら、菅野美穂の写真集の方がよほどエロいしグロいんじゃなかろーか。もっとすごいアダルトビデオの会社にだって銀行は融資してるだろーし。これだけ糾弾さてれるってことは、あるいはよほど懸命にドタバタと痕跡を隠そうとして、かえってヤブヘビをつついたんだろーか。堂々としてりゃーよかったのかなー。

 「もののけ姫」のパーティーに潜り込む。東宝関係者とか電通関係者とか徳間書店関係者とか、いってしまえば背広姿のおじさんおじいさんの大会で、映画を本当に楽しんだ世代が宮崎さんに感謝するとゆーよりも、その名のごとく「日本映画動員・配収新記録樹立」を記念する、実にビジネスライクなパーティーだった。冒頭から、壇上で徳間康快御大に電通の成田豊社長に東宝の松岡功会長の挨拶が続いたけれど、一番の功労者たる宮崎駿監督は、明後日の方向を向いて周りの人と会話を続けていた。おじさいさんたちのハシャギぶりがあんまりお気に召さなかったのかな。

 プロデューサーの鈴木敏夫さんや、徳間書店でお世話になった室井さんに挨拶、室井さんは徳間が出資したディレクTVに移ってあれこれ仕事をするそーだけど、JスカイBとパーフェクTVの合従連衡が話題となるなかで苦しい緒戦を余儀なくされそーなディレクTVだけに、きっと苦労も多いだろうなー。そのディレクTV社長の増田さんが会場内に登場してつかつかつかっと徳間社長のところに歩み寄ったのがちょっと印象的。いっしょにギャガ・コミュニケーションズの藤村社長もいて、エンタメ・ベンチャーな2人がいったい何をと興味が湧く。帰りがけにもらった袋にはパンフレットにポストカードに記念のテレカが。幻とゆー「もののけ時計」と遭わせて、これで結構なグッズが揃った。100万円くらいで売れないかなー。

 ニフティのオタアミ会議室で岡田斗司夫さんが気になる発言、週刊誌の連載が終わって10月からヒマになるってことで、けれども雑誌は休刊にならずに、かねてから週刊化の噂のあった某隔週誌が題字を引き継ぎツジツマを会わせるとかなんとか書いてあった。名指しはしていないけれどこれって多分「週刊アスキー」のことだよね。とすれば5月の創刊でたったの半年でポシャるってことだよね。まあ週刊時事がリニューアルして創刊された雑誌(題名もすでに覚えていない)が10週を待たずに廃刊になったことを思えば、半年保ったってことだけでも客観的には喜ぶべきことなんだろーけれど、しかしツジツマ合わせのために隔週誌(当然パソコン関係の雑誌だよな)を「週刊アスキー」にするのって、その隔週誌のファンにちょっと失礼なんじゃないだろーか。ここは是非とも「月刊アスキー」を一気に週刊化するってことで、題字の正統性を維持して頂きたいもんです。あれだけの分厚さだもの、4つに割ったって結構なページ数になるでしょ。毎号8割が広告になるけれど。


【9月1日】 憂鬱な月曜日。おまけに9月。過ぎゆく夏にただでさえ感傷的になっているのに、これから1週間が始まると思うともー気が重くておもくて仕方がない。だけど食べて読んで観て寝るためには仕事をしなくちゃいけないんだよね、哀しいけれど。これが例えば父親が超有名デパートのオーナーで毎月2000万円くらいのお小遣いをくれてフランスにアパルトマンを持っていてイギリスにも城を持っていてつき合っているのは元王妃ってんなら、仕事なんて、労働なんて言葉をは無縁の一生を送れたんだけどね。

 けれども哀しいかな我が人生。2000円のお小遣いすら滞っていたほどで、どーやら一生お金とは無縁の生活になりそー。そんな時はフリーランス仕事が無ければプーターローな、起きたい時に起きて書きたい時に書いて寝たいときに寝る生活に心の底から憧れるけど、これってやっぱり「となりの芝生」なんだろーなー、もう海よりも空よりも真っ青な。通える会社があるだけマシ? うーんそれもやっぱり「となりの芝生」なんだけどね。だいたいウチの会社なんって・・・って言い出すと愚痴になるからこの辺で。しかしホント、世の中ままならないもんです。

 新しい日販週報の休刊誌一覧をみながら、結構有名な雑誌がぼこぼこと休刊になっていることに驚く。まずは「DOLIVE」。青人社でかの嵐山光三郎さんが立ち上げて結構人気があった雑誌だったと思うけど、いよいよもって立ち行かなくなったみたい。「週刊アスキー」の渡邊直樹編集長も確か在籍していたんだったっけ。「SPA!」こそ健在だけど最初の「太陽」は左前のまんま再浮上出来ずだし、「SPA!」の後に携わった「PANJA!」は1人で最初から最後までを見取ったし。これで渡邊さん、結構受難な星を背負っているのかもしれない。

 おやおや角川春樹事務所の「ボーダーランド」も休刊か。神秘とかオカルトに興味のある人は少なくないけれど、いかんせん時期が悪かったのかもね、オウムに酒鬼薔薇だもんね。おっと、鳴り物入りで派手な宣伝で創刊されたデアゴスティーニジャパンの「マーダーケースブック」も休刊か。ちゃんと予定どおり発売されたんだろーか。休刊ってことは途中で打ち切りってことなんだろーか。だとすれば紹介されずにお蔵入りになった殺人鬼ってちょっと可哀想、だなー。

 渡邊直樹さんと言えば「週刊アスキー」の最新号はますますパソコン雑誌っぽくなって来ているなー。横組みページは冒頭がゲームセンターでちょっと置いて「デジタル・ニュース・スクランブル」ってまるで「ASAHIパソコン」みたいなコラムがあって、それから電脳器機中心の「グッズエクスプレス」があって、またちょっとおいて「インターネットパラダイス」って具合。パソコン関連記事とパソコン無関連記事とが、とびとびに配置されているのがちょっとトッチラカっているとゆーか、印象がバラけてしまっている。ゲーセン記事と歌田さんの「イン・ザ・ネット」との間に「酒の肴」で「オタフクするめ」に「朴葉味噌」って記事が挟み込まれてるってのは、いくらなんでもちょっとないよね。

 「おたく王国」は女の子の絵がなくってちょっとガッカリ。知っている岡田さんより知らない女の子の方が面白い絵が描けるってギャップが面白いコーナーだと思っていたのに。縦書き冒頭のパソコン部屋の記事は、どーしてみんなこんなにこぎれいなのってのが最初の驚き、それからフリーライターとかが多いのにみんあ給料稼ぎの僕より立派なところに住んでいて立派なマシンを持っているってのが次の驚き。不思議ふしぎ、もう芝生は青、青、青の1色にそまって眼前に広がっている。うずうずうず。島本和彦さんの「大熱言」は先週の「長い物に巻かれろ」も相当に暑(苦し)かったけど、今回の「夏期限定」も真っ赤に萌える太陽のイラストが相当に暑い。もー9月じゃん、時期はずれだよってのはあるけれど、これだけ暑いんだもの、ギラギラ光る太陽に免じて良しとしよー。

 久々に「週刊将棋」を買う。20円値上げして250円になっていた。やっぱり諸物価高騰の折なのか、それとも羽生人気が一巡して売り上げに若干かげりが見えたのか。羽生に関してはやっぱり1昨年の春の王将戦での7冠挑戦失敗から、去年の春の王将戦での7冠獲得あたりまでが人気のピークだったんじゃないだろーか。一般的な知名度とゆー点でも。公文やらブルガリアヨーグルトやらのCMにも出まくっていたし。けれども棋聖戦で三浦に破れてそれから竜王戦で谷川に破れて名人戦でまたまた谷川に破れて、第1人者の地位を完全に谷川に譲ってからとゆーもの(竜王と名人は同格で棋界最高峰)、将棋界への世間の感心もぐっと縮小してしまった。「ふたりっ子」でちょっとだけ盛り返したかもしれないえれど、「あぐり」が人気になるともー誰も「香子の香は」なんて思い出さない。誠人の心は虚ろい安いもんです。

 それでも羽生が持っているタイトルは4つ。7つあるタイトルが順繰りに取り合いっこをされるスケジュールでいくと、4つも持っていると最低でも2カ月に1度はタイトル戦に登場して、予選を勝ち抜いたその時々でもっとも調子の上がって来ている人と対戦しなくてはならないから、いくら天才とはいえ、それに若干の落ち込みがみられるとゆーこともあって、普通だったらもっともっと取りこぼしてしまっても不思議じゃない。しかし流石に羽生、先月末まで開かれていた王位戦で挑戦者で若手の中でも最強の部類に入る佐藤康光8段を4勝1敗で割とあっさり退けてた。王位はこれで5期連続で、永世王位の資格を獲得したとゆーから、底力の強さは並大抵ではない。

 期待がかかる「7冠」再挑戦だけど、棋聖戦は終わったばかりだし、一番愛着があるとゆータイトル「竜王戦」では挑戦者にすら残れなかったから、再び7冠王の栄冠に輝くのは、よくて来期の竜王戦が終了する、来年秋以降ってことになる。それでもまあ、現在期調子が今一つとはいえ、あの佐藤をいともあさり打ち破るところを見ると、来春の名人戦にリターンマッチに立つ羽生の姿を、割と容易に思い浮かべることができる。おっとその前にやっぱり強力な島朗8段を迎えての王座戦だ。王位戦の快調さが本当なのかを伺う重要な棋戦になると思うから、これからしばらくまた「週刊将棋」を買うことにしよー。


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